2019年12月の記事一覧
城南塾(SSH特別講演会)内野先生ご講演
12月20日(水)に1・2年生徒全員・教職員約600人を対象として、徳島城南塾SSH(スーパーサイエンスハイスクール)特別講演会を実施しました。講師として、1981年に本校を卒業され,地元で活躍されている内野建設の内野輝明先生をお招きし、「徳島の建築士にできること」と題したご講演をいただきました。初めに高校生のときは硬式テニス部に所属しており,2年生からはバンドに熱中したこと,卒業後は大学に進学し大阪で就職,その後奥さんと一緒に1年間世界旅行(視察)をしたこと,鹿児島で6年間の修行の後,徳島で事務所を開き20年になることをお聞きしました。
お話の中心は,2011年の東日本大震災から建築士として今日まで考えてきたこと,実践してきたことです。「公害」と言っても何も解決しなかったのが「環境」「エコ」で建設的に取り組める社会になっている。「防災」に対してもこの「環境」「エコ」に当たるものがないかと考えてこられたそうです。
まず初めに,阿南市にバス会社の寮を建てる際に「仮設住宅試行」の設計を実施されました。従来の仮設住宅は「飯場型」と呼ばれる1つの建物を間仕切り壁でしきったものでした。先生が,住む方のことを考え,X型に仮設住宅を配置した風社配置の設計をされました。また,仮設住宅を組み合わせ直して復興住宅に変える設計についても説明を受けました。
次に美波町で実施された「先行高地移転試行」のお話を聞きました。津波到達水位よりも上で形成される新しい住宅のことで,美波町で標高25~35mに新たなまちができる計画です。SDGsの「気象変動に具体的な対策を」で,日本で選ばれた3つの建物のうちの1つが,そこで建設された体験宿泊施設だそうです。
続いて,木材備蓄の仕組みづくりのお話がありました。部材統一・木材備蓄により,発災した場合もすぐに対応でき,美波町での発災時においては,必要構造材の約1/4の確保が玉厨子農村公園で可能だそうです。また,県産材,木材備蓄,解体・再利用,気候風土への適用といった「木造仮説住宅徳島モデル」の説明がありました。
最後に「PF」(フェイズフリー)という言葉を紹介していただきました。キャッチフレーズは「いつもともしもを,もっとフリーに。」で,普段からもしものことを考えることでみんなが助かる社会をつくれないかということです。「防災」という言葉では何も進まなかったけれど「PF」という言葉で考えていくといろんなものが解決していくとの考えをお示しいただきました。
徳島県の安心・安全について考えさせられるお話であり,生徒も感じることが多かったようです。お忙しい中ご講演いただきました内野先生に,この場を借りてお礼を申し上げます。
神戸市立工業高等専門学校を訪問
12月15日(日)に、神戸市の学園都市にある神戸高専を訪ねました。本校の応用数理科では、生徒たちが自身の興味関心があるテーマを基に課題研究をしています。そうしたなかで、サンプルの成分分析がどうしても必要になったので、神戸高専の西田真之先生のご厚意により機器分析をさせて頂きました。生徒1名と教員1名で参加しました。
当日は徳島から舞子駅まで高速バスで、そこから路線バスで学園都市駅へ移動し、さらに西田先生の案内により徒歩15分くらいで到着しました。この辺りには大学が4つもあるので学園都市と呼ばれているそうです。研究室で簡単に挨拶を済ませた後、早速レクチャーして下さることになりました。まずは、走査型電子顕微鏡(SEM)による分析です。この装置は対象物に電子線を照射することで、それに含まれる元素を調べることができます。サンプルの準備から実際の測定まで、先生と学生の方より説明を受けながら実際に操作してみました。生徒にとって、自分が用意したサンプルを自身で分析して結果を出すのは初めての体験です。対象物を慎重に選びながら、数回にわたって測定していました。午後からは、蛍光X線分析をさせて頂きました。粉末にして薄く広げた試料にX線を照射して、ターゲットにした化合物の結晶を調べます。SEMにてある程度の含有量がわかっていないと難しいそうです。また、非晶質の物質は解析できないとのことでした。
分析結果はかなり厳しいものでした。マーカーにしていた元素が検出できず、研究は暗礁に乗り上げてしまいました。その後のディスカッションでは、今後の方針の見直しや新たな提案が行われました。どこまでできるか見通しが不透明になりましたが、研究が深化していくとよく起こることでもあります。できることをやっていこうということで、互いに情報をやりとりしながら進めて行くことになりました。一方で、研究の仕方や学生生活などの話もあってとても有意義な内容でした。後日、各方面に助力を仰ぎ何とか進むべき道が見えてきました。
お世話になった神戸高専の関係者の方々に厚く御礼申し上げるとともに、今後ともご指導ご鞭撻の程よろしくお願いいたします。