本校は徳島県が進める「徳島バッテリーバレイ構想 人材育成部門」に参加しており、応用数理科を対象にプログラムを実施ししております。昨年度は応用数理科1年生を対象に、今後の科学の発展にリチウムイオン電池がどのように関わるかについての講義を実施しました。
なお、この講義の様子はNHKや朝日新聞に取り上げられました。(以下、リンク先)
NHK https://www3.nhk.or.jp/lnews/tokushima/20250321/8020022671.html
朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/AST6C0V8FT6CPLXB004M.html?msockid=19ebcf3d768f6b5b2957d91e77046ad6
今年度は実習や見学を中心としたプログラムを実施していきます。
7月25日(金)に昨年度講義を受講した応用数理科2年生が、電池研究の最先端施設である産業技術総合研究所関西センター(大阪府池田市)を訪問し、小型電池製造実習を実施しました。
まずは、講義です。蓄電池は再生可能エネルギーを利用するために必要であると共に、高出力、高エネルギー密度、軽量化を目指し、常に研究開発を続けているとの説明を受けました。その後、本日のリチウムイオン電池製作実習に関する説明をしていただきました。

蓄電池の可能性と本日の実習内容の説明です
いよいよ実習です。実習には4人グループに1人、指導助手の方がついてくれ、丁寧に教えてくれました。
まずは、負極電極の作製です。炭素電極が放電時では電子を放出する負極になります。ペーストにした炭素を薄い銅箔に塗っていきます。その後、乾燥、打ち抜き、出力端子の取り付けで完成です。


ペースト状にした炭素を銅箔に塗りつけ、電極(負極)を作っていきます
その後は、電解液を注入していきます。リチウムイオン電池は水を嫌うので、真空乾燥を行い、電解液は非常に乾燥したドライチャンバー内で入れていきます。その後真空封入機で封入してセルが完成。セルを充電し、電池としての能力を確認します。


真空乾燥機で乾燥させ ドライチャンバー内で電解液を注入します


真空封入機で電解液を封入しセルが完成 セルを充電します
充電している間は、研究施設の見学をさせていただきました。
これからどのような研究がなされようとしているのか説明していただき、その後電子顕微鏡装置などを見学しました。透過型の電子顕微鏡では原子が確認できました。原子の状態等を確認することで、電池における原子の状態を確認し、改善点を見つけることができるとのことでした。身近に存在する電池が、原子レベルの分析を行い、研究されていることに感動しました。


電池のこれからの研究について説明していただきました 透過型電子顕微鏡です(原子が見えます)
充電が終わり、実際に電池の能力を確認します。電圧は約3.3V。また、リチウムイオン電池を用いて、プロペラモーターを回したり、ミニ四駆を走らせたりしました。さらに、作製したリチウムイオン電池を並列で繋いでいき、ミニ四駆を走らせると・・・。「すごい」「速い」などの驚きの声が上がっていました。実際
にはこれをいくつも並列や直列で繋ぐそうです。車が動かせるのも納得です。


電圧は3.3V ミニ四駆を走らせます(並列に繋ぐと・・・)
最後は実習のまとめをしていただきました。電池作製において、多くの分野の学問が融合し、研究がなされていることを説明していただき、視野が広がったと感じました。
以下、生徒の感想です。
「電池という身近にあるものについて詳しく知ることができてとても楽しかった。また、講座があったことで実習のときの理解も深まった。」「電池を作ると聞いてすごく難しいと思っていたけれど、簡単にできてびっくりした。」
「普段見られない様々な機械を見れて興味深かった。実際に透過型電子顕微鏡で原子を見ることができて感動した。」