2022年7月の記事一覧

第104回全国高等学校野球選手権徳島大会2回戦

~ワンプレーの重みを知るラストゲーム、夏の課題を後輩に託して~

7月18日(月)、鳴門オロナミンC球場で第104回全国高等学校野球選手権徳島大会の2回戦が行われました。

本校は、城東高校と対戦しました。総体協賛ブロック大会A,Bブロック優勝校同士の対決となり、両校のプライドを懸けた負けられない戦いでした。

《バッテリー》

 (城東)兼本、清重 ー 森本 (城南)木内 ー 大西

《長打》

 ▽三塁打 (城東)兼本

この試合のテーマは「絶対、打ち勝つ」。

1回戦同様、豪打で相手の機動力を圧倒しようという思いで試合に臨みました。

しかし、初回から選手の動きが固く、本当に城南らしくない試合だったように思います。特に新聞報道の通り、終わってみれば初回の攻防から流れをつかめなかったことが敗因となりました。

1回表、先頭打者が四球で出塁し、2番打者を遊ゴロに打ち取り、二塁でフォースアウトに取ったあとの送球を一塁手が落球し一死一塁。3番打者を投ゴロに打ち取り、再び併殺のチャンスで送球が逸れ一死一・二塁。4番打者に右前に運ばれ、非常に嫌な形で先制点を許します。一方、城南は二死から3番西川珠が敵失で出塁するも大西が右飛に倒れ得点を奪えず、2回には相手の四死球で満塁のチャンスを作りましたが1番大村が二飛に倒れこの回も得点を奪うことができませんでした。

3回裏、先頭の2番西川壮が四球で出塁し、3番西川珠の犠打、4番大西の右飛で二死三塁。ここで5番坂東が右前に安打を放ち同点に追いつきます。さらに追加点を奪いたい場面でしたがカウント2-0からの盗塁失敗。痛恨のサインミスでこれ以上の追加点はありませんでした。

試合が再び動いたのは5回表一死から、8番打者を遊失で出塁させ、9番打者に右越え三塁打を打たれ再びリードを許すと、1番打者を遊ゴロに打ち取ったものの三塁でタッチし損ない野選となり、一死二・三塁。2番打者、カウント1-2と追い込んだ場面でスクイズバント、この場面で三塁走者に続き二塁走者も生還し1-4とリードを3点に広げられます。

後半勝負を期して6回以降の攻防。6回表を三者凡退に抑えた後、6回裏は今大会好調の5番坂東が右前安打で出塁し、続く6番神戸、7番上原が四球で出塁し無死満塁。城東は投手をエースの兼本投手から、スピードのある2年生の清重投手に交代。この好機をものにしたい8番川丘に対し3球連続でボール、そこから2球待ってカウント3-2から遊ゴロを打ち、それが併殺打となった間に三塁走者坂東が生還し2-4としますが、得点はこの1点止まりでした。

後半は走者を出しながらも粘り強く守り切り、これ以上の失点を許しませんでした。

攻撃は1点ずつ、という意識で攻め続けるも7回裏、8回裏と3者凡退に抑え込まれ、残すは9回裏の攻撃のみ。「サヨナラか?同点か?」の問いかけに、「サヨナラです」と答えた選手たち。まずは同点、という意識で始まった攻撃は一死から代打馬詰が死球で出塁するも9番木内が右飛に倒れ二死一塁。1番大村はカウント0-2と追い込まれながらも中前に安打を放ち二死一・二塁。クリーンナップまで回せば一気に逆転もある、と信じましたが、反撃はここまで。2番西川壮が三振に倒れ試合終了、残念ながらベスト8進出を逃しました。

生徒たちは全力を尽くし、最後まで諦めずよく戦い抜きましたが勝利まで一歩及びませんでした。

勝敗を分けたのは12個のフライアウトと、記録上の2つの失策が1回と5回の失点につながり、攻守両面において負ける要因が多く重なったということです。日本プロ野球界の名将として知られる野村克也氏は、生前「勝ちに不思議な勝ちあり 負けに不思議の負けなし」という言葉を残していますが、まさにこの試合を物語っているように思います。。

また野村氏が残した「ムードは技量に勝る 勢いはムードに勝る」という言葉も当てはまったように思います。城南ベンチのムードの良さは県内でも屈指のものですが、それにも勝る城東の勢いがありました。自分たちの野球を存分に発揮した城東と、自分たちの野球が最後まで展開できなかった城南。この差がイコール勝敗、という結果に直結したことに、チームにとって一生忘れることのできない悔しさを覚えました。

城南の部員たちは、どこのチームよりも「フェアゾーン以外の270度」を大切にして野球と学校生活に取り組んできました。その姿を間近で見守ってきただけに、3年生と一緒に野球ができなくなる日がこんなに早く来るとは思いませんでした。この日で高校野球は引退となりますが、部員10名で成し遂げた秋季大会ベスト8、春季大会ベスト4、新人ブロック大会優勝という偉業は今後も城南高校硬式野球部の歴史で語り継がれることは間違いありません。

3年生にとっては、ここまで成し遂げてきたことを誇りに、今日敗れた悔しさを人生での成功につなげるエネルギーとなるよう、しっかり進路決定に向けて切り替えてほしいと願います。私たちスタッフも、人生の勝負を勝ち抜けるよう全力でサポートしていきます。

後輩たちからも「3年生と一緒に甲子園に行きたい。引退させたくない」と心から思わせる彼らの姿から、私たちスタッフもたくさんのことを学び、エネルギーをもらいました。

新チームは早速、明日から練習を開始します。失策やチャンスでの凡退、大会直前でのけがによる戦線離脱など、悔しい思いをした1・2年生がこの経験を活かし、より成長して躍進することこそ恩返しになります。甲子園を目指して、いかなる局面も「一球一心 ~心はひとつ~」、目先の一戦必勝を積み重ねるという意識を大切に日々、取り組んでいきます。

皆様、今大会もそれぞれの場所から応援いただき、誠にありがとうございました。今後とも応援よろしくお願いします。

《文責》尾形

第104回全国高等学校野球選手権徳島大会1回戦

~ 夏の戦いの始まりを告げる猛打攻勢 ~

7月13日(水)、鳴門市のオロナミンC球場で全国高等学校野球選手権徳島大会1回戦が行われ、穴吹高校と対戦しました。

《バッテリー》

 (穴吹)曽我部、髙田、曽我部、髙田、細川-髙田、高橋、髙田、高橋

 (城南)木内、神戸-大西

《長打》

  ▽三塁打 (城南)西川壮、坂東、上原、木内
  ▽二塁打 (城南)坂東2、神戸
 (穴吹)曽我部

 大西祐輝主将の選手宣誓で幕を開けた第104回全国高等学校野球選手権徳島大会。

野球伝来150周年の特別な夏、徳島県の野球を124年間支え続けてきた城南こそ、この夏の主役にふさわしい。

日々の練習で鍛え抜いた実力と先輩方が築いてきた伝統を自信に、甲子園を懸けた戦いが今日、始まりました。

晴天に恵まれ、非常に暑いグラウンド状態で始まったこの試合。竹内監督から与えられたテーマは「打ちまくれ」。この数試合、練習試合では打線が課題となっていましたので、とにかく積極的な攻撃をしようという意識で初戦に臨みました。

この試合では、初回から城南らしい野球を展開しました。1回表、失策で先頭打者の出塁を許し、後続の打者のサインミスで本来ならばアウトにすべきところをアウトにできず盗塁を許し、さらに犠打で一死三塁。非常に悪い形でピンチを作りますが、エース木内が冷静な投球で後続を断ち切り、失点を許しませんでした。

1回裏は「ピンチの後にチャンスあり」という格言の通り、先頭打者の1番大村が四球で出塁すると、2番西川壮が犠打を決め一死二塁。ここから3番西川珠、4番大西、5番坂東、6番神戸の連続長短打で一挙に4点を挙げてこの試合の主導権を握ります。

以降、2回から4回までは毎回、打者一巡の猛攻で一気に突き放します。3回裏には西川壮、坂東、7番上原、木内が三塁打を放つなど、攻撃の手を緩めず、4回裏には代打で出場した1年生の馬詰、8番川丘が左前に安打を放ち先発全員安打、さらに打席に立った選手が全員安打という積極的な攻撃を展開しました。

エース木内は4回を無失点、5回に登板した神戸も無失点に抑え19対0で勝ち、5回コールドで2年ぶりとなる夏の一勝を挙げました。

 序盤は初戦特有の緊張も見えましたが、ミスが出ても全員でカバーし、チャンスを逃さず一気に攻め切る城南らしさが随所に見られる試合展開となりました。

特筆すべきはプレーだけでなく、声かけの面でも城南らしさが全面に現れていたことです。それを特に実感したのが、直前の練習試合で負傷し欠場した背番号5の炭谷が「城南のサードは打つんやで!」と、この日三塁手で出場した川丘を励まし続け、先発全員安打を達成する安打につながった場面です。本人は出場できないことが悔しくてたまらないはずですが、この声がチームに勇気を与え、勝利に貢献したことは間違いありません。360度すべての角度から勝利を目指して戦うことのできる強さをしっかり発揮し、大勝という結果に浮かれることなく、ここからの戦いでも意識は「一球一心 ~心はひとつ~ 」。次の試合もチャンスを最大限に活かし、一戦必勝で頂点を目指して戦い抜きます。

2回戦は7月18日(月)の第一試合(9:30開始)、城東高校との対戦が決まりました。雨天順延のため、当初の予定から時間帯が変わりましたが、この試合でも城南らしさを存分に発揮し、必ず勝利をつかみます。

皆様、本日は暑い中、それぞれの場所から応援いただき、誠にありがとうございました。ここからも全力で戦って参りますので、応援よろしくお願いします。

《文責》尾形

保護者会・マネージャーによる激励セレモニー

~支えてくれた皆様への感謝を胸に、全力で戦い抜く熱い夏を~

7月10日(日)の練習試合から練習試合からの帰校による第104回全国高等学校野球選手権徳島大会前の激励セレモニーが行われました。

まず最初に、3年生選手の母親から千羽鶴が送られました。城南のユニフォームを中心に、白から青への鮮やかな鶴のグラデーションで円形に囲まれた様子は、まさにチームの武器である「輪(和)」を象徴した秀逸なデザインであるように感じます。保護者の皆様におかれましては家事や仕事で本当に忙しい中、集まれる機会も少ないにもかかわらずチームのために極秘でこのような素晴らしいものを制作いただき、感謝しております。生徒と同様に素晴らしいチームワークを誇る保護者会の皆様、ありがとうございました。

この後、3年生部員が一人ずつ、今大会にかける思いを話しました。「高校野球を最後まで見守ってほしい」「恩返しは勝つことだ」「必ず甲子園に行く」「選手のみんなにパワーをもらっているので、私たちは全力でサポートしたい」など、今大会の躍進を予感させる力強い言葉が並びました。

この後、マネージャーからは千羽鶴とお守りが贈られました。

今年は2000羽の鶴で「徹」の文字を作りました。野球人生で懸けてきたものを貫徹してほしいという願いが込められています。また、お守りはキューブ型で、「一球一心」のチームスローガンや帽子のロゴなどがデザインされていますが、最も特徴的なのは選手、スタッフそれぞれの顔の特長をとらえたデザインの面があります。マネージャーが23名分それぞれに違うものを、心を込めて作った様子を想像すると本当に頭が下がります。きっとこの千羽鶴とお守りが、チームの安全を守ってくれるという安心感をもたらしてくれたことに、感謝しています。

支えてくれる人がいるからこそ、私たちは安心して戦うことができる。そのことを実感した1日でした。この日の練習試合では、今まで勝つことができなかったチームに勝って帰ってきましたが、このチームの可能性は戦っていくうちに、より成長していくものであると信じています。

全力でやり切ることこそ、サポートしてくれる皆様への恩返し。結果は後からついてきます。

「一球一心 ~心はひとつ~ 」この思いを共有していることの安心感を武器に、一戦必勝で戦い切ることこそ、甲子園への近道です。私たちはこの手厚く、温かい支援に感謝しながら一球一打に懸け、全力疾走で頂点をつかみます。今後ともご支援、ご協力のほどよろしくお願いします。

《文責》尾形

第104回全国高等学校野球選手権徳島大会 開始式

~この特別な大会にふさわしい、記録と記憶に残る熱い夏に~

7月9日(土)、鳴門オロナミンC球場で第104回全国高等学校野球選手権徳島大会が開幕しました。開幕試合に先立って行われた開始式では、城南高校の大西祐輝主将が選手宣誓の大役を務めました。

大西主将は「日本に野球が伝来して150周年の特別な夏、大好きな野球を仲間とやれることをうれしく思います。新型コロナウイルスの影響で、部活動停止、時間短縮、対外試合の禁止など、厳しい状況の中でできる限りのことをやってきました。ともに汗を流してきた仲間、支えてくれた家族に感謝し、記録と記憶に残る熱い夏にすることを誓います」と力強く宣誓しました。

前日の城南高校で行われた「開会式」は良いリハーサルとなり、今日の選手宣誓は本人にとっても城南高校硬式野球部にとっても100点満点、5段階評定でいえば「5」の素晴らしい出来だったように思います。

今度は閉会式で優勝旗を受け取り、主役となれるよう「一球一心 ~心はひとつ~ 」

一戦必勝で勝ち上がり、徳島県の夏の主役を目指して全力で戦いますので、応援よろしくお願いします。

《文責》尾形

2022(令和4)年7月 硬式野球部活動報告(選手権開会式)

~聖地から始まる、124年目の夏!!~

第104回全国高等学校野球選手権徳島大会の開幕を翌日に控えた7月8日(金)の練習後、城南高校のグラウンドで「開会式」を行いました。

現3年生は入学以来、開会式を一度も体験していません。入学直後に一斉休校、そして全国高等学校野球選手権大会の中止に伴う徳島大会の中止により、先輩方が甲子園へのチャンスを理不尽に奪われる姿を見てきました。大会が再開された昨年度も、開幕戦出場チームと選手宣誓の主将のみで行われる開始式、という形になり、今年度も昨年度同様、開始式のみという形になりました。

私も含め、3人のスタッフにとっても高校球児の時代、選手権の開会式には夏の始まり、高校野球生活の集大成という意味を感じる特別な1日であり、それを一度も体験できないというのは生徒の気持ちを考えるとあまりにも辛い、と考えました。そこで、せめて学校で独自に実施しよう、という竹内監督の発案にチーム全員が賛同し、準備を進めました。鳴門オロナミンC球場からプラカードと校旗を借り、放送機器を設置して球場に近い臨場感を出すことによって、翌日に選手宣誓の大役を務める大西祐輝主将にとってもリハーサルにもなるのではないか、という思いも込められました。

全体練習の終了後、生徒たちの雄姿を見たいたくさんの保護者が来校されたことはもとより、年度末、そして期末考査の最終日で採点や各種作業に追われ多忙であろう多くの先生方もこの趣旨に賛同され、開会式の様子を見守っていただきました。校長先生、教頭先生をはじめとした多くの先生方が集まっていただいたことに、改めて部員たちはフェアゾーン以外の270度を大切に学校生活に取り組んでいるからこそ、先生方からも愛され、応援されているのだな、ということを実感しました。

入場行進では、球場で行われる開会式であれば1名しか持つことのできないプラカードですが、本校開催ということで4名の3年生マネージャーが交代で持ち、選手を先導しました。

マウンドまで行進をした後は整列し、「大会委員長」として参加していただいた校長先生からの激励を受けました。温かい言葉をいただき、チーム一同「ワクワクする」戦いを展開していきたいという思いをさらに強くしました。

激励の後は、大西主将が校長先生の前で力強く選手宣誓を行い、翌日の開始式のイメージトレーニングにつながる緊張感を持つことができ、翌日へのモチベーションにつながったようです。

開会式の最後は始球式と校歌斉唱で締めくくり、この校歌を徳島大会では5回斉唱し、甲子園に行こうという強い決意が生まれました。

野球伝来150周年の特別な夏。球場での開会式こそ叶わなかったものの、城南球児の聖地である城南高校のグラウンドで、私たちを応援してくださる大切な皆様に見守られて開会式を行うことができました。このグラウンドは、かつて甲子園球場で使用されているものと同じ場所で採掘され、同じバランスで配合された土が入れられて作られたと云われています。城南高校関係者の、甲子園への思いが込められたその土を踏みしめ、私たちの悲願である夏の選手権初出場に向け、一戦必勝で頂点を目指す戦いが始まります。

最新の研究では、1887(明治20)年に、すでに城南高校の前身にあたる徳島中学校には野球という競技が伝えられたとされています。すなわち、城南高校に野球が伝わって135年目、硬式野球部創部124年目の夏。チーム一同、この夏を全力で戦い、徳島県の野球文化をリードしてきた城南高校が再び甲子園で躍動することを願う皆様の期待に応えることができる、熱い夏にしていきます。

開会式にご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。大会でも応援よろしくお願いします。

《文責》尾形