野球部活動報告

2023年10月 硬式野球部活動報告(Liga Agresiva徳島)

~ 仲間とともに真剣に戦い、切磋琢磨し、野球を愉しむ ~

日頃は、本校硬式野球部の活動にご理解、ご協力いただき誠にありがとうございます。

今年も9月末から10月にかけて、恒例のリーグ戦「Liga Agresiva徳島」が展開されました。

これは全国各地で行われている『選手たちの未来にフォーカスした』リーグ戦形式の取組み「Liga Agresiva(リーガ アグレシーバ)」の一角をなすものであり、今年の夏に行われた第105回全国高等学校野球選手権大会の出場校では、見事に全国制覇を果たした慶応高校(神奈川)、ベスト8と躍進を果たしたおかやま山陽高校(岡山)など4チームが「Liga Agresiva」参加校であることが話題となり、新時代の高校野球を形成する画期的な取り組みとして全国的に注目を集めています。

「Liga Agresiva徳島」特別ルールの一例として

 ・ 1試合7イニング制で延長戦なし、5回7点差(2023年、5点差から改正)でコールドゲーム成立

   ※ クライマックスシリーズのみ無死満塁からのタイブレーク適用

 ・ 打者は低反発(新規格)バットもしくは木製バットを使用

 ・ バントは禁止

 ・ 投手は変化球の投球禁止(ただし、クライマックスシリーズでは2ストライクから投球可)

 ・ ストライクの見逃しは1球目でもアウト(見逃し三振扱い) などが挙げられます。

        なお、球審を含む審判やボールボーイなどは試合をしていないチームが行い、生徒が主体となって運営にあたります。

本校は2021(令和3)年から参加しており、3度目のシーズンを迎えました。

初年度は選手10名でリーグ優勝、クライマックスシリーズ準優勝、昨年度は選手15名でリーグ準優勝、クライマックスシリーズ優勝と輝かしい成績を残しておりますが、まだ完全優勝には届いておりません。

今年は選手が19名となり、より選手一人ひとりの出場機会を拡大し、経験値を高めることを目指して2年生10名を「ジョー」、1年生9名を「ミナミ」と2チームに分割して出場しました。今年度の結果は以下の通りです。

リーグ戦

9月30日(土) 

 ジョー ⚪  5 -  3  城北

 ミナミ ⚪  9 -  2  連合(つるぎ・城ノ内・池田辻・阿波西)

 ミナミ ⚫  0 -  7  城北

 ジョー ⚪ 14 -  6  連合

10月8日(日)

 ジョー △   6 -  6  徳島科学技術

 ミナミ ⚪  6 -  0  連合(つるぎ・城ノ内・池田辻・阿波西)

 ミナミ ⚪ 13 -  5  徳島科学技術

 ジョー ⚪  5 -  0  連合

 

10月14日(土)

 ジョー ⚪  2 -  1  徳島科学技術

 ミナミ ⚪  2 -  1  城北

 ジョー ⚪  7 -  4  小松島西

 ジョー △   2 -  2  小松島西

 

10月15日(日)

 ジョー ⚪ 14 -  0  吉野川

 ミナミ ⚪  5 -  1  吉野川

 ジョー ⚪  7 -  1 ⚫ ミナミ

 

《結果》

 1位 ジョー 8試合 7勝 0敗 1分

 4位 ミナミ 8試合 5勝 2敗 1分 

《個人タイトル》

 本塁打王、打点王:蔭山凜太郎(ジョー)
 最多安打:中山昌也(ジョー)


 最多勝利投手:大川太陽(ジョー)
 最多奪三振投手:池田晃誠(ミナミ)

クライマックスシリーズ

10月28日(土) 

 1回戦 ミナミ ⚫ 2 - 3 城北

 2回戦 ジョー ⚪ 8 - 0 吉野川 

10月29日(日) クライマックスシリーズ

 準決勝 ジョー  ⚫ 0 - 3 三本松

 今年も残念ながら完全優勝は逃しましたが、選手全員がスタメン出場し実戦経験を積むことによって経験値を高めることができました。また、個人タイトルも打撃二冠の蔭山をはじめ4名が獲得するなど、成果を挙げています。一発勝負のトーナメントでは負けたら終わりですが、リーグ戦は負けても次の試合があり、反省を活かす機会があります。その試行錯誤の過程こそ、逆にトーナメントで発揮するために必要な力をつけるためには不可欠です。そういう意味でも、リーグ戦は選手としての成長を引き出すには絶好の取り組みであるように思います。

高校野球界では、2024(令和6)年度から金属バットの規格が変更され、現行の物より金属の厚みがあり、0.3mmほど細い低反発バットの使用が義務付けられます。高校野球自体が大きく変わる可能性がある中、打球感はこのリーグ戦で経験する状況に近いものとなるため、参加校はいち早く新規格への対応を始めていることになります。私たちはここでの学びを活かし、来年こそは甲子園の夢を実現できるよう課題をしっかり乗り越えていきたいと思います。

今年も運営に尽力していただいた先生方や、共に戦った仲間への感謝とともに、徳島県はもとより全国の参加校の皆様と、これからも野球文化を発展させるグッドフェロー(良き仲間)であり続けたいと心から願っております。

 

《文責》尾形

 

2023(令和5)年10月 硬式野球部活動報告(環境防災活動)

~ グラウンドの外でも強くなれる!目標達成に向けた「すさみ除去」のための勝負! ~

2学期中間考査最終日の10月13日(金)、毎年恒例の環境防災活動が行われました。硬式野球部は今年も、選手は学校敷地の東側にある側溝の掃除、マネージャーは投球練習場付近の草抜きをしました。

3年前は選手10名で、約3時間かけて掃除した側溝。今年は選手19名。硬式野球部がこの場所の掃除を行うのは1年に1回だけですが、年を追うごとに清掃の成果が現れているのか、今年はゴミも少なかったため30分程度で終了しました。

3年前と比べてほぼ倍になった選手の人数。しかし、ただ人数が多いだけでは話にならない。全員が機能しなければ意味を成さない。「人数相応のベンチワークのクオリティー」を創出するべく、部員全員が役割をしっかり果たして取り組みました。

スタッフも試合中の作戦のごとく的確に陣頭指揮を執ったり、側溝の中に先陣を切って入り作業に取り組むなど、チーム全員が協働した結果が、この短時間での清掃完了につながったといえます。

秋季大会以降、練習試合では連敗が続いていますが、このような悪い流れの時期こそ「すさみの除去」が不可欠です。

2001年にアメリカ合衆国で発生した同時多発テロ。その収束に向けて奔走したことで知られる当時のニューヨーク市長、ルドルフ・ジュリアーニ氏は「割れ窓理論」を市政に取り入れ、世界的な犯罪都市として悪名の高かったニューヨーク市を安全な都市に生まれ変わらせたことで知られています。

「割れ窓理論」とは、 1枚の割られた窓ガラスをそのままにしていると、誰も注意を払っていないという象徴になり、さらに割られる窓ガラスが増え、いずれ街全体が荒廃してしまうという、アメリカの犯罪学者ジョージ・ケリング博士が提唱した理論です。学校でいえば、教室のガラスが割れているのをそのまま放置しておくと、クラスの空気が悪くなることに誰も注意を払わないという象徴となり、クラスや学校が崩壊するということにつながります。それを防ぐために、学校教育の現場においては、少しでも心がすさむ要素があれば、それを排除することが不可欠となります。

ニューヨーク市の場合は、軽犯罪の徹底的な取り締まりによって治安が劇的に改善されたことで知られていますが、この活動の場合はチームにとって「私たちが快く野球をさせていただいている地域への感謝」が原動力となります。

城南高校は活気にあふれる学校ですから、常に一日を通して大きな声が響き渡ります。

硬式野球部の練習や練習試合においても金属音やピッチングマシンの動作音、そして生徒の声、人によってはうるさいと感じることもあろうかと思います。

しかし、地域の皆様がすべて受け入れ、応援していただいているからこそ私たちの活動が成り立っています。私たちは、この環境を作っていただいている温かさに感謝しております。側溝も生活排水の流入で悪臭が漂い、やはり水質も悪かったのですが、少しでもその環境が改善されるように取り組むことで、野球だけではない形で地域の皆様への恩返しができるのではないかと考えています。

自分の利益や損得だけではなく、誰かの幸福のために取り組むことも大切である。人間形成こそが勝利、甲子園、人生の目標へと続く道。文武両道を実践する私たちは野球の練習だけでなく、日々の学校生活や日常生活の中でも成長を目指して取り組んでおります。

《文責》尾形

第76回徳島県高等学校野球秋季大会2回戦

~ 連戦連勝ならずとも、総力を尽くした「グッドゲーム」 ~

9月24日(日)、鳴門市の鳴門オロナミンC球場で第76回徳島県高等学校野球秋季大会の2回戦が行われました。

対戦相手は、徳島県では毎年10月に開催されている「Liga Agresiva」で共に切磋琢磨する、城南高校のグッドフェロー(良き仲間)、徳島科学技術高校です。

 《バッテリー》

(徳島科学技術)宮内-中内 (城南)馬詰-島

《長打》

▽三塁打 (徳島科学技術)川原
▽二塁打 (徳島科学技術)大久保,楠,濵野 

《試合の総括》

常にスポーツマンシップの精神を大切にして指導し、フェアプレーで勝利を目指して戦う両校監督の「グッドゲームを共に創ろう」という対話の後に始まったこの試合は、連投という厳しい状況でも気合十分の城南エース馬詰と、スピード以上に打ちにくい球筋が持ち味の徳島科学技術エース宮内投手の好投手対決となりました。

先に試合を動かしたのは城南。四球で出塁した6番馬詰が7番松島の送りバントの間に進塁し、盗塁を決め三塁へ進塁します。9番松尾の四球で二死一・三塁。1番中山が中前に安打を放ち、先制点を挙げます。

3回以降は走者を出しながらも得点に結びつかず、残塁の目立つ厳しい展開となりますが、好守と馬詰の力投で再三のピンチをしのぎます。

5回表、徳島科学技術の攻撃では二死から9番打者にストレートの四球を与え、1番川原選手に投じた高めに大きく外れたボール球を痛打されます。この打球は中越三塁打となり、ここで同点に追いつかれます。

練習試合から課題となっていたグラウンド整備後の攻防。守備に入る前の円陣で、中心に立ったのは主将の島。

「1点差で勝とう。打つから俺に回してくれ」との声かけから始まった後半戦。

6回表、徳島科学技術の先頭打者、3番楠選手の右前への詰まった打球は、右翼松島の懸命のダイブも及ばず二塁打となります。4番打者のコースをうまく狙ったバントが安打となり、無死一・三塁のピンチを迎えます。一塁走者が盗塁し、二・三塁となったところで伝令を送り、続く5番打者をフライアウトに打ち取り、6番打者の遊ゴロを遊撃國平が冷静に本塁へ送球した後、挟殺プレーが決まり二死二・三塁とします。ここで7番濱野選手をカウント上では有利なところまで追い込みますが、高めのカーブを狙い打たれた打球は中越二塁打となり、ついに勝ち越されます。

まだ攻撃は4イニングある。焦ることはない。1点づつ返していくのみだという意識で6回裏以降も攻め続けますが、走者を出しながらもホームが遠い、苦しい展開が続きます。試合の最後まで無失策で守り抜いた野手陣からも、これ以上の失点を許さない、守って流れをつかむという執念が見られました。連投で17イニングを投げ抜いたエース馬詰も、志願の完投で援護を待ちます。 

試合をひっくり返されて以降、1点ずつ返していけば間に合うと攻め続けながらも無得点に終わり、9回裏の攻撃を残すのみになります。

逆転を期して攻めるには十分な、1番中山から始まる好打順。一死から2番國平が四球、3番大野が安打でつなぎ一死一・二塁とします。ここで、チャンスで回してくれと強く願った4番島。低く速い打球は三遊間を抜けるかと思われましたが、遊撃手がノーバウンドで好捕し、すぐに二塁へ転送され二塁走者が戻り切れず併殺となり試合終了。2年ぶりのベスト8進出を逃しました。

体調も万全でない中での連戦という過酷な日程は圧倒的に不利な状況でしたが、最後まで無失策でよく戦い切りました。

勝つことができなかったのはチームの誰もが悔しいですが、まず秋季大会を戦わせていただいたことへの感謝を忘れてはいけません。

野球以外の部分、いわゆる「フェアゾーン以外の270度」で勝負するなら、この秋季大会は1回戦の時点で完敗です。それでもチームを勝たせてくれたのは、保護者の皆様や部員の友人といった関係者の全力応援、全力バックアップの賜物です。いかに苦しい状況でも応援される存在、それが城南高校硬式野球部であり、これからもより応援されるチームであり続けないといけない、と実感する大会となりました。

甲子園を目指すチャンスも1年生は後3回、2年生は最後の夏を残すのみとなりました。ここからは冬にかけて体力強化と新戦力の可能性伸長ですが、春季大会以降の戦いで鍵を握るのは「10人目以降の戦力」と「2番手以降の投手陣」です。

公式戦は春季大会までないので、ここからは長い冬になります。

今大会で感じた選手層の薄さを覆すことができるよう、特に控え選手には控えに成り下がることなく、春にはレギュラー争いに殴り込みをかけられるよう、悔しさを原動力に変えて奮起し、冬に鍛え抜くことで一回り大きく成長することを期待しています。すべての学年に共通することですが、3年生になってレギュラーが取れたらいいな、という悠長な考えでは、下手をすれば来年入学してくる新1年生に一気にポジションを奪われかねません。強気の勝負と共創で、学年に関係なく強い勝利意欲を有し、自己実現のための努力を惜しまない、誰もが認める強い選手がチャンスをつかんでほしいと願っております。

この試合が、秋の四国大会終了後に大規模リニューアル工事に入る鳴門オロナミンC球場で戦う最後の公式戦となりました。完成は2026(令和8)年の予定ですから、今後、生徒たちが高校生の間にプレーできることはありません。

現役の選手だけでなく、監督・部長・副部長の3名も高校野球でプレーした経験のあるこの球場との別れが突然にやってきたということで、淋しい気持ちはありますが、ここまで私たち徳島県の野球人を50年にわたって見守ってくれた球場への感謝を今後の野球人生においても忘れることなく、新しい舞台で飛躍できるチームへと成長を遂げることが球場への恩返しです。工事期間中は学校所在地と同じ、眉山が背後にそびえる徳島市のむつみスタジアム(蔵本球場)がメイン会場となる予定ですが、私たちはこの長い冬に鍛え上げ、春には満開の桜が咲き誇る眉山をバックに躍動することのできる強さを身につけて全力で戦います。

応援していただいた皆様におかれましては、大会開幕前は大変なご心配をおかけし、誠に申し訳ありませんでした。

重ねて、今大会も全力応援いただき、誠にありがとうございました。今後とも応援、よろしくお願い致します。 

《文責》尾形

第76回徳島県高等学校野球秋季大会1回戦

~ 大魔境を乗り越え、3年連続の初戦突破!! ~

9月23日㈯、鳴門市の鳴門オロナミンC球場で第76回徳島県高等学校野球秋季大会の1回戦を戦いました。

臨時休校等による日程変更により、1週間遅れの初戦。対戦相手は城南高校とはライバル関係に当たり、練習試合での交流も深い同じ徳島市内の普通科実力校、徳島北高校です。私たちはこの試合を戦えることへの感謝を忘れず、「グッドゲーム」「ナイスゲーム」を共に創ろうという意識で勝負に臨みました。

 

《バッテリー》(城南)馬詰-島(徳島北)日下,山下,日下,赤澤-原田 

《長打》▽三塁打 (城南) 國平    (徳島北) 桒原   
    ▽二塁打 (城南) 中山,馬詰 (徳島北) 高瀨   

《試合の総括》

序盤は徳島北高校エース・日下投手の140KM近い速球にタイミングが合わず、前半に多くの三振を喫しました。先に試合を動かしたのは徳島北。2回表、5番桒原選手に右中間への三塁打、6番高瀬選手に左中間への二塁打を打たれ1点を先制されます。連打を浴びながらも最少失点に抑え、迎えた2回裏。二死から6番馬詰が四球で出塁し、盗塁を決め二死二塁。この日は右翼手としてスタメン出場した背番号3の7番松島がカウント3‐2から右中間に渋く流し打った安打により、二塁走者馬詰が生還しすぐに同点に追いつきます。

その後、3回裏、4回裏にもチャンスを迎えますが無得点に終わり、いつ勝ち越されてもおかしくない状況ながらエース馬詰の気迫の力投、野手陣の懸命の守備で失点を許しません。

グラウンド整備前の5回裏。ついに城南がこの試合初めてのリードを奪います。先頭打者の9番松尾が中前への安打で出塁し、1番中山が送りバントを決め一死二塁。2番國平が広く空いた右翼線方向に流し打った打球は三塁打となり、二塁走者の松尾が生還します。

1点リードで迎えた6回表。守備前の円陣で中心に立った國平の「みんなの力が開花するような戦いにしよう」という言葉から始まった守備は、先頭打者が初球をとらえたライナーを二塁松尾がジャンピングキャッチし1球で一死を取り、その後も遊撃國平の好守、捕手島がこの日2つ目の盗塁刺と、攻めの守備がさらに流れを呼び込みます。

後半最初の攻撃、6回裏は先頭の6番馬詰がフェンス直撃の二塁打で出塁し、7番松島の送りバントの後、8番三次の犠飛で馬詰が生還し、リードを2点に広げます。

7回表、徳島北の先頭打者を四球で歩かせ、安打と内野ゴロで一死一・三塁。7番打者がスクイズを敢行し、城南のリードは1点に縮まります。点を取られた直後の7回裏。徳島北は継投を選び、代わったばかりの投手から1番中山、2番國平の連打でチャンスを作り、3番大野の送りバントで一死二・三塁とチャンスを広げます。4番島を迎えたところで日下投手をマウンドに戻します。その後、二死二・三塁から5番蔭山が右前に安打を放ち中山が生還、國平は本塁タッチアウトとなりますが、再びリードを広げます。

8回裏には先頭の6番馬詰が右翼方向への三塁打を放ち、7番松島が四球で出塁。その後、9番松尾が三遊間をゴロでうまく抜き1点を追加。さらに1番中山、3番大野にもタイムリー安打が生まれ、リードを5点に広げさらに突き放します。

9回表は先頭打者こそ出したものの後続を併殺打に打ち取り、完全に流れを断ち切りました。エース馬詰は119球にわたる力投を展開し、秋季大会では3年連続となる初戦突破に導きました。

体調不良からの復帰者もまだ万全の状態ではなく、序盤は声もあまり出ない苦しい展開が続きましたが、イニングを重ねるごとに本来のプレーが出るようになり、最後はリードを守り切ることができました。

この試合ができたのは、徳島北のスポーツマンシップによる協力なくして語れません。もし従来通りの予定であれば、選手の人数が揃わず、棄権を余儀なくされるところでした。徳島北にとっては1週間待たされて、チームが間延びしてもおかしくないという状況の中、私たちのために条件を受け入れてくれたからこそ今日の試合があったのだと確信しています。改めて、本校の体調不良者続出に際し、より良い形での初戦実施の可能性を模索していただいた皆様と、徳島北の皆様への感謝は尽きません。

加えて、城南の生徒たちの「1点に対する執念」が最後までしっかり発揮されました。2学期以降、苦しい思いに耐えてきた城南高校すべての関係者に、希望の光を呼び込むナイスゲームとなりました。過去に経験したことのない逆境どころか「大魔境」といっても過言ではない苦しみの中でつかんだ勝利は、間違いなく今後のチームにとって非常に大きい財産となります。

2回戦は9月24日㈰14時30分から、鳴門オロナミンC球場徳島科学技術高校と対戦します。連戦となるだけでなく、ここからも実力校が揃い、簡単に勝たせてもらえない相手が続きますが、次の一勝につながるよう「一球一心 ~心はひとつ ~」のチームスローガンのもと、生徒、保護者、OBなどすべての関係者に勇気を与える試合となるよう、全力で戦い抜きます。

皆様、本日はそれぞれの場所から応援いただき、ありがとうございました!

明日以降も応援、よろしくお願い致します!!

《文責》尾形

2023(令和5)年7・8・9月 硬式野球部活動報告(練習試合)

~ そう簡単に勝てるほど、野球は甘くない!厳しさを乗り越えて強くなれ!! ~

日頃は本校硬式野球部の活動にご理解・ご協力いただき誠にありがとうございます。

7月19日(水)に新チームが始動して、約2ヶ月が経過しました。チームは前チームからのレギュラーを中心に、経験豊富な選手たちを軸として、新戦力としての台頭を狙う選手たちと切磋琢磨しながら強化に努めています。

今回は新チームになって戦った、7月後半と8月の練習試合結果について報告させていただきます。

7月22日(土) 

 〇  7  -  5 徳島科学技術

7月26日(水) 

 〇  4  -  0    阿波

7月30日(日) 

 〇  7  -  4 岡山工業
 〇  8  -  1 岡山工業

8月1日(火)

 ●   2     -   7    西条(愛媛)

 △   16  - 16    西条(愛媛)
8月4日(金) 

 〇    4  -  1  岡山城東

 △    7     -    7     岡山城東
8月5日(土)

 △   9  -   9  関西大学第一(大阪)
 〇  12 -   4  関西大学第一(大阪)
8月6日(日)

 ●  5  - 12  今治西(愛媛)
 〇 13     -   3  大崎(長崎)
8月20日(日)

 〇   4     -   3  徳島商業
8月22日(火)

 〇  8  -  1  徳島北
8月26日(土)

 ●   1  -  9  尽誠学園(香川)
8月27日(日)

 △    4   -    4  松山聖陵(愛媛)
 〇  10   -    7  松山聖陵(愛媛)

9月2日(土)

 〇  13  -   11     阿南光

 〇  4  - 3   梼原(高知)

9月3日(日)

 ●        0 - 4   高瀬(香川)

 〇       7 - 0  川之江(愛媛)

各校において、まだチームのスタイルが固まり切っていないこの時期の勝率としては高い部類になりますが、内容に関して言えば悪い意味で新チームらしい、何点リードでも追いつかれたりひっくり返されたりという展開になり、セーフティーリードなど存在しないという大味な試合も見られました。

各選手にとって、格好のアピールチャンスとなる各試合。各個人にとってもチームにとっても攻守に課題が多く見つかった一方で、攻撃面では集中打も飛び出すようになり、ベンチワークを引っ張る上級生やマネージャーの素晴らしい仕事ぶりが見られるなど、チームは確実に成長を遂げています。

相手も強豪校がずらりと並び、簡単に勝たせてくれないようなよく鍛えられたチームばかりで、レベルの高いプレーが生徒達に良い学びをもたらしました。

夏休みと城南祭が終わり、2学期も平常運行へとシフトチェンジが進んでいます。今年は例年にない壮絶なイベントの後に通常授業が再開されましたが、高校生としての平常運行に戻ったときに秋季大会初戦を迎えます。

ここで躍進し、来年春には13年ぶりに選抜の舞台に返り咲くことができるよう、これからも「一球一心 ~心はひとつ~ 」のチームスローガンのもと、日々の活動に悔いを残すことのないよう全力で取り組みます。

皆様、今後とも応援よろしくお願い致します。

《文責》尾形

第76回徳島県高等学校野球秋季大会 組み合わせについて

~ 勝負の秋! 勝ち上がるごとに強くなれ!! ~

9月8日(金)、鳴門市のアミノバリューホールで第76回徳島県高等学校野球秋季大会の組み合わせ抽選会が行われました。

第76回徳島県高等学校野球秋季大会組み合わせ.pdf

日程が当初と変更になり、城南高校の初戦は大会4日目となる9月23日(土)鳴門オロナミンC球場時30分から行われる第一試合徳島北高校と対戦します。

本校の入ったゾーンは今大会の最激戦ゾーンといわれ、城南が新人ブロック決勝で2対3で敗れ、第一シードの鳴門渦潮高校をはじめ、昨年度21世紀枠で選抜に出場したメンバーも残る城東、県内最速投手を有する生光学園高校など有力校が続きます。初戦から実力校が続き、簡単に勝たせてくれないチームとの対戦が続きますが、健康管理をしっかりと行い、一戦必勝で勝ち上がることができるよう全力で戦いますので、応援よろしくお願い致します。

本校が無事、初戦を迎えることができるよう柔軟かつ迅速に日程調整に尽力していただきました高野連関係者の皆様に深く感謝申し上げます。

《文責》尾形

2023(令和5)年度 徳島県高等学校野球新人ブロック大会(報告)

~ シード権は逃しても、秋季大会の躍進に向けた課題と成果を見出す準優勝 ~

8月11日(金)から、新チーム初の公式戦となる徳島県高等学校野球新人ブロック大会が開幕しました。

城南高校の新チームはエース馬詰をはじめ旧チームからのレギュラー4名が残り、秋季大会での躍進に向けて絶対に負けられないこの大会をいかに戦うか。新主将の島を中心に、部員たちが掲げたテーマは「一球一心 ~心はひとつ~ 」いま一度、このチームスローガンの基本に立って戦おう。チームはそのテーマ通りに戦うことができたのかを皆様と一緒に検証すべく、今大会の2試合について報告させていただきます。

8月12日(土)準決勝

 

 

《バッテリー》

 (城南)馬詰 ー 島 (城北)渡邉、米澤 ー 米澤、木崎 

城南は初回から走者を得点圏に進めるも相手投手の緩い速球に苦しめられ、5回裏まで無安打かつ無得点のイニングが続きます。流れは完全に城北、という厳しい展開の中、6回表に外野手の失策で1点を先制されます。

6回裏、3番大野が左前にチーム初安打を放ち、4番島と連続安打で一死一・三塁。5番馬詰の三塁へのゴロが野選となり大野が生還し、同点にします。さらに7番十川が一塁強襲の安打で出塁し、二死満塁。ここで代打に登場したのは春季大会まで主力打者として活躍しながら、ケガで夏の選手権に出場できなかった蔭山。2か月ぶりの打席ではベンチの期待に応え、復活を告げる左前への安打を放ち島、馬詰が生還しリードを2点に広げます。

9回表、城北は3番打者からの好打順。無死からの連打と内野ゴロの間に一死二・三塁。定位置で確実にアウトを重ねたかったところに内野手の手痛い失策で同点に追いつかれますが、最後は馬詰の気迫の投球で8番打者を三振に取ります。

9回表、先頭の8番蔭山が右前に安打を放ち、9番松尾がバントで送って一死二塁。最後は1番中山が中前に安打を放ち、蔭山が本塁にヘッドスライディングで生還しサヨナラ勝ち。すべての失策が失点につながり、なかなかチャンスが得点につながらないという悪循環が目立つ、内容的には完全な負けの非常に苦しい試合を制し、決勝進出を果たしました。

 

 

8月14日(月)決勝

《バッテリー》

 (城南)馬詰 ー 島 (鳴門渦潮)金山、岡田 ー 藤原

《長打》

 ▽三塁打(鳴門渦潮)川口、金山 ▽二塁打(城南)蔭山 (鳴門渦潮)岡田

中央Aブロックは徳島商業高校が自動通過となるため、秋季大会のシード権を懸けて戦う新人中央大会に進出するためには優勝するしかない。しかし、準決勝のような試合をしているようでは勝てない。その反省が、1日を挟んで活きるのかがこの試合最大の見どころでした。

城南は初回から、走者が出てもあと1本が出ない状況が続きましたが、この日は守備も確実に要所を締め、連投となるエース馬詰の力投を支えます。

 

4回表、先頭打者の5番馬詰が四球で出塁し、この日はスタメンの6番蔭山が二塁打を放って1点を先制します。続く5回表は二死一・二塁から5番馬詰が中前に安打を放ち二塁走者國平が生還、リードを2点に広げます。

 

練習試合から課題となっていた整備後の6回表。鳴門渦潮の2番打者が安打で出塁、3番打者がバントで一死二塁。4番打者に左中間へ運ばれ、1点を返されます。さらに、6番打者の打球は中堅手の右を抜け、三塁打になり同点とされます。7回裏には先頭の8番打者を四球で歩かせた後、二死二塁としますが、2番打者の打球は右翼手の頭上を越え、三塁打になり、ついに逆転を許します。

反撃を狙う8回表。先頭打者は公式戦初スタメンの8番松島。渋く右前に安打を放ち出塁し、代走に遠藤が起用されます。9番松尾がバントで送り、捕逸で一死三塁のチャンス。1番中山が二塁へゴロを打ちますが、三塁走者が惜しくも本塁でタッチアウトとなり、同点にはなりませんでした。9回表にもチャンスはありましたが、得点には結びつかず試合終了。準優勝に終わり、残念ながら新人中央大会進出を逃しましたが、最後まで無失策とよく戦い切ったことは高く評価できる一戦でした。

《大会を振り返って》勝負には勝ったものの内容的には完全な負け試合で、反省点ばかりだった準決勝。それに対し、勝負には負けたものの先制、無失策と充実した内容の決勝。対照的な試合ではありましたが、今後の課題と自信を得ることができただけでなく、一戦勝負のトーナメントで負けることの悔しさを強く感じ、チームの成長につながる大会であったように思います。ノーシード確定の秋季大会は、各県3位まで四国大会に進出できるため、県大会では準決勝、決勝で負けたとしても四国大会に進出しさえすれば、そこでの結果次第で選抜出場のチャンスはあります。しかし、夏の選手権では一銭たりとも負けは許されません。新チーム立ち上げから間もない今、負けが許されないトーナメントを決勝まで戦うことができたのはチームにとって良い経験となったはずです。

試合で結果を出し、大会で勝ち進むためには、まず各個人がやるべきことをやり切る。本当に戦うべき相手は「自分」です。日々の練習でしっかり自分に打ち克つことで、大会の勝負どころでの一本を確実に生み出し、要所を締めることが求められます。

また、この大会で良かったのは2年生の控え選手がベンチワークを引っ張っていたことです。本当は出場したいのに叶わず、悔しいはずの彼らが声を枯らし仲間を鼓舞する姿、攻守交代の際に効率よくできるようテキパキと動く姿に胸が熱くなりました。

今年の2年生選手は10名。出場メンバーを2年生で固めたとしても必ず1人は同時に出場できないことになり、背番号においても必ず1人は控えを表す二桁を背負わざるを得ないという厳しい現実があります。

このような状況にあっても一生懸命動く彼らの姿を見ると、次はレギュラー獲れよ、出場したらどうか大活躍してくれ、と心から応援したくなります。これまで、私も「昨年春までの選手10名の時期よりベンチワークが悪い」と酷評し続けましたが、その潮流が変わりつつあります。この姿に倣い、同じく選手10名の1年生も城南の伝統として受け継いでもらいたいものです。

 

これぞ本物の「一球一心」、チームの勝利とメンバーの活躍を願う心はひとつに向かっています。応援したくなるメンバーが多ければ多いほど、様々な力が後押ししてくれる、勝てるチームになります。

皆様、猛暑に加え台風の影響と過酷な条件の中、応援いただきありがとうございました。

秋季大会での躍進を目指し、これからの活動に全力で取り組みますので、今後も応援よろしくお願い致します。

《文責》尾形

 

2023(令和5)年度 徳島県高等学校野球新人ブロック大会

~ シード権獲得に向けて、2位じゃダメ! 一戦必勝で、優勝しかない! ~

8月3日(木)、鳴門渦潮高校で徳島県高等学校野球新人中央ブロック大会の組み合わせ抽選会が行われました。抽選結果は以下の通りです。

新人ブロック大会組み合わせ表(R5年度)_085558.pdf

本校の初戦は8月12日(土)10:00から鳴門オロナミンC球場で行われる準決勝第一試合で、城北高校と城ノ内中等教育学校、つるぎ高校、池田高校辻校の勝者と対戦します。

この大会は新チームになって最初の公式戦となりますが、 中央A、中央B、西部、南部の各ブロック大会における上位2校が、秋季大会のシード権獲得をかけて戦う新人中央大会に進出します。ただし、夏の選手権徳島大会を制し、甲子園に出場する学校に関しては新チーム移行への準備期間が短いため、所属ブロック2位扱いで自動通過となります。したがって、徳島商業高校が本校の入った中央Aブロックの2位扱いで中央大会進出が決定していることから、本校が新人中央大会に進出する条件は優勝以外にありません。

選抜高校野球も四国の出場枠は2校となり、夏の選手権に出られるのは徳島県で1校のみということを考えると、負けて良い公式戦などありません。2位や3位で通過してやろう、という浅はかな考えで甲子園に行けるはずがないので、勝ちにこだわるという意識は不可欠です。その意識を高めるために、負けが許されない状況を経験することは必ずプラスに働きます。

新チーム発足以降、多くの強豪校と練習試合を行う中で、勝負の厳しさを実感しつつ、課題克服とチーム力強化に努めています。いかに勝ち切ることが難しいかを知った私たちはまず、この大会を一戦必勝の意識を大切にし、頂点を目指して戦い抜きます。

皆様、新チームも応援よろしくお願いします。

《文責》尾形

第105回全国高等学校野球選手権記念徳島大会2回戦

~ 最後のアウトを取られるまで諦めない これぞ城南野球の神髄 ~

7月18日(火)、鳴門市の鳴門オロナミンC球場で第105回全国高等学校野球選手権記念徳島大会の2回戦を戦いました。

対戦相手は春季大会優勝校の阿南光高校です。

《バッテリー》(城南)馬詰、神戸ー上原 (阿南光)吉岡ー井坂

《長打》▽本塁打(阿南光)福田 
    ▽二塁打(阿南光)直江、(城南)馬詰

《試合の概要》この試合のテーマは「守り勝つ」140KM台のストレートとスライダーのコンビネーションで春季大会を一人で投げ抜いた阿南光の2年生エース・吉岡投手を、どう攻略するか。とにかく、流れをつかむまではどんなに厳しい戦いになろうと耐え抜く。覚悟はしていましたが、想像以上に壮絶な試合展開となりました。

先攻の城南は7回表終了まで無安打に抑えられ、突破口を開くことはできませんでした。

一本出れば流れは変わる、そこまで守り切ろうと覚悟して戦う一方、阿南光に2点の先制を許します。

さらに、3回裏には内野手の失策から走者を出し、3番福田選手が放った右翼方向への大飛球はスタンドへ一直線の見事な本塁打となり、リードを4点と広げられます。

4回裏には、ここまで力投を続けてきたエース馬詰に代わり、1回戦で復活登板を果たした神戸がマウンドに上がります。試合当初の想定より早い登板となりましたが、神戸はエースの風格を見事に発揮し、この後8回裏まで5イニング1失点の好救援となりました。

 

その神戸が7回裏、無死一・二塁のピンチを迎えます。ここで右翼方向へのファールフライを右翼手の炭谷が懸命のスライディングキャッチ。二塁走者のタッチアップこそ許したものの、この気迫あふれるプレーはチームの士気を高めます。盗塁で一死二・三塁とピンチは拡大しますが、前進守備で1点も与えられないプレッシャーの中、次打者も遊ゴロに打ち取り、遊撃手の川丘が冷静に処理し二死とします。しかし、二塁走者の飛び出しが大きいと判断して投げた一塁からの送球が悪送球となり、その間に三塁走者が生還。リードを5点に広げられます。5点目の取られ方が悪かったため、無安打のままコールド負けという最悪の状況まで想定しないといけない状況に陥りましたが、ここで簡単に終わらないのが城南の底力です。次打者には中前への安打を打たれますが、この打球を処理した中堅手の大村主将が本塁へ見事なダイレクト送球を決めます。捕手の上原が体を張って本塁に突入する走者にタッチし3アウト目を取り、非常に厳しい局面を何とか1失点で乗り切りました。

給水タイム終了後の8回表。スタンドからは「流れ持ってこい!!」の大声援が聞こえてきます。

その声援が、本当に流れを城南に持ってきました。

先頭打者の5番島がこの試合のチーム初安打を放ち、ついに無安打を阻止します。続く6番上原も安打で出塁し、無死一・二塁。途中から二塁手で出場している7番松尾がバントを決め一死二・三塁。ここから、偉大な3年生の背中を追ってきた2人の2年生による連打で待望の得点を重ねます。8番大野が左中間に運び、島と上原が生還し、ついに2点を返します。さらに降板後、左翼手として出場していた先発投手の9番馬詰が右中間に二塁打を放ち、一塁走者の大野は本塁までの激走を見せ生還し、ついに点差を2点まで縮めます。

その裏の守備でも、右翼手の炭谷が再びファールゾーンへの決死のダイブでフライをつかむなど、流れと勢いは間違いなく城南という球場内の空気を味方につけ、9回表の攻撃を迎えます。一死から4番神戸、5番島が四死球で出塁し一打同点のチャンスを作りますが、後続が断たれ3対5で試合終了。残念ながら2回戦で敗退し、先輩方を超えるベスト8進出は果たせませんでした。

《総括》好投手を相手に無安打が続き、下手をすればコールド負けも想定される劣勢を強いられながらも、最後には観戦していた多くの方から「ナイスゲーム」と声を掛けられる、非常に充実した戦いを展開しました。終わってみれば今大会屈指の好ゲームになり、負けたという結果は悔しいですが、部員たちは本当によく頑張ったと思います。

3年生にとってはこの試合を持って引退となりますが、全員がしっかり実力を発揮した夏であったように思います。

俊足好打とリーダーシップで攻守にチームを引っ張ってきた大村主将、捕手として個性派投手陣をうまくリードしてきた上原、最後にベストピッチングを展開し、エースのあるべき姿を見せた神戸、高いポテンシャルとガッツでチームを鼓舞した炭谷、勝負どころで発揮される強肩・堅守と小技で見せた川丘。この5名の選手に加え、ベンチの主将とも呼べる敏腕仕事人・岡、チームに安心感と癒やしを与えるモチベーター・山田のマネージャー2名。彼らは監督・部長の就任した年度に入学し、選手10名の時代を共に乗り越えた苦しみと輝きを知る最後の学年です。

このメンバーと一緒に戦い、城南高校硬式野球部の新潮流を作り上げたことは私たちの誇りであり、チームの歴史に内容のしっかり詰まった1ページを刻んだことは間違いありません。3年生は、ここからは受験生になりますが、野球だけでなく学校生活、日常生活も含めた「フェアゾーン以外の270度」でのあり方も大切にしてきた部員たちは、360度どの角度からでも勝負できるので、あとは自信を持って人生の大一番を戦い抜いてほしいと思います。

一方で、この試合で悔やまれるミスをした2年生の選手は、悔しい経験を忘れずに日々の練習で実力を伸ばすことで、今後の野球人生における大きな成長へのステップとなるはずです。新チームにはスタメン4名をはじめ、7名の今大会出場者が残ります。翌日から再び、ポジションやキャリアに関係なくレギュラー争奪戦が始まりますが、今のところレギュラーは全席自由席となっております。そこを勝ち抜き、甲子園の舞台に立つことこそ先輩方への恩返しです。

ただし、甲子園に出場するためには今日対戦した阿南光の吉岡投手や春季大会で対戦し、今大会最速153KMをマークした生光学園の川勝投手らを筆頭に、他校にも能力の高い選手が多く残ることから、このような選手を擁する強豪校と対戦したときに「一撃で仕留める」強さが必要になります。その強さを持った熱いニューヒーローの出現を期待していますが、熾烈な競争を勝ち抜いてヒーローになるのは何年生でも良く、グラウンド上の争奪戦には先輩も後輩もありません。

この2試合のためにスタンドで声を枯らし応援してくれた硬式野球部以外の生徒たち、休暇を取るなど調整してまで球場へ応援に来ていただいた保護者会・OB会をはじめとした関係者の皆様、それぞれの場所から様々な形で観戦、応援していただいた全国の皆様への感謝は尽きません。改めて、たくさんの方に応援していただけるチームになったことをチーム一同、感動しており、心から御礼申し上げます。

創部125周年の夏は今日で終わりましたが、次の照準は秋季大会。来年の春には13年ぶり2回目の選抜出場という形で恩返しできるよう、全力で取り組んでいきますので、今後とも応援よろしくお願い致します。

《文責》尾形 

第105回全国高等学校野球選手権徳島大会1回戦

~ 何日かかろうと、俺たちは必ず勝つ! 勝負を決めた1点への執念 ~

7月15日(土)、鳴門市の鳴門オロナミンC球場で第105回全国高等学校野球選手権徳島大会の1回戦を戦いました。

バッテリー》(阿波)小川和,栗栖-多田   (城南)馬詰,神戸-上原

《長打》    ▽二塁打  多田(阿波) 大村(城南)

《試合の概要》

当初、7月10日(月)に行われる予定だった1回戦は天候不順により5日延び、時間帯も変更になったことからコンディションとモチベーションをどのように高めるかが課題となりました。

この日の先発は、総体からエースナンバーをつける2年生の力投派・馬詰。勢いのあるストレートと変化球のコンビネーションで「レッドウェーブ極打線」を標榜する阿波の強力打線を7回2失点に抑え、バックの堅い守備に盛り立てられエースの責任をしっかりと果たしました。

少しでも馬詰を楽にしてやりたいと全員攻撃で臨む城南は3回裏、先頭打者の1番大村の左前への安打と4番神戸の四球で二死一・二塁とし、勝負強さに定評のある5番島が中前に安打を放ち、1点を先制します。

さらに4回裏には渋く内野の間を抜く安打で出塁した7番中山を8番大野が手堅くバントで送り、9番馬詰が四球で歩き一死一・二塁。1番大村の放った右中間への打球は二塁打となり二塁走者の中山が生還し、なおも一死二・三塁。2番川丘がスクイズを決め、三塁走者の馬詰も生還しリードを3点に広げます。

 

5回裏には5番島が安打で出塁し、6番上原の内野ゴロの間に進塁し二死二塁。7番中山がしぶとく転がした打球は一・二塁間を抜け島が一気に生還。前半戦を4点リードで折り返します。

後半戦は相手の継投もあり、攻守ともに押され気味の展開となります。7回表は失策と安打、四球で一死満塁。阿波の1番打者に左前に運ばれ1点を返されます。この打球を処理した左翼手の中山が両足を攣り、担架で救護室へ運ばれるというアクシデントに見舞われ、試合は5分間中断します。その後、中山はトレーナー・看護師の的確な手当てにより見事に回復し、守備に戻ります。再開後、2番打者の犠飛で2点目を取られ二死一・三塁。ここで回ってきた強打の3番打者から馬詰が気迫の力投で三振を奪い、この最大のピンチをしのぎました。

そして8回表。誰もが、この男の復活を待っていた。この回から春までのエースで、ここまで二塁手として出場していた3年生の神戸が満を持してマウンドに上がります。

神戸はベンチの期待に応える安定感抜群の投球で2回をきっちりと抑えます。9回表にはこの試合好調の1番打者を三振に仕留めて試合終了。2年連続の初戦突破を果たしました。

 不完全燃焼で敗退した総体協賛ブロック大会については散々な書き方をしましたが、この試合についてはこれぞ城南野球といえるナイスゲームでした。苦しみながらも最後まで相手にリードを許さず勝ち切る、見事な戦いを展開しました。その裏側には何日かかろうと勝つ、1点への執念を強く持って戦うという強い意識が現れたと言えます。特に3年生は高校野球に後悔を残さないことが大切であり、1点でも多く取る、1点たりとも無駄に失わないという意識は共通テストや入試でも必ず活きる思考です。

度重なる順延の結果、試合が土曜日になったことにより、スタンドで応援してくださる方がいつも以上に多く、盛り上がったことは城南にとって大きな追い風になりました。例えば今年の3月に卒業し、全国へ巣立った硬式野球部の卒業生もこの日のために夜行バスなどあらゆる方法を活用して球場へ駆け付け、ほぼ全員集合となりました。ベンチ入り外の選手はボールパーソンを含めて4名、マネージャーも記録員を除くと5名ということで、部員だけで歌いながら応援するのは難しい人数ではありましたが、卒業生や部員のクラスメイトが大きな声で歌って盛り上げ、スタンドは例年にない活気に充ち溢れました。校歌斉唱の後にスタンドを見渡すと、非常に多くの方が応援に駆けつけてくれたことに気付き、チーム一同、本当に感謝の思いは尽きません。改めて硬式野球部は愛される存在であり、勝つことこそ最大の恩返しであるとの認識を強めました。野球を通じて人生を豊かにするという発想を大切に、次戦も「一球一心 ~心はひとつ~ 」のチームスローガンのもと全力で戦い抜きます。

2回戦は7月18日(火)の13時30分から行われる第一試合で、阿南光高校と対戦します。

春季大会優勝の実力校であり、厳しい戦いとなることは予想されますが、相手はこの夏の初戦。どこのチームでも初戦は戦いにくいものですが、私たちが苦しみながらも初戦を勝ち抜いたという経験は必ずプラスに働き、そこに勝機があると考えております。

皆様の応援のおかげをもちまして、1回戦を勝つことができました。2回戦も全力で戦い抜きますので、応援よろしくお願いいたします。

《文責》尾形