令和6年度活動内容
SSH研究成果発表会について
2月21日(金)午後 本校SSH研究成果発表会が行われました。県教育委員会、大学教員、高校教員に来ていただき、ご覧いただきました。始めに本校校長、教育委員会からのあいさつがあり、その後、SSH主担当から本校SSHの取り組みの紹介が行われました。次に、応用数理科2年生代表グループによる課題研究の口頭発表「アオサノリの生育と河川水の成分との関係について」「オオカナダモの紅葉~新芽と光の影響~」が行われました。大学教員や県教育委員会などの方々から多くの質問がなされ、活発な質疑応答が起きていました。
その後、場所を体育館に移し、応用数理科2年生「理数探究」74本、普通科2年生「未来探Q」11本のポスター発表が行われ、そちらを見学していただきました。普通科2年生「未来探Q」においては、1年生の「理数探究基礎」つながりを大切にし、文系分野においてもデータの活用や分析を行えるよう取り組みを進めてきました。多くのグループがデータを活用した分析や考察を行っており、一定の成果が出てきていると感じました。
続いて1年生普通科で行っている「理数探究基礎」を見学していただきました。3学期の理数探究基礎では「課題研究へのアプローチ」として、身近な興味関心に発展させるワークショップや2つの変数とその値でテーマを見る研修などを行っています。今回は「変数について理解しよう」というテーマで研究テーマについて変数とその値を考える研修を行いました。多角的・多面的見方を養い、様々な現象から課題を見つけるトレーニングになります。
2.21 理数探究基礎 変数について理解しようワークシート.pdf
その後、閉会行事を行いました。次年度より特に普通科の課題研究を発展させるために、今年度、徳島文理大学との連携協定を締結しました。今後も探究活動のリーディング校としての役割を果たせられるよう取り組みを進めていきたいです。
台湾国立羅東高級中学来校
2月20日(木)、台湾の国立羅東高級中学から教員4名、生徒25名が日本への研修旅行で本校を訪れました。台湾国立羅東高級中学は全校生徒約1300人で、応用科学クラスや科学実験クラスがあり、特に理科に興味を持つ生徒たち25名が本校に来校しました。
初めは多目的ホールで歓迎会を行いました。城南高校校長と羅東高級中学主任先生があいさつをした後、生徒代表あいさつや両校のパフォーマンス等が行われました。司会は本校生徒が日本語と中国語、英語で行いました。
応用数理科1年 代表生徒が英語と中国語であいさつをしました 羅東高校と本校応用数理科1年生との記念写真です
その後、2 グループに分かれ、本校応用数理科1年生の生徒と羅等高級中学の生徒で、英語での実験教室を実施しました。生物分野と地学分野で実施し、生物分野では、テーマは「Let’s understand the green color of plants」として、直視分光器(spectrograph)を用い、抽出した光合成色素(photosynthesis pigments)を通した光を見るとどうなるか確認しました。その後TLCを用い、光合成色素を分離し、最後に光合成色素に紫外線を当て、クロロフィル蛍光を確認しました。地学分野では、「漣痕(れんこん)」という規則的な地形を水槽に水と砂を入れて再現しました。
光合成色素を抽出しています 地形モデルを形成しています
午後は応用数理科2年生と一緒に課題研究の発表を行いました。本校応用数理科2年生はSEⅡで行ってきた課題研究の英語発表を羅東高級中学は台湾東部の地理的特徴や現住民族などの紹介を英語で行いました。
SEⅡで行ってきた課題研究の英語発表を行います 台湾のプレートなど地理的特徴について英語発表してくれました
最後は多目的ホールに戻り、送別会を行いました。サイエンスと英語のたっぷり詰まった交流であったと思います。この経験をもとに、国際的に活躍できるグローバル人材として活躍してほしいと思います。
本校校長が挨拶をしました 応用数理科2年生代表が英語であいさつしました 全員で記念撮影です
なお、羅東高級中学校の本校への訪問は2月21日 徳島新聞朝刊に取り上げられました。
第二回徳島県SSH高等学校課題研究及び科学部研修会の実施について
2月8日(土)の午後、第二回徳島県SSH高等学校課題研究及び科学部研修会が徳島大学総合科学部3号館で開催されました。この会は第一回の課題研究のテーマ決めの研修会の後、大学の先生に研究計画書を送り、コメントをいただき、そのコメントを受けて、各校で実際決めてきた課題研究のテーマ並びにその検証方法についてポスターセッションの形で実施し、大学の先生や高校の先生に意見をいただくと共に、生徒同士でお互いの内容を確認・意見交換をする会となっています。今回は、本校含め4校(城南・富岡西・海部・徳島市立)の参加があり、発表数は26グループ、76名が参加・発表しました。発表は3交代で4回発表を行い、発表4分、質疑9分で議論の時間を多くとりました。大学の先生9名と高校教員12名はそれぞれのポスター発表を見学し、それぞれの研究計画に対して、活発な議論を行っていました。閉会に際しての講評は、よくできていたという評価をいただいた一方で、よい研究をまとめるには、関連する研究について過去の論文等をきちんと検証し、自らでしっかりと実験計画を立て、検証実験を行い、議論することが大切であると、重要なご助言をいただきました。また、前回と比べ、レベルが上がってるとの意見もいただきました。終了後,希望するグループには個別相談の時間を設定しました。例年、質問に行くグループは本校の生徒がほとんどでしたが、今年度は、他校生徒も多く質問に行くなど課題研究に取り組む姿勢が高まっていると思いました。本県の課題研究への取り組む姿勢は毎年向上していると感じます。また、今回の振り返りをカリキュラムの中に取り入れていただいている学校もあり、この研修会が定着してきて、研修会の効果が上がっているとも感じました。今後も本校は大学や他校とのつながりを大切にしながら本県の課題研究を進める仕組みを確立していきたいと思います。
3号館フロアで一斉にポスター発表を行っています 大学の先生と活発な議論が行われています
ポスター発表を通じた講評を大学の先生からいただいています 多くの生徒が大学の先生へ個別質問を行っていました
発展的実験教室「Jonan Science Lab」の実施について
2月2日(日)9:00~13:00城南高校生物室にて徳島県の高校生や教員が集まり発展的な実験を行う「Jonan Science Lab」が実施されました。前年度、非常に好評であったので、今年度はかずさDNA研究所に相談し、規模を拡大しました。参加者は、城ノ内中等学校前期課程10名 後期課程3名、城南高等学校17名、城東高等学校1名、城北高等学校4名、富岡西高等学校4名、高等学校理科教員2名、総合教育センター指導主事1名、中学校理科教員1名、本校含む県内6校39人の生徒、4校4名の教員に参加していただきました。昨年度は実験ができない生徒がいましたが、今年度はすべての参加者に実験をしていただきました。
実験内容は、分子生物学の実験である「PCR法」や「電気泳動法」を活用する「ALDH2遺伝子の多型解析~お酒に強い遺伝子を持つかしらべよう」です。お酒に強いかどうかは、DNAの1つの塩基の違い(一塩基多型)によるものなんです。
実験は①口内上皮から細胞を取り、②細胞分解溶液で処理しDNAを取り出し、③2種類のプライマーを用いたPCR反応を行い、④電気泳動を用いて解析し、⑤トランスイルミネーターで確認するという内容でした。PCRや電気泳動の待ち時間には、PCR反応についての説明や今後のゲノム解析の利用法など、実験の説明はもちろん、ゲノムについての興味深いお話しをしていただきました。流れるような実験で4時間があっという間でした。実験では、ほぼすべての人のサンプルについて結果が確認でき、実験が成功しました。事後アンケートでは、難易度は高かったものの、内容は理解できたという意見が多かったです。かずさDNA研究所の実験の進め方や説明の工夫が素晴らしく、難しい内容であるけれども、理解が進んだ結果だと思いました。私も非常に勉強になりました。本校の機器で同じ実験ができないか研究を進めていきたいと思います。
細胞分解溶液で処理しDNAを取り出しています 2種類のプライマーを用いたPCR反応を行っています
電気泳動を用いて解析しています トランスイルミネーターで電気泳動の結果を確認しています
令和6年度徳島生物学会発表(高校生の部)について(最優秀賞受賞)
1月11日(土)13:00~令和6年度徳島生物学会総会があり、高校生発表の部で、本校応用数理科2グループが発表しました。
総会では、特別講演として林博章先生(鳴門渦潮高校教諭)「徳島県剣山系の世界農業遺産~持続可能な社会への道標~」として、西阿波の傾斜地農業についての講演から始まりました。
その後、本校生徒2グループが
「アオサノリの生育と河川水の成分と関係について」
「オオカナダモの紅葉」について発表しました。多くの方々からアドバイスをいただき、新たな考察や今後の研究についての方向性を示すことができました。
高校生発表では、他 徳島市立高校理数科2グループが「ナメクジの粘液に保水効果があるのか?」「カメムシの光走性について」発表しました。
その後、一般講演が行われ、様々な観点からの考察や提案がなされ、興味関心を惹かれる内容ばかりでした。
後日、優秀賞の発表があり、本校の
「アオサノリの生育と河川水の成分と関係について」が最優秀賞に選ばれました。
こまめにデータを取り、わからないことがあっても、粘り強く取り組んだ結果だと感じました。
これからも、科学技術人材としての能力を育むことができるよう、多くの学会発表等の機会を提供していきたいです。
令和6年度第2回小・中学校対象 地域フィールドワークin勝浦
12月8日(日)に第2回地域フィールドワークを実施しました。今回の活動は化石採りです。昨年と同じように募集したところ、わずか5日間で20名の定員が埋まるほどの活況でした。産地は前回と同じアンモナイトが採れる場所です。当日キャンセルがあったものの今回も9家族24名の参加があり、スタッフを含めて37名の大所帯になりました。
まずは軽く肩慣らしからです。昨年に谷から引き上げていた化石入りの泥岩がまだ残っていました。それにはシダ類やソテツなどの植物化石が含まれます。そこに案内すると各グループが思い思いの場所に陣取って石を割っていきました。クラドフレビスというシダの仲間やニルソニアというソテツの祖先などが多く見つかりました。
次は本番のアンモナイトです。事前の調査でアンモナイトが産出する地層がわかっていたので、そこまで全員を案内しました。スタッフには斜面直下や道端の小さい子に注意するように促して採集を始めました。すぐに「見つけた!」という声が上がりました。持ってきたので確認すると、確かに殻に突起のあるアンモナイトです。小さいけれどなかなか見事な標本でした。その後もあちこちで興奮した声が上がり、順調に採集できているようです。丸い形状ばかりでなく折れ曲がった異常巻きも見つかりました。小さい子もいましたが、アンモナイトの小さい破片をしっかり拾っていました。
採集開始から2時間半が経過し、全体的に何となく(主に大人の)疲れが見えてきました。時刻は正午少し前で、気温は5℃くらいととても寒く風花が舞っていました。そろそろ終了することをスタッフに伝え、さらに参加者全員に伝達して谷から駐車場へ移動しました。今回も皆さんが何らかの成果を上げられたようです。アンケートを提出して頂き、お土産として宇部炭鉱の琥珀入り石炭を渡して今日の日程が終わりました。
後日アンケート結果から、また機会があれば参加したいことやどちらかと言えば日曜日が望ましいこと、化石ツアーをもっと開催して欲しいが水晶ツアーもできないかなど様々なご意見を頂きました。高校生と児童や一般の方が一緒になって楽しめるような企画を続けていこうと思っています。本日の参加者の皆様、ありがとうございました。また、今回参加できなかった方は次回の案内を楽しみにお待ちください。今後ともよろしくお願いします。
「第68 回日本学生科学賞」県審査の表彰式について
12月24日(火)教育会館にて「第68 回日本学生科学賞」県審査の表彰式があり、本校からは代表の2名が参加しました。
代表生徒のあいさつでは、「今後も科学に対する探究心を忘れず、挑戦していきます 」とのコメントがありました。生徒の主体的学びを促されるよう今後とも研究開発を続けていきたいと思います。
本校生徒の入賞については以下になります。
優秀賞(教育長賞)
魚類消化管に存在するマイクロプラスチックの検出方法とその結果 市川 花音 大家 百葉 日野 桧実 山本 真綺
ばねを用いた振り子の動きについて~単弾性振り子と正弦波~ 長尾 光一朗 入山 志乃助 前田 大貴
入賞
SEMを用いた砂鉄産地の特定 加藤開成 小泉千宗 友成亨太 登佐古翔也
電磁誘導を用いた波高観測装置の開発 後藤梨玖 永峰帆ノ香 西口舞 橋本愛美
SSH台湾海外研修5日目
12月20日 SSH台湾海外研修5日目です。無事に研修をやり遂げ、帰路につくこととなりました。これまで多くの研修に関わってくれた人々に感謝いたします。バスで桃園国際空港に移動し、無事に出国手続きを終え、関西国際空港に到着しました。離陸が遅れた関係で、遅くなってしまい、学校に着いたのは22時過ぎでしたが、多くの先生方が待っていて下さり、解団式を行いました。解団式では、竹南高級中学でいただいた交流証書を一人ずつ手渡した後、校長先生や教頭先生から、挨拶をいただきました。校長先生からは、「今回学んだことを海外研修に参加しなかった生徒にもほしい」とのメッセージを、教頭先生からは「世界中で英語や科学に対して学習に励んでいる人たちがいることを知り、今後の英語学習はもちろん、その他の学習への励みにしてほしい」とのメッセージをいただきました。多くの見聞や交流を通じて、文化や言語が異なる人々の価値観や考え方を受容する力や、コミュニケーションをとる力が向上したのではないでしょうか。さらに今後の学習に対するモチベーションの向上につながったと思います。今回は2回目の台湾への海外研修であり、前回よりも研修の質を向上することができたと感じます。事後アンケートでは研修への満足度は肯定的意見ばかりであり、生徒達は満足のいく研修であったのではないでしょうか。今後、教育プログラムとして、改善を重ね、よりよい海外研修へ発展させていきたいと思います。
いよいよ帰国です 解団式にて生徒代表あいさつ 竹南高級中学交流証明書を授与しました
以下生徒のレポートより一部抜粋
「私が今回の研修で1番心に残っているのは竹南高級中学や大学生の方その他大勢の人達と交流したことです。私自身英語を喋ることは得意ではないし、海外にも行ったことがなかったのでとても不安でしたが、会う人全てが優しくて温かかったので台湾が大好きになりました。私が交流から得た一番大きな学びは積極的に人と関わって行く態度です。綺麗な文章ではなくても伝わるし、うまく話せない、聞き取りにくい時でもしっかりと相手の方は耳を傾けてくれました。だから、まずは話してみることで言語の壁は簡単に乗り越えることができるのだと感じました。この経験を通して私の意識も変わったし、英語力、コミュニケーション能力についての新しい考え方が身に付いたと感じます。」
「今回の交流では、相手校の生徒が日本語、英語を操るのに対し、私は会話ができる程度の英語が喋れなかったことが、恥ずかしく、悔しかったです。自分の英語力の不足を感じるとともに、台湾の方の言語力の高さに圧倒されました。私は以前から英語を学んでいますが、最近は英語を学び始めた時の『他言語圏の人とコミュニケーションをとるために、英語を学びたい』という気持ちを忘れて、入試で使うためだけに英語を学んでいました。しかし、今回の研修で台湾の生徒と交流をしたことで、初心を思い出すことができました。これからはこの気持ちを忘れず、英語学習に取り組んでいきます。」
「最初は台湾海外研修について、不安しかありませんでした。しかし、全日程がとても楽しく、学びになることばかりで、今では、台湾研修に行ってよかったな、と思っています。2日目の竹南高級中学との研修では、自分たちの英語での発表があったり、英語で実験の説明をしなければならなかったりと、とても不安でした。しかし、課題研究の発表も、台湾研修の前から練習してきた甲斐があって、スムーズに英語で発表することが出来ました。英語を使うことに対して前よりは自信がついたと思います。その反面、英語をもっと聞き取ったり話せたりしたら、もっと相手のことを理解することができ、そして自分が伝えたいことが言えるのかな、と思いました。 また、研修の中で、異文化に触れる機会が沢山ありました。異文化に触れたことで、新しい世界を知れることができたと思います。 英語を使ったり、異文化に触れた経験は、必ず将来の自分の役に立つと感じています。この経験を活かして、今後はさらに英語力を磨き、異文化に触れる大切さを知り、日本にとどまらず世界の人たちとも、多く交流をしていきたいと思います。」
SSH台湾海外研修4日目
12月19日 SSH台湾海外研修4日目です。本日は午前中に国立故宮博物院で研修、午後から金瓜石周辺のフィールドワーク並びに黄金博物館での研修です。
故宮博物院では中国4000年の歴史を感じることができる歴代皇帝の至宝が収蔵されています。歴史を体感すると共に、象牙や翡翠を用いて詳細な加工がなされている作品を見ると、物作りにおける技術の素晴らしさを感じることができます。また、身近に利用されていた青銅器や釉薬により装飾を施された陶磁器の美しさに見惚れてしまいます。音声ガイドの解説を受けた後、事前研修で行っていた数学的デザインについて、美術品の中から見いだす研修を行いました。
初めは館内全体の説明です 有名な翡翠で作られた白菜です 数学的デザインを見つけます
午後からは場所を移し、金瓜石周辺にやってきました。金瓜石周辺は北東からの強い季節風と開鉱、土壌の性質変化の影響により一部植生が破壊されておりながら、亜熱帯性多雨林とともに温帯の植生を持つ特徴的な場所になります。また、台湾はフィリピン海プレートとユーラシアプレートが複雑に衝突するところに位置し、多くの鉱床が存在し、金や銅の採掘が盛んであった場所です。フィールドワークでは、特徴的な植生が見られるポイントで説明した後、歩きながら、亜熱帯多雨林に特徴的な着生植物などの説明を行いました。その後、黄金博物館で台湾の特徴的な地形や鉱床や鉱石の学習を行いました。
特徴的な植生が見られるところで説明 強い季節風により植生が一部破壊されています 鉱石がたくさん展示されています
その後、夕食は九份周辺でとり、幻想的な夜の雰囲気を楽しみながら本日の研修を終えました。雨の中、少し寒かったですが、体調不良者もなく無事に研修を進めることができて何よりでした。
海悦楼で食事をとりました
以下生徒のレポートの一部抜粋です。
「数学的視点を意識しながら展示物を鑑賞しました。清朝などの時代から使用されている対称性やフラクタルを美術品の中に発見することで、私より以前に生きた人々もそれらを美しいと感じていたのだと実感しました。博物院では日本から中国王朝へ、中国王朝から日本へ送られた美術品が展示されていた。それらの美術品から、両国の歴史的交流についても理解できました。」
「植生が日本と大きく異なり、亜熱帯性の植生を実際に見ることができた。また風が強く季節風の影響だと分かった。地層については、フィリピン海プレートとユーラシアプレートが複雑に衝突することで、特徴的な地形が形成され、また、鉱石が多く取れることが知りました。実際に、このあたりでとれた特徴的な鉱石を博物館でを見ることができました。」
SSH台湾海外研修3日目
12月18日 台湾研修3日目です。本日は午前中は私立君毅高級中学校との交流、午後は国立陽明交通大学での授業並びに千年倫子さんとの交流です。
8:30に私立君毅高級中学に到着しました。到着後、歓迎会では本校生徒が日本の歌を歌い、交流しました。君毅高級中学の校長先生と本校の秋山教頭先生が挨拶し、お土産の交換等を行いました。
歌のセレモニーを行いました 相互に挨拶を行いました 生徒代表であいさつしました
ロボット教室に移動し、ロボット工学に関する授業を君毅高級中学の生徒と共に英語で受講しました。ロボット工学の授業を担当したいただいた林玉潔先生は、アメリカでロボット工学を学ばれ、ロボット工学と英語に精通されております。ロボットの作成について、林玉潔先生が英語が説明していただきながら、ロボットの作成を行いました。分からないところは現地高校生が教えてくれ、交流を取りながら進めていきました。
林先生と生徒達が英語で分かりやすく教えてくれます 相撲ロボットの作成を行いました
午後からは、国立陽明交通大学に移動しました。国立陽明交通大学は台湾の理系トップ大学の1つです。最初に研究室の人からお話を聞き、その後、籔下篤史先生の講義を英語で受講しました。籔下先生は東京大学で博士課程を終えられ、その後国立陽明交通大学で研究を続けられています。初めは、先生がどのように研究者としての道を歩んでこられたかのお話をしていただき、グローバルに活躍する研究者に必要な資質能力について理解しました。その後「パルス波を用いたタンパク質の構造解析」について、説明していただきました。事前にスライドをいただき、事前学習していたこともあり、理解が進みやすかったです。短いパルス波を作り出すことができ、それにより、タンパク質の構造変化が時系列に分析できるとの内容でした。また、タンパク質の構造解析により、太陽光発電の仕組みが大きく変えられる可能性があるなど、今後どのように発展させられるかも合わせて説明してもらいました。この分野は、ノーベル賞も多く受賞している内容で、今後も発展を続けていく内容であると感じます。この研修を通じて、生徒たちに世界中で科学技術を発展のために、研究に取り組んでいることを理解してもらいたいです。
研究者になった経緯 フェムト秒(10⁻¹⁵秒)レーザーの作成方法とその活用について
その後、熊本の高校から国立陽明交通大学に進学された千年倫子さんとの交流会「こんにちは先輩」を行いました。千年さんから、困難の乗り越え方やチャレンジに対する好奇心などをスライドで説明していただいた後、留学や価値観をテーマにしたワークショップを行いました。生徒たちは、年の近い先輩ということもあり、積極的に発言し、価値観等について意見交換していました。
個性と学びの旅というタイトルで講演していただきました 留学や価値観についてのワークショップを行いました
夜には夕食を兼ねて、致理科技大学日本語学科の学生さん達と一緒に士林夜市に出かけました。平日の水曜日でありながら、すごい人と屋台の数でした。生徒達は、見るものすべてが新しい世界で、現地大学生との交流を行い、非常に有意義な時間になったのではないでしょうか。
電車で移動します 屋台で食事をとりました
いよいよ研修も明日で最終日となります。海外での有意義な学びとなるよう、サポートしていきたいと思います。
以下生徒のレポートから一部抜粋
「君毅高級中学でロボットのプログラミングを行った際、以前日本でもプログラミングをやったことを思い出しました。今回の授業で行ったプログラミングと私が以前やったプログラミングはよく似ており、ロボット工学、プログラミングが世界的に学ばれ、研究されている学問であることを実感しました。」
「籔下先生は、自分が行っている研究の課題点もきちんと把握されており、自分の課題研究でも課題等も考える必要があると感じた。千年さんへの質問では価値観に関するものが多く、困難に対するモチベーションの保ち方など色々な考え方を教えてもらい、今後の人生において活かしていきたいと思った。」
「その地域で使われている言語を学び、自分が行っている研究を海外続けられていて、尊敬の気持ちを持った。高校を卒業したら海外に出てみるという視野を今まで持っていなかったので、その体験した人達の話を聞けて本当によかった。」
「籔下先生の研究発表を聞いて、ターゲットとする分子の変化を見るにはよりスパンが短く時間分解能が高いパルス光を使う、可視パルスにするにはカーレンズ効果、nopaで増幅するといったように、目的に対してどのような方法で解決するか突き詰めていくことでより深い実験になると感じた。色々な角度から検討することで結果が得られると分かった。実験だけでなく、結果を生かしてどのようなことに応用していくかを聞けたので興味が持てた。」
「大学生と一緒に話している時がとても楽しくてこの時間が終わってほしくないとばかり考えるほどにとても濃い時間になりました。」
SSH台湾海外研修2日目
12月13日、いよいよ台湾研修2日目です。本日から3日間の研修が始まります。本日は国立竹南高級中学校との交流です。朝食を済ませ、8時30分に国立竹南高級中学校に到着し、校長先生始め多くの先生方や今回交流していただく生徒40人からお迎えを受けました。
まず、図書館2階に移動して、歓迎会が行われました。2人の生徒がしっかりとした日本語で司会進行をしてくれました。歓迎会では、竹南高級中学の呂淑美校長先生と城南高校の秋山教頭先生がそれぞれ挨拶をし、お土産の交換を行いました。
今回の訪問の際、竹南高級中学と本校は姉妹校締結を行いました。本校も竹南高級中学もどちらもサイエンスを中心とした学校で、次年度は5月に竹南高級中学が本校に来校し、理科実験等と通じた交流を行う予定です。今後ますます交流が盛んになることが期待されます。
姉妹校締結を行いました お土産の交換です 生徒同士自由に交流しました
その後2つの教室に分かれて、まずは竹南高級中学の先生から、液体窒素を使った実験を英語で行ってくれました。本校生徒と竹南高級中学が混じり、一緒に実験を行いました。一緒に感想を言い合ったり、実験について話をしたりと盛り上がっていました。その後、本校生徒主体で英語での理科実験(Science Experiment)を行いました。「ギムネマ茶とミラクルフルーツを使った味覚の不思議実験(How tastes works)」を行いました。パワーポイントを使い英語で説明しながら、丁寧に実験を進めることができました。
竹南高級中学の先生の実験です 本校生徒主体で「味覚の不思議実験(How tastes works)」実験を行いました
その後、課題研究の英語発表を行いました。分かりやすく発表できるよう十分に準備してきました。生徒達はしっかりと発表し、英語での質疑応答にも丁寧に対応していました。この課題研究の英語発表に対し、応用数理科はどのように発表すれば内容が伝わるのか、難しい内容をどのように簡単に伝えることができるか工夫してきました。普通科ではこの発表の機会で、実際に見せるものを用意するなど、プレゼンテーションの準備をしてきました。応用数理科、普通科共に、英語力の向上のみならず、表現する力や探究する力の向上にとって、非常によい機会になったと感じました。また、プレゼンテーションの能力が高く、堂々と発表する竹南高級中学の生徒たちの姿を見て、本校生徒は良い刺激をもらったようでした。
本校生徒の課題研究の英語発表です 竹南高級中学の生徒の課題研究の英語
発表です
昼食は生徒同士一緒に取り、食後は一緒にグランドにて遊ぶ姿が見られました。高校生同士、すぐに仲良くなり、スムーズにコミュニケーションがとれていました。その姿を見て嬉しくなりました。
ビュッフェスタイルで昼食を準備 教室やグランドで自由に交流しました
してくれました
午後からは、TSMC創新館に移動し、英語での説明を受けながら見学を行いました。半導体の進化や活用について知ることができると共に、国際的な視点や意識を高く持っていることに驚きました。
半導体の進化やその活用について、英語で説明を受けました
なお、今回の竹南高級中学との交流は「竹南高級中学と城南高校姉妹校締結」というタイトルで、台湾版Yahoo!NEWSに掲載されました。多くのおもてなしに感謝します。
https://ynews.page.link/84p8X?soc_src=social-share&soc_trk=li
以下生徒の本日のレポートの一部です。
「竹南高級中学の皆さんと交流することが出来てとても楽しかったです!文化も言語も違っていたけれど、お互いがそれぞれ色々な方法(英語やインスタグラム交換、ジェスチャーなど)で仲良くなっていて、それがとても印象的でした。」
「竹南高級中学の生徒と実際に交流してみて、まず圧倒的なコミュニケーション能力の差を感じた。台湾の高校生達は自ら積極的にsnsのアカウントを聞いたり、自分から英語を用いてコミュニケーションを取ろうとしていたのに対し、自分たちはそのようなコミュニケーションにおける積極性に欠けているように感じた。また、そのようなコミュニケーション能力があるからこそ、彼らはとても上手な発音で英語を話したり、発表を行ったりできているのではないかと思った。」
「課題研究の英語発表では、伝わりやすいようにゆっくり説明した。もう少し聞く人の反応を見れたらよかったと思う。英語の発音をよくして今よりもスラスラと言えるようにしたい。」
「まず台湾が半導体に優れているということ、その技術力の高さを知ることができた。普段あまり意識していないところで様々な国が協力し、技術を合わせることでスマートフォン等を使えているのだなと感じた。」
SSH台湾海外研修1日目
参加生徒27名 教員3名で4泊5日の台湾研修に出発します。事前学習や事前交流を行い、良い研修になるように取り組んできました。いよいよ出発です。
まず、8時30分に本校大会議室に集合し、結団式を行いました。始めに、佐山校長先生から「サイエンスについての知見を広げると共に多様な価値観を持つ人たちと協働できる力を育んでほしい。何より楽しんできてほしい」との挨拶をしていただきました。また、207HR佐中さんが代表で、「積極的に学ぶ姿勢を持ち、交流や実習に主体的に取り組んできます」との宣言をしてくれました。
結団式の後、バスで関西国際空港まで移動し、無事出国、予定通り桃園国際空港に到着しました。食事も終え、苗栗市のホテルに到着したのは現地時間の21時00分(日本時間22時00分)。長距離の移動で少し疲労がありますが、いよいよ明日は竹南高級中学校との交流、英語での課題研究の発表並びに理科実験があります。準備してきた成果が出せるように頑張りたいと思います。
いよいよ出発です 長距離の移動でしたがみんな元気です
科学の祭典2024徳島大会に参加して(二日目)
11月23日(土)と24日(日)に阿南市科学センターにて開催されました。今日は二日目です。昨日は大勢の方が来られて用意していたセットが底を尽きそうになるなど、うれしい悲鳴が上がりました。日曜日ですから今日はもっと多くなりそうです。急遽セットの数を増やすことになり、早めに来館した生徒たちと準備に大わらわでした。
10時より少し早めの開場と共に早速お客さんが来られました。昨日のスタッフと交代しているので上手く説明できるか不安でしたが、しっかりと受け答えしているので大丈夫のようです。将来教員になりたい人やイベントスタッフを経験したい人など応募動機は様々ですが、貴重な体験ができていると思います。当番制で門外での全体受付をこなしながら交代で昼食を取り、来場者に応対しながらも次の準備をするといった作業を繰り返すのは大変です。しかし、途中で根を上げる人もなく最後まで根気強く活動しました。
こうして無事に2日間の日程を終えられました。渡した小ビンのセットが合わせて360個、ブースへの来場者数は約560名です。センター全体での来館者数は約1200名ですから、実にほぼ半数の方に来て頂いたことになります。このことに生徒たちと共に喜び、来年も頑張ろうと再び気合いを入れました。
科学の祭典のブース3「宝石を探そう」にご来場の皆様、誠にありがとうございました。スタッフ一同より御礼申し上げます。
科学の祭典2024徳島大会に参加して(一日目)
11月23日(土)と24日(日)、今年も阿南市科学センターにて「青少年のための科学の祭典」が開催されました。このイベントは毎年秋に行われており、城南高校科学部も毎年ブースを開設して参加しています。内容は簡単な工作や観察実験、昆虫や化石などの展示、センターの施設を利用した各種体験などです。私たちのブースでは、昨年と同様に「宝石を探そう」を実施しました。
一週間前から準備にかかりました。まずラベルを作り、小袋に小ビンとキャップ、ストラップなどを詰め込んで、来場者に配布するセットを用意します。2日間実施するため300個ほど用意しました。また、ストラップの作り方を書いた説明書など来場者の立場になってわかりやすいように工夫しました。こうして当日を迎えました。
初日は土曜日だったので人出も少なく少し寂しい出だしでした。本校のブースは2階にあるため、先に1階を回った方が2階に来るまで時間がかかります。しかし、毎年出店しているため近年では知名度が高くなり、開場早々に来場がありました。内容としては、溶岩が粉砕されてできた黒い砂に含まれるペリドットを小ビンに採集する作業です。事前に溶岩の話をしたり、ペリドットの由来を説明して砂の中からウグイス色の結晶を探してもらいます。
30分後にはほぼ全体のスペースが埋まりました。小さいブースが多くて一度に大人数が参加できません。そこであえて時間制限なしで採集し放題にしたところ、他との時間調整もかねてここに集まったようです。砂にはペリドットの他に水晶片やクロム鉄鉱を含む砂鉄、軽石、火山ガラスなどが含まれています。来場した子どもたちにこれらを説明しながら、たくさん採って持って帰られるように応援しました。小粒ですからなかなかいっぱいにはなりません。それでも時間と根気が続く限り頑張っていました。こうして10時開場、16時閉場の6時間で150個の小ビンがなくなり、保護者を含めて約230名の方が来られました。明日はもっと忙しくなりそうです。
第一回徳島県SSH高等学校課題研究及び科学部研究研修会
11月23日(土)13:00~ 「第一回徳島県SSH高等学校課題研究及び科学部研究研修会」が徳島大学理工学部で行われました。「徳島県SSH高等学校課題研究及び科学部研究研修会」は、課題研究を実施するに当たって最も大切である、テーマ決めの実習として、徳島大学理工学部のご助力を得て、本校が主となり実施しております。
県内課題研究の発展のため、県内の高校へ参加を促し、一緒に実施しております。今年度は、県内5校113名の生徒、16名の教員の参加があり、遠方の高校は1校はオンラインで、残りの4校は徳島大学理工学部で対面で実施しました。指導については、徳島大学の先生方8名、TAとして大学院生3名、参加教員16名で指導に当たっていただきました。
内容は、昨年度から改善し、「良い課題研究について」の例を分かりやすく伝えていただきました。さらに「研究倫理について」の講義について、生徒の実態に応じた形に改編し、実施していただきました。「研究倫理について」は、研究ノートを確実に書き、残していくことの重要性などを中心に説明していただきました。
その後、「研究テーマの選び方と研究のすすめ方」について、ブレインストーミングとKJ法によってアイデアをまとめていくという手法を体験的に学びました。研修は3つのSTEPに分かれ、STEP1では、興味があることを自由に上げ(抽象)、STEP2では、その中で、分かっていない解明されていないと思われることを上げ(やや具体に)、STEP3では、どのようにしたら明らかにすることができるか(具体に)各テーマについて班ごとに活発な話し合い、発表が行われました。自分達の興味のあることを研究に発展させるイメージをつかんでもらったと思います。この研修をきっかけとして、各校で課題研究のテーマと研究計画を考えていくことになります。
県内5校113名の生徒、16名の教員が集まりました 理工学部三好先生から課題研究について説明してくれています
積極的にメモを取っています 「興味があること」「解明されていないこと」
「どのように明らかにするか」の3ステップで深めていきます
大学の先生も入って議論します 話をまとめて発表します
大学の先生から講評をいただきました。非常に面白い意見があり、例年よりレベルが高いとの意見でした。
高大連携講座「課題研究へのアプローチ」
令和6年11月29日(金)の午後、香川大学教育学部の笠先生をお招きして、応用数理科1年生107HRを対象に,課題研究に関する高大連携授業を行いました。
導入では,理科の授業と探究活動の違いを考え、証拠を示すことの重要性、論理的思考や実験の計画について一緒に考えました。
課題研究についての意義や目的について説明してくれています 証拠を示すことの大切さ示してくれています
さらに「変数(variable)」を意識することで、探究活動がより楽になるとの説明をしていただきました。そこから、「変数とは何か」と問いかけて、様々な種類の本から変数を見つける活動や様々な図形の中の変数とその値を考え、さらに複数の変数の間における関連性を考える活動を行いました。
様々な本の中で変数を見つけます 図形の中から変数を見つけます
その後、「アクリル板と金属板の上では氷の溶ける速度は変わるのか。またそれはなぜか?」について考え、理由を科学の言葉を使い説明することを求めました。そのアシストとして、図で説明してから、言葉で説明する練習をしました。私自身、論述の指導方法について新たな視点を得ることができました。
実験を行った後、なぜそうなるのか科学の言葉で説明することを求めました
アクティブラーニング型授業であり、課題研究等で養われるゆっくりとした思考(スローシンキング)を求める授業でありました。じっくり考えることでより深い思考を体験し、科学技術人材に必要な思考力を高めて欲しいと思います。
令和6年度SSH城南塾講演会
11月21日(木)の午後、体育館にて城南塾講演会を開催しました。この行事は毎年11月頃に城南OBまたはOGを講師としてお招きして、1,2年生を対象に講師先生の研究や仕事などを中心にその生き様を語ったり、後輩にエールを送っていただいたりする場になっています。今回は東海大学医学部准教授で細菌学者の津川仁様に、「本質を見抜き生命科学に貢献する」という題目でご講演いただきました。
目に見えるものが真実とは限らない、何が本当で何が嘘か・・・。
病原細菌もヒトの細胞をだまして生体内に侵入してくる。それを阻止するために細菌学者は様々な方法を見い出さねばならないが、それには耐性菌や免疫力低下など臨床的な問題もある。私たちの身体には細胞数の10倍以上もの細菌が共生している。これらの共生細菌がどのようにして私たちの健康に貢献し、一方で害を与える存在になるかを明確にすることが重要である。細菌感染につながる生命現象の中から何が本当で何が嘘かを突き止めながら、感染症を制御する方法をどのように開発するかを考える。
パワポを用いてわかりやすく説明していただき、身近な話でもあるので生徒も興味関心を持って聴いていました。講演終了後には、いつもなら余り挙手しない生徒からいくつも質問が飛び出し、それについても気さくな感じで回答されていました。この後に提出した感想文でも好評だった様子が伺われました。津川先輩、ありがとうございました。
「第68 回日本学生科学賞」の県審査の結果について
科学研究の成果を競う 「第68 回日本学生科学賞」の県審査が 11月5日板野町の県立総合教育センターでありました。本校からは応用数理科3年生計11グループが出品し、2グループが優秀賞、2グループが入賞となりました。検証実験や考察に今まで一生懸命に取り組んできた成果だと思います。
優秀賞(教育長賞)
魚類消化管に存在するマイクロプラスチックの検出方法とその結果 市川 花音 大家 百葉 日野 桧実 山本 真綺
ばねを用いた振り子の動きについて~単弾性振り子と正弦波~ 長尾 光一朗 入山 志乃助 前田 大貴
入賞
SEMを用いた砂鉄産地の特定 加藤開成 小泉千宗 友成亨太 登佐古翔也
電磁誘導を用いた波高観測装置の開発 後藤梨玖 永峰帆ノ香 西口舞 橋本愛美
なお、この内容は11月6日(水)の読売新聞朝刊に掲載されています。
令和6年度 科学の甲子園徳島県予選に出場しました
今年度は9校22チームの出場で本校からは2チームが出場しました。
筆記試験では、教科書の内容を答えるのではなく、教科書や授業で習ったことを使いながらさらに深い知識を問う問題が出されました。
生徒たちは苦戦しながら、頭を悩ませながら一生懸命解く姿は頼もしいものでした。
筆記試験の後は昼食をはさんで午後から実技試験でした。
どの学校もしっかりと考えられたものばかりで、教員の私も感心するような装置もあり、生徒の発想力は素晴らしいですね。
結果としては惜しいところでしたが、これからの学校生活等で今日まで頑張った経験値をいかしてほしいです。
SSH野島断層フィールドワーク事前講座・現地実習
11月15日(金)と11月22日(金)に、淡路島の野島断層に関する講義と現地実習を行いました。これは応用数理科の1年生を対象に毎年実施している行事で、地学への興味関心を高め防災減災の意識を持たせるとともに、現地調査の意義を知ってもらうことを目的にしています。
徳島大学名誉教授の村田明広先生を講師としてお招きして、107HR生徒全員で現地へ行きました。
1995年1月17日午前5時46分に発生した阪神淡路大震災で、史上初の震度7が記録されました。そのとき動いたのが淡路島北部を南西から北東に走る野島断層でした。その一部が野島断層記念館に保存されています。生徒たちにとっては生まれる前のことなので余り実感がないようですが、館内で村田先生の説明を受けそのパネルから垣間見える惨状に言葉を失っていました。
断層の説明を受けた後、被災した住宅内部を見学しました。当時は断層のすぐ横にあった家屋で、柱がずれて傾いたり台所に食器が散乱したりしていました。外周でもコンクリの塀が割れていたり、生け垣がずれていたりしたそうです。再び館内に戻って、過去の地震災害や地震が起こるモデルなどを見学しました。災害がいつ起こるかわからない。だからこそこうした研修が必要だと実感しました。
続いて、明石大橋の淡路島側のアンカレッジまで移動しました。大震災のときに橋脚(橋を支える柱)が動いて、橋長が1mも伸びました。その様子はここからではわかりませんが、橋桁ができる前だったので計算をやり直して建造し開通したそうです。また、途中で震災公園も車窓見学しました。ちょうど防波堤の継ぎ目から断層が海峡に沈んでいました。災害発生のメカニズムを知ることで防災減災の施策につなげていくことの大切さを知りました。有意義なフィールドワークでした。
その後、1月1日午後4時10分に石川県能登半島を中心とする大地震が発生したり、8月8日午後4時42分に日向灘沖地震が発生しました。8月には、南海トラフ地震臨時情報が発表され、生徒たちもかなり気になっているようでした。本県でも南海トラフによる大地震の懸念が高まっています。いざというときのためにどういった準備をしておくべきか、そのときはどのように行動すれば良いのか、自分で考えて行動することが求められています。
阿南市科学センター主催の科学の祭典にてブースを開設します!
来たる11月23日(土)と24日(日)に、阿南市那賀川町にある阿南市科学センターにて、「青少年のための科学の祭典2024徳島大会」が開催されます。城南高等学校SSH推進課並びに科学部有志は、今年も徳島鉱石クラブと共催してブースを開設します。
昨年と同様に「宝石を探そう」と題して、黒砂から透き通ったペリドット(かんらん石)をピンセットで採り、小ビンに入れてストラップを作ります。今年はチケットが不要ですから、無料で作ることができます。およそ20分で、下記の小ビンくらいの量が採れます。同じ砂に含まれる水晶の欠けらを少しだけ混ぜるととてもきれいな色合いになり、光に透かして見ればキラキラと光ります。
ペリドットは8月の誕生石で太陽の石とも称され、幸福・希望・平和など明るさを持った石言葉があります。これをご覧の皆様、ぜひお越しください。スタッフ一同、お待ちしています。
第81回科学経験発表会に参加して
11月2日(土)、徳島県教育会館において科学経験発表会が開催されました。これは県内の小・中・高等学校の児童生徒たちが日頃の研究成果を一堂に発表する場です。本校から4つのグループが高等学校の部に出場しました。
発表会場は満員でした。所狭しとイスと机が並べられていて、通行するにも難儀しました。各班とも廊下に出て打ち合わせの真っ最中です。発表原稿を何度も見直していますが、気になる部分があってパワポの文言を修正したり、データのグラフや画像を差し替えたりしていました。そして、開会式の後に最初のグループから発表が始まりました。
発表の持ち時間は20分で、その後に質疑応答があります。物理・化学・生物・地学の各分野を代表する審査員から、生徒たちに容赦のない質問が飛び交います。しどろもどろになってしまったり、頭が真っ白になってなかなか答えられないときもありました。しかし、どのグループも詰まったりどもったりしながらも何とか回答を返すことができました。
参加したのは次のグループです。
(1)ゆこう非可食部の有効利用とその効果・・・ゆこうからフードペーパーをつくる
(2)アオサの生育と河川水の成分との関係・・・アオサノリの陸上養殖に適した水質を調べる
(3)オオカナダモの紅葉・・・クロロフィル量と光の関係を調べる
(4)摩擦によるドミノの転倒速度の違い・・・床板の材質とドミノの転倒速度の関係を調べる
予定時間を大幅に超過したため審査会は開かれず、後日に入賞者を各校に伝えることになりました。その結果、(2)のアオサノリが特選に選ばれ、他の3つも入賞しました。よく頑張ってくれました。次は来年に向けてさらなる研究に勤しんで、もっと素晴らしい成果を上げることでしょう。
先輩ようこそ!進路相談(医学部)
11月中旬のある日の放課後、化学室に医学部志望の生徒が集まりました。平成時代に本校を卒業して医学部医学科に入り、この度県外の病院に就職することが決まった先輩が来校しました。そこで、この機会に将来の「お医者さん」を目指す生徒に対して、医学部のことや医者になるために必要なことなどをレクチャーして頂きました。
先輩からは医学部とはどういうところか、医者になるというのはどういうことか、どのような苦労をしたかなどを教えてもらいました。在校生からの質問として、医学部に合格するためにどのような学習方法をとったのか、医者としての生活はどうのような感じかなど、予定時間を超過してまで熱心なやりとりがありました。
先輩に尋ねると、実家にはまだ帰らず先に本校に直接来られたとのでした。後輩のためにそこまでして頂いて感謝しかありません。ありがとうございました。後輩諸君はこれを機により一層精進して勉強を頑張ってください。
中学生対象理科実験教室を開いて
10月20日(日)に、中学生を対象とした理科実験教室を開催しました。参加者は、中学生10名、スタッフの在校生14名、教員7名です。開会行事の後、前半は物理と生物の選択、後半は化学の実験を行いました。
物理分野では、静電気の発生実験や実体験をしました。ピリッという刺激があり、髪の毛が逆立つ様子も見られました。生物分野では、顕微鏡を見ながらゾウリムシの繊毛運動を観察しました。水中では高速で泳いでいるゾウリムシを観察しやすくするために、様々な試薬を加えて動きを遅くさせるなどのコントロールを行いました。
化学分野の実験では、いくつかの温泉の成分を体験しました。本県でも神山町にあった次郎銅山跡から酸性泉が湧き出ています。pH3くらいとかなりの強酸です。石灰石を加えるとCO2を発生し、人体の皮脂に見立てた脂に加えると分解されました。一方で、旧西祖谷山村(現在は三好市)の祖谷温泉では炭酸水素泉が湧き出ており、指を浸けると少しヌルヌルしました。他には、医薬品としても用いられるヨードホルムやサリチル酸メチルを合成しました。臭いをかげば、病院で治療時にぬられたり捻挫したときに貼られる薬品であるとわかりました。
最後に少し時間を取って、中学生と在校生との交流会をしました。互いに向き合ったり車座になって、学校のことや部活動のこと、志望理由や今日の実験のことなどを話し合いました。こうして和やかな雰囲気のまま終了しました。
海外研修事前研修(徳島大学の留学生をお招きして)
11月11日(月)徳島大学総合科学部教授 村上敬一先生のコーディネートで海外研修の事前研修として、徳島大学の中学からの留学生と交流会を行いました。海外研修の内容を発表した後、中国語の自己紹介や挨拶などを教えてもらいました。その後、お互い写真を見せあいながら興味関心のあることを話し合い、最後は、中国語で挨拶をしました。実際に対面で交流すると非常に楽しそうに交流しており、海外研修での交流も非常に楽しみです。ぜひ、人と人がつながることで、様々な人たちと協働できる人材になってほしいです。
ScienceEnglishⅠ ガラスの実験について~オランダの涙を使用して~
長年本校SSHでのScienceEnglishの授業を担当していただいており、現在外部講師してして指導に来ていただいているトラビス先生に計画していただき、11月1日と8日にオランダの涙を使ったガラスの実験を行いました。トラビス先生はガラス工芸作家としてもご活躍されています。
オランダの涙の丸い部分はトンカチで叩いても壊れないほど、非常に固いのですが、尻尾の部分を強く握ると、全体が一気に壊れます。作り方は、溶かしたガラスを、水にいれて急激に冷やし固めることで作ることができます。
外側が内側よりも急激に冷えて固まり、内部も徐々に冷却されるため、収縮しながら固まっていきますが外側がすでに固まっているので、表面には内部に向かう強い圧縮の力がかかった状態の大きなひずみが残ります。そのため、表面が非常に硬いガラスを作ることができますが、ガラス内部は全体の均衡状態を保つために強い引張の力が加わった状態となっています。そのため、表面の一部が壊れてしまうと、均衡状態が保てなくなり内部の引張の力によって全体が粉々に砕け散ってしまうとのことです。
授業では、初めにオランダの涙の化学的な構造の仕組みを英語での動画で学習した後、ひずみがあることを、偏光板を用いて確認しました。
その後、実際に尻尾の部分を強く握り、粉々に割りました。生徒達は、先ほど説明してくれた現象を目の前で見ることができ、目を丸くしていました。
次週は、様々なガラスについて偏光板で見てみて、ひずみを見つけることになりました。実際に触れて、見て、興味・関心の幅を広げて欲しいと思います。
動画を使って説明してくれています 生徒達も興味津々です
非常に固いガラスも尾の部分を掴むと・・・ ひずみがあると、偏光板を通すと七色に光って見えます
11月1日、8日 Science Introduction(生物分野)
11月1日、8日 Science Introduction(生物分野)は、永久組織と分裂組織を観察しようというテーマで観察実験を行いました。まずは、簡単に細胞周期について確認し、実際に根の先の部分と、少し上の部分を観察し、比較しました。昨年度からの改善点として、比較するものを明確にし、違いを説明することを求めました。事後レポートでは、違いについてしっかり述べられているものが多く、特に形が非常に違うことに驚いた等の意見が多くありました。実際に永久組織を見ることは少ないと思います。比較することで、興味関心の幅を広げ、主体的学びを促していきたいです。
本時の問いを示しています 実験の手法も身についてきました
先端の細胞群 少し上の細胞群
道管を強固にするらせん構造も見られます
海外研修事前研修について(徳島大学村上 敬一 先生をお招きして)
11月8日(金)徳島大学総合科学部教授である村上 敬一 先生先生をお招きして、海外研修の事前研修会を行いました。村上先生からは台湾の歴史や文化を教えてもらうと共に、海外の生徒と交流することで、多様な価値観を受容できる人材となり、インクルーシブな社会を気づいていってほしいとのメッセージをいただきました。その後、国立陽明交通大学に留学された千年倫子さんとのオンラインでの交流を行いました。留学に対する質問やチャレンジについての質問が多く出て、楽しい会となりました。千年さんとは、海外研修で、実際にお会いし、お話を伺うことになっています。今回の海外研修を通じて、多様性を受け入れ、様々なバックグランドを持つ人たちと協働できるグローバル人材に成長してほしいと思います。
小学生対象理科実験教室を開いて
9月29日(日)、本校の各理科実験室にて小学生とそのご家族を対象とした理科実験教室を開催しました。この日のために1ヶ月前から少しずつ準備を進めて、物品をそろえたり内容を吟味したり何度も練習を繰り返しました。そして、ようやく当日を迎えました。開設したブースは18、スタッフは生徒58名と教員15名です。
受付時刻よりかなり前から小学生を含むグループが来校しました。あわてて各所に開始を告げて実験教室が始まりました。2Fは化学分野、3Fは生物分野、4Fは物理分野と地学分野です。EVを使えば4Fからも行けますが、多くの方が2Fから回り始めました。化学実験では、定番のスライムやバスボム作り、気体の発生、二酸化炭素中のマグネシウムの燃焼などを行いました。
3Fでは生物実験として、ゾウリムシの観察やギムネマ茶による味覚の変化、ちりめんモンスターなどを行いました。本格的に顕微鏡を使うのは初めてという人もいて、とてもにぎわい充実した内容でした。
4Fでは、物理と地学の実験を行いました。波の伝わり方や1/10ピカチュウ、煙の砲撃、スチールウールの燃焼、シャボン玉など盛りだくさんの内容でした。来られた皆さんは、お子さんも保護者の方も楽しまれていました。理科に興味関心を持ってくれたようで、皆さんの今後のご活躍が楽しみです。来年もどうぞお越しください。
紫金山・アトラス彗星 校内ミニ観望会2
昨日はスーパームーンすら見えないベタ曇りでした。
10/18(金)も曇りの予報でしたが、夕方意外と雲が切れたので、ミニ観望会を行いました。
やはり少し雲があり、肉眼ではちょっと厳しかったです(でも短時間見えた気がします。)
双眼鏡ではよく見えました。またスマホでも結構写りました。
天気予報では日曜・月曜に観望チャンスがあるかもしれません。
肉眼でしっかり見えるといいですね。
スマホ撮影にチャレンジ
雲はありましたが、スマホで写りました。
追記 残念ながら、その後西空に晴れ間が現れることは全くありませんでした。
ほうき星を探して(紫金山・アトラス彗星 校内ミニ観望会)
今年初めから注目されていた紫金山・アトラス彗星は、夏の初め頃増光が鈍り、期待外れに終わると危惧されましたが、
太陽への最接近を生き延びて、夕方の西空にその勇姿を現しました。
西の低空までよく見える4階西廊下に双眼鏡等を設置し校内ミニ観望会を企画しましたが、なかなか天候に恵まれません。
10/16(水)の天気予報は曇りでしたが西空の雲が少し薄れたので、肉眼は無理でしたが双眼鏡で短時間見ることができました。
吟詠剣詩舞同好会の皆さんも練習の合間に
吟詠剣詩舞同好会の顧問の先生がスマホで撮影(写真右上に彗星)
2024年10月13日 18:28 徳島市内 PENTAX SMC200mmF2.8 & K-x
残念ながら来週にかけても天気はいまいちですが、しばらくは18~19時頃に観望会の準備を続けようと思います。
科学へのいざないAdvance(生物分野)
9月28日(土)徳島県教育委員会主催 科学へのいざないAdvance(生物分野)が徳島大学で行われ、本校生徒2名が参加しました。テーマは「制限酵素地図を作ろう」です。ご指導は 徳島大学教養教育院 渡部先生です。渡部先生にはいつも高大連携授業や課題研究の指導で大変お世話になっております。
制限酵素とは、DNAを特定の場所で切断する酵素です。この制限酵素は「遺伝子組換え生物」をつくる遺伝子工学において遺伝子を切り取る「はさみ」の役割をする非常に重要な酵素です。今回は2種類の制限酵素(EcoRⅤとEcoRⅠ)を用い、DNAのどの部分で、2種類の制限酵素がDNAを切り取るのか考察し、制限酵素地図を作成します。
まず、マイクロピペットの使い方の練習を行いました。10μLを1μLごと10回で取れるかどうかの練習です。
マイクロピペットの使い方を身に付け、いよいよ、実験です。4つのマイクロチューブにDNA溶液を20μL入れ、それぞれのマイクロチューブに①制限酵素入れない ②EcoRⅠを1μL入れる ③EcoRⅤを1μL入れる ④EcoRⅠ を1μL+ EcoRⅤを1μL 入れ、酵素がよく働く温度で処理をします。
制限酵素を働かせた後、電気泳動法でDNAの長さを確認します。電気泳動法とは、DNAは負の電荷を持つので、電流を流せば、+極に泳動するのですが、アガロース(寒天)の中を泳動する関係で、DNAの長さが長いと泳動しにくく(寒天の成分に引っかかる)、短いと泳動しやすい(寒天の成分に引っかかりにくい)特徴から、DNAの長さを分析する方法です。
電気泳動層のくぼみ(ウェル)に、それぞれの溶液を流し込んでいます。(上手です)
流し込んだ後、電流を流し、泳動します。
結果は以下の通りです。
①制限酵素入れない 場合はDNAが切断されておらず、1600塩基対のままです。
②EcoRⅠを1μL入れた場合はDNAが切断され 1000塩基対と600塩基対の断片となっています。
③EcoRⅤを1μL入れた場合はDNAが切断され 700塩基対と900塩基対の断片となっています。
④EcoRⅠ を1μL+ EcoRⅤを1μL入れた場合は、300塩基対、600塩基対、700塩基対の3つの断片となっています。
この結果から、
1600塩基対のDNAはどのような場所で切断されたのかをグループで考察しました
EcoR1
1000塩基対 600塩基対
上の様にEcoR1が切断すると、EcoRⅤはどの場所になるか分かるでしょうか。
最後は、考察した内容を発表しました。
講義では、白のアフリカツメガエルと黒のアフリカツメガエルを交配したら、どのようなオタマジャクシが生まれるか実験したお話しや、黒色の胚(個体ができるまでの細胞群)と白いとの胚を切って、合わせて個体を作ると半分は黒、半分は白の個体を作ったお話、さらにはゲノム編集を行ったお話しなど、実際に実験した内容を話してくれ、非常に興味深くお話しを聞いていました。
また、イベリアトゲイモリやアフリカツメガエルなどを見せていただき、生徒達は大学での学びに胸を膨らませていました。
応用数理科 課題研究 細菌班 徳島文理大学薬学部研修
本校、207HRの3名が課題研究で細菌について興味を持ち、研究をしています。特に、枯草菌(納豆菌)が熱や紫外線、化学物質等に強くなる芽胞を形成することに興味を持ち、どのような条件で芽胞が形成されるのか調べています。30℃のインキュベーターで24時間培養すると、芽胞が形成されるとの論文を発見し、培養をした後、染色液で芽胞を染色し観察しましたが、十分に確認できません。
そこで9月24日(火)の放課後、細菌学がご専門である徳島文理大学 薬学部 微生物学研究室 阪口義彦 先生に芽胞の染色法や芽胞形成について、お話を聞きに行きました。
実験技術である火炎固定や油浸オイルによる対物レンズ100倍での光学顕微鏡の使用法などの学び、ビクトリアブルーで染色し、芽胞を観察しました。菌体の中に芽胞ができるのですが、菌は青く染まり、芽胞が染まらないので青の中に透明に抜けることで観察できます。手法について学び、本校でも実験できる技術を身に着けました。これで、芽胞の形成を調べることができます。また、ご専門である腸内細菌や芽胞の活用法など知り、研究の背景について、非常に知識が深まりました。
さらに、この研究班は最初、音と微生物培養の関係について調べようとしていた話をしていると、芽胞形成と音の関係を調べると面白いとのご意見を伺いました。
培地のpHや温度などと芽胞形成の関係についての論文はあっても、音などの物理的刺激と芽胞形成について調べている例はなく、高校生ならではの面白い着眼になるとおっしゃっていました。
生徒たちも、枯草菌の芽胞形成と音などの物理的刺激との関係について興味を持ち、ぜひやってみたいとのことでした。これからの研究計画についての展望が広がり、生徒たちは非常にワクワクした様子でした。今後も連絡を取りながら研究を進めていきたいと思います。高大連携の仕組みを強化してくことで、課題研究の質を高めていき、生徒たちの主体的で教科横断的な学びを深めていきたいと思います。
火炎固定、プレパラート作成をしています 阪口先生が培養した納豆から培養した枯草菌です
すべての菌体で芽胞が形成されています。
本校研究班が30℃24時間培養したものです。 対照実験(コントロール)として、自然状態で培養したもの
7割くらいの菌体内で芽胞が形成されています。 です。芽胞が形成されている菌体はありませんでした。
R6 科学部卒業生による 課題研究等のレクチャー
9月14日(土) 13:00~ 化学室にて 卒業生による課題研究等の進め方講座がありました。 内定を貰っている大学4年生と大学2・1年生より 以下について説明がありました。 ①研究の進め方のアドバイス ②大学での授業や研究・生活面での参考例 ③高校生のうちにしておいた方がよかったと思った事など。 ④その他 |
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課題研究アオサ班 徳島文理大学研修
207HR 課題研究 アオサ班は9月12日(木)に徳島文理大学 山本博文先生の研究室を訪問し、依頼していた4つの河川の成分分析データを受け取り、今後研究方針について話し合いをしてきました。
1学期にアオサ班はどの川の水が完全陸上養殖に適した水なのか調査しました。その結果、吉野川の水だけ大きく成長するとともに、吉野川以外の川では(特に神田瀬川では)仮根の形成が起きました。その原因を分析するために、徳島文理大学のICPマスという分析機械をお借りし、吉野川、今切川、勝浦川、神田瀬川の水の成分分析を行いました。そして今回その結果データをいただきました。
データから、吉野川が大きく成長したのは硝酸態窒素が多かったからだと考えれます。大きな川である勝浦川が成長しなかったのは、アンモニウム態窒素が多いのですが、おそらく硝化菌が少なく、硝酸態窒に変化してなく、アオサの成長にプラスの要因とならなかったと考えれます。
また、生徒たちは神田瀬川で育てたアオサが縮れているのを発見し、その形態変化は神田瀬川の成分によるものと仮説を立て、次の検証実験は
「アオサの仮根形成および形態変化が起こる原因はどのような金属イオンによるものか」
というテーマで実験をしてくこととなりました。他の河川より多く存在する5つの金属イオンに注目し、それぞれの金属イオンの濃度差を作った河川水で養殖を行い、どのような形態変化が起こるか見ていきます。
これらのことは研究者があまり注目していない分野で、結果がでれば非常に面白いものになると山本先生はおっしゃっていました。
いよいよ研究という感じになってきました。初めに疑問を持ち、問いを立て、仮説を考え、検証実験を行い、その結果を分析し、そこから新たな仮説を立て、検証実験に向かう。どんどん深い内容になってきています。ここからは結果がどのようになるか分からない世界。結果が出ないことがあるかと思いますが、試行錯誤し、新たな発見をする喜びを味わってもらったらと感じます。私自身試行錯誤しながら新たな発見に向かうプロセスにワクワクしております。生徒と共に、研究を楽しみたいと思います。
第48回全国総合文化祭「清流の国ぎふ総文2024」自然科学部門への参加について
8月3日(土)~5日(月)岐阜協立大学で行われました第48回全国総合文化祭「清流の国ぎふ総文2024」自然科学部門に応用数理科3年生3名が参加しました。8月3日(土)には、口頭発表が行われ、「単弾性振り子」の発表を行いました。堂々とした発表で、審査員の方から非常に興味深い研究内容であるとの評価をいただきました。8月4日(日)も引き続き口頭発表が行われ、見学しました。2日間にわたり行われた発表は、さすが全国発表、どの発表も的を得た検証実験と鋭い考察が行われていました。午後からは巡検研修が実施され、私たちは岐阜かかみがはら航空宇宙博物館の見学を行いました。人類初の動力飛行に成功したライト兄弟のライトフライヤーをはじめとする、航空機産業の歴史について学び、ISS日本実験棟「きぼう」の実物大模型に触れながら、航空宇宙産業について実学を通して学びを深めることができました。総文祭自然科学部門に参加して、岐阜県の方々、特に岐南工業高校の方々のおもてなしに感動しました。そして、全国の方々と一緒になって課題研究を頑張っていこうと思いました。
「ようこそ先輩 研究室からこんにちは」
8月10日(土)14:00から化学室にて、1年生から3年生の希望者を対象に、城南高校卒業生で研究者になられた方をお迎えし、研究者や研究について話をしてもらう「ようこそ先輩 研究室からこんにちは」を行いました。講師として、森俊夫先生をお迎えしました。森先生は城南高校を1997年(平成9年)に卒業され、現在、大阪大学 量子情報・量子研究センターで、量子コンピューターの研究開発を行っておられます。量子コンピューターは、昨年、理化学研究所が国産初号機を公開し、大阪大学も国産3号機を公開しました。先生はその両方の開発チームで、現在運用も行っておられます。また、理化学研究所の『スーパーコンピュータ「富岳」と量子コンピュータ「叡」の連携利用を実証』についても行っておられます。
テーマは「量子コンピュータについて」「研究職になるためには」です。初めに、「量子コンピューターについて」お話しいただきました。量子コンピューターとは、量子の振る舞いを用いたコンピューターで、これから開発が加速し、より量子ビット数が多くノイズ補正ができる量子コンピューターが開発されてくるとのことでした。量子の世界で見られる重ね合わせや量子もつれなど基本的内容を説明してただき、実際シュミレーションを用いて量子コンピューターの仕組みについて教えていただきました。難しい内容でしたが、物理分野である「量子の振る舞い」が情報分野である「情報処理」に利用される最先端科学に触れ、生徒達は不思議な世界観に引き込まれると共に新たな発見をしているようでした。
その後「研究職になるためには」では、自分の道を行くために、「とりあえずやってみる」ことや、人が遊びでやるようなことでも「ガチる」ことの大切さを説明していただきました。30代で、懸命に取り組んできたことが実を結んだという森先生の言葉は実感があり、一生懸命取り組むことの大切さを実感したようでした。
これからも、研究職に就かれている先輩から研究についてお話しいただける会ができればと考えております。メンターとして今の生徒達にお話しいただける先輩がおいでましたら、ぜひご連絡ください。
これからも生徒達に、研究や最先端科学に触れる良い機会が与えられるような機会を提供していきたいと思います。
量子コンピューターについて説明していただいてます 多くの生徒が残って質問していました
令和6年度SSH生徒研究発表会に参加してきました。
8月6日(火)から8(木)にかけて神戸国際展示場で行われました、「令和6年度SSH生徒研究発表会」に参加してきました。全国から総勢231チームが参加するという大きなイベントとなり本校からは「電磁誘導を用いた波高観測装置の開発」というテーマで参加しました。会場はたくさんの人で大いに賑わっていました。
初日の準備では、ハプニングもありましたが機転を利かせて上手く乗り越えることもでき一安心でした。
2日目は231チームすべてが発表を行い、全体会にて代表校選出や分野別講評が行われ、色々な学校の人たちとたくさん交流することもできました。
3日目は、全体会で代表校による全体発表から始まり、昼から全てのチームがもう一度発表し、全体会による表彰と全体講評、閉会となりました。大変面白い内容の発表がたくさんある中で、本校のブースにもたくさんの方に来ていただき、発表を聞いていただきました。全国の高校生が集う会場で緊張もしながら質疑応答もしっかりとこなしていました。
これからの生活ではなかなか味わえない緊張感と達成感とを感じてこれから大きく成長していくことを期待してこれからの学校生活も過ごしてほしいです。
J-LINKツアーin関西(SPring-8 SACLA・理化学研究所計算科学研究センター)
8月6日(火)夏休みを利用して、応用数理科・普通科の希望者がJ-LINKツアーin関西として、SPring-8・SACLA及び理化学研究所計算科学研究センター:スーパーコンピューター「富岳」の見学研修に行きました。
最初の研修先はSPring-8・SACLAの見学研修です。初めに、SPring-8・SACLAの概要説明をしていただきました。生徒達は、X線については、なんとなく分かっていますが、X線がどうすれば発生し、どのように利用するのか十分に分かっていません。分かりやすい説明をしていただき、X線の発生方法やX線を利用することで物質の分子構造や原子の種類が分かることに驚いていました。次は、SPring-8・SACLAの見学です。すごい磁力を生み出しているアンジュレーターや電子を放出する電子銃、電子を加速させる加速装置など、それぞれ説明を受けながら見学することで、理解を深めていました。最後は、SPring-8・SACLAで研究員をしている犬伏先生から、研究者についてやご自身の研究について説明していただきました。犬伏先生は、X線を測る装置の開発などを行われており、生徒達は見学してきた総まとめとして、お話しを聞かせていただき、非常に興味を惹かれているようでした。最後の質疑応答では、多くの質問が出て、研究者についてやX線の利用についての理解が深まったと思います。犬伏先生は徳島県のご出身ということで、生徒達は犬伏先生を非常に身近に感じ、最後までお話しをしておりました。
X線の発生と利用、施設の概要説明をしていただきました SPring-8の説明を受けながら見学しています
SACLAの見学です 磁場を作り出す装置は非常に強力な磁力を持つので、
(加速器で電子を高速まで加速します) アルミがゆっくりと落ちます
犬伏先生の講演です 最後に記念写真
次に、神戸市に移動し、理化学研究所計算科学研究センターのスーパーコンピューター「富岳」の見学研修に行きました。初めに「富岳」の概要説明を受け、その後「富岳」の見学、質疑応答がなされました。実際に「富岳」を目の前にしての質疑応答で、生徒達も気持ちが上がり、時間いっぱい積極的に質問がなされました。利用法についての質問が多く、様々な自然現象についてシミュレーションを行い、現象の分析に活用されていることが理解できたと思います。最後は展示スペースで教員と一緒にディスカッションをしながら見学しました。自然科学現象の分析は、その仕組みを把握した後、シミュレーション等が必要になります。天気予報など、そのシミュレーションを「富岳」で行っていることを知り、科学技術に対し、理解が深まったと感じました。
実際に見ることに勝る学習はありません。経験や感動による学びを増やし、科学技術人材としての種を増やしていきたいと思います。
「富岳」を目の前に解説を聞きます たくさんの質問に答えていただきました
展示スペースで教員と一緒にディスカッション 最後に記念撮影
第2回電子顕微鏡操作実技研修に参加して
前回に引き続き、7月28日(日)に再び電子顕微鏡操作実技研修を行いました。今回は男子4名が参加しました。
分析する対象物は「隕石」です。コンドライトという石質隕石のうち、熱変性をほとんど受けていない未分化の隕石を分析しました。ケイ酸分が多く、マグネシウムやアルミニウムも検出されました。また、鉄分が多くて隕鉄に近い隕石ではやはり鉄が多く含まれ、他にもナトリウムや硫黄、マンガンなども検出されました。想像していなかった元素も含まれているとわかり、大変貴重な体験ができました。ありがとうございました。
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応用数理科2年生課題研究アオサ班 徳島文理大学研修
7月30日(火)応用数理科2年生課題研究アオサ班が、中間発表までの研究内容の報告と水の成分分析をするため、文理大学薬学部山本 博文先生のところを訪問しました。現在、アオサノリは地球温暖化の影響もあり、河川での養殖が難しくなってきています。そこで、山本博文先生は陸上養殖に必要な葉状体形成因子を発見し、完全陸上養殖を可能にしています。アオサ班は山本先生の研究に興味を持ち、指導を受けながら、課題研究を進めています。
アオサ班は、現在までに、吉野川、今切川、勝浦川、神田瀬川の4つの川の水でアオサの葉状体を1ヶ月間養殖し、成長の様子を記録しました。1ヶ月間の養殖後、4つの川の中で最も吉野川が成長し、今切川、勝浦川、神田瀬川の3つの川の水ではそれぞれ成長に変化がないという結果を得ました。
これから、徳島文理大学でそれぞれの川の水の成分分析をしていただき、どのような成分の違いで成長の違いが出たのか考察すると共に、それぞれの川の水で仮根のでき方が異なっていることに注目し、どのような塩類が仮根の成長に関与するのか調べていくことになりました。
最初はどのような目標を目指すべきなのか分かりませんでしたが、実際に研究を進めてみると、調べることがどんどん出てきます。研究機関である大学のお力をお借りしながら、より発展的な課題研究に取り組めるようにしていきたいです。
課題研究について指導していただいています 水の塩類成分等を分析する機器を説明してくれています
徳島大学 遺伝子組換え実験講習会への参加について
7月25日と26日の2日間、徳島大学蔵本キャンパス先端酵素学研究所で行われた高校生向けの遺伝子組換え実験講習会に応用理科2年生1名が参加しました。2日間で行う実験は、「①大腸菌の形質転換実験」「②DNAからお酒に強い遺伝子を持つか調べよう」です。
「①大腸菌の形質転換実験」は、抗生物質耐性遺伝子とGFPタンパク質遺伝子を持つプラスミドをヒートショックにより大腸菌内に入れ、大腸菌を形質転換させる実験です。GFPタンパク質は紫外線照射で光り、araCタンパク質により、転写が調節され、アラビノースが培地にあるときにのみ発現するように調節してあります。
「②DNAからお酒に強い遺伝子を持つか調べよう」では、髪の毛から自分のDNAを取得し、PCRで増幅、その後制限酵素で処理すると、お酒に強い遺伝子を持つ場合は切断され、そうでない遺伝子の場合は切断されないことを利用し、その後電気泳動することで、どの遺伝子を持つか分かります。
最後は、実験の結果分かったことを発表しました。堂々と発表している姿を見て、多くの活動を通して、思考力や表現力が育っていると感じました。
また、これらの実験はどちらも、現在の生物学で非常に大切な分子生物学の分野の実験です。どのようなことがマイクロピペットの中で起こっているのか、しっかりイメージしながら、分子生物学の理解を深めて欲しいと思います。さらに現在城南高校が全県の生徒に向けて行っている行っている、かずさDNA研究所と連携し実施しているJonan Science Labでの「お酒に強い遺伝子を持つか調べよう」と方法が少し違っているのが面白いと思いました。高大連携で主体的学びを促進すると共に、体験的学びを全県的に広げていきたいです。
科学へのいざないへの参加について
7月20日(土)午前 本校応用数理科1年生4名が徳島県立総合教育センターで行われた科学へのいざない(生物分野)に参加しました。テーマは『植物の「緑色」について探究してみよう!』です。3つのセッションからなり、初めのセッションではシロツメグサ・ナズナ・ホウレンソウから光合成色素を抽出し、TLC(薄層クロマトグラフィー)分離しました。綺麗に分離でき、様々な色の光合成色素を確認することができました。2つめのセッションでは、分光器を作り、光の分散を確認した後、入射光に先ほどの光合成抽出液をかざすとどうなるかを確認しました。生徒たちは分光に少し苦労していました、教員がサポートし、しっかり確認できました。最後のセッションは講義で、光合成では緑色の光は表面の細胞を透過しますが、透過した光は葉の内部の細胞で屈折しながら、吸収され、光合成に使われているとのことでした。表面ですべての光を吸収するのではなく、緑色の光を吸収しないことにより、葉の内部での光合成を可能にしているとのことです。3時間の講座でしたが、葉の「緑色」をテーマに話が展開され、生徒たちも興味を持ちながら、最後まで一生懸命に学んでいました。一つのテーマを軸にした科目横断的な授業は、私にとっても勉強になりました。学校でも、科目横断的な教材開発により、生徒の科学的なものの見方や考え方を養いたいと思いました。
TLCで光合成色素を分離します 抽出液を透過した光を分光器で見ると・・・
園瀬川総合科学調査について
7月11日(木)午後、応用数理科107HR生徒たちに対し、園瀬川総合科学調査の事前研修を行いました。事前研修では、まず川幅や流速などの測定方法を説明しました。その後、水生生物の採取法を教えると共に、「カゲロウの幼虫」や「カワゲラ」などの指標生物の説明に加えて、園瀬川に多く生息する「ハグロトンボのヤゴ」や「ヒゲナガトビケラ」の形態と生息場所について説明しました。最後にパックテストの説明を行い4種類の水に対してpHのパックテストを実施しました。準備はバッチリです。当日、梅雨明けを迎え晴れて園瀬川総合科学調査が実施できることを期待しています。
パックテストで調べる項目の説明です パックテストの練習です 水生生物採取の方法を教えました
7月17日(水)午後、応用数理科1年生によって園瀬川総合科学調査を実施しました。無事に梅雨が明け、快晴の中の実施です。「上流」「中流」「下流」3か所の調査場所に分かれて調査を行います。主な調査内容は「流速の計測」「透明度調査」「岩石調査」「水質パックテスト」「水生生物の採取並びに指標生物を用いた水質調査」です。川での調査に生徒たちは童心に帰り、楽しんでいました。特に水生生物の採取では、事前学習の効果もありどんどん川に入っていき、多くの水生生物が採取できました。種の同定は指標生物表を用いると共に、載っていない種についてはグーグルレンズを用い行いました。総合的な水質の判定はきれいな川とやや汚れた川の中間くらいです。実際に見てみてやってみることに勝る学習はありません。フィールドワークや実験等の体験や経験から学ぶ主体的な学びを経験し、科学的なものの見方や考え方を育み、科学技術人材としての資質能力を身に付けてほしいと思います。
玄関に集まり、上流・中流・下流に移動します パックテストを行います
水生生物を採取して 種の同定を行い、水質を判断します ヒゲナガトビケラです
第1回電子顕微鏡操作実技研修に参加して
7月15日(月・祝)に、神戸市立工業高等専門学校のご厚意で実施しました。生徒4名と教員2名が参加しました。
走査型電子顕微鏡(SEM)は大変高価な機器であり、高校生が手軽に扱える機会はまずありません。しかし、今日はそれに触れて実際に元素分析できるので、軽い緊張感の中で実習を行いました。まず、電子顕微鏡を起動して真空ポンプを稼働させ試料室内を真空にします。そして、上部のフィラメントから電子線を試料に照射して、表面から飛び出した二次電子を検出器で読み取ります。このデータをPC上で加工して使える状態にするのです。
今回は、地元の眉山で採取した金属のような黒色物質と、岐阜県根尾谷の菊花石をライン分析しました。画面上のラインに沿って電子線が当たると、そこに含まれていた元素が判明します。定量分析を行えば組成式を求めることもできます。最初は四苦八苦していましたがすぐに慣れてきて、分析も半ばを過ぎる頃には手回し良く準備・分析・保存ができるようになりました。
貴重な体験をさせていただきましてありがとうございました。
Science Introduction(SI)【実験の設定(温泉卵をつくろう)】
7月12日(金)5限目のScience Introduction(SI)では「実験の設定(温泉卵をつくろう)」を実施しました。本校応用数理科1年生では自由研究を宿題としてます。自由研究において実験を計画する際、変数(独立変数)を決めその値の設定し、結果(従属変数)がでるという考え方を知っておくことが大切です。実験おける大切な考え方を育成し、論理的に実験の計画が立てられるように、この授業を計画しました。
授業ではまず温泉卵の定義と、変数(独立変数)とその値並びに結果(従属変数)について説明しました。その後、変数(独立変数)を温度と加熱時間とし、班内で話し合い、温泉卵を作るための値を決めました。クラス内のすべてのデータを集め、温泉卵ができる条件を考察することとしました。その場合、複数種存在する卵の種類はどうすればいいかや加熱する際の水の量、またどれくらい水につけるかなど、制限変数についても考える機会としました。
結果は、短い時間で80℃以上に設定した班は白身だけ固まり、60℃~80℃に10分程度設定した場合、白身と黄身がやや固まる状態になっていました。50℃以下に設定した場合は時間に関わらず、白身も黄身も固まっていません。このデータを受けて、温泉卵を作るにはどのようにすればいいか実験の計画を立てることを宿題としました。実験データを分析し、創造力を持って新たな実験の計画を立ててほしいと思います。
応用数理科308HR ScienceEnglishⅢ(making ice cream)
7月10日(水)応用数理科308HR ScienceEnglishⅢの授業で全員が英語論文を提出できたお祝いとして、Science experiment【Making ice cream】を行いました。まず今回のテーマである【Heat of solution:溶解熱(吸熱反応)】と【Freezing point:凝固点】について説明した後、【Recipe:レシピ】について説明、【Milk:牛乳】と 【Fresh cream:生クリーム】の量の調整は、調整できるようにしました。さて、食べてみると、とっても美味しい。作り立てのアイスクリームは優しい味でした。アメリカではアイスクリームマシンがあり、お家で作るそうです。少し量が多かったかなと思いましたが、全員完食しました。
また、本日は、ALTであるParker先生最後の授業でした。3年間の城南高校の勤務を終え、アメリカに帰られます。308HRは入学時からお世話になりました。308HRの生徒たちから感謝の気持ちをこめ、花と色紙のプレゼントをしました。Parker先生から「失敗を恐れず世界へチャレンジしてほしいと」のメッセージをいただきました。卒業後留学希望の生徒もいて、ぜひパーカー先生のメッセージを受けて、国際的に活躍できるグローバル人材へと成長してほしいと思います。
Recipe:レシピを説明し、アイスを作ります Parker先生お世話になりました
Travis先生も加わってくれ、Experimentの実施です
応用数理科107HR 高大連携授業【徳島大学pLEDフォトニクス研究所】
6月28日(水)6、7限目に応用数理科107HRにおいて、徳島大学pLEDフォトニクス研究所から、片山哲郎先生をお招きして高大連携授業を実施しました。
最初は研究者になった経緯と現在の研究、そのやりがいについて自己紹介と合わせて、説明していただきました。大学4年生での卒研では分光装置を作る研究を行ったそうですが、あまり教えてくれず、自分で論文を読み推論し、作成したそうです。その経験から「勉強は暗記だけではなく、経験や考察も勉強である」とおっしゃっていました。また、ずっと信号が見えなかった分光装置で初めて信号が見えたとき、「推論が正しいことを知り鳥肌が立つくらいの喜び」を得たそうです。今でも年に数回あるこの体験が研究者の喜びであるとおっしゃっていました。
ご自身が行っている研究は「新しい発想からの分子のふるまいを見る装置の開発」だそうです。現在は分子のふるまいを見るために、過渡吸収スペクトル測定法が用いられており、最初に光を当て分子を励起状態にし、次の光の反射率を時間経過ごとに見ることで、光が当たった後、どのように分子が変化していくかを見る方法が一般的です。片山先生は「ファーストペンギンになれ」との言葉に感銘を受け、現在の「光や電子パルスを用いた反応トリガーが超高速化学反応計測には必要という常識」を破壊し、新規高速反応計測装置の開発を目指す研究をしておられます。こちらの装置開発が成功すると、ノーベル賞は間違いないとのことを聞き、生徒たちはすごい研究であることに驚いていました。研究については、難しい内容ですが、研究内容について休憩時間に積極的に質問に行く生徒たちが多くみられました。生徒たちの主体的に学ぶ姿勢に感動しました。
研究の面白さやご自身の研究についての説明 休憩時間に積極的に質問を行っていました
休憩をはさんで、実験を行いました。ケミルミネッセンスを用いた光の実験です。造花に溶液をかけ、その後反応液を掛けることで化学反応が起き、そのエネルギーが蛍光色素に移動して光る現象です。様々な色に光る造花を見て、生徒たちは「励起状態」や「化学反応」と「光」の関係について、興味を惹かれているようでした。
現在、活躍されている研究者の考え方や研究の面白さを知ることで、研究に対する理解を深めると共に、実際に体験する実験等で科学に対する興味関心を伸ばしてほしいです。高大連携授業で感じることは、最前線で活躍されている方のお話は面白く、迫力があります。生徒たちが本物と出会う機会をより提供し、多くのことを学ぶ機会を提供していきたいです。
造花に溶液をかけておきます 反応液を掛けると、鮮やかに光ります
こちらの班では青色に光っています 興味を持って話を聞いていました
海外研修説明会について
7月5日(金)18:00~海外研修説明会を実施しました。40名弱の生徒及びその保護者が参加しました。現在、JSTに海外研修計画を提出しており、認められると実施することとなります。昨年度より、海外研修の研修先を改め、日本から近く移動時間と費用が抑えられ、豊かな自然や固有の歴史・文化があり、半導体やICT分野などで優れた技術力を持つ台湾を研修先と選定しています。現在、継続した国立竹南高級中学との交流を行っており、今年度も国立竹南高級中学を訪問し、課題研究や探究活動の英語発表や英語での理科実験教室を行う予定です。
説明会では、海外研修で得られる効果や目的を説明し、昨年度研修の内容やアンケート結果を説明しました。今年度は、昨年度の取り組みを継続しつつ、よりよい研修になるよう計画したいと思います。
応用数理科207HR ScienceEnglishⅡ「Water balloon drop」の実施
7月10日(水)5限目 207HR ScienceEnglishⅡの授業で「water balloon drop」を実施しました。ALTであるパーカ―先生とトラビス先生、それと理科教員が中心に授業を計画しました。授業では、グループで持っている25$で7種類のmaterial(材料)を購入し、water balloon(水風船)を2階から落とした際、割れない構造物を作ることが目的です。
まずは、key word:Air resistance、Shock absorption、Action and reaction force 、Ground contact area について説明し、どのFactorを増やす(もしくは減らす)ことを目的にするのか明確にしてから、構造物のデザインをしました。構造物のデザインは、25$で買うものを考えながら進めていきます。
実際に落とす前に、どのFactorを増やす(減らす)ために、どのようなデザインにしたのか発表しました。英語で発表した後、体育館への通路から落としました。昨年度は、water balloonに水を多く入れ、ほとんどの班が失敗でしたため、今年度は水を少なくした結果、ほとんどの班で成功しました。最後は、ALTが投げたwater balloonを割らずにキャッチできるか挑戦しましたが、すべての生徒で失敗しました。非常に楽しい実験授業で、大盛り上がりの一時間でした。授業でのワークシートを載せておきます。
$25で買う7種類のmaterial(材料)の説明です 実際に作ります Let's Drop
応用数理科2年生(207HR)課題研究中間発表Ⅰ
6月26日(水)13:00~化学室にて、応用数理科2年生が「理数探究」で実施している課題研究の中間発表Ⅰがありました。第一回目の発表であり、かつ修学旅行から帰ってきてからすぐの発表ということで、発表準備に苦労していました。代休日である前日に学校に来てまとめをしている班が多くあり、結果のまとめや考察について、担当教員と一緒に考え、発表スライド・発表原稿を作成していました。
当日の発表では、まだ研究計画の段階の班もあり、検証実験はまだまだですが、それぞれテーマ決定への着眼点は面白く、動機や目的には興味を惹かれるものが非常に多かったです。また当日は運営指導委員会も合わせて行われ、大学の先生や企業の方々に参観していただきました。本校教員や大学の先生、企業の方々からの鋭い質問に対し、自分たちの考えをまとめ一生懸命に答えていました。まだまだ、発表に自信がなく、まとめや考察に関しても十分ではないですが、発表会を経験してくことで、自信を持って発表や質疑応答が行えるようになります。課題研究における一連の経験で論理的思考力が育成され、問題解決能力、プレゼンテーション能力、実験計画能力やコミュニケーション能力が向上されると考えます。我々教員も一生懸命サポートします。ぜひ、応用数理科での経験から科学技術人材としての資質能力を身に付けてください。
今年度の研究班は11班で、発表テーマは以下の通りです。
物理分野:長距離での糸電話、摩擦によるドミノの転倒速度の違い、グラスハープの規則性
化学分野:廃棄される柚香の再利用、クロスカップリング反応を用いた化合物の合成
生物分野:オオカナダモの紅葉条件、柚香非可食部での和紙作りとその効果の検証、アオサノリの陸上養殖に適した条件の検証、枯草菌における芽胞形成と温度条件について
地学:徳島市における夜空マップの作成、耐震構造による家屋の揺れの違い
応用数理科Advanced Science 生命科学
6月25日(火)Advanced Science 生命科学分野を実施しました。今回のテーマは、「金属イオンがゾウリムシの繊毛運動に与える影響」です。慶応義塾大学の実験を参考にさせていただきました。
すべての真核生物の繊毛は、中心に2本の微小管とその周囲に9本の二連微小管から形成されています。この二連微小管に結合するダイニンがATPを分解し、隣り合う二連微小管上を滑ることで繊毛が動きます。繊毛の動きは、ダイニンのATP解酵素活性と深く関係しており、この酵素は、Mg2+(マグネシウムイオン)やCa2+(カルシウムイオン)で活性化され、Ni2+(ニッケルイオン)で阻害されます。Ni2+により停止した繊毛運動が、他の金属イオンを用いることで回復するかどうか遊泳行動を観察して調べることで、各種金属イオンの繊毛運動に与える効果を考察することを目的としました。
実験では、まず100 mMのNiSO4水溶液を作成し、それを希釈することで0.5 mM、0.3 mM、0.1 mM、0.02 mMのNiSO4水溶液を作成しました。次にマイクロピペッターでゾウリムシ懸濁液を75μLを時計皿に取り、実体顕微鏡で観察し動きを確認しました。その後、0.02mMのNiSO4水溶液を75μLを加え、3分間は連続で観察をおこない、その後は、3分おきに12分まで観察しました。遊泳速度や泳ぎ方の変化に注意して観察すると共にゾウリムシの半数が遊泳を停止した時間を記録できるようにしました。また、0.1 mM、0.3 mM、0.5 mMの濃度のNiSO4水溶液で同じ操作を行い、観察を行いました。
結果は、0.02 mMでは、動きがゆっくりになり、0.1 mMではくるくる回る本来の動きがなくなり、同じところを行ったり来たりする動きになり、0.3 mMや0.5 mMでは、3分でほとんどの個体が動かなくなりました。
Ni2+(ニッケルイオン)の濃度により、動きの変化や時間により動かなくなっていくゾウリムシを観察し、顕微鏡を見ながら「動かなくなった」「動きが変わった」と声を発するほど、生徒たちは興味を惹かれていました。
次に、ゾウリムシ懸濁液75μLを時計皿に取り、0.2mM NiSO4を75μLを加え、すべてのゾウリムシの動きを止め、100mMのCaCl2、MgCl2、BaCl2、並びに蒸留水を75μL加え、3分までは連続観察し、その後は、6分後、10分後の様子を観察・記録し、動いていたゾウリムシの割合を記入しました。
結果は、Ca2+(カルシウムイオン)では、6分後には動きが活発になり、10分後には本来の動きに戻る場合が多く、 Mg2+(マグネシウムイオン)では動きは回復するんものの、10分後に本来の動きになる個体は半分程度でした。Ba2+(バリウムイオン)では、やや回復するものの動きが戻った個体は20%~30%でした。
金属イオンにより動きの回復がみられるものの、金属イオンの種類により回復の様子が異なっており、生徒たちは金属イオンの影響を非常に面白く感じていました。
この実験は動きの違いや時間による変化が見られ、生徒の興味関心を惹くことができ、金属イオンが代謝に与える影響についての導入実験になると感じました。今後、他の原生生物で実験を行うなど新たな教材開発に挑戦してみたいです。
ゾウリムシについて説明しています マイクロピペットを扱います ゾウリムシの動きがよく分かります
応用数理科Advanced Science 高大連携授業 生命科学
6月18日(火)Advanced Science 高大連携授業 生命科学分野として、先週に引き続き徳島大学教養教育院 教授 渡部 稔 先生の所へ訪問させていただきました。本日のテーマは「電気泳動にてお米のDNA断片を分析しよう」です。先週PCR法にて増幅したDNA断片を本日は電気泳動にてDNA断片の長さに応じて分離し、分析します。初めに、先週増幅したDNA断片をDNA分子マーカーと共に電気泳動にかけました。すべての生徒がアガロースゲルのウェルに流し込むことに成功し、電気を流しました。通電してるかどうかは、電極を見れば分かります。+極には酸素、-極には水素が泡となって発生していると電気が流れている証拠です。通電している間に、電気泳動の仕組みを説明していただくと共に、2つ目の実験を用意していただいていました。
2つ目の実験は「プラナリアの再生実験」です。プラナリアは驚異の再生力を持ち、小さく切り刻んでもそれぞれから再生し、新たな個体が生まれてきます。プラナリアが再生する仕組みは、磁石のN極S極の仕組みと同じで、小さく切断されれば、新たな位置情報が発生し、位置情報から体の部分が作り直されるとのことです。生徒達は不思議な再生能力を持つプラナリアに興味を惹かれ、プラナリアをどのように切断するか思考をめぐらせていました。実際の切断では、手慣れた手さばきで上手に切断できていました。再生の結果は、後日写真を送ってくれるとのこと。生徒の興味関心を惹き、じっくり考えることができる非常に面白い教材であると感じました。また、学校でも実施してみたいと思いました。
さて、電気泳動はすべての生徒で成功。お米の品種分析は完璧でした。高大連携授業を通じて、大学での学びについて理解でき、さらに生命現象について、じっくりと考え、検証していく面白さを分かってもらったのではないでしょうか。引き続き、生命現象を教材として科学的な物の見方や考え方を育んでいきたいです。
PCRで増幅したDNA断片をアガロースゲル 通電させ、泳動させます プラナリアを実体顕微鏡で見ながら切断します
のウェルに入れています。
氷の上にろ紙を置き、動きを止めます 上手く切断できました
プラナリアは大きくなると自然に切断され、2匹になるそうです
このように切り刻むと 10日後 合計10匹のプラナリアができました(全部目があります)
紫外線を照射し、アガロースゲル上のDNAのバンドを見る A:2つのDNA断片のバンドがあるもの(ひとめぼれ)
装置です B:長いDNA断片のバンドがあるもの(あきたこまち)
C:短いDNA断片のバンドがあるもの(コシヒカリ)
台湾 国立竹南高級中学203HRとのオンライン交流(2回目)について
6月17日(月)日本時間13:30~15:00、本校応用数理科207HRと台湾国立竹南高級中学の203HR(BiomedicalClass)生徒と第2回目オンライン交流を行いました。
今回はEndemic Species(固有種)についての発表です。Microsoftチームズでそれぞれのブレイクアウトルームに分かれ、グループごとに発表を行いました。前回の反省を生かし、事前準備としてEndemic Species(固有種)について、それぞれのグループで調べ、スライドの作成を行い、発表練習を行ってきました。また、Microsoftチームズを使った発表練習を行い、準備をしてきました。通信やグループ分けのトラブルもありましたが、何とか発表できました。次は、海外研修に参加する人の紹介と現地で発表する課題研究の内容を説明を行う予定です。オンラインでの交流を継続して、より効果の高い12月の海外研修が実施できるよう取り組みを進めていきます。さらに今後は共同研究の実施や合同発表、また課題研究の手法の伝達など、サイエンスや探究活動を通じた国際交流を実施できればと考えています。
応用数理科308HR 高大連携事業(物質科学分野3回目)
6月18日(火)14時から17時にかけて、徳島文理大学薬学部にて北村圭先生並びに学生スタッフの方から、薬品合成実験としてアスピリンの合成を指導していただきました。高校の5限目が終了した後、生徒7名・教員1名が大学に移動しました。男女2つの班に分かれると簡単な自己紹介の後に実験の説明があり、サリチル酸からアセチルサリチル酸(アスピリン)を合成しました。
サリチル酸を無水酢酸とじっくり反応させ、氷浴により冷却すると白色の結晶が得られました これを吸引ろ過して結晶を生成した後、再びエタノールに溶かして不純物を取り除くと真っ白な結晶になりました。収率は男子42%、女子が何と91%もありました。その後、塩化鉄(Ⅲ)により未反応のフェノールを確認したり、各磁気共鳴装置NMRを用いて物質の構造を確認しました。
生徒たちにとってとても有意義な時間を過ごせました。ありがとうございました。
応用数理科Advanced Science 高大連携授業 生命科学
6月11日(火)徳島大学教養教育院 教授 渡部 稔 先生の研究室へ訪問させていただき、Advanced Science 高大連携授業 生命科学を実施しました。今回のテーマは「お米の品種をDNA解析により調べよう」です。PCR法、電気泳動など先日理数生物探究で習った内容が盛りだくさんです。あきたこまち と ひとめぼれ は コシヒカリを親とした掛け合わせで品種が生み出されておりそれぞれの第6番染色体に存在する遺伝子の持ち方が異なっています。その部分をPCR法で増幅し、電気泳動でその存在を調べることで、品種が分かる仕組みです。基本的にウイルスのPCR検査やワカメの品種特定など同じ方法で行われています。
さて、最初はPCRでターゲットとする遺伝子領域を増幅します。まずPCRに必要な溶液をまぜ合わせマスターミックスを作ります。マスターミックス作成の際のタッピングやマイクロピペットの操作については、何回かしているのでしっかりできますね。その後、お米を砕き、それをPCR反応溶液が入ったマイクロチューブに入れ、PCRを行う機械であるサーマルサイクラーにセットし遺伝子増幅を行います。PCRは少し時間がかかるのでここまでです。
さらに、2種類のDNA断片を染色したものを電気泳動にかけ分析しました。2種類のDNA断片が移動していき、分離している様子がよく分かったと思います。来週は、自分たちが作ったDNA断片を電気泳動にかけます。果たして成功するでしょうか。楽しみです。
マスターミックスを作成しています お米を砕いてDNAを取り出しやすくします 砕いたお米をPCR溶液内に入れます
遠心分離にかけ PCRを行うサーマルサイクラー 最後に練習として電気泳動を行い
にセットします ました。青が長い断片、紫が短い断片です
「生物学オリンピック」講習会について
6月9日(日)徳島大学にて生物学オリンピック講習会が行われました。本校から応用数理科2名普通科1名計3名が参加しました。午前中は高校生物学を学んだ後、観察・実験を行いました。受精卵の状態で、遺伝子変化を起こさせ作成したアルビノのイモリやアフリカツメガエルを観察したり、電気泳動を行ったりしました。電気泳動では、DNAの長さの違いによって、泳動距離が変わることを利用して、DNAの長さの分析ができることを理解しました。午後からは、過去問題についての解説講義を受講しました。本番は非常に難しいですが、論理的に深く考えることの面白みを理解し、楽しみながら取り組んで欲しいと思います。
アフリカツメガエルのアルビノ個体です イベリアトゲイモリのアルビノ個体です。イベリアトゲイモリは
(部分的にアルビノになっている個体もいます) 年間通して繁殖し、生命力も高く、これからモデル生物として期待です
長さの違うDNAに色を入れ電気を流すと 長さの違いに応じて泳動距離が変わります
応用数理科308HR Advanced Science 生命科学1回目
火曜日の応用数理科の授業Advanced Science生命科学分野 第一回目は、「花粉管の伸張とスクロース濃度」について、インパチェイス(アフリカホウセンカ)を材料に実験を行いました。スクロース濃度が0%、5%、10%、15%、20%、25%、30%の寒天培地を作成し、花粉を線上にまき、発芽率と花粉管が伸びた長さをミクロメーターで測定しました。結果はスクロース濃度は0%、5%、10%でよく伸び、15%以上で伸びにくくなり、30%では全く伸びていないことが分かりました。スクロース濃度が0%でも、吸水が起こりアフリカホウセンカの花粉管は伸張することが分かりました。発芽率は20%で14%(66/466)、25%で1.3%(3/232)で、0%~15%の平均52%より大きく低下しました。
インパチェンスの花粉管伸長は、寒天培地でなくても起こることが知られています。スクロース濃度0%の条件で、寒天の濃度を変数として下げていき、寒天と花粉管の伸長について調べてみたいと思いました。
また、2つ目の実験として、めしべをすり潰した抽出液をつくり、抽出液を塗った側と塗らなかった側についてどちらに伸張する割合が高いか実験を行う予定でしたが、時間がなくここまでになりました。
観察した結果を分析し、しっかり考察すれば、次の検証内容を考えることができ、より深い内容まで到達できます。
限られた時間の中ですが、放課後等も利用しながら、生徒達が自然現象についてじっくり考える機会を作っていきたいです。
寒天培地に蒔いた直後です。4カ所から花粉管が伸び 寒天培地に蒔いて20分後です
ようとしていて、そのうち1つが長く伸びます 発芽率を求めると共にミクロメーターで長さを測定し、
平均の値を求めます
応用数理科308HR Advanced Science 物質科学1回目
毎週火曜日は応用数理科の授業「Advanced Science」があります。クラスが物理・化学・生物・地学の4分野に分かれて、様々な実験や体験を行います。高大連携実験教室もこのときに実施します。化学分野は物質科学という講座を設けて、6月中に4回の実験等を行います。
最初ということで、モール(Mohr)法を用いて吉野川流域及び海岸線の塩分濃度を測定してみました。この沈殿滴定は、塩化銀AgCl(白色沈殿)とクロム酸銀Ag2CrO4(赤褐色沈殿)の溶解度積の差を利用して、塩化物イオンCl-の濃度を測る方法です。10倍にうすめた海水をコニカルビーカーにとり、少量のクロム酸カリウム水溶液を加えた後、褐色ビュレットを用いて硝酸銀水溶液を滴下します。当初は白色沈殿ばかり生成しますが、塩化物イオンがなくなるとクロム酸イオンが銀と反応して赤褐色沈殿が生成します。そこまでの硝酸銀の滴下量から塩分濃度が求められます。
結果は以下の通りです。
旧吉野川橋直下 0.79%、 しらさぎ大橋直下 0.71%、 小松海岸 2.2%、 大神子海岸 2.4% でした。
この結果より吉野川河口から5kmさかのぼった地点でも塩分が含まれており、汽水域であることが改めてわかりました。吉野川の冬の風物詩であるスジアオノリの養殖は、このような環境で行われています。
応用数理科107HR Science Introduction 徳島文理大学での高大連携授業の実施について
5月24日(金)13:30から徳島文理大学薬学部を訪問させていただき、ScienceIntroductionの授業として、応用数理科1年生107HRを対象に高大連携授業を行いました。入学して初めての高大連携講座であり、生徒たちも楽しみにしていました。
授業は、徳島文理大学薬学部機能形態学研究室 井上 正久教授が担当していただき「食作用と生体防御」をテーマに講義と実習行いました。最初は講義室にて、好中球やその他の食細胞の働きや、好中球の特徴である分葉核は、血管壁等をすり抜けるためのものであることを説明していただきました。
その後、実験室に移動し、マイクロピペット等を使い、血液飛沫標本を作製し、メイグリュンワルド・ギムザ染色により血液細胞を染色し、顕微鏡で観察しました。さらに、細菌感染させたマウスの筋組織の切片を作成し、細菌感染により変形した筋組織や細菌を排除しようとして好中球が集まっているところを観察しました。
実験の後は、研究室を訪問させていただき、X線解析機器の説明などを行っていたただきました。
生徒たちは、実習等充実した表情で取り組んでいました。大学での学びについて、具体的なイメージが持てたのではないでしょうか。高大連携授業により、高校での学びと大学での学びをつなげることで、生徒の主体的な学びを推進し、科学的な見方考え方を育成していきたいです。
生徒のポートフォリオより一部抜粋(高大連携授業により学んだこと)
「血液の成分(赤血球、白血球など)を実際に見て、白血球の核の仕組み(分葉)や血液内の赤血球と白血球の大きさの違い(白血球が赤血球の2倍ほど)を身近に感じることができました。また、初めて名前を聞いた染色液(メイグリュンワルド液、ギムザ染色液など)や器具を使用して、新たな技術や知識を身につけることができました。」
「前までは目先の進路である高校の事しか考えていなかったので全く大学のことが分からなかったが、この高大連携授業に行ってから大学に対するイメージが変わった。大学と言えばどこか堅いイメージがずっとあったが、授業内容は非常に面白く、先生方の説明も分かりやすかった。また授業を受けたいと思った。」
講義室で「食作用と生体防御」の講義をしていただきました マイクロピペットを使い、血液飛沫標本を作製しました
顕微鏡の観察像をスマホで撮影しました
細菌感染したマウスの筋組織です ほとんどが赤血球ですが、赤紫色の白血球が見られます
(青色が好中球です、変形した筋組織も見られます)
研究室訪問を行い、化学合成でできた分子がイメージした形になっているか解析する機器等を見せていただきました。
台湾 国立竹南高級中学203HRとのオンライン交流について
5月20日(月)日本時間15:30~17:00、本校応用数理科207HRと海外研修で訪問している台湾国立竹南高級中学の203HR(BiomedicalClass)生徒とオンライン交流を行いました。国立竹南高級中学はBiomedicalClassがあり、理科教育に力を入れています。
今回のオンライン交流では、初めに竹南高級中学の呂淑美校長と本校の秋山教頭があいさつを行いました。その後、本校生徒と竹南高級中学の生徒がお互いに、自己紹介を行い、事前に作成しておいたSchoolLifeについての発表を行いました。発表や質疑はすべて英語で行いました。本校生徒は竹南高級中学203HRの生徒達の英語力の高さのみならず、物怖じせずに英語を話す姿に驚いていました。
次回はEndemic Species(固有種)についての発表になります。今回のことが非常に良い刺激になっており、次回の交流に向けて頑張る気持ちが芽生えているようでした。
また、事後にはメール等での交流方法について説明し、生徒達は早速個別交流の準備を行っていました。
オンライン交流は3回実施する予定です。柔軟性のある高校時代に海を越えた生徒同士交流することでダイバーシティへの理解はもちろん、理科教育や英語教育にお互い頑張っている姿を知ることで、科学英語の学習意欲の向上につながる機会としたいと思います。
本校の2人のALTも参加してもらい、オンライン交流(SchoolLifeの発表)を行いました。
ALTの2人が発表準備等サポートしていただきました。大変お世話になりました。
竹南高級中学では、カメラを設置し発表を行ったそうです。Smoothに英語を話しており、スライドもきれいに作られていました。本校生徒も負けないように頑張って欲しいです。
Science Introduction(生物)
応用数理科1年生 Science Introduction(生物)の基礎実験を行いました。1クラスを2グループに分け、15人ずつ少人数での基礎実験になります。今回は原核細胞と真核細胞の大きさの違い、並びに真核生物の組織による細胞の大きさの違いの確認です。
材料はグランド横に自生しているイシクラゲ(ネンジュモ)とオオカナダモです。
ミクロメーターの使い方を説明した後、実際にミクロメーターを使い、イシクラゲの細胞の数や大きさ、オオカナダモの表と裏の細胞の大きさの違いやとげの細胞の観察などをしてもらいました。さらに、細胞の大きさや形の違いから細胞分化について考えてもらいました。事後レポートではなぜ大きさや形の違いが生まれているのか考えてもらいました。
よく観察することからいろいろな疑問が湧いてきます。
朝永 振一郎さんの言葉「ふしぎだと思うこと、これが科学の芽です。 よく観察してたしかめ、そして考えること、これが科学の茎です。 そうして最後になぞがとける、これが科学の花です。」
Science Introductionでは、科学の芽や茎を養い、2年生からの理数探究やAdvanced Scienceで、科学の花を咲かして欲しいです。
よく観察することから生まれる疑問を大切にし、これから科学的に探究する芽や茎を育みたいと思います。始まったばかりの応用数理科での学びが、素晴らしいものとなるよう、素晴らしい学びを提供したいと思います。
応用数理科2年生課題研究研修 徳島文理大学訪問並びにフィールドワーク
応用数理科2年生 課題研究のグループが徳島文理大学 薬学部で行われている「あおさのり の陸上養殖」に興味を持ち、課題研究として、あおさのり の陸上養殖に関わる研究がしたいとのことで、4月26日(金)、5月23日(木)の両日、徳島文理大学 薬学部 山本 博文 教授の研究室を訪問させいただき、あおさのりの生態やあおさのりの陸上養殖についてお話しを聞かせていただきました。
徳島文理大学 薬学部の山本博文教授は、「あおさのり」の生育過程で必要な成長促進因子サルーシン(海洋プランクトンが産生する極微量成分)を化学的に人工合成することに成功し、世界初の「あおさのり」陸上養殖を達成しておられます。お話を聞かせていただいている中で、高知県で陸上養殖場の設置を計画していることをお聞きし、今後、徳島で陸上養殖をするならどこの川がいいのかと疑問を持ち、「あおさのり の葉状体を育てるには、徳島県のどの川(汽水域)の水がいいのか」を研究テーマにすることになりました。
山本博文教授からあおさのり の葉状体をいただき、養殖法を教えてもらいました。また、5月17日(金)に、吉野川、勝浦川、神田瀬川、今切川の4カ所の川の水を採取しに行きました。これら4つの川の水をオートクレーブで滅菌し、あおさのりを生育させていきます。
今後、川の水の違いによる生育の差を調べるとともに、徳島文理大学と連携し、川の水の成分分析を行っていき、生育の違いが起こる原因について考察していきたいです。
また、山本博文教授が人工合成に成功されたサル-シンはいろいろな土壌に含まれているとのこと、どの土にサル-シンが多く含まれているのか検証実験にも繋げていければと思います。
今後、研究者の資質能力を養うために、生徒の主体的な学びを進める高大連携による課題研究を推進していきたいです。
4月26日(金)、5月23日(木)の2日間、徳島文理大学 薬学部 山本 博文 教授の研究室を訪問させていただきました。
アオサノリ以外にもアサクサノリなどの陸上養殖について、研究されています。
5月17日(金)に吉野川、勝浦川、神田瀬川、今切川の4カ所の川の水を採取しに行きました
応用数理科2年生課題研究研修 徳島大学にて
5月8日(水)の午後、これから課題研究を行っていく本校応用数理科2年生のグループが「微生物の培養と音の関係について」をテーマに研究を進めていきたいとのことで、徳島大学教養教育院 教授 渡部 稔先生のところに研究テーマの検証可能性について、お話しを聞きに行くとともに微生物の培養法の研修に伺いました。
音によりアルコール発酵が進むとの論文があり、そこからテーマを設定しましたが、渡部先生からの意見として、音により振動が起き、好気性である酵母菌の生育を進めている可能性が大きいとのことでした。課題研究のテーマについて、専門的な意見をいただき、深く考える機会となりました。
その後、大腸菌、枯草菌、乳酸菌、酵母菌の培地の説明と培養法の実習をおこなっていただきました。滅菌し、微生物を培養する方法を理解することができました。微生物の培養法を生かして、課題研究を進めていきたいと思います。
これから私たちも、生徒達と一緒に、どのようなテーマが検証可能で検証意義があるものなのか、考えていきたいと思います。
今後も、高大連携をさらに進め、生徒の主体的学びを進めることができる、より発展的な課題研究を実施できるようにしていきたいです。
微生物についての説明とその培養法について説明していただきました
阻止円形成の大きさにより、抗菌性を示す 実際に酵母菌や枯草菌を培養し、持って帰らせていただきました
指標になることを教わりました 課題研究に活用させていただきたます
徳島県立博物館企画展での本校課題研究展示について
徳島県立博物館にて、令和6年(2024)4月26日(金)~ 6月9日(日)で実施されている企画展「令和6年度企画展 海からどんぶらこ」にて、本校応用数理科3年 課題研究「魚類消化管内に存在するプラスチックとその検出法」が、「高校生の研究」として、ポスター並びに魚類消化管内から取り出されたプラスチックの展示を行っております。さらに、課題研究として行ってきたマイクロプラスチックの検出法もTOPICとしてポスター展示していただきました。
また研究グループの一員である応用数理科3年 山本真綺さんが継続して行っているビーチコーミングの展示も行っています。
漂流物と共に本校課題研究の内容について、展示発表することで、環境について考える機会になれば幸いです。
今後も博物館等の地域研究施設と連携し、課題研究やその発表を進めていきたいです。
「高校生によるの研究」としてポスター展示を 「マイクロプラスチックを探す」として、本校の研究について
行っていただいています ポスター展示を行っていただいています
魚類消化管内から検出されたプラスチックを展示 山本真綺さんの集めた漂流物の展示
していただいています を行っていただいています
応用数理科2年生(207HR)「理数探究」オリエンテーション
4月17日(水)理数探究のオリエンテーションを行いました。1年生の11月の課題研究研修会からテーマを磨いてきました。いよいよ課題研究の始まりです。
初めに、城南版実験ノートの書き方と研究倫理について説明し、その後年間スケジュールを確認しました。これから始まる課題研究に期待を膨らませると共に、発表会等で活躍したい気持ちが生徒たちからあふれていました。説明の後は、実験計画を担当と話したり、予備実験を行ったりしました。
城南高校の校風である自主自立の精神を生かした生徒の主体的なアイディアからの課題研究をモチベーション高く行うことで、研究者としての資質・能力を磨いていってほしいです。我々理科教員も全力でサポートします。
応用数理科1年生(107HR)「Science Introduction」オリエンテーション
【オリエンテーション】4月19日(金)5限目応用数理科1年生(107HR)での、Science Introductionが始まりました。前日の4月18日(木)にはホームルーム活動の時間に探究的学びついてグループで考えてもらい、発表してもらいました。
本日はオリエンテーションとして、スケジュールとやるべきことの確認です。
今年度より、ポートフォリオを改訂し、1学期の流れが分かると共にそこで得られた学びが記録できるようにしました。1学期のスケジュールを確認していく中で、基礎実験や高大連携授業の説明をしていくと、生徒たちの目が輝いていました。これから始まる「実際に見て、触れて、体感して得られる学び」に期待を膨らませていました。
後半は、コインを重ねて落とした時に裏返る現象ついて、なぜ裏返るのかを検証するための実験を考え行ってもらいました。
身近な現象から疑問を見つけ、検証実験を行い、考察を得る。その中で新たな疑問が生じ、再び検証実験を行う。主体的で深い学びは本当に面白いものであることを、少しでも理解してもらったらと思います。これからは基礎実験・高大連携授業が始まります。
応用数理科での学びにより、研究者としての資質・能力を身に付けていってほしいと思います。
第1回小・中学生対象地域フィールドワークin高越山・川田川
5月3日(金・祝)、昨年度と同じ吉野川市山川町の川原で鉱物採集をしました。今年度は50名を超える参加者がいるため広場では駐車できないと判断し、駐車場を河川敷の道路沿いに変更しました。当日は真っ青な空が広がる晴天でした。これは暑くなりそうだと考えて、生徒各自に帽子や飲料水を用意させました。
現地で受付を済ませて9時から活動を始めました。昨年の場所はすっかり草に埋もれていたので、500mほど離れた草の少ない川原へ移動しました。しかし、移動途中にもいくつか採集可能な場所があるため、いくつかの小集団に分かれてしまいました。それらはスタッフの生徒・教員を分けて対応しました。ちょうど一家族に生徒1~2名を割り当てられたので助かりました。最初はワイワイ言っていたのがだんだんと閑かになりました。どうやら鉱物採集に集中し始めたようです。
最初のレクチャーで、この産地でぜひ見つけて欲しい物を伝えました。まず、徳島県の岩石に選ばれた藍閃石(らんせんせき)と、同じく鉱物に選ばれた紅簾石(こうれんせき)です。前者は青紫~黒紫色で、後者は桃色をしています。これらは早々と見つかりました。次に、高越山を代表するチタンの鉱物です。それぞれ金紅石(きんこうせき)・チタン石・チタン鉄鉱と言います。最近ではこれらはかなり見つけにくくなっています。しかし、最初に見つけた男子小学生と中学生を皮切りに次々と結晶が見つかりました。歩き回るのではなく一ヶ所にとどまってその付近を重点的に探すことが功を奏したようです。
活動の中盤くらいから参加者の質問が多くなってきました。スタッフの生徒たちも頑張って回答していますが、どうしてもわからないものは教員の方に話を回してきます。そうしたなかで、薄い青紫色の母岩にざくろ石を含む標本が見つかりました。女子小学生が見つけたもので、全体をよく見てみるとエクロジャイトの特徴が現れていました。国内でたった5ヶ所でしか見つかっていない岩石で、地下50~100kmのマントル上部の組成を残している言われています。めったに見つからない岩石が拾えたことで、それを聞きつけた参加者やスタッフが目を皿のようにして探しました。そのおかげで、さらに2個も見つけることができました。
あっという間に2時間半が経過し、元の場所に引き上げました。ここから名付けの時間です。採集した岩石や鉱物を小袋に入れ、名前を調べて付せん紙に書き込んでいきました。黄鉄鉱の金色の結晶や磁鉄鉱の黒い結晶、毛のように延びた緑簾石(りょくれんせき)や透緑閃石(とうりょくせんせき)の結晶も見つかりました。帰りに実施したアンケート調査では、このイベントに参加者全員が満足されたようです。ありがとうございました。今後もこうした活動を続けていきます。また次の機会にお目にかかれるのを楽しみにしています。
令和6年度SSH関連イベントについて
本稿では昨年度からSSH推進課を立ち上げて、生徒・教職員だけでなく県内全域の小・中学生とその保護者、県内外の高等学校、地域住民の方々に向けた様々なイベントを企画・運営しています。今年度の主なイベントを下記にまとめました。ご案内は約1ヶ月前からです。関心のある方はときどきHPをご覧になってください。なお、これら以外のイベントは部活動の『科学部』にも活動報告を挙げているのでそちらも是非ご覧ください。
5月 3日(金・祝)第1回小・中学生対象地域フィールドワーク(吉野川市)
7月12日(金)第1回天体観測会(本校)
(8月16日(金)中学生体験入学・・・教務課主催)
8月23日(金)第2回天体観測会(本校)
9月22日(日)小学生対象理科実験教室(本校)
10月13日(日)中学生対象理科実験教室(本校)
10月26日(土)第2回小・中学生対象地域フィールドワーク(未定)
11月23日(土)24日(日)科学の祭典にてブース開設(阿南市科学センター)
12月20日(金)第3回天体観測会(本校)
1月26日(日)第3回地域フィールドワーク(未定)
令和6年度 第12回四国地区SSH生徒研究発表会に参加して
まだ春休み中の4月6日(土)、愛媛県立西条高等学校に四国内のすべてのSSH校が集まりました。SSHというのは「スーパーサイエンスハイスクール」の略で、高等学校で先進的な理数教育を行い、大学との共同研究や国際性を育むための取組み、創造性・独創性を高める指導方法や教材開発をしています。その成果をこの場で発表するために来ました。
会場の体育館でポスターを掲示します。10校から各10グループ程度の発表が行われるので、400人近い人がいるので準備だけでも大変です。12:15から開会式があり、12:30からポスター発表が始まりました。本校からは以下のテーマで参加しました。
① プラナリアの咽頭の働きについて
② 空気砲で輪を遠くまで飛ばすためには
③ レンズフードを用いた場所と時間による光害の影響
④ 海部刀の原料はどこから来たかⅡ
⑤ シリコンにものをつける
⑥ 魚類消化管内に存在するプラスチックの検出方法とその結果
⑦ ゼブラフィッシュの不安行動の定量化とその個体数の割合
⑧ 電磁誘導を用いた波高観測装置の開発
⑨ ばね振り子について
ポスター発表は4交代制で3回ずつ行われました。自分が発表するときは、学校で練習したように相手にわかりやすく説明することを心がけました。質問もいくつかあって戸惑うこともありましたが、概ね何とかなったようです。それ以外の時間には他校の発表を見に行きました。徳島県内の高校発表は一度聞いているので、主に県外の高校の発表を見に行きました。地域性が表れたユニークなテーマや、ありふれているけれど独自の視点に立った内容もあり、大変興味を持って会場内を回りました。参加された各校の皆様、お疲れ様でした。今後も素晴らしい研究を続けていきましょう。