2024年1月の記事一覧

第4回電子顕微鏡操作実習

 1月20日(日)9時から15時まで、神戸市立工業高等専門学校において電顕操作実習を行いました。今年度4回目になります。課題研究活動の一環として実施していますが、他の研究班も参加しています。高校では扱うことのできない分析機器を自由に使わせて頂き、大変感謝しております。

 さて、本日のサンプルは砂鉄と玉鋼、そして眉山の鉱物です。走査型電子顕微鏡を用いて元素分析を行い、その結果から対象物の組成を知ることができます。備前長船刀剣博物館の刀匠が自ら採掘してきた砂鉄とたたら製鉄法で作った玉鋼の他、昨年6月の北海道修学旅行で採取した石狩川の砂鉄、8月の全国高文祭に出場したとき鹿児島県薩摩半島で採取した砂鉄、本校のすぐ北側にある眉山で採取した鉱物など12サンプルを測定しました。

 砂鉄では選んだ粒子により成分にばらつきがかなりあります。ほとんどが四酸化三鉄でできている物があれば、ケイ素やアルミニウムを多く含む岩石質の物もあります。そこで、鉄の含有量を合わせるために一定量以上の鉄を含んでいる物だけデータを取りました。少なくとも3回は測定しましたが、中には6回も測定してやっと条件に合うデータを取ることができました。50回以上も測定したので時間がもっとかかると思いましたが、さすがに4回目となるとかなり慣れてきたので6時間くらいで測定を完了しました。これから持ち帰って分析結果から考察するところです。期待と不安が交差しますが楽しみです。

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応用数理科1年生 高大連携講座「課題研究へのアプローチ」

令和6年1月26日(金)の午後,香川大学教育学部の笠先生をお招きして,応用数理科1年生を対象に,課題研究に関する高大連携授業を行いました。導入では,理科の授業と探究活動の違いを考え,証拠を示すことの重要性、さらに「変数(variable)」を意識することで、探究活動がより楽になるとの説明をしていただきました。そこから、「変数とは何か」と問いかけて,様々な種類の本から変数を見つける活動や、様々な図形の中の変数とその値を考え、さらに複数の変数の間における関連性を考える活動を行いました。その後、「パイプが出す音の高さは何によって決まるのか」「浮力は何によって決まるのか」の実験を計画する活動を行いました。比較する2つを決め、なぜその2つの比較をするのかワークシートに理由を記入、発表させることで根拠に基づいた実験計画を立てることを求めました。生徒は実際のパイプやおもりで実験を行い、楽しみながら、思考と理解を深めることができました。アクティブラーニング型授業であり、課題研究等で養われるゆっくりとした思考(スローシンキング)を求める授業でありました。じっくり考えることでより深い思考を体験し、科学技術人材に必要な思考力を高めて欲しいと思います。

   複数の本なかから変数を見つけます   図形の中から変数を見つけ、変数同士の関係について考えます

 ボトルの大きさと重さの関係について知るために   大きさ、重さ、形と浮力の関係について、どのような

 どのような比較をすればいいか考えています     比較実験をすればいいか計画し、実験しています

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応用数理科107HR(SI)高大連携講座

1月12日(金)応用数理科 107HRを対象に徳島大学ポストLEDフォトニクス研究所から、加藤 遼 先生にお越しいただき、高大連携講座を実施しました。加藤先生は、様々な光計測を駆使したバイオセンシング・バイオイメージングを行い、病気の早期発見・早期治療への貢献を目指されており、医工融合分野でご活躍されている先生です。今回は「光ピンセット」を用いた実験を行っていただきました。

初めは、先生が研究者になられた経緯と研究の概要についてお話いただきました。加藤先生から「高校での学習は将来チャレンジする力に大きくつながる」とのメッセージをいただき、日々の学習へのモチベーションになったのではないでしょうか。

次に「光ピンセット」の実験を行いました。最初、光ピンセットの原理を説明していただいた後、実際「光ピンセット」を使い、数μmのポリマーを移動させました。持ってきていただいた、「光ピンセット」の機械の仕組みについて改めて理解すると共に、数μmのポリマーを光を使い、つかんで移動させていることに感動していました。また、実験の待ち時間には、「光ピンセット」についての課題をいただき、グループで考えました。私たち教員も生徒達のグループに入り、一緒に考え、理解を深めました。

最後に、「光ピンセット」の利用法や、その他現在行っている研究についての説明をしていただきました。

今回の高大連携講座を実施により、最先端の研究やその装置に触れ、科学技術についての興味関心が高まったと共に、学問分野の横断(医工融合)により、新たな技術が創造されることを理解できたのではないでしょうか。現在学んでいる学問がどのように応用され、活用されていくのかイメージをつかみ、将来の科学技術人材として必要な資質・能力を身に付けていって欲しいと思います。

 

  光の可能性について説明していただきました      光ピンセットをつかって、ポリマーをつかんでいます

   

 光ピンセットに関する課題について議論しています     医療への応用についてお話しいただきました

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令和5年度野島断層フィールドワーク講義&現地実習

 11月17日(金)と12月19日(火)に、淡路島の野島断層に関する講義と現地実習を行いました。これは応用数理科の1年生を対象に毎年実施している行事で、地学への興味関心を高め防災減災の意識を持たせるとともに、現地調査の意義を知ってもらうことを目的にしています。徳島大学名誉教授の村田明広先生を講師としてお招きして、107HR生徒全員で現地へ行きました。

 1995年1月17日午前5時46分に発生した阪神淡路大震災で、史上初の震度7が記録されました。そのとき動いたのが淡路島北部を南西から北東に走る野島断層でした。その一部が野島断層記念館に保存されています。生徒たちにとっては生まれる前のことなので余り実感がないようですが、館内で村田先生の説明を受けそのパネルから垣間見える惨状に言葉を失っていました。引率教員にも体験者がいて、自宅2階の床がフラフープのように回転したり、サツマイモ畑から砂が吹き出したりといった生々しい話も聞けました。

 断層の説明を受けた後、被災した住宅内部を見学しました。当時は断層のすぐ横にあった家屋で、柱がずれて傾いたり台所に食器が散乱したりしていました。外周でもコンクリの塀が割れていたり、生け垣がずれていたりしたそうです。再び館内に戻って、過去の地震災害や地震が起こるモデルなどを見学しました。災害がいつ起こるかわからない。だからこそこうした研修が必要だと実感しました。

 続いて、明石大橋の淡路島側のアンカレッジまで移動しました。大震災のときに橋脚(橋を支える柱)が動いて、橋長が1mも伸びました。その様子はここからではわかりませんが、橋桁ができる前だったので計算をやり直して建造し開通したそうです。また、途中で震災公園も車窓見学しました。ちょうど防波堤の継ぎ目から断層が海峡に沈んでいました。災害発生のメカニズムを知ることで防災減災の施策につなげていくことの大切さを知りました。有意義なフィールドワークでした。

 その後、1月1日午後4時10分に石川県能登半島を中心とする大地震が発生しました。震度7が再び記録され、大勢の方々が自宅で被災して現在も避難所で生活されています。建物や道路の被害も大きく、港湾では水底が隆起して陸になっているのをニュースで見て、生徒たちもかなり気になっているようでした。本県でも南海トラフによる大地震の懸念が高まっています。いざというときのためにどういった準備をしておくべきか、そのときはどのように行動すれば良いのか、自分で考えて行動することが求められています。

 

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徳島生物学会発表(中高生の部)

1月6日(土)午後 徳島文理大学薬学部で行われました徳島生物学会で「魚類の消化管に存在するマイクロプラスチックの検出方法とその結果」の発表してきました。中高生の発表では、本校の発表の他、鳴門教育大学ジュニアドクター発掘・養成講座から「DNAバーコード法による昆虫の種類名の同定と系統樹の作成」、脇町高校から「サワガニの体色と分布について」の発表が行われました。また、一般発表として8つの研究発表が行われました。どの発表も様々な観点から研究が行われており、非常に興味深かったです。本校の発表も堂々とした発表で、自信を持って発表並びに質疑応答ができていたと思います。いただいたアドバイスを基に、最終発表への検証実験、まとめを行って欲しいと思います。

 

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日本金属学会「若手フォーラム」に参加して

 12月23日(土)に徳島大学にて、「若手フォーラム」が開催されました。これは日本金属学会と日本鉄鋼協会中国四国支部が主催するもので、高校生や専門学校生、大学生など若人を対象とする研究成果の発表会です。当日の午後には20くらいの個人・グループが集まり、ポスターを貼ったり説明内容の最終確認をしていました。本校からは海部刀を研究しているチーム(通称海部刀班)が参加し、「SEMを用いた元素分析が刀剣の原料となる砂鉄産地の特定につながる可能性について」と題してポスターセッションを行いました。

 海部刀班は最初の発表者となりました。参加者が多かったので、わずか3~4分程度の持ち時間でショットガンプレゼンテーションをしました。それでも1時間半ほどかかりました。その後休憩を挟んでフリーディスカッションとなり、互いに説明したり質問を受けたりして活発に交流しました。最後に講評を頂いて認定証が授与されました。公の場での発表は2回目になるので、受け答えもかなり堂々としていました。今後も一層の活躍をして欲しいです。

 ※海部刀 室町時代から徳島県南部の海部川流域で作られていた日本刀で、海部氏吉(かいふうじよし)を祖とする。

      刃の反りが大きく重厚なため、刀剣としてだけでなく日常的にナタやカマとして用いられた。

      1600年の関ヶ原の戦いでは、阿波藩蜂須賀(はちすか)家で戦闘用に使われた。

      この原料となる砂鉄の産地が未だにはっきりわかっていないため、分析用に古刀期の海部刀を探している。

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第3回天体観測会in城南

 12月22日(金)終業式を迎えた日の夕方、本校の北側駐車場にて天体観測会を実施しました。昼過ぎまでは曇天で雲が厚く垂れ込めたり小雨が降ったりでしたが、日没の頃に少しずつ雲が切れて、南空の高い位置に半月を少し過ぎた月が昇っていました。風はほとんどありませんが、気温が急下降して寒くなりました。そこで、まずは校内にて本日見える星座や天体の説明、太陽系の惑星の話などをしました。一方で、その間に本校生たちが望遠鏡のセッティングをしました。

 しばらくして準備が整ったので観測を始めました。冷え冷えとした感じの月面にはクレーターが見えました。「海」と呼ばれる暗くて平坦な部分との境目に、大きな穴ぼこがいくつも重なっています。カタリナ・キリウス・テオフィルスと名付けられています。ティコというクレーターから光条という光の筋が少し見えていました。

 木星も見頃でした。イオ・エウロパ・ガニメデ・カリストのガリレオ衛星4個がうまく離れて見えました。何となく赤っぽいイオは、木星の潮汐力で地殻がひずむため摩擦熱で融解した硫黄が噴出しています。地球以外で活火山が見つかった初めての例です。逆に白っぽいエウロパは表面が氷で覆われていますが、内部には融解した水つまり海が広がっているのではないかと考えられています。生命がいるかもしれません。そういう思いをはせながら、いつの間にか時間が経っていました。

 参加された小学生や中学生、保護者の方々も次々と望遠鏡をのぞいていました。スマホで画像を撮っている人もいました。木星のリングが見えないかと聞かれましたが、すみませんがこの望遠鏡の倍率では無理ですと笑っていました。冬空はとても澄んでいて夏よりも星がよく見えます。東空にオリオン座が昇ってきました。爆発するかもと話題になったベテルギウスや青白いリゲル、オリオンのベルトの位置にある小三つ星の下に、ボォ~と光るオリオン大星雲などが見えました。

 しかし、残念ながら観測会はここまでです。手がかじかんで戸外にいられるのも限界です。名残惜しくありましたが、これでお開きと致しました。参加された皆様方、ありがとうございました。スタッフの生徒諸君もご苦労様でした。アンケートでは良かった、また観測会をして欲しいといった要望が多く寄せられました。また機会を設けるので楽しみに待っていて下さい。

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