野球部活動報告
第76回徳島県高等学校野球秋季大会2回戦
~ 連戦連勝ならずとも、総力を尽くした「グッドゲーム」 ~
9月24日(日)、鳴門市の鳴門オロナミンC球場で第76回徳島県高等学校野球秋季大会の2回戦が行われました。
対戦相手は、徳島県では毎年10月に開催されている「Liga Agresiva」で共に切磋琢磨する、城南高校のグッドフェロー(良き仲間)、徳島科学技術高校です。
《バッテリー》
(徳島科学技術)宮内-中内 (城南)馬詰-島
《長打》
▽三塁打 (徳島科学技術)川原
▽二塁打 (徳島科学技術)大久保,楠,濵野
《試合の総括》
常にスポーツマンシップの精神を大切にして指導し、フェアプレーで勝利を目指して戦う両校監督の「グッドゲームを共に創ろう」という対話の後に始まったこの試合は、連投という厳しい状況でも気合十分の城南エース馬詰と、スピード以上に打ちにくい球筋が持ち味の徳島科学技術エース宮内投手の好投手対決となりました。
先に試合を動かしたのは城南。四球で出塁した6番馬詰が7番松島の送りバントの間に進塁し、盗塁を決め三塁へ進塁します。9番松尾の四球で二死一・三塁。1番中山が中前に安打を放ち、先制点を挙げます。
3回以降は走者を出しながらも得点に結びつかず、残塁の目立つ厳しい展開となりますが、好守と馬詰の力投で再三のピンチをしのぎます。
5回表、徳島科学技術の攻撃では二死から9番打者にストレートの四球を与え、1番川原選手に投じた高めに大きく外れたボール球を痛打されます。この打球は中越三塁打となり、ここで同点に追いつかれます。
練習試合から課題となっていたグラウンド整備後の攻防。守備に入る前の円陣で、中心に立ったのは主将の島。
「1点差で勝とう。打つから俺に回してくれ」との声かけから始まった後半戦。
6回表、徳島科学技術の先頭打者、3番楠選手の右前への詰まった打球は、右翼松島の懸命のダイブも及ばず二塁打となります。4番打者のコースをうまく狙ったバントが安打となり、無死一・三塁のピンチを迎えます。一塁走者が盗塁し、二・三塁となったところで伝令を送り、続く5番打者をフライアウトに打ち取り、6番打者の遊ゴロを遊撃國平が冷静に本塁へ送球した後、挟殺プレーが決まり二死二・三塁とします。ここで7番濱野選手をカウント上では有利なところまで追い込みますが、高めのカーブを狙い打たれた打球は中越二塁打となり、ついに勝ち越されます。
まだ攻撃は4イニングある。焦ることはない。1点づつ返していくのみだという意識で6回裏以降も攻め続けますが、走者を出しながらもホームが遠い、苦しい展開が続きます。試合の最後まで無失策で守り抜いた野手陣からも、これ以上の失点を許さない、守って流れをつかむという執念が見られました。連投で17イニングを投げ抜いたエース馬詰も、志願の完投で援護を待ちます。
試合をひっくり返されて以降、1点ずつ返していけば間に合うと攻め続けながらも無得点に終わり、9回裏の攻撃を残すのみになります。
逆転を期して攻めるには十分な、1番中山から始まる好打順。一死から2番國平が四球、3番大野が安打でつなぎ一死一・二塁とします。ここで、チャンスで回してくれと強く願った4番島。低く速い打球は三遊間を抜けるかと思われましたが、遊撃手がノーバウンドで好捕し、すぐに二塁へ転送され二塁走者が戻り切れず併殺となり試合終了。2年ぶりのベスト8進出を逃しました。
体調も万全でない中での連戦という過酷な日程は圧倒的に不利な状況でしたが、最後まで無失策でよく戦い切りました。
勝つことができなかったのはチームの誰もが悔しいですが、まず秋季大会を戦わせていただいたことへの感謝を忘れてはいけません。
野球以外の部分、いわゆる「フェアゾーン以外の270度」で勝負するなら、この秋季大会は1回戦の時点で完敗です。それでもチームを勝たせてくれたのは、保護者の皆様や部員の友人といった関係者の全力応援、全力バックアップの賜物です。いかに苦しい状況でも応援される存在、それが城南高校硬式野球部であり、これからもより応援されるチームであり続けないといけない、と実感する大会となりました。
甲子園を目指すチャンスも1年生は後3回、2年生は最後の夏を残すのみとなりました。ここからは冬にかけて体力強化と新戦力の可能性伸長ですが、春季大会以降の戦いで鍵を握るのは「10人目以降の戦力」と「2番手以降の投手陣」です。
公式戦は春季大会までないので、ここからは長い冬になります。
今大会で感じた選手層の薄さを覆すことができるよう、特に控え選手には控えに成り下がることなく、春にはレギュラー争いに殴り込みをかけられるよう、悔しさを原動力に変えて奮起し、冬に鍛え抜くことで一回り大きく成長することを期待しています。すべての学年に共通することですが、3年生になってレギュラーが取れたらいいな、という悠長な考えでは、下手をすれば来年入学してくる新1年生に一気にポジションを奪われかねません。強気の勝負と共創で、学年に関係なく強い勝利意欲を有し、自己実現のための努力を惜しまない、誰もが認める強い選手がチャンスをつかんでほしいと願っております。
この試合が、秋の四国大会終了後に大規模リニューアル工事に入る鳴門オロナミンC球場で戦う最後の公式戦となりました。完成は2026(令和8)年の予定ですから、今後、生徒たちが高校生の間にプレーできることはありません。
現役の選手だけでなく、監督・部長・副部長の3名も高校野球でプレーした経験のあるこの球場との別れが突然にやってきたということで、淋しい気持ちはありますが、ここまで私たち徳島県の野球人を50年にわたって見守ってくれた球場への感謝を今後の野球人生においても忘れることなく、新しい舞台で飛躍できるチームへと成長を遂げることが球場への恩返しです。工事期間中は学校所在地と同じ、眉山が背後にそびえる徳島市のむつみスタジアム(蔵本球場)がメイン会場となる予定ですが、私たちはこの長い冬に鍛え上げ、春には満開の桜が咲き誇る眉山をバックに躍動することのできる強さを身につけて全力で戦います。
応援していただいた皆様におかれましては、大会開幕前は大変なご心配をおかけし、誠に申し訳ありませんでした。
重ねて、今大会も全力応援いただき、誠にありがとうございました。今後とも応援、よろしくお願い致します。
《文責》尾形