平成31・令和元年度
第2回徳島県SSH高等学校課題研究及び科学部研究研修会
2月22日(土)の午後,昨年11月に行われた第1回に続き,第2回徳島県SSH高等学校課題研究及び科学部研究研修会が開かれました。コロナウイルスによる混乱や前期試験直前に当たることもあり、運営には多くの苦労もありましたが。総合科学部2号館けやきホールを会場に、無事すべての発表を行うことができました。
第1回の研修で得た要領をもとに,各校で研究グループを編成し,ポスターセッション形式の発表を行いました。城南・城北・徳島市立・富岡西の4校から43グループ151名が参加するいう過去最大規模となり,生徒たちも緊張の面持ちの中で発表が始まりました。徳島大学の先生方も3組に分かれ,各グループの発表を順番にご覧になり,その場でたくさんのご指導やご助言をしていただきました。また、本校からも物理・化学・生物の教員が参加し、関係の発表について助言をおこなうことができました。閉会行事の講評でも,予想よりもよくできていたという評価をおっしゃっていただきました。ただし,よい研究をまとめるには,関連する研究について過去の論文等をきちんと検証し,自らでしっかりと実験を行い,徹底的に議論することが大切であると,重要なご助言をいただき,第2回研修会は締め括られました。終了後の個別質問では、関係の先生方から熱心に追加のアドバイスをいただいているグループが数班ありました。
なお,第1回に引き続き,研修会全般にわたってご指導や会場等のご準備をしていただいた徳島大学の先生方と学生さん,ご参加いただいた県教育委員会ならびに県立総合教育センターの先生方,生徒さんを引率していただいた各高校の先生方,そして当日参加された高校生の皆さん,お疲れ様でした,そして,ありがとうございました。この経験を元に充実した探究活動を実践していきましょう。
英語による課題研究発表会報告
応用数理科2年生は、1月29日(水)の午後にScience EnglishⅡの一環として、英語による課題研究の中間発表会を実施しました。かなり時間的に厳しい中ではありましたが、英語科・理科の先生方やTravis先生、Matt先生にご指導をいただき、放課後の時間を活用しながら12班全てが英語発表にこぎ着けました。どの班もよく頑張ったと思います。終了後は、各先生から研究や発表についてのアドバイスをいただきました。今後、1ヶ月後の最終発表会に向け、実験や発表会の準備に取り組んでいきます。なお、SEⅡの授業は、課題研究の進展と平行して、英語論文の作成にあたります。
第63回日本学生科学賞 中央最終審査
12月22日㈰~12月24日㈫に日本科学未来館において開催された第63回日本学生科学賞の中央最終審査と表彰式に参加してきました 。
3年生の応用数理科の生徒2名と普通科の生徒1名で,3年間研究を続けた紫外可視分光光度計の改良と可搬性を持った分析機器の製作について「新たな分析法確立を目指して」という題目で発表を行ってきました。
1日目と2日目には最終審査が行われ,厳しい質問や指摘をされましたが生徒たちはそこから新しい課題を見いだし、いきいきと発表を楽しみました。
内覧会の時間も設けられており,全国の中学校や高校で行われてきた課題研究の発表を聞くことができ,多くの刺激を得ることができました。また交流会を通して,生徒同士の親睦を深め,教員間でも理数教育の課題を共有することができる貴重な時間となりました。
そして,3日目の表彰式においては「全日本科学教育振興委員会賞」を受賞することができ,さらには「ISEF2020への派遣の内定」をされることとなりました。
3年間,試行錯誤を続けた結果,集大成としてすばらしい評価を得ることができました。
城南塾(SSH特別講演会)内野先生ご講演
12月20日(水)に1・2年生徒全員・教職員約600人を対象として、徳島城南塾SSH(スーパーサイエンスハイスクール)特別講演会を実施しました。講師として、1981年に本校を卒業され,地元で活躍されている内野建設の内野輝明先生をお招きし、「徳島の建築士にできること」と題したご講演をいただきました。初めに高校生のときは硬式テニス部に所属しており,2年生からはバンドに熱中したこと,卒業後は大学に進学し大阪で就職,その後奥さんと一緒に1年間世界旅行(視察)をしたこと,鹿児島で6年間の修行の後,徳島で事務所を開き20年になることをお聞きしました。
お話の中心は,2011年の東日本大震災から建築士として今日まで考えてきたこと,実践してきたことです。「公害」と言っても何も解決しなかったのが「環境」「エコ」で建設的に取り組める社会になっている。「防災」に対してもこの「環境」「エコ」に当たるものがないかと考えてこられたそうです。
まず初めに,阿南市にバス会社の寮を建てる際に「仮設住宅試行」の設計を実施されました。従来の仮設住宅は「飯場型」と呼ばれる1つの建物を間仕切り壁でしきったものでした。先生が,住む方のことを考え,X型に仮設住宅を配置した風社配置の設計をされました。また,仮設住宅を組み合わせ直して復興住宅に変える設計についても説明を受けました。
次に美波町で実施された「先行高地移転試行」のお話を聞きました。津波到達水位よりも上で形成される新しい住宅のことで,美波町で標高25~35mに新たなまちができる計画です。SDGsの「気象変動に具体的な対策を」で,日本で選ばれた3つの建物のうちの1つが,そこで建設された体験宿泊施設だそうです。
続いて,木材備蓄の仕組みづくりのお話がありました。部材統一・木材備蓄により,発災した場合もすぐに対応でき,美波町での発災時においては,必要構造材の約1/4の確保が玉厨子農村公園で可能だそうです。また,県産材,木材備蓄,解体・再利用,気候風土への適用といった「木造仮説住宅徳島モデル」の説明がありました。
最後に「PF」(フェイズフリー)という言葉を紹介していただきました。キャッチフレーズは「いつもともしもを,もっとフリーに。」で,普段からもしものことを考えることでみんなが助かる社会をつくれないかということです。「防災」という言葉では何も進まなかったけれど「PF」という言葉で考えていくといろんなものが解決していくとの考えをお示しいただきました。
徳島県の安心・安全について考えさせられるお話であり,生徒も感じることが多かったようです。お忙しい中ご講演いただきました内野先生に,この場を借りてお礼を申し上げます。
神戸市立工業高等専門学校を訪問
12月15日(日)に、神戸市の学園都市にある神戸高専を訪ねました。本校の応用数理科では、生徒たちが自身の興味関心があるテーマを基に課題研究をしています。そうしたなかで、サンプルの成分分析がどうしても必要になったので、神戸高専の西田真之先生のご厚意により機器分析をさせて頂きました。生徒1名と教員1名で参加しました。
当日は徳島から舞子駅まで高速バスで、そこから路線バスで学園都市駅へ移動し、さらに西田先生の案内により徒歩15分くらいで到着しました。この辺りには大学が4つもあるので学園都市と呼ばれているそうです。研究室で簡単に挨拶を済ませた後、早速レクチャーして下さることになりました。まずは、走査型電子顕微鏡(SEM)による分析です。この装置は対象物に電子線を照射することで、それに含まれる元素を調べることができます。サンプルの準備から実際の測定まで、先生と学生の方より説明を受けながら実際に操作してみました。生徒にとって、自分が用意したサンプルを自身で分析して結果を出すのは初めての体験です。対象物を慎重に選びながら、数回にわたって測定していました。午後からは、蛍光X線分析をさせて頂きました。粉末にして薄く広げた試料にX線を照射して、ターゲットにした化合物の結晶を調べます。SEMにてある程度の含有量がわかっていないと難しいそうです。また、非晶質の物質は解析できないとのことでした。
分析結果はかなり厳しいものでした。マーカーにしていた元素が検出できず、研究は暗礁に乗り上げてしまいました。その後のディスカッションでは、今後の方針の見直しや新たな提案が行われました。どこまでできるか見通しが不透明になりましたが、研究が深化していくとよく起こることでもあります。できることをやっていこうということで、互いに情報をやりとりしながら進めて行くことになりました。一方で、研究の仕方や学生生活などの話もあってとても有意義な内容でした。後日、各方面に助力を仰ぎ何とか進むべき道が見えてきました。
お世話になった神戸高専の関係者の方々に厚く御礼申し上げるとともに、今後ともご指導ご鞭撻の程よろしくお願いいたします。
徳島県SSH課題研究及び科学部研究研修会の開催
日時 2019年11月23日(土)13:00~17:00
場所 徳島大学理工学部(共通講義等6F 創成スタジオ)
本校SSHではミッションの一つとして「地域における科学の中核校」を掲げており、その一環として徳島県の課題研究のレベル向上を図るべく、徳島大学理工学部の全面的なご協力と、徳島県立総合教育センターや徳島県教育委員会のご助力を得て「徳島県SSH高等学校課題研究および科学部研究研修会」を実施しております。4校から150名の生徒参加があり過去最大の規模となりました。指導には大学の先生7名、徳大生TA6名、県総合教育センター3名、県教育委員会2名、引率教員10名が当たりました。
集まった生徒は学校の枠を超え20班に分かれ、大学の先生方やTAの皆さんにご指導いただきながら、自己紹介等のアイスブレーキングの後「研究テーマの選び方と研究のすすめ方」について、ブレーンストーミングとKJ法によってアイデアをまとめていくという手法を体験的に学びました。研修は3つのパートに分かれ、①当該科目(数学・物理・化学・生物・地学)で興味があること、②分かっていない解明されていないと思われること、③どのようにしたら調べる(明らかにする)ことができるかいう各テーマについて班ごとに活発な話し合いが行われました。
なお2月22日(土)午後の第2回研修では、各校各研究班で課題研究テーマ・仮説・研究方法・予想される結果などをまとめ、事前提出レポート1枚と当日10分程度のプレゼンにまとめて発表し、大学の先生方からアドバイスをいただくという内容で行う予定です。第1回に参加できなかった学校も参加可能です。この企画が本校だけでなく、県内高校の課題研究の向上に少しでも役立てば幸いです。
応用数理科1年生 地学分野現地研修
11月22日(金)の午後、応用数理科1年生40名と引率教員3名で、淡路島の北淡町震災記念公園へ行きました。生徒たちは先週、徳島大学の村田明広先生の講義を受けており、今回は現地での研修となりました。
現地に向かう車中から線状地形(リニアメント)を観察しました。徳島ICから高速に乗りしばらく進むと、左右に鳴門市の田畑が広がっています。この辺りに断層が走っていて、北側がほんの少しだけ高くなっています。断層より北側では住宅やサツマイモ畑が多く、南側ではレンコン畑がよく見られるとのことです。
バスに揺られて50分くらいで記念公園に到着しました。ここには1995年に発生した阪神淡路大震災で動いた野島断層が保存されています。記念館の方と村田先生から断層の説明があり、生徒たちは熱心に聞きながらメモを取っていました。圧巻は断層の断面を見られるようにした場所で、地中に隠されて見えない断層を間近で観察できました。また、断層の真上にあったメモリアルハウスを見学したり、起震装置に乗って大地震の揺れを体験しました。
そこからバスで15分ほど走って明石海峡大橋の南詰に行きました。村田先生の説明を受けながら、橋を支える主塔やアンカレッジなどを遠くから見学しました。当時建設中の橋の真下でも断層が横滑りし、主塔間の距離が1m伸びたおかげで橋の長さは最終的に1m長くなったそうです。
徳島県も今後30年以内に70%の確率で南海地震の被害に遭うと予測されています。防災には地学の専門知識が必要不可欠と感じました。今後も知識を増やさなければいけないと痛切に感じました。
最後に、徳島大学の村田先生には大変お世話になりました。厚く御礼申し上げます。
第76回科学経験発表会報告
10月27日(日)、徳島県教育会館にて第76回科学経験発表会が開催されました。高等学校の部には、近年最大の参加数となる4校12班の参加があり、3時間を超えるの熱心な発表・質疑応答が繰り広げられました。本校からは現在課題研究に取り組んでいる応用数理科2年生から5つの研究班が参加しました。どの班も校外での発表会は初めてでしたが、現在までの研究の成果をうまくプレゼンすることができました。今回の発表で貴重な発表経験を積むことができ、審査委員や引率の先生方から様々な質疑やアドバイスをもらうことができました。最後の閉会行事において、鳴門教育大学の早藤先生から講評をいただきました。ご指摘いただいたのは次の4点です。
○新規研究は先行研究の内容がどこまで明らかになっているのか?
○研究の動機と自ら取り組む仮説の設定は妥当か?(実施期間内に解決可能か?)
○目的(課題)を達成するための妥当な方法が設定されているか?
○グラフ及び表の表現に仕方が適切か?
最後に「結論を急がないで、現状の事実から言い切れる内容を大事に研究を進めて欲しい。結果から新たに導き出される仮説の妥当性を高めながら、研究を進めて欲しい。」とエールをいただきました。ぜひ今後の研究や発表会に生かしていきたいと思います。
【発表会の結果】
特選/最優秀賞 「塩素系漂白剤とDHHBにおける反応と染色の応用を目指して」
特選 「プラナリアの餌を感知する部位と誘引物質」
入選 「ビリヤード球の衝突特性」
「長周期地震動と建物の揺れの関係」
「海部刀の原料はどこからきたか」
JAXA特別講演会参加
11月8日(金)午後、アスティとくしまで開催された「JAXA宇宙科学研究所の宇宙探査/観測計画~はやぶさ2小惑星探査から深宇宙探査船団へ~」と題された特別講演に応用数理科1・2年生80名が参加しました。講師はJAXA理事の國中均宇宙科学研究所長です。
初めに、化学ロケットエンジンと電気ロケットエンジン(イオンエンジン)についての説明がありました。化学エンジンの噴射速度が5km/sであるのに対し、イオンエンジンでは30km/sの噴射速度が可能であり、イオンエンジンを搭載した「はやぶさ」及び「はやぶさ2」は500kgと軽量化されてることを知りました。
つづいて「はやぶさ」や「はやぶさ2」でのミッションの説明があり、「はやぶさ」の機器トラブルにより3年帰還が遅れたことや、「はやぶさ2」が水が含む炭素系小惑星である「りゅうぐう」を調査対象としたことなどを学びました。
最後に、JAXAが実施中または計画中の惑星・衛星調査の現状や、2030年代に火星に人類を送るゲートウェイ計画(世界共同計画)の説明があり、講演を聴いている高校生の中から20年後に宇宙開発に携わる人育ってほしいとエールと受けました。
講演後は、企業や研究機関の展示スペースを見学させていただき、個別に説明を聞くことができました。
このような貴重な場を設定していただきましたJAXAや徳島大学の関係の方々に、この場を借りて御礼申し上げます。
107HR高大連携授業(笠先生・香川大学)
応用数理
科1年生は、10月25日(金)午後、香川大学教育学部の笠先生をお招きして、課題研究に関する高大連携授業を行いました。
初めに「探究活動とは何か~高校で科学する~」をテーマに、探究活動と普通の授業の違いから始まり、信頼性のある証拠、妥当性のある証拠とは何かについて、聴き手に信用してもらう証拠を示すことの重要性についてお話いただきました。そのために研究の全過程でいつも研究の見直しを心がけることが大切であるとを学びました。
続いて「研究ノートについて」をテーマに、実験オノートは何故必要か、理想的な実験ノートについて、実験ノートに書くべきこと、使う上での注意点を学びました。
最後に「変数とは何か」をテーマに、「変数(variable)」と「値(value)」について具体例を示しながらお教えいただき、生徒にとっても、参加していた教員にとっても大いに参考となる内容でした。
応用数理科1年生は、笠先生の高大連携講座、そして本校と徳島大学が共同開催する、課題研究のテーマ設定を主要な目的とする徳島県SSH高等学校課題研究および科学部研究研修会で学んだことを活用し、自分たちで研究班を形成し課題研究テーマや実験計画などを決めていき、3学期から課題研究を本格的にスタートさせます。
第63回日本学生科学賞徳島県審査の結果について
10月30日(水)徳島県立総合教育センターにて、中高生が科学研究の成果を競う第63回日本学生科学賞徳島県審査(読売新聞社主催)が行われました。本校の「紫外可視分光光度計の改良と可搬性を持った分析機器製作」と「江川湧水の異常水温と気象要素との関係について」の研究が最優秀賞(知事賞)を受賞し、県代表として中央予備審査に出展します。また、その他7つの研究も受賞し、本校の課題研究の広がりと深まりを感じる結果となりました。
全体の結果は以下のとおりです。
◇最優秀賞(知事賞) 2点 →中央予備審査へ
「紫外可視分光光度計の改良と可搬性を持った分析機器製作」
応用数理科3年 新田悠貴 河村さつき 普通科3年 玉野弘人
「江川湧水の異常水温と気象要素との関係について
応用数理科3年 粟田真以 坂尾値佳子
◇優秀賞(教育長賞) 4点
「ケーソン式防波堤による波高減少効果について」
応用数理科3年 岡田明樹 住友嵩征 中村悠亮 和田拓巳
「アルソミトラ種子の表面形状が滑空に及ぼす影響」
応用数理科3年 荒尾空輝 川染翔吾 坪本颯史 多田英資
「グラスハープの振動特性について」
応用数理科3年 河口愛奈 野口ひより 福本琴未
「プラナリアの粘液について」
応用数理科3年 市橋萌可 角田弥優
◇入賞 3点
「塩化コバルトのクロモトロピズムについて」
応用数理科3年 池北聖菜 大野由理 中川あやか
「弓矢発射装置の作製と矢所の安定化を目指して」
応用数理科3年 尾本壮太 永峰直樹 吉田光佑
「文化の森総合公園における地表性甲虫の種類と分布響」
応用数理科3年 伊丹柊汰 渡邊公理 桐本さくら 吉岡みやび
徳島県科学技術大賞を受賞しました
本校科学部化学班が徳島県科学技術大賞に選ばれ徳島県庁で知事から表彰を受けました。徳島県科学技術大賞は①若手研究者部門②創意工夫部門③こども科学者部門④科学技術理解増進部門⑤科学技術振興部門からなり,今年度は9団体が表彰されました。科学部化学班の3名は,「紫外可視分光光度計の改良と可搬性を持った分析機器製作」の研究で夏のSSH生徒研究発表会でも奨励賞を受賞しており,研究内容を高く評価していただいて③こども科学者部門での受賞となりました。
飯泉知事からは,今後も徳島県の科学技術発展の原動力となってほしいというエールをいただきました。今後の後輩たちの課題研究や発表につなげていってほしいと思います。
2学期最初のSI
本校の応用数理科では、1年次にサイエンスイントロダクション(SI)という常設科目があります。様々な行事が入ったりして飛ぶこともありますが、2年次の課題研究に備えて物理化学生物地学すべての分野の基礎研究を体験します。今日はクラスを2つに分けて、化学と地学を実施しました。化学では、スポイトの使い方と3種類の液体を見分ける実験をしました。水に対する溶解性や炭酸水素ナトリウム(重曹)との反応性を調べました。地学では、土壌に含まれる鉱物を洗い出して実体顕微鏡で観察しました。火山ガラスや長石などが見られました。次は物理と生物分野で行います。未来の博士たちに、科学にもっともっと興味を持って欲しいです。
令和元年度 小学生対象理科実験教室
10月6日の日曜日に小学生対象理科実験教室を開催しました。
天気もよく、すがすがしい秋晴れの中、500名を超える参加者に
理科実験を楽しんでもらいました。
今年度は応用数理科1年生だけではなく、普通科からも有志で
スタッフとして参加してくれ、昨年を大きく上回る18ブースを
出展し、今までになかった実験にもチャレンジしました。生徒たち
はアイデアを振り絞って予備実験を重ね、休日を返上して準備をし、
やっとの思いで当日を迎えました。
当日はあちこちから子供たちの歓声が聞こえ(大人からも聞こえて
ました!)賑やかな雰囲気の中で実験が行われました。子供たちの
質問にも頑張って答え、サイエンスの楽しさを伝える努力も
忘れていませんでした。
長年続けて開催しているおかげで、すっかり地域のイベントと
して定着しつつあるようで、これからも頑張ってやらなければと
思っています。参加していただいた皆様にはこの場を借りてお礼を
申し上げます。
「世界津波の日」2019高校生サミットin北海道
9月10日(火)~9月11日(水)に北海道立総合体育センター「北海きたえーる」にて「世界津波の日」2019高校生サミットin北海道が開催され,応用数理科の2年生2名が参加しました。今年で4回目の開催であり,本校は3度目の参加となりました。本年は"記憶を未来へ、備えを明日へ"~北の大地からイランカラプテ。自然災害の脅威と対応を学ぶ~のテーマの元,世界各国の「きずな」を一層深めることなどを目的に開催されました。今回は海外43か国,国内71校の参加があり,約500名の高校生が活発に発表・討論を行いました。このサミットは,11月5日の「世界津波の日」に合わせ,日本を含む世界各国の高校生を招き,防災分野における将来のリーダーを育成するとともに,災害から世界中の人々の命を守ることを目的に開催されています。
※11月5日の「世界津波の日」は,津波の脅威と対策について理解と関心を深めることを目的に,2015年12月の国連総会において,日本が提唱し,我が国をはじめ142か国が共同提案を行い,全会一致で採択されたものです。この日が「世界津波の日」とされたのは,安政元年(1854年)11月5日,安政南海地震による津波が現在の和歌山県広川町を襲った際,和歌山県の先人である濱口梧陵が稲むらに火をつけ,津波から逃げ遅れた村人を高台へ導いて,多くの命を救った故事にちなんだものです。
9月10日(火)
午前:分科会ブリーフィング・分科会
午後:開会式・分科会・レセプション
分科会では会員制交流サイト(SNS)を使い,徳島にある津波被害を記した石碑を全国・世界の人々に共有することについて発表しました。
9月11日(水)
午前:記念植樹・記念碑除幕式
午後:総会・閉会式
午前は知事公館にて記念植樹と記念碑除幕式があり,午後の総会で,分科会で出された意見をグループごとに発表を行い,その意見をまとめた,「大会宣言」が採択され,閉会しました。
世界各国から集まった高校生と交流ができ,津波防災について考える事が出来たこの2日間は大変貴重な時間となりました。本校においても,防災に関する意識を高めていけるように頑張りたいと思います。最後に,開催をしていただいた関係者の皆様,この場をお借りし御礼申し上げます。
第21回中国・四国・九州地区理数科高等学校課題研究発表大会参加
8月19日(月)・20日(火)、山口県健康づくりセンターで実施された第21回中国・四国・九州地区理数科高等学校課題研究発表大会に,本校から「グラスハープの振動数の変化」を研究した3年生3名が参加しました。
初日は,ステージ発表のリハーサルと59グループのポスター発表(物理分野14グループ・化学分野16グループ・生物分野18グループ・地学分野8グループ・数学分野3グループ)がありました。審査については発表4分・質疑4分とかなり短く,研究を要点をまとめ,質疑にも簡潔に答えました。また発表は90分×2の2交代制であったため,発表をおこなっていない後半には,他校の独創性の高い研究や実験・考察を聞いて質疑をおこない,アドバイスシートを提出するなど有意義なひとときを過ごしました。
2日目は各県を代表する16グループのステージ発表があり,それぞれ発表10分・質疑5分で実施されました。会場の高校生から活発な質疑があり,今後の大学生活や探究活動に大きな指針をいただきました。講評では,新しい問題・課題を見つけることができるかは日ごろからの積み重ねによることが大きいとご指示いただきました。
残念ながら,ポスター発表・ステージ発表で受賞することはできませんでしたが,参加生徒にとっては非常に貴重な経験ができました。現2年生は次期大分大会に向け研究を進めていきます。
J-Linkツアーin関西(応用数理科2年生)
応用数理科1年生は8月7日(水)に、午前中は姫路市科学館、午後は高輝度光科学研究センターで研修を行いました。
☆姫路市科学館
姫路市科学館は、自然、科学、宇宙をテーマにした常設展示と、世界最大級のプラネタリウムがある施設です。今年度初めて研修に入れた施設であり、常設展示を中心に見学・体験しました。2階「地球と郷土の自然」では昆虫・鳥・きのこなどの標本を観察したり、「化石タッチング」を体験しました。3階「身のまわりの科学」では、物理・科学に関する現象を実験装置を使って体験したり、「びゅんびゅんふわふわ空気パワー」と題されたサイエンスショーを観覧しました。4階「私たちの宇宙」では、地球に落ちた隕石や宇宙の果ての映像、それらを調べる観測装置などを見学しました。また、世界第5位大型プラネタリウムで星空案内を体験する生徒もおり、それぞれの生徒が興味のある分野への知識理解を深めることができました。
☆高輝度光科学研究センター(SPring-8&SACLA)
SPring-8&SACLAでは、はじめにX線自由電子レーザー施設であるSACLA(SPring-8 Angstrom Compact free electron LAser)の実験研究棟で、技術者の方から施設の概要をDVDと講義で学び、実験ブースを見学しながらレクチャーを受けました。その後、この日は年2回実施される保守点検のため施設が休止中であり、普段は入れない放射線管理区域内の実験ホールを見学させていただきました。SAKURAの加速器棟に入ることができ、ビームライン(BL)に沿って700m歩くことができました。次にSPring-8(Super Photon ring 8 GeV)に移動し、一周1400m超の実験ホールを約1/4周し、ニュース等でも話題となった小惑星イトカワの微粒子分析を行ったBL、和歌山毒物カレー事件のヒ素解析が行われたBLなどを見学しました。最後に分子の接着接合の研究をしている研究者の方からお話があり、生徒からの熱心な質疑を通して、最先端の研究の一端を体感することができました。
令和元年度SSH生徒研究発表会
8月6日から8日にかけて神戸国際展示場で開催された令和元年度SSH生徒研究発表会に科学部の生徒3名が参加しました。
6日は移動と会場でのセッティングで次の日からの本番に備えました。7日は9時から開会行事と基調講演,10時30分よりお昼を挟んで17時までポスター発表でした。SSH校約220校が参加し,さらに海外からも10カ国23校が参加して活発な発表や交流が行われました。17時30分から講評と8日に行われる全体発表校による口頭発表の6校が選出されました。審査員の先生方の反応がよかったので期待していたのですが惜しくも口頭発表には選出されませんでした。
8日は前日に選出された6校の口頭発表を見学しました。どの分野の生徒も堂々と自分たちの研究を発表していました。発表後の質疑についても自信を持って答えている様子から発表内容だけではない深い考察がうかがえました。午後から1時間ほどポスター発表をしてから表彰式が行われました。講評の中で「初めて見る人でもよくわかるようなポスター作り」について話があったので研究だけでなく見せ方も工夫が必要であると感じました。口頭発表には選出されませんでしたが,次点となる奨励賞(各分野1校ずつ)を受賞しました。生徒たちの研究の成果が評価されて晴れやかな気持ちで会を終えることができました。今年の経験がまた来年の生徒たちに伝えられたらいいなあと思います。
非常に大きな大会で運営のスタッフや審査に参加された多くの方々,指導された先生方など多くの人々に支えられた大会であることを強く感じた3日間でした。皆様お世話になりました。
J-LINKツアーin関西(応用数理科1年生)
応用数理科1年生は、8月2日(金)に神戸ポートアイランドでの県外研修を行いました。
☆甲南大学フロンティアサイエンス学部生命化学科
甲南大学ポートアイランドキャンパスでは、生命科学科の西方敬人教授より「見てみよう・持って帰ろう自分の細胞」をテーマに
150分の演習(実験)をしていただきました。最初に実験に臨む姿勢に指摘を受けたことで、長い時間でしたが生徒は集中して実験に
取り組むことができました。5人の学部生TAの皆さんにも個別指導をしていただき、ほとんどの生徒が、自分の口腔粘膜上皮細胞
をとり、染色し固定することに成功しました。また、染色を待つ時間を用いて、5グループに分かれて、施設等の案内もしていただき
ました。ご指導くださった西方先生を初め、お世話をいただいた学生や事務室の皆さんに、この場をお借りして厚く御礼申し上げま
す。
☆理化学研究所生命機能科学研究センター(BDR)
生命機能科学センターは、生命システム研究センター・多細胞システム形成研究センター・ライフサイエンス技術基盤研究センタ
ーを前進とする昨年4月に発足した理研の新しいセンターです。生命科学に関する最先端研究を行っており、様々な研究分野の研究
者が国内外から集まっています。事前に「セントラルドグマ」及び「幹細胞」についてのレポートと2つ以上の質問の事前提出が義
務付けられており、事前研修をして研修に臨みました。
初めに、サイエンス・コミュニケーターの高橋さんから、理研全体の説明があり、続いてBDRの説明がありました。次に、事前学
習してきた「セントラルドグマ」と「幹細胞」についてのお話があり、「ES細胞」「iPS細胞」に関するお話やBDRの最新の研究成
果の紹介、事前にお送りした質問内容への回答をいただきました。その後、展示室と模擬実験室に会場を移し、2つの班に分かれて
見学させていただきました。生命科学や医学に興味関心をかき立てられる研修ができました。
☆理化学研究所 計算科学研究機構(スーパーコンピュータ京)
有名なスーパーコンピュータ「京」を運用している施設です。研究棟の5,6階の間にある階段状の見学者ホールに移動し、説明
を受けました。「京」が今月末で共用を終了し、後継機の名称がスーパーコンピュータ「富岳(ふがく)」に決定したことから始ま
り、建物の耐震構造、計算科学研究機構の役割、スパコンが何に利用されるのか、「京」でどんな研究が行われているかといったお
話がありました。ご説明の後、正面スクリーンが上がると、864台筐体がずらっと並んだ「京」本体が姿を現しました。有名な施設
を目の当たりにして、みんな興奮気味でした。「京」本体やステータスを示すモニター画面を見ながら質疑応答が行われ、生徒から
活発な質問が続いたことが印象的でした。その後1階の常設展示スペースに移動し、出発まで熱心に展示物を見学しました。
第43回全国高等学校総合文化祭自然科学部門に参加して
令和元年7月27日(土)~29日(火)、佐賀県で開催された総文祭に生徒2名が参加しました。4月までの校内選抜の結果、本大会には地学部門に「江川湧水の異常水温と水位との関係」を発表することになりました。江川湧水は日本の名水百選にも選ばれており、吉野川の伏流水が湧き出したものです。本流の水温と比較すると、5~6ヶ月遅れて水温が変化します。ところが、近年このズレの期間が短くなっているということが言われ出したので、それを調べてみました。
初日は5時40分の始発便で現地へ向かい、受付終了間際の11時40分に到着しました。早々と夕立の洗礼を受け、衣服を濡らしながらも会場の佐賀大学に走り込みました。開会式の後、13時から発表が始まりました。私たちの発表はこの日の最後です。それまでは他校の発表を聞いたり、自分たちの発表の練習をしました。想定される質問に対して回答を考えたり、説明をわかりやすくするため文言を変えたりしました。そして5時間が経過しました。18時が過ぎてようやく出番です。当初は少し緊張していましたが、声を出しているうちにだんだん度胸がついてきて、終わったときにはすっかり落ち着いていました。結論から言えば、ズレの期間は従来と変わらず5ヶ月以上でした。審査員の方から、長期にわたって欠かさず記録したことを評価して頂きました。
次の日は午前中にポスター発表を見学し、午後から各地へ巡検に出向きました。私たちは九州シンクロトロン光研究センターと中富くすり博物館を訪ねました。スプリング8より小型ですが、県の機関であり産業に直結するような研究がなされていました。また、くすり博物館では置き薬の説明や原料などについて説明がありました。ゴキブリみたいな昆虫や動物の頭蓋骨も使われているそうで、実物を見てしまうとちょっと飲めないかもしれないと思いました。
最終日はニホニウム発見にまつわる講演会と生徒交流会、表彰式と閉会式がありました。ビスマスと亜鉛の原子を衝突させ毎日実験を繰り返すと、90日くらいでニホニウムが2個見つかりました。ところが、審査の基準を満たすには3個が必要で、それを見つけるのに300日もかかったそうです。大変面白い話でした。また、他校生と協力してお題目の問題を解いたり、活動の様子など様々な情報交換を楽しみました。13時に全ての日程が終了し、再び6時間以上かけて徳島に帰りました。残念ながら入賞できませんでしたが、高校生活においてとても貴重な体験ができました。