応用数理科3年 高大連携講座(徳島文理大学薬学部)

☆ 鈴木ー宮浦カップリング反応を使って炭素と炭素をつなぐ  ~ノーベル化学賞の化学反応をやってみよう~

   

 有機合成において重要なことは、原料物質には含まれない新規の炭素ー炭素結合を作ることです。しかし、炭素ー炭素結合は化学的に安定であるため、元々の結合を切り離すことは容易ではありません。また、切り離すことができたとしても、設計とは異なる結合を形成することがしばしばみられるために、有機合成には手間と時間がかかるのが当たり前でした。しかし、さまざまなカップリング反応が開発されるにしたがって、新規分子の設計や構築が、以前より楽になりました。当然、複雑な構造をもつ薬理活性物質の合成においても、重宝されています。中でも、今回の実験のテーマである「鈴木ー宮浦カップリング」は、2010年ノーベル化学賞を受け、世界的にも有名な有機合成手法の一つであります。

 6/27(火)午後、応用数理科3年生4名が、この講座に参加しました。この度、講座を担当していただいたのは、徳島文理大学薬学部 薬品物理化学研究室のみなさんです。概要説明と、お世話くださるスタッフの皆さんに自己紹介をしていただいた後、早速操作を進めていきました。 

 円滑に、かつ安全に実験が進められるように、工夫と配慮をしていただきました。そのおかげで、生徒たちも終始楽しい気持ちで、この日の講座を受講することができました。一連の操作において、「量る・加える・振り混ぜる・溶かす・ろ過する」、化学実験における基本的な動作が詰め込まれた内容でした。そして、合成した物質の収量を測定した後、NMRスペクトルによって、合成反応がきちんと進んでいるかどうかを確認し、未反応物や副生成物もなく、合成がうまくできていることが分かりました。高校生がもつ化学的知識では、合成反応や分析法の原理を知るには、若干難しい部分もありますが、今後勉強を重ね理解を深めるという目標が見出せたのではないかと感じています。

 改めまして、久保先生をはじめ、薬品物理化学研究室のみなさんには、この講座のために、貴重なお時間をいただきまして、誠にありがとうございました。

 お礼の言葉とともに、城南高校のSSH事業に対しまして、今後もますますのご支援、ご協力賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。