平成28年度

会議・研修 中四国九州地区理数科高校課題研究発表大会の運営・参加

日時 平成28年7月28日(木) 10:30~15:30 ステージ発表リハーサル
                          12:30~14:00 ポスター発表準備
                          14:00~17:00 ポスター発表Ⅰ(審査)
                         17:30~18:30 生徒交流会
          平成28年7月29日(金)  9:00~ 9:20 受付
                           9:20~16:30 開会行事,ステージ発表, 閉会行事
                                                 14:50~15:45 ポスター発表Ⅱ


 先月末、あわぎんホールにて、中国、四国、九州地区の理数科校38校約600名が集まり、「第18回中国・四国・九州地区理数科高等学校課題研究発表大会(徳島大会)」が開催されました。徳島県内の5校が大会運営に関わり、本校はステージ発表リハーサルと、大会の要となる発表本番の運営全般を任され、応用数理科1,2年生と3年生有志でステージ設営、司会、プロジェクタ操作、発表者誘導、会場質疑応答マイク係などの仕事を行いました。また応用数理科1,2年生全員でポスター発表とステージ発表を見学しました。
 ステージ発表およびポスター発表では、本校代表として両部門に応用数理科3年生川添君と篠原君が「ブルーボトル反応における溶液劣化の研究」で発表に臨みました。各県の発表は非常にハイレベルで、中には昨年末の某コンテストで既に上位入賞を果たしていたチームもありました。本校の発表は優良賞の獲得に留まりましたが、現時点で最高のパフォーマンスだったと思います。先輩や他県の発表を目の当たりにした1,2年生が、その経験を今後の研究に生かしてくれることを期待します。

理科・実験 園瀬川総合科学調査

 7月14日(木)午後、応用数理科1年生に科学部化学班のメンバーを加えて、毎年恒例の園瀬川総合科学調査を行いました。先週は園瀬川上流部の神山町や佐那河内村で何度か雷を伴った非常に強い雨が降っており、この日も多少のにわか雨は覚悟していましたが、幸い晴天に恵まれ、ほぼ予定していた時間いっぱい調査活動を行うことができました。
 参加生徒は上流・中流・下流に分かれ、それぞれの地点でパックテストによる6種類の化学分析(pH、COD、アンモニウム、亜硝酸、硝酸、リン酸)、水温や流速の計測、水生生物(水質指標生物)の採集などを行いました。 また科学部化学班のメンバーが自作した分析装置の実証試験を行いました。
 冷たい川の流れに浸かっての調査でしたが、特に日陰のない上流部はやっぱり暑かったです。また昨年は上・中流部でもヒルが確認され、水質悪化が懸念されましたが、今年は発見されませんでした。ただし小型のカワゲラの幼虫も少なめでした。先週の上流部での大雨で川の流量が増して新しい水に入れ替わったものの、水生昆虫が流されてしまったのかもしれません。

 

◇上流

◇中流

◇下流

会議・研修 応用数理科3年 徳島大学高大連携出張講座

色の変化を考えよう~様々な無機イオンの反応を学ぼう~
平成28年6月28日(火)14:00~ (第6・7時限目)
徳島県立城南高等学校 化学教室 
講師 徳島大学理工学部理工学科応用理数コース教授 三好 德和 先生
参加者 応用数理科3年20名

 5時限目が、応用数理科3年の理数化学探究の時間で、遷移元素に関する定性実験を行っていました。その化学室へ終了10分前から入って、授業内容と生徒の様子を観察されてから、持参された内容を再構成して、6時限目以降の講義につなげて頂きました。
 6時限目は、銀・銅・ニッケルについて、授業でやった内容の実験を再度やりながら、新しい視点も加え試薬も追加してより理解を深めてゆきました。
 最初に銀について、授業でやったばかりの実験(塩酸,アンモニア,クロム酸との反応,鉛との比較)を憶えているか確認しました。その後、銀イオンに塩酸を加えて、アンモニアで溶かし、硝酸で沈殿を析出させました。高校での学習内容の金属イオンの性質の学習や化学平衡の視点を総動員しての理解となりました。さらに量的関係にも踏み込みました。銅イオンについてはテキストにありましたが、授業でやっているので飛ばして、ニッケルを使って水酸化物と錯イオンの比較を行い、ジメチルグリオキシムを加え赤の沈殿を作りました。センターの追試験に登場したので、教科書には無いが本試験にも登場するかもしれない等の情報もありました。構造式と配位の仕方などの説明の後、色の綺麗なコバルトも用いて比較実験を行いました。ジメチルグリオキシムがこちらでは橙色なりました。さらにビタミンB12や雷酸(ピクリン酸),TNT,強酸から超強酸などの話もありました。ここで、業間の休憩となりその間も生徒の質問に答えたり、化学の楽しさについて語っておられました。 
  7時限目は、最初に鉄イオンについて授業で行った内容の、3価の鉄イオンとチオシアン酸イオンやフェロシアン化カリウムとの反応について知識の確認と簡単な解説がありました。その後マンガンについて、イオンの色など授業で学んでいるはずの知識の確認をした後実験に移りました。2価のマンガンイオンと硝酸と過酸化水素の混合が、過酸化水素を加えた直後に硝酸を加える場合と30秒後に加える場合では、前者はほとんど無色透明の溶液になり、後者は黒色の酸化マンガン(Ⅳ)の沈殿を含む溶液になる様子を体験しました。マンガンについては、授業の中では過マンガン酸イオンの過酸化水素を加え硫酸の有無による変化を見たり、触媒として30%の過酸化水素水と粉末の酸化マンガン(Ⅳ)で激しい分解反応を見ていましたが、それの逆のような反応で、手順が変われば反応が変わり考え方も変えなければならないことを確認しました。残りの時間で、化学を学ぶことの楽しさや、今回は無機実験を行ったが、三好先生の専門は有機化学で、何故それを選んだかなど、学問の楽しさについて語って頂けました。
 講義の終了後も、生徒の質問や進路相談への対応、最後に受験勉強で弱気になっている生徒を励ますなど、親しくお話ししてくださいました。
 先生も生徒も終始笑顔で、楽しく実験をしながら、テンポ良く説明もなされた上に、やったばかりの実験とも関連が有り、巧く連携ができた講義でした。

会議・研修 日本生物学オリンピック講習会参加

 「生物学オリンピック」挑戦者のための講習会が、徳島大学総合科学部を会場に6月25日(土)に開催され、応用数理科・科学部の希望者が参加しました。(ちなみに同日に平行して「化学グランプリ」講習会も開催され、やはり本校生が参加しています。)ご教授いただきました先生方にこの場を借りて御礼申し上げます。

午前 
・高校生物(総合教育センター指導主事 森誠一先生)
午後
・遺伝学(徳島大学 松尾義則先生)
・遺伝子工学,発生学(徳島大学 渡部稔先生)
・植物学(鳴門教育大学 米澤義彦先生)

会議・研修 108HR高大連携講座(香川大学・笠先生)

 応用数理科1年生は、6月24日(金)午後、香川大学教育学部の笠先生をお招きして、課題研究に関する高大連携授業を行いました。まだ課題研究に着手していない1年生のため、「変数(variables)」をテーマに、「変数とは何か」(変数を見つけ、複数の変数間の関連性を考えるアクティビティ)、「公正なテストを計画する」(音に関する簡単な現象について、何をどのように調べるか実験計画を立て、実験を行うアクティビティ)など、「アクティブラーニング」のお手本となる授業で、生徒は楽しみながら思考と理解を深め、参加していた教員にも大いに参考となる内容でした。
なお笠先生の講義の続きは年度後半にも予定されております。応用数理科1年生は、笠先生に教わったことなどを参考に、今年度中には各自で課題研究のテーマや目的などを決定し、3学期~2年次にかけて課題研究に取り組んでいくことになります。

理科・実験 Science Dialogueの開催

 サイエンス・ダイアログとは、(独)日本学術振興会JSPSのフェローシップ制度により来日している外国人研究者(JSPSフェロー)有志が、近隣の高等学校等において、英語で研究に関するレクチャーを行う機会を提供するプログラムです。
 今年のサイエンスダイアログから、開催時期を半年早めて2年1学期に設定しました。そして6月22日午後開催の今回は、岡山大学大学院環境生命科学研究科からChristopher J. VAVRICKA 博士(米国/専門:農芸化学)が講師としてご来校くださり、応用数理科2年生に対して講義と実験をしていただきました。また実験助手に、同じ研究室から本校OBの森さおりさんもお越しくださり、レクチャーのサポートをしてくださいました。

 事前に、ご講演のAbstractやkey words をお送りいただいていたので、生徒配付資料として印刷するとともに、英語科及びWood,Travis両先生のご指導をいただき、Science English の時間を用いて、ワークシートとグループワークによる事前学習を行いました。
 レクチャーでは、最初にドライイーストと砂糖による発酵と銀鏡反応の説明と演示実験が行われ、反応待ちの間に、VAVRICKA 博士の自己紹介(禅を好み、柔道は黒帯!)、大学時代の研究、その後の中国での漢方薬の研究や抗インフルエンザ薬の開発、日本での研究の様子のお話がありました。またアリストテレスやデモクリトスから、パスツールや華岡青洲らを経て現代に至る科学史のお話、そして科学史に登場する重要な実験や現代の研究最前線などのお話がありました。そして、4人一組の班で、VAVRICKA 博士や森さんのサポートをいただきながら、主に化学分野の様々な実験に取り組みました。
 後の生徒アンケートでは、英語レクチャーはやや難しかったようですが、実験実習を伴っていたので大変面白かったという意見が多く寄せられました。
 VAVRICKA先生、森さん、岡山大学大学院の清田先生、そして機会を与えてくださったJSPSに感謝いたします。
【森さんより】
この度は、このような貴重な機会を与えていただき、本当にありがとうございました。
懐かしい母校で若い学生さんたちと化学実験を通して楽しい時間を過ごすことができました。

当日はこちらの準備不足等で慌ただしく、先生方にも多数ご迷惑をおかけしてしまい申し訳ございませんでした。
担当させていただいた学生さんが二年生ということもあり、講演内容の難易度に少し不安もありましたが、みなさん意欲的に取り組んで下さりました。
これを機に更に化学に興味を持ち、勉学に励んでいただければ嬉しく思います。

 

 

 

ひらめき 応用数理科3年 高大連携講座 (徳島大学理工学部光情報システム)

◇理工学研究部 教授 陶山史朗 先生 ・ 講師 水科晴樹 先生
 6/21(火)午後、応用数理科3年生は物理・化学・生物の各分野に分かれて高大連携講座に参加しました。物理の生徒は徳島大学理工学部光情報システムの陶山先生の研究室で研修を行いました。
 研修前半では、陶山先生から光情報システムでの研究内容についてお話いただいた後、2班に分かれて、交替で2つの実験室にて大学院生の皆さんから、ご自分が行っている様々な研究内容について、わかりやすくご説明いただきました。参加生徒は、自らの課題研究体験を思い起こしながら熱心にお話を聞いていました。
 後半は再び陶山先生のご説明の後、「アーク3D(光の散乱を利用して立体画像を浮かび上がらせるもの)」作成の実習を行い、光と画像について楽しみながら体験的に学びました。
 熱心にご指導いただいた陶山先生、水科先生、大学院生の皆様に感謝申し上げます。

理科・実験 応用数理科3年 高大連携講座(徳島文理大学薬学部)

高大連携講座「徳島文理大学薬学部」H28.6.21(火)15:00~17:20
徳島文理大学薬学部21号館1F実験室
「アルドール縮合反応によるジベンザルアセトンの合成」
応用数理科3年 化学選択 男子2名女子13名合計15名参加
案内 薬学部公衆衛生学講座教授 鈴木 真也 先生 薬学博士 薬剤師
指導 薬学部薬化学講座教授   吉田 昌裕 先生 薬学博士 他2名

 挨拶とスタッフ紹介の後、ガイダンスとして、バイオ医薬品と低分子医薬品について、具体例を挙げながら簡単な説明があった。次に、今回の合成するジベンザルアセトンの構造がウコンのクルクミンに似ていることなどを構造式で示し、色などを予想するように指示があった。実験に使う薬品の危険性や操作上の注意点についても丁寧に説明があった。 実験操作を説明するに当たって、生徒が化学の授業で無機化学までしか学習して居らず、有機化学への理解が不十分であることを踏まえて、一度に説明する情報量を少なくするために実験を「反応をかける」「反応を処理する」の前後半に分けて、器具の名称も説明したり演示をしながらの説明を聞いては生徒が実際にやってみるという繰り返しで進められた。ナスフラスコで薬包紙を軽く巻いたコルクで栓をして反応開始から約10分で反応が完結するとのことであった。無色透明の原料を混合すると少し黄色になり、マグネティックスターラーで撹拌が始まると一挙に懸濁した。スターラーの回転速度により、クリーム状になったり、かさ高く液面から盛り上がったり、固体と液体が分離したりと見た目の差はありながらも全員十分の量の合成に成功した。ブフナーによる吸引ろ過を利用しながら蒸留水で洗い、大判ろ紙で水分を取ってから秤量し、粗収量,粗収率を求めた。100%を超えたのはどうしてなのか考えるように指示し、今回は省略したがその後に再結晶による精製が必要なことなど説明があった。生徒の粗収率は140%前後が多かった。片付けの後で、薬学部に関する情報提供があった。薬剤師資格取得に関する徳島大学との比較、特待生制度などガイダンスがあった。また、科研費を多く取得できていることからも研究分野の質にも注目して欲しいとのことであった。また、JSPS(日本学術振興会)の科研費補助事業である「ひらめき☆ときめきサイエンス」のアナウンスもあった。今後も化学区に興味を持って頑張るようにと、新品の薬さじ,スパチュラ,ピンセットなどを記念品で頂いた。

会議・研修 207HR課題研究中間発表Ⅰ

 6月15日の午後5~7限目3コマ通しで、応用数理科2年生は課題研究の中間発表(12の研究班)を行いました。現時点でのまとめと、お互いの研究についての情報共有、先生やクラスメートからのアドバイスなどが目的です。また今回は日本語での口頭発表でしたが、研究と平行してScience EnglishⅡで英語による課題研究プレゼンを行うことから、Wood先生やTravis先生、英語科の先生にもご参加いただきました。課題研究のテーマ設定には昨年度から取り組んでいましたが、今年は予想外に時間がかかり、予備実験の結果、最近テーマを変更した班もいました。今回いただいた質問やアドバイスを今後の研究の糧とし、遅れを取り戻して欲しいものです。

理科・実験 108HR高大連携授業(徳島文理大学薬学部)

 応用数理科1年生は、5月20日(金)午後、徳島文理大学薬学部衛生化学講座にお邪魔して高大連携授業「食品中合成着色料の抽出と同定」に参加させていただきました。
 薬学というと製薬・創薬が思い浮かびますが、それだけでなく、人々の健康を守るため、食品の安全性調査や成分分析も行っていることを知りました。私たちが食べる加工食品のほとんどには着色料や保存料、香料など「食品添加物」と総称される化学物質が含まれています。それらは安全性が確認されたものですが、中には許可されていないものや有害なものが含まれている場合があり、その際、食品を分析して何が入っているのか、様々な技術を駆使して化学分析を行っている人たちの多くは薬学部出身ということです。
 今回の実験実習では、食べ物に含まれる着色料が許可されたものであるか確認するため、抽出、精製、分離、同定という一連の分析を行いました。陰イオン交換樹脂を用いた合成着色料の抽出を経て、薄層クロマトグラフィー(通常のシリカゲルでなく親水性のあるセルロース薄層)を用いた同定を行いました。
 およそ2時間余りの高大連携授業でしたが、みんな楽しく熱心に実験実習に取り組んでいました。私たちのために、貴重な時間を割いてご指導いただきました薬学部教授の姫野先生をはじめ、角先生や薬学部5,6年生の皆さんに、この場を借りて厚く御礼申し上げます。