平成31・令和元年度
第2回徳島県SSH高等学校課題研究及び科学部研究研修会
2月22日(土)の午後,昨年11月に行われた第1回に続き,第2回徳島県SSH高等学校課題研究及び科学部研究研修会が開かれました。コロナウイルスによる混乱や前期試験直前に当たることもあり、運営には多くの苦労もありましたが。総合科学部2号館けやきホールを会場に、無事すべての発表を行うことができました。
第1回の研修で得た要領をもとに,各校で研究グループを編成し,ポスターセッション形式の発表を行いました。城南・城北・徳島市立・富岡西の4校から43グループ151名が参加するいう過去最大規模となり,生徒たちも緊張の面持ちの中で発表が始まりました。徳島大学の先生方も3組に分かれ,各グループの発表を順番にご覧になり,その場でたくさんのご指導やご助言をしていただきました。また、本校からも物理・化学・生物の教員が参加し、関係の発表について助言をおこなうことができました。閉会行事の講評でも,予想よりもよくできていたという評価をおっしゃっていただきました。ただし,よい研究をまとめるには,関連する研究について過去の論文等をきちんと検証し,自らでしっかりと実験を行い,徹底的に議論することが大切であると,重要なご助言をいただき,第2回研修会は締め括られました。終了後の個別質問では、関係の先生方から熱心に追加のアドバイスをいただいているグループが数班ありました。
なお,第1回に引き続き,研修会全般にわたってご指導や会場等のご準備をしていただいた徳島大学の先生方と学生さん,ご参加いただいた県教育委員会ならびに県立総合教育センターの先生方,生徒さんを引率していただいた各高校の先生方,そして当日参加された高校生の皆さん,お疲れ様でした,そして,ありがとうございました。この経験を元に充実した探究活動を実践していきましょう。
英語による課題研究発表会報告
応用数理科2年生は、1月29日(水)の午後にScience EnglishⅡの一環として、英語による課題研究の中間発表会を実施しました。かなり時間的に厳しい中ではありましたが、英語科・理科の先生方やTravis先生、Matt先生にご指導をいただき、放課後の時間を活用しながら12班全てが英語発表にこぎ着けました。どの班もよく頑張ったと思います。終了後は、各先生から研究や発表についてのアドバイスをいただきました。今後、1ヶ月後の最終発表会に向け、実験や発表会の準備に取り組んでいきます。なお、SEⅡの授業は、課題研究の進展と平行して、英語論文の作成にあたります。
第63回日本学生科学賞 中央最終審査
12月22日㈰~12月24日㈫に日本科学未来館において開催された第63回日本学生科学賞の中央最終審査と表彰式に参加してきました 。
3年生の応用数理科の生徒2名と普通科の生徒1名で,3年間研究を続けた紫外可視分光光度計の改良と可搬性を持った分析機器の製作について「新たな分析法確立を目指して」という題目で発表を行ってきました。
1日目と2日目には最終審査が行われ,厳しい質問や指摘をされましたが生徒たちはそこから新しい課題を見いだし、いきいきと発表を楽しみました。
内覧会の時間も設けられており,全国の中学校や高校で行われてきた課題研究の発表を聞くことができ,多くの刺激を得ることができました。また交流会を通して,生徒同士の親睦を深め,教員間でも理数教育の課題を共有することができる貴重な時間となりました。
そして,3日目の表彰式においては「全日本科学教育振興委員会賞」を受賞することができ,さらには「ISEF2020への派遣の内定」をされることとなりました。
3年間,試行錯誤を続けた結果,集大成としてすばらしい評価を得ることができました。
城南塾(SSH特別講演会)内野先生ご講演
12月20日(水)に1・2年生徒全員・教職員約600人を対象として、徳島城南塾SSH(スーパーサイエンスハイスクール)特別講演会を実施しました。講師として、1981年に本校を卒業され,地元で活躍されている内野建設の内野輝明先生をお招きし、「徳島の建築士にできること」と題したご講演をいただきました。初めに高校生のときは硬式テニス部に所属しており,2年生からはバンドに熱中したこと,卒業後は大学に進学し大阪で就職,その後奥さんと一緒に1年間世界旅行(視察)をしたこと,鹿児島で6年間の修行の後,徳島で事務所を開き20年になることをお聞きしました。
お話の中心は,2011年の東日本大震災から建築士として今日まで考えてきたこと,実践してきたことです。「公害」と言っても何も解決しなかったのが「環境」「エコ」で建設的に取り組める社会になっている。「防災」に対してもこの「環境」「エコ」に当たるものがないかと考えてこられたそうです。
まず初めに,阿南市にバス会社の寮を建てる際に「仮設住宅試行」の設計を実施されました。従来の仮設住宅は「飯場型」と呼ばれる1つの建物を間仕切り壁でしきったものでした。先生が,住む方のことを考え,X型に仮設住宅を配置した風社配置の設計をされました。また,仮設住宅を組み合わせ直して復興住宅に変える設計についても説明を受けました。
次に美波町で実施された「先行高地移転試行」のお話を聞きました。津波到達水位よりも上で形成される新しい住宅のことで,美波町で標高25~35mに新たなまちができる計画です。SDGsの「気象変動に具体的な対策を」で,日本で選ばれた3つの建物のうちの1つが,そこで建設された体験宿泊施設だそうです。
続いて,木材備蓄の仕組みづくりのお話がありました。部材統一・木材備蓄により,発災した場合もすぐに対応でき,美波町での発災時においては,必要構造材の約1/4の確保が玉厨子農村公園で可能だそうです。また,県産材,木材備蓄,解体・再利用,気候風土への適用といった「木造仮説住宅徳島モデル」の説明がありました。
最後に「PF」(フェイズフリー)という言葉を紹介していただきました。キャッチフレーズは「いつもともしもを,もっとフリーに。」で,普段からもしものことを考えることでみんなが助かる社会をつくれないかということです。「防災」という言葉では何も進まなかったけれど「PF」という言葉で考えていくといろんなものが解決していくとの考えをお示しいただきました。
徳島県の安心・安全について考えさせられるお話であり,生徒も感じることが多かったようです。お忙しい中ご講演いただきました内野先生に,この場を借りてお礼を申し上げます。
神戸市立工業高等専門学校を訪問
12月15日(日)に、神戸市の学園都市にある神戸高専を訪ねました。本校の応用数理科では、生徒たちが自身の興味関心があるテーマを基に課題研究をしています。そうしたなかで、サンプルの成分分析がどうしても必要になったので、神戸高専の西田真之先生のご厚意により機器分析をさせて頂きました。生徒1名と教員1名で参加しました。
当日は徳島から舞子駅まで高速バスで、そこから路線バスで学園都市駅へ移動し、さらに西田先生の案内により徒歩15分くらいで到着しました。この辺りには大学が4つもあるので学園都市と呼ばれているそうです。研究室で簡単に挨拶を済ませた後、早速レクチャーして下さることになりました。まずは、走査型電子顕微鏡(SEM)による分析です。この装置は対象物に電子線を照射することで、それに含まれる元素を調べることができます。サンプルの準備から実際の測定まで、先生と学生の方より説明を受けながら実際に操作してみました。生徒にとって、自分が用意したサンプルを自身で分析して結果を出すのは初めての体験です。対象物を慎重に選びながら、数回にわたって測定していました。午後からは、蛍光X線分析をさせて頂きました。粉末にして薄く広げた試料にX線を照射して、ターゲットにした化合物の結晶を調べます。SEMにてある程度の含有量がわかっていないと難しいそうです。また、非晶質の物質は解析できないとのことでした。
分析結果はかなり厳しいものでした。マーカーにしていた元素が検出できず、研究は暗礁に乗り上げてしまいました。その後のディスカッションでは、今後の方針の見直しや新たな提案が行われました。どこまでできるか見通しが不透明になりましたが、研究が深化していくとよく起こることでもあります。できることをやっていこうということで、互いに情報をやりとりしながら進めて行くことになりました。一方で、研究の仕方や学生生活などの話もあってとても有意義な内容でした。後日、各方面に助力を仰ぎ何とか進むべき道が見えてきました。
お世話になった神戸高専の関係者の方々に厚く御礼申し上げるとともに、今後ともご指導ご鞭撻の程よろしくお願いいたします。
徳島県SSH課題研究及び科学部研究研修会の開催
日時 2019年11月23日(土)13:00~17:00
場所 徳島大学理工学部(共通講義等6F 創成スタジオ)
本校SSHではミッションの一つとして「地域における科学の中核校」を掲げており、その一環として徳島県の課題研究のレベル向上を図るべく、徳島大学理工学部の全面的なご協力と、徳島県立総合教育センターや徳島県教育委員会のご助力を得て「徳島県SSH高等学校課題研究および科学部研究研修会」を実施しております。4校から150名の生徒参加があり過去最大の規模となりました。指導には大学の先生7名、徳大生TA6名、県総合教育センター3名、県教育委員会2名、引率教員10名が当たりました。
集まった生徒は学校の枠を超え20班に分かれ、大学の先生方やTAの皆さんにご指導いただきながら、自己紹介等のアイスブレーキングの後「研究テーマの選び方と研究のすすめ方」について、ブレーンストーミングとKJ法によってアイデアをまとめていくという手法を体験的に学びました。研修は3つのパートに分かれ、①当該科目(数学・物理・化学・生物・地学)で興味があること、②分かっていない解明されていないと思われること、③どのようにしたら調べる(明らかにする)ことができるかいう各テーマについて班ごとに活発な話し合いが行われました。
なお2月22日(土)午後の第2回研修では、各校各研究班で課題研究テーマ・仮説・研究方法・予想される結果などをまとめ、事前提出レポート1枚と当日10分程度のプレゼンにまとめて発表し、大学の先生方からアドバイスをいただくという内容で行う予定です。第1回に参加できなかった学校も参加可能です。この企画が本校だけでなく、県内高校の課題研究の向上に少しでも役立てば幸いです。
応用数理科1年生 地学分野現地研修
11月22日(金)の午後、応用数理科1年生40名と引率教員3名で、淡路島の北淡町震災記念公園へ行きました。生徒たちは先週、徳島大学の村田明広先生の講義を受けており、今回は現地での研修となりました。
現地に向かう車中から線状地形(リニアメント)を観察しました。徳島ICから高速に乗りしばらく進むと、左右に鳴門市の田畑が広がっています。この辺りに断層が走っていて、北側がほんの少しだけ高くなっています。断層より北側では住宅やサツマイモ畑が多く、南側ではレンコン畑がよく見られるとのことです。
バスに揺られて50分くらいで記念公園に到着しました。ここには1995年に発生した阪神淡路大震災で動いた野島断層が保存されています。記念館の方と村田先生から断層の説明があり、生徒たちは熱心に聞きながらメモを取っていました。圧巻は断層の断面を見られるようにした場所で、地中に隠されて見えない断層を間近で観察できました。また、断層の真上にあったメモリアルハウスを見学したり、起震装置に乗って大地震の揺れを体験しました。
そこからバスで15分ほど走って明石海峡大橋の南詰に行きました。村田先生の説明を受けながら、橋を支える主塔やアンカレッジなどを遠くから見学しました。当時建設中の橋の真下でも断層が横滑りし、主塔間の距離が1m伸びたおかげで橋の長さは最終的に1m長くなったそうです。
徳島県も今後30年以内に70%の確率で南海地震の被害に遭うと予測されています。防災には地学の専門知識が必要不可欠と感じました。今後も知識を増やさなければいけないと痛切に感じました。
最後に、徳島大学の村田先生には大変お世話になりました。厚く御礼申し上げます。
第76回科学経験発表会報告
10月27日(日)、徳島県教育会館にて第76回科学経験発表会が開催されました。高等学校の部には、近年最大の参加数となる4校12班の参加があり、3時間を超えるの熱心な発表・質疑応答が繰り広げられました。本校からは現在課題研究に取り組んでいる応用数理科2年生から5つの研究班が参加しました。どの班も校外での発表会は初めてでしたが、現在までの研究の成果をうまくプレゼンすることができました。今回の発表で貴重な発表経験を積むことができ、審査委員や引率の先生方から様々な質疑やアドバイスをもらうことができました。最後の閉会行事において、鳴門教育大学の早藤先生から講評をいただきました。ご指摘いただいたのは次の4点です。
○新規研究は先行研究の内容がどこまで明らかになっているのか?
○研究の動機と自ら取り組む仮説の設定は妥当か?(実施期間内に解決可能か?)
○目的(課題)を達成するための妥当な方法が設定されているか?
○グラフ及び表の表現に仕方が適切か?
最後に「結論を急がないで、現状の事実から言い切れる内容を大事に研究を進めて欲しい。結果から新たに導き出される仮説の妥当性を高めながら、研究を進めて欲しい。」とエールをいただきました。ぜひ今後の研究や発表会に生かしていきたいと思います。
【発表会の結果】
特選/最優秀賞 「塩素系漂白剤とDHHBにおける反応と染色の応用を目指して」
特選 「プラナリアの餌を感知する部位と誘引物質」
入選 「ビリヤード球の衝突特性」
「長周期地震動と建物の揺れの関係」
「海部刀の原料はどこからきたか」
JAXA特別講演会参加
11月8日(金)午後、アスティとくしまで開催された「JAXA宇宙科学研究所の宇宙探査/観測計画~はやぶさ2小惑星探査から深宇宙探査船団へ~」と題された特別講演に応用数理科1・2年生80名が参加しました。講師はJAXA理事の國中均宇宙科学研究所長です。
初めに、化学ロケットエンジンと電気ロケットエンジン(イオンエンジン)についての説明がありました。化学エンジンの噴射速度が5km/sであるのに対し、イオンエンジンでは30km/sの噴射速度が可能であり、イオンエンジンを搭載した「はやぶさ」及び「はやぶさ2」は500kgと軽量化されてることを知りました。
つづいて「はやぶさ」や「はやぶさ2」でのミッションの説明があり、「はやぶさ」の機器トラブルにより3年帰還が遅れたことや、「はやぶさ2」が水が含む炭素系小惑星である「りゅうぐう」を調査対象としたことなどを学びました。
最後に、JAXAが実施中または計画中の惑星・衛星調査の現状や、2030年代に火星に人類を送るゲートウェイ計画(世界共同計画)の説明があり、講演を聴いている高校生の中から20年後に宇宙開発に携わる人育ってほしいとエールと受けました。
講演後は、企業や研究機関の展示スペースを見学させていただき、個別に説明を聞くことができました。
このような貴重な場を設定していただきましたJAXAや徳島大学の関係の方々に、この場を借りて御礼申し上げます。
107HR高大連携授業(笠先生・香川大学)
応用数理
科1年生は、10月25日(金)午後、香川大学教育学部の笠先生をお招きして、課題研究に関する高大連携授業を行いました。
初めに「探究活動とは何か~高校で科学する~」をテーマに、探究活動と普通の授業の違いから始まり、信頼性のある証拠、妥当性のある証拠とは何かについて、聴き手に信用してもらう証拠を示すことの重要性についてお話いただきました。そのために研究の全過程でいつも研究の見直しを心がけることが大切であるとを学びました。
続いて「研究ノートについて」をテーマに、実験オノートは何故必要か、理想的な実験ノートについて、実験ノートに書くべきこと、使う上での注意点を学びました。
最後に「変数とは何か」をテーマに、「変数(variable)」と「値(value)」について具体例を示しながらお教えいただき、生徒にとっても、参加していた教員にとっても大いに参考となる内容でした。
応用数理科1年生は、笠先生の高大連携講座、そして本校と徳島大学が共同開催する、課題研究のテーマ設定を主要な目的とする徳島県SSH高等学校課題研究および科学部研究研修会で学んだことを活用し、自分たちで研究班を形成し課題研究テーマや実験計画などを決めていき、3学期から課題研究を本格的にスタートさせます。