令和5年度活動内容
第25回中国・四国・九州地区理数科高等学校課題研究発表大会
8月17日18日に鳥取県で開催された中国・四国・九州地区理数科高等学校課題研究発表大会に
「ウズムシの摂食行動」研究グループと「脈動変光星みずがめ座CY星の測光観測」研究グループが参加しました。
70もの研究が参加しており、本校生徒も発表し、またそれ以外の時間で他校の発表を聞くことで交流し考えを深めました。
結果は、「ウズムシの摂食行動」研究グループがポスター発表で最優秀賞、ステージ発表で優良賞を獲得しました。
令和5年度SSH生徒研究発表会参加
令和5年8月9日(水)・10日(木)に神戸国際展示場で令和5年度SSH生徒研究発表会が開催されました。本校からは「糸電話でできた楽器 ストリングラフィの波の特性」についての研究発表を行いました。
1日目となる8月9日には,SSH指定校及び過去に指定経験のある学校のうち参加を希望する学校(220校)の生徒が,ポスター発表を実施し,審査委員による審査を経て,代表校が選出されました。9時30分からの開会行事の後,9時45分よりポスター発表をしました。発表を行っていない時間には他の研究班の発表を見学し,様々な分野の研究に触れることができました。また,研究内容や研究の進め方について交流が行われました。大学などの研究機関の方からも質疑をいただき,新たな発見につながるような指摘を受けました。今後の研究のヒントとなる見識もいただきました。16時15分からの全体会では,8月10日に行われる全体発表校6校が選出され,各分野の講評をいただきました。
2日目となる8月10日には,午前中に6校による全体発表,午後からはポスター発表と全大会が行われました。全大会では表彰と全体公表が行われました。SSH最高峰の発表会であり,参加生徒にとっては大変貴重で成長につながる経験ができました。また,運営のスタッフや審査の方々など多くの人々に支えられた大会であることを強く感じ,発表会は終了しました。
J-LINKツアーin神戸ポートアイランド(理化学研究所・甲南大学)
8月3日(木)に応用数理科1・2年生が、J-LINKツアーin神戸ポートアイランドとして、理化学研究所 生命機能科学研究センター(BDR)と甲南大学を訪問しました。午前中は理化学研究所 生命機能科学研究センター(BDR)を訪問しました。まずは施設で行われている研究の説明が行われ、ヒトのライフサイエンス研究として、iPS細胞やES細胞による再生医療についての研究や細胞を見るために透明化する技術や蛍光させるための研究などの紹介が行われました。その後、実際に緑色蛍光タンパク質を発現させたマウスの胎児やiPS細胞、ロボットで細胞培養をしている所など、先ほどの説明にあったiPS細胞などを実際に見ることができ、理解が深まったと感じました。
午後からは甲南大学フロンティアサイエンス学部へ行き、まず「化学反応を利用した樹脂の導電化処理」の実験を行いました。柔らかいプラスチックの基板に化学反応で金属被膜を析出させ、導電化を行うものです。化学を十分に学習していない1年生には少し難しかったかと思いましたが、分かりやすい説明と大学院生のサポートにより、どの生徒も十分理解できているようでした。特に、イオン化するために、KOH溶液に浸した時間によって、導電率が変わることは、分かりやすい比較実験で、生徒達はスムーズに理解できたと感じました。
その後は、キャンパスツアーを行いました。多くの実験器具や研究室を見せていただき、大学での研究のイメージが湧いたのではないでしょうか。アンケートにも「大学生になると様々な実験装置を使って実験すると思うとワクワクしました。」という意見があり、実際の大学での学びを見ることで、進学へのモチベーションになると感じました。高大連携事業を通じて、高大の学びをスムーズにし、学習意欲の向上に繫げていきたいです。
【理化学研究所】
理化学研究所での研究の説明 透明化+GFP遺伝子導入したマウス iPS細胞やニワトリの発生などの見学
【甲南大学 実験】
水酸化ナトリウム水溶液を加熱しています プラスチックの表面に金属を析出 導電率を測っています
【甲南大学 キャンパスツアー】
世界第二位の大きさのDNA分子模型 電子顕微鏡 研究室の見学
第47回全国総合文化祭2023かごしま総文自然科学部門への参加について
7月29日(土)~31日(月)鹿児島大学郡元キャンパスと谷山サザンホール行われました第47回全国総合文化祭2023かごしま総文自然科学部門に応用数理科3年生3名が参加しました。7月29日(土)には、口頭発表が行われ、「跗節による分類と跗節裏の毛の生態的意義」の発表を行いました。堂々とした発表で、審査員の方から観点が非常に細部であるとの評価でした。7月30日(日)も引き続き、口頭発表が行われ、見学しました。2日目は秋篠宮様並びに悠仁様が見学においでになり、目の前の席でしたので、緊張すると共に、すごい場所で発表しているのだと改めて思いました。2日間にわたり行われた発表は、さすが全国発表、どの発表も的を得た検証実験と鋭い考察が行われていました。午後からは巡検研修が実施され、私たちは桜島に渡ってのフィールドワークを行いました。桜島の自然や噴火の歴史を体感することができました。総文祭自然科学部門に参加して、鹿児島の方々、特に錦江湾高校の方々のおもてなしに感動しました。そして、全国の方々と一緒になって課題研究を頑張っていこうと思いました。
研究発表は2日間にわたって行われました
2日目の午後からはフェリーで桜島に渡り、巡検研修を行いました。大正の噴火により火山灰で鳥居が埋まっています。
徳島大学 高校生向けの遺伝子組換え実験講習会への参加について
7月25日と26日の2日間、徳島大学蔵本キャンパス先端酵素学研究所で、高校生向けの遺伝子組換え実験講習会に普通科2年生 1名が参加しました。
まず、参加生徒同士この講習会に参加した動機を発表しました。その後、徳島大学の先生から、遺伝子組換え安全講習会並びに2日間で行う実験の説明をしていただきました。
2日間で行う実験は、「①大腸菌の形質転換実験」「②DNAからお酒に強い遺伝子を持つか調べよう」です。
「①大腸菌の形質転換実験」はよく生物の試験にも出る実験で、抗生物質耐性遺伝子とGFPタンパク質を持つプラスミドを大腸菌に入れ、大腸菌を形質転換させる実験です。
「②DNAからお酒に強い遺伝子を持つか調べよう」では、髪の毛から自分のDNAを取得し、PCRで増幅、その後制限酵素で処理すると、お酒に強い遺伝子を持つ場合は切断され、そうでない遺伝子の場合は切断されないことを利用し、その後電気泳動すると、自分がどちらの遺伝子を持つか分かるというものです。
どちらも少し難しい内容ですが、実際に実験を行うことで、理解が深まったと思います。今後も、高大連携等も利用しながら、体験的な学びを積極的に行っていき、科学技術人材の育成のために努めていきたいです。
園瀬川総合調査の実施について
7月12日(水)の午後に応用数理科1年生によって園瀬川総合科学調査を実施しました。園瀬川総合科学調査はSSHに指定された平成15年度より実施されており、「上流」「中流」「下流」に分かれて調査が継続されています。主な調査内容は「流速」「透明度調査」「パックテスト」「水生昆虫の採集」です。前日の7月11日(火)に事前学習を行い、パックテストの手法や水生生物の採取方法、園瀬川に生息する水生生物の説明等をおこないました。事前研修をしている生徒達の顔を見ていると、川の調査に対して楽しみにしているようでした。当日、園瀬川総合調査に出発しましたがゲリラ豪雨により、中流と上流は調査が十分にできませんでしたが、下流は豪雨で動けずに橋の下で待機していると、天候が回復してきて、生物調査まで十分に行うことができました。事前研修の効果もあり、生物採集を上手に行うことができました。採集した生物について、指標生物と園瀬川に多く生息するクロトンボのヤゴなどの生物の確認を行い、指標生物による調査と化学的調査を合わせ、総合的に水質を調べることができました。やはり実際の環境で生物などを観察することは大切だと感じました。「聞いたことは、忘れる。見たことは、覚える。やったことは、わかる。」これからも、生徒達の身になる経験を与えられるように取り組んでいきたいです。
前日の事前研修では生息する生物など 調査域に入っていきます【下流】 パックテストを実施しています
も合わせて学習しました
色見本と合わせています
上手に水生生物を採集しています 採集した生物を集めて 指標生物等の確認を行い、記録しました
第1回中学生理科実験教室を実施しました!
7月22日(土)の午後から、中学生を対象とした理科実験教室を開きました。開会式の後、1時間目は物理分野と生物分野からの選択科目です。これは申し込みの際に出されていた希望に添って行いました。
物理では、ストロー笛を用いて楽器と音階の関係に関する実験をしました。本校生が自ら体験したことを基にして、その内容を中学生に説明していました。参加者は、ストロー笛が鳴ったときに喜んだり、音階を計算で求められることに驚いていました。生物では、ワカメやアサクサノリなどの藻類と陸上植物から光合成色素を分離し、植物ごとの色素を比較しました。クロロフィルaを調べることで、緑藻類と陸上植物が近縁であることを理解できました。
2時間目は化学分野と地学分野からの選択科目です。化学では、いくつかの酸化還元反応を行いました。特に金属ナトリウムやカリウムと水の反応に驚いていました。お土産は銀樹でした。地学では、火成岩の観察と分類をしたり、偏光顕微鏡を用いた岩石薄片の観察や、鉱物を手に取っての観察などをしました。偏光板を使った簡単な実験も行い、使った偏光板等はお持ち帰りいただきました。参加者は興味津々と行った様子で熱心に見ていました。
再び元の会場に集まって交流会をしました。念には念を入れて飲食は伴わずマスクを着用して行いました。それでも30分くらいの間で様々な話ができました。こうしてとても有意義な時間を過ごせました。
さて、オマケの激写です。皆さんもぜひチーム城南に入りましょう。
第1回天体観測会in城南
7月20日(木)は終業式でした。長かった1学期が終わり、これから40日の夏休みに入ります。ようやく休めると思ったのもつかの間で、イベントはどんどんと続きます。楽しいことは今しかできませんから。
夕方から児童生徒と保護者が集まってきました。今日の天体観測会に申し込まれた方々です。あいにくと空は雲に覆われていて月も金星も見えません。雲が晴れるのを待って、室内で天文講座と工作をしました。スライドを用いた図解で夜空や星の解説をしたり、星座早見盤を作成しました。本校生徒やコラボしている城北生も加わって、作り方の説明や手助けをしました。
一時間ほど経ちました。天候はまったく回復していません。せめて望遠鏡の使い方だけでもと思い、城南・城北合わせて6台をセットしました。狙うのは眉山山頂に立つ鉄塔の頂部です。余り知られていませんが、望遠鏡で見た画像は上下左右が肉眼と逆になります。だから、鉄塔が逆さになって見えるのです。思ったより参加者が楽しそうに和気あいあいとしているのを見て、こちらもうれしく楽しくなりました。結局最後まで星が見えませんでしたが、参加者の次への期待が大きかったので急遽2回目をすることにしました。また登録フォームから申し込んでください。
お土産として早見盤と「星のかけら」を皆さんにお配りしました。今回はかなりうすいアメジストです。次回はまた別の星のかけらを用意しています。お楽しみに!
Science Introduction(SI) 【基礎実験(物理)】
【基礎実験(物理・地学)】6月9日(金)7月7日(金)
【物理分野】ストロー笛で音階を作ろう
物理分野では、物理基礎の授業で学習した管内の気柱の振動を利用し、自作したストロー笛の音の高さ(固有振動数)を求める実験をしました。
冒頭で物理基礎の授業で学習した管内の気柱の振動について復習をし、管楽器の音の高さが管の長さと室温によって計算できることを確認しました。
次に、ストロー笛の製作を行いました。ストロー笛が完成しても、音を鳴らすのが難しく、苦労してしましたが、全員が音の鳴るストロー笛を作ることができました。
最後に、自作したストロー笛の長さと室温から音の高さを計算した結果と、「FFTWave」というアプリを使い音の高さを測定した結果を比較し、今回の実験について考察しました。
その後、追加実験として、ストローの片側が閉じた笛(閉管)とストローの両端が開いている笛(開管)を製作し、音の鳴り方の違いを確認したり、自分の鳴らしたい音階のストロー笛や笛の長さを変えられるストロンボーンを製作したりしました。
生徒は、ストロー笛の製作を真剣に行い、自分で計算した音の高さとアプリで測定した音の高さが違うときは、その原因を周りの生徒と話し合いながら考察していました。授業で学んだ内容を活用し、実験する手法を学習することができました。
SI(Science Introduction) 【基礎実験(地学)】
6月9日、7月7日の基礎実験は化学と生物に変わって物理と地学で行いました。
地学分野では、「金属や岩石の密度を求めながら地球の層構造について考える」をテーマに様々な岩石や金属の密度を測定し、地球内部の物質と比較して、地球の層構造や地球全体の平均密度などを考えることを目標に行いました。
初めは、岩石や金属の表面を目で見て、触って簡単に観察しながら、電子天秤を使って質量を量りました。そのあとは水の入ったビーカーに糸でつるした岩石等をゆっくりビーカーに沈め質量を量りました。得られたデータを使って体積を求め、考察をしました。
岩石には色々と種類があり、中には身近なものに使われている岩石もあって今まで見たことがあるけど名前を知らなかった生徒もいたので、このような機会で地学にも興味を持ってもらえると嬉しいです。
応用数理科1年 高大連携授業【主張出前授業】(徳島大学ポストLEDフォトニクス研究所)
6月30日(金)午後、徳島大学ポストLEDフォトニクス研究所から先生をお迎えし、応用数理科1年生を対象に出張出前授業が開催されました。徳島大学ポストLEDフォトニクス研究所は「未知の可能性を秘めた新しい光で未来を切り開く」をテーマに工学のみならず、医療など、様々な分野で光科学によるイノベーションの創造を目指されています。
今回来ていただいた先生は有機合成化学がご専門の八木下 史敏 ( やぎした ふみとし )先生です。
内容は3つセッションからなっており、①研究者になった経緯 ②現在の研究内容のご紹介「キラリと光る有機物」をつくる ③「身近な物質で光るものを見つけよう」 でした。
①研究者になった経緯では、「好きこそものの上手なれ」 研究が楽しくてのめり込んでいったお話や学生時代に国際論文が7報科学雑誌に掲載され、同級生より早く博士課程を卒業したお話などをしていただき、生徒たちは徐々に先生とその生き方に興味を惹かれていきました。
②現在の研究内容のご紹介では、有機光工学についての説明で、有機物がキラリと光る発光現象とはどのようなメカニズムで起こるのか、アニメ等も利用してわかりやすく説明していただくと共にキラリと光る有機物の医療や環境、工学等への応用の可能性を次々とお話しいただき、どんどん引き込まれていきました。また、最後に国際論文の執筆や発表会のお話をしていただき、生徒たちへ非常に良い刺激になりました。
③「身近な物質で光るものを見つけよう」では、飲み物でビタミンB₂やトニックウォーターに入っているキニーネという成分が紫外線照射で蛍光する現象を見せていただき、生徒たちは今までの講義の内容を目の当たりにし、非常に感動していました。
最後の質疑応答では、まず、国際論文の執筆や科学雑誌への掲載、発表会への参加についての質問が多くでました。多くの質問に丁寧に答えていただき、生徒たちはアンケートで「英語を学ぶ必要を強く感じた」「早く大学で研究をしてみたい」等の意見が多くありました。また吸光して局所のみで反応できる抗がん剤についての質問では、深部ではどのように反応させるのかなど、鋭い質問が飛び出し、八木下先生の講義をよく聞き、自分のものにしていると感じました。
「本物に出会うこと」これがSSH活動・高大連携授業等の目的の1つだと思います。
「本物に出会うこと」で「自分の感性や感覚にしたがって、本当のとこを生きることができる」のはないでしょうか。
これからも、多くの刺激を生徒たちに与えていきたいと思います。
有機光工学の説明です エナジードリンクやトニックウオーターが紫外線照射で光ります
パイン飴も光ります 研究室で合成した光る有機物です
多くの質問がでました 大切にしている言葉を
紹介していただきました
応用数理科2年生 課題研究中間発表Ⅰ
6月28日(水)5~7限の3時間を通して、応用数理科2年生の課題研究中間発表Ⅰが行われました。
現時点での研究成果を9の研究班が発表しました。この中間発表は、お互いの研究についての情報共有、並びに先生やクラスメイトなどからのアドバイスを受け、今後の研究を深化させることが目的です。
理科教員の他、英語科の先生、ALT、6限には本校運営指導委員の先生方などにもご参加いただきました。生徒も最初は緊張がありましたが、徐々に雰囲気にも慣れ、生徒同士でも大変活発な意見交換ができました。
本校運営指導委員の方々などからのご意見として、「検証実験はまだ十分ではないが、テーマ設定が素晴らしい。知的好奇心に満ちたテーマ設定がなされている。」とのお褒めの言葉をいただきました。
テーマの選定に苦慮し、実験データが十分に得られていない研究班もありますが、今回いただいた質問やアドバイスを今後の糧とし、研究が進み成果が得られることを期待します。
令和4年度のアンケートでは、課題研究で学んだことは、研究の楽しさ・難しさ、協力の大切さなどが上位の項目となっています。また、研究への意欲が高まったとほとんどの人が答えています。
これから、テーマ(課題)設定→仮説設定→検証実験→考察のサイクルをまわす中で、再び新たな疑問が生じ、次のテーマ(課題)設定→仮説設定→検証実験→考察とつながっていく、課題研究における本当に深い学びを実現してほしいと思います。
次回は、ルーブリック・ポートフォリオ、今回の意見を参考に担当教員と今後の研究方針を決めていきます。私たち教員は研究班にしっかり寄り添っていきたいと思います。
生物学オリンピック講習会
6月25日(日)に徳島大学で行われました生物学オリンピック講習会に本校5名が参加しました。
また先だって、前日の6月24日(土)には、本校講義室Ⅲで13:00から、生物学オリンピックの過去問題の解説を行いました。
生物学オリンピック講習会では、徳島大学のそれぞれの専門の先生が解説して下さりました。生物学オリンピックの問題に関わる知識だけでなく、興味を引かれるようなお話もしていただき、長時間ですが、生徒たちは集中して受講できていました。
7月16日(日)に行われる生物学オリンピックで力を発揮し、ぜひ本戦出場を目指して下さい。
問題は難しいですが、しっかり考え、取り組むことで身につく力があると思います。粘り強く取り組むことで、思考力や判断力を伸ばしてほしいと思います。
高大連携講座 応用数理科3年(生物分野 第3回)
6月27日 徳島大学教養教育院で応用数理科3年生 アドバンスドサイエンス生物分野選択9名の生徒に対して、第3回目高大連携講座(生物分野)が行われました。
今回は「ホタルの発光タンパク質の実験」です。
ホタルの発光タンパク質であるルシフェリンを用いて、タンパク質の基本的な性質を理解することが目的です。
実験材料は酵素であるルシフェラーゼと基質であるルシフェリン、あと発光に必要なATPです。
実は、この実験キットはキッコーマンというお醤油を作る会社から売り出されていたものです。キッコーマンでは、衛生状態を確認するため、ホタルの発光タンパク質であるルシフェリンとルシフェラーゼを利用するのです。この発光はそこに存在するATP量に比例して発光の強さが変わります。発光の強さを確認することで、そこに存在する細菌のATP量を測定し、細菌の数を求めます。これは教科書に載っている内容ですが、生徒達に理解してもらうことが難しいと感じている内容です。今回、わかりやすく説明していただき、生徒達が理解できたと感じました。
さて、実験ですが、高温条件、低温条件、酸、塩基を加えた場合に発光がどうなるか確認しました。
なお、塩基を加えた場合は、ルシフェリンの立体構造において、発光に関わる部分が少し変化して、黄色の発光からオレンジの発光になるそうです。タンパク質の構造や働きを理解するために、非常に良い教材であると思いました。
不思議に光るルシフェリンの光に生徒達は引き込まれており、酵素並びにタンパク質の性質の実験として、本校でも実施したいと思いました。
なお、3回の実験を実施していただいた徳島大学渡部先生には、高大連携講座以外にも課題研究のテーマ設定の研修や課題研究等で多大なご協力いただいております。この場をお借りして、感謝申し上げたいと思います。
ルシフェリンの発光です ウォーターバスで高温処理、氷で低温処理を行いました
酸を塩基を加えます 塩基を加えた場合は光が弱くなるだけでなく、
ルシフェリンの立体構造が変化し、色が変わります。
上と比べて色の違い分かりますか?
高大連携講座 応用数理科3年(生物分野 第2回)
6月20日(火)に徳島大学で応用数理科3年生 アドバンスドサイエンス生物分野選択9名の生徒に対して、第2回目高大連携講座(生物分野)が行われました。
今回は「お米の品種のDNA鑑定」です。コシヒカリ、あきたこまち、ひとめぼれの三種類のお米、それぞれに特有のDNAの部位をPCR法で増幅し、電気泳動を行うことで、それぞれの品種が特定できます。
まずPCR法の説明をしていただきました。PCR法は温度変化だけでDNAが増幅できる手法です。原理だけでなく、PCR法を発明したマリス博士の人生についてやミイラや化石に含まれるわずかなDNAでも分析できることなどを聞き、生徒達も興味津々でした。
今回の実験の手法としては、プライマー、バッファー、耐熱性DNAポリメラーゼ、滅菌水を混ぜ、マスターミックスを作ります。そしてマスターミックスをPCR用のチューブに入れます。その後、お米を砕き、ほんの少しだけのお米をPCR用のチューブに入れます。そのチューブをPCRの機械にかけます。その後、PCR法により増幅されたDNAを電気泳動にかけるという流れです。
多く取り過ぎたことにより、お米がおかゆのようになって上手に電気泳動のバンドができなかったり、増幅がうまくいっていたり、いってなかったりと実際にPCR法→電気泳動を行うことで、授業で習った手法への理解が深まったようでした。
PCRに必要なDNAポリメラーゼやプライマーを 3種類のお米を砕きます
チューブに入れます
チューブに端に残らないように遠心分離にかけます PCRで温度変化を35サイクル
これで特定のDNAを増幅できます
高大連携講座 応用数理科3年(生物分野 第1回)
徳島大学教養教育院 渡部先生ご指導の下、応用数理科3年生 アドバンスドサイエンス生物分野選択9名の生徒に対して、高大連携講座が行われました。生物分野においては、3回にわたって行われます。
高大連携講座は、大学の施設・設備を使い、高校で行いづらい実験を実施し、学習内容を深めること、また、大学での授業を経験することで、学習意欲の向上を図り、高校と大学の連携をスムーズにすることが目的です。第1回は6月13日(火)に実施され、テーマは「制限酵素地図を作ろう」でした。
まず、マイクロピペットの使い方の練習を行いました。10μLを1μLごと10回で取れるかどうかの練習です。さすがは応用数理科生徒、上手にマイクロピペットを使っていました。その後、制限酵素を使い、DNAを特定の場所で切断します。その後、切断したDNA断片に対して電気泳動を行い、DNA断片の長さを測り、制限酵素で切断される場所を推定しました。
電気泳動の待ち時間には、実験で使用しているたくさんの生物を見せていただきました。遺伝子操作により、双頭のイモリの幼生やアルビノのイモリやアフリカツメガエル、染色したカエルの骨格標本などを見て、生徒達は大学での学びに胸を膨らませていました。
マイクロピペットの練習です 制限酵素を加えてきます マイクロチューブの端に溶液が
残らないように遠心分離にかけます
制限酵素で切断したDNA断片を電気泳動にかけます くぼみ(ウェル)にDNA断片を入れます
遺伝子操作で双頭のイモリの幼生です イモリです
遺伝子操作でのアフリカツメガエル(アルビノ) 骨と筋肉を残し染色されたカエル
電気泳動の結果です。横にはDNAマーカーを一緒に流してあります。
①制限酵素無し ②EcoRⅤ ③EcoRⅠ ④EcoRⅤ + EcoRⅠ
応用数理科3年 高大連携講座(徳島文理大学薬学部)
☆ 鈴木ー宮浦カップリング反応を使って炭素と炭素をつなぐ ~ノーベル化学賞の化学反応をやってみよう~
有機合成において重要なことは、原料物質には含まれない新規の炭素ー炭素結合を作ることです。しかし、炭素ー炭素結合は化学的に安定であるため、元々の結合を切り離すことは容易ではありません。また、切り離すことができたとしても、設計とは異なる結合を形成することがしばしばみられるために、有機合成には手間と時間がかかるのが当たり前でした。しかし、さまざまなカップリング反応が開発されるにしたがって、新規分子の設計や構築が、以前より楽になりました。当然、複雑な構造をもつ薬理活性物質の合成においても、重宝されています。中でも、今回の実験のテーマである「鈴木ー宮浦カップリング」は、2010年ノーベル化学賞を受け、世界的にも有名な有機合成手法の一つであります。
6/27(火)午後、応用数理科3年生4名が、この講座に参加しました。この度、講座を担当していただいたのは、徳島文理大学薬学部 薬品物理化学研究室のみなさんです。概要説明と、お世話くださるスタッフの皆さんに自己紹介をしていただいた後、早速操作を進めていきました。
円滑に、かつ安全に実験が進められるように、工夫と配慮をしていただきました。そのおかげで、生徒たちも終始楽しい気持ちで、この日の講座を受講することができました。一連の操作において、「量る・加える・振り混ぜる・溶かす・ろ過する」、化学実験における基本的な動作が詰め込まれた内容でした。そして、合成した物質の収量を測定した後、NMRスペクトルによって、合成反応がきちんと進んでいるかどうかを確認し、未反応物や副生成物もなく、合成がうまくできていることが分かりました。高校生がもつ化学的知識では、合成反応や分析法の原理を知るには、若干難しい部分もありますが、今後勉強を重ね理解を深めるという目標が見出せたのではないかと感じています。
改めまして、久保先生をはじめ、薬品物理化学研究室のみなさんには、この講座のために、貴重なお時間をいただきまして、誠にありがとうございました。
お礼の言葉とともに、城南高校のSSH事業に対しまして、今後もますますのご支援、ご協力賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
Science Introduction(SI)【基礎実験(生物・化学)】
基礎実験が始まりました。
きめ細やかな指導のため、物理・化学・生物・地学の各分野15人ずつで実験を行っていきます。4週で4分野の実験を行い、基本的な実験の技術を身につけていくこととなります。
【基礎実験(生物・化学)】4月28日(金)5月12日(金)5限目
【生物分野】オオカナダモの表皮とネンジュモ(イシクラゲ)のミクロメーターによる細胞サイズの測定
ミクロメーターの使い方については、パワーポイントで説明しながら進めていき、スムーズに理解を深めらるよう工夫しました。
その後、接眼ミクロメーターを使い、オオカナダモの表皮とネンジュモ(イシクラゲ)の細胞の大きさを測定しました。真核細胞と原核細胞の大きさの違いを、実際に見て測定することで、細胞についての理解が深まったと感じました。
また、ネンジュモ(イシクラゲ)については、グランドの横に生息しており、身近なところに教科書の生き物がいることに、驚いていました。
やはり、「百聞は一見にしかず」。実際に見ることで、新たな気づきが生まれ、科学的な見方や考え方の育成につながると感じました。
【化学分野】
化学分野では、昨年に引き続いてピペットと電子天秤の使い方を元に化学実験を行いました。まず、電子天秤を用いて炭酸ナトリウムを0.10g 量りました。葉さじの使い方や薬包紙の取り扱いなどを習得しました。次に、ピベットで水や薬品を量りとり、試験管の溶液に加えてみました。これも量が1mLと少なかったですが、上手く量りとれたようでした。
過マンガン酸カリウム水溶液に過酸化水素水を加えて、硫酸酸性下にあるときとそうでないときの変化を各班で確かめました。酸性ではほぼ無色に近い溶液になり、中性下では黒色の沈殿が生成する様子を観察しました。また、カルシウムと亜鉛に水や塩酸を加えて反応するかどうかを調べ、どちらの金属がイオンになりやすいか調べました。まだまだ実験の経験が少ないようですが、生徒たちは興味・関心を持って取り組んでいました。
Science Introduction(SI)【オリエンテーション】
応用数理科1年生(107HR)での、Science Introductionが始まりました。
1年生Science Introduction(SI)は、2年生での理数探究(課題研究)、3年生のAdvanced Scienceへと発展させていくため、 基礎的な実験手法の獲得や、高大連携授業・大学研究者との交流による研究・学習意欲の向上が目的です。
【オリエンテーション】4月21日(金)5限目
これからお世話をさせていただく理科教員の紹介を行った後、応用数理科で身につけてほしい資質や能力について伝えました。
「夢や目的を持つためには、何事にも興味を持って、まず知ることが大切」であることをお話しました。
その後、SSH生徒研究発表会 文部科学大臣表彰の研究を動画で見て、良い研究とは何か考えました。
身近な現象から疑問を見つけ、検証実験を行い、考察を得る。その中で新たな疑問が生じ、再び検証実験を行う。
課題研究に向かう姿勢を理解すると共に、主体的で深い学びは本当に面白いものであることを、少しでも理解してもらったらと思います。これからは基礎実験・高大連携授業が始まります。
Advanced Science(物理科学)高大連携授業
令和5年6月27日(火)、応用理数科3年生5名がポストLEDフォトニクス研究所(pLED)を訪問しました。
まず、pLED内の実験室を見学しました。矢野隆章教授や久世直也准教授がご自身の研究や実験機器を紹介してくださり、光に関する最先端の研究について学ばせていただきました。また、実験中の学生さんと交流する機会があり、大学でどのような研究や実験を行なっているか教えていただきました。大学生が実際に研究に取り組む姿を見て、学生生活のイメージが広がったことと思います。
次に「光検出器を作って目に見えない光を検出してみよう」という題目で、ブレッドボードでPD回路やAMP回路を作製し、実際に光を当てオシロスコープで確認する体験をしました。江本特任准教授に分かりやすく解説していただきながら回路を組み立て、最終的には回折格子で分光された可視光の両側にわずかに生じる目に見えない紫外光と近赤外光を、自作したPD+AMP回路で検出する実験も行いました。
実験を通して”試行錯誤”や”モノづくり”の楽しさを実際に体験することができました。
光センサーを用いた電子回路により「目に見えない波長帯の光を見つけ出せた」という事実に感動し、光に対する好奇心がより高まったと生徒たちも喜んでいました。
この場をお借りして、このような貴重な体験の機会を設けて下さったポストLEDフォトニクス研究所の関係職員の皆様へ厚く感謝申し上げます。