2019年11月の記事一覧
徳島県SSH課題研究及び科学部研究研修会の開催
日時 2019年11月23日(土)13:00~17:00
場所 徳島大学理工学部(共通講義等6F 創成スタジオ)
本校SSHではミッションの一つとして「地域における科学の中核校」を掲げており、その一環として徳島県の課題研究のレベル向上を図るべく、徳島大学理工学部の全面的なご協力と、徳島県立総合教育センターや徳島県教育委員会のご助力を得て「徳島県SSH高等学校課題研究および科学部研究研修会」を実施しております。4校から150名の生徒参加があり過去最大の規模となりました。指導には大学の先生7名、徳大生TA6名、県総合教育センター3名、県教育委員会2名、引率教員10名が当たりました。
集まった生徒は学校の枠を超え20班に分かれ、大学の先生方やTAの皆さんにご指導いただきながら、自己紹介等のアイスブレーキングの後「研究テーマの選び方と研究のすすめ方」について、ブレーンストーミングとKJ法によってアイデアをまとめていくという手法を体験的に学びました。研修は3つのパートに分かれ、①当該科目(数学・物理・化学・生物・地学)で興味があること、②分かっていない解明されていないと思われること、③どのようにしたら調べる(明らかにする)ことができるかいう各テーマについて班ごとに活発な話し合いが行われました。
なお2月22日(土)午後の第2回研修では、各校各研究班で課題研究テーマ・仮説・研究方法・予想される結果などをまとめ、事前提出レポート1枚と当日10分程度のプレゼンにまとめて発表し、大学の先生方からアドバイスをいただくという内容で行う予定です。第1回に参加できなかった学校も参加可能です。この企画が本校だけでなく、県内高校の課題研究の向上に少しでも役立てば幸いです。
応用数理科1年生 地学分野現地研修
11月22日(金)の午後、応用数理科1年生40名と引率教員3名で、淡路島の北淡町震災記念公園へ行きました。生徒たちは先週、徳島大学の村田明広先生の講義を受けており、今回は現地での研修となりました。
現地に向かう車中から線状地形(リニアメント)を観察しました。徳島ICから高速に乗りしばらく進むと、左右に鳴門市の田畑が広がっています。この辺りに断層が走っていて、北側がほんの少しだけ高くなっています。断層より北側では住宅やサツマイモ畑が多く、南側ではレンコン畑がよく見られるとのことです。
バスに揺られて50分くらいで記念公園に到着しました。ここには1995年に発生した阪神淡路大震災で動いた野島断層が保存されています。記念館の方と村田先生から断層の説明があり、生徒たちは熱心に聞きながらメモを取っていました。圧巻は断層の断面を見られるようにした場所で、地中に隠されて見えない断層を間近で観察できました。また、断層の真上にあったメモリアルハウスを見学したり、起震装置に乗って大地震の揺れを体験しました。
そこからバスで15分ほど走って明石海峡大橋の南詰に行きました。村田先生の説明を受けながら、橋を支える主塔やアンカレッジなどを遠くから見学しました。当時建設中の橋の真下でも断層が横滑りし、主塔間の距離が1m伸びたおかげで橋の長さは最終的に1m長くなったそうです。
徳島県も今後30年以内に70%の確率で南海地震の被害に遭うと予測されています。防災には地学の専門知識が必要不可欠と感じました。今後も知識を増やさなければいけないと痛切に感じました。
最後に、徳島大学の村田先生には大変お世話になりました。厚く御礼申し上げます。
第76回科学経験発表会報告
10月27日(日)、徳島県教育会館にて第76回科学経験発表会が開催されました。高等学校の部には、近年最大の参加数となる4校12班の参加があり、3時間を超えるの熱心な発表・質疑応答が繰り広げられました。本校からは現在課題研究に取り組んでいる応用数理科2年生から5つの研究班が参加しました。どの班も校外での発表会は初めてでしたが、現在までの研究の成果をうまくプレゼンすることができました。今回の発表で貴重な発表経験を積むことができ、審査委員や引率の先生方から様々な質疑やアドバイスをもらうことができました。最後の閉会行事において、鳴門教育大学の早藤先生から講評をいただきました。ご指摘いただいたのは次の4点です。
○新規研究は先行研究の内容がどこまで明らかになっているのか?
○研究の動機と自ら取り組む仮説の設定は妥当か?(実施期間内に解決可能か?)
○目的(課題)を達成するための妥当な方法が設定されているか?
○グラフ及び表の表現に仕方が適切か?
最後に「結論を急がないで、現状の事実から言い切れる内容を大事に研究を進めて欲しい。結果から新たに導き出される仮説の妥当性を高めながら、研究を進めて欲しい。」とエールをいただきました。ぜひ今後の研究や発表会に生かしていきたいと思います。
【発表会の結果】
特選/最優秀賞 「塩素系漂白剤とDHHBにおける反応と染色の応用を目指して」
特選 「プラナリアの餌を感知する部位と誘引物質」
入選 「ビリヤード球の衝突特性」
「長周期地震動と建物の揺れの関係」
「海部刀の原料はどこからきたか」
JAXA特別講演会参加
11月8日(金)午後、アスティとくしまで開催された「JAXA宇宙科学研究所の宇宙探査/観測計画~はやぶさ2小惑星探査から深宇宙探査船団へ~」と題された特別講演に応用数理科1・2年生80名が参加しました。講師はJAXA理事の國中均宇宙科学研究所長です。
初めに、化学ロケットエンジンと電気ロケットエンジン(イオンエンジン)についての説明がありました。化学エンジンの噴射速度が5km/sであるのに対し、イオンエンジンでは30km/sの噴射速度が可能であり、イオンエンジンを搭載した「はやぶさ」及び「はやぶさ2」は500kgと軽量化されてることを知りました。
つづいて「はやぶさ」や「はやぶさ2」でのミッションの説明があり、「はやぶさ」の機器トラブルにより3年帰還が遅れたことや、「はやぶさ2」が水が含む炭素系小惑星である「りゅうぐう」を調査対象としたことなどを学びました。
最後に、JAXAが実施中または計画中の惑星・衛星調査の現状や、2030年代に火星に人類を送るゲートウェイ計画(世界共同計画)の説明があり、講演を聴いている高校生の中から20年後に宇宙開発に携わる人育ってほしいとエールと受けました。
講演後は、企業や研究機関の展示スペースを見学させていただき、個別に説明を聞くことができました。
このような貴重な場を設定していただきましたJAXAや徳島大学の関係の方々に、この場を借りて御礼申し上げます。
107HR高大連携授業(笠先生・香川大学)
応用数理
科1年生は、10月25日(金)午後、香川大学教育学部の笠先生をお招きして、課題研究に関する高大連携授業を行いました。
初めに「探究活動とは何か~高校で科学する~」をテーマに、探究活動と普通の授業の違いから始まり、信頼性のある証拠、妥当性のある証拠とは何かについて、聴き手に信用してもらう証拠を示すことの重要性についてお話いただきました。そのために研究の全過程でいつも研究の見直しを心がけることが大切であるとを学びました。
続いて「研究ノートについて」をテーマに、実験オノートは何故必要か、理想的な実験ノートについて、実験ノートに書くべきこと、使う上での注意点を学びました。
最後に「変数とは何か」をテーマに、「変数(variable)」と「値(value)」について具体例を示しながらお教えいただき、生徒にとっても、参加していた教員にとっても大いに参考となる内容でした。
応用数理科1年生は、笠先生の高大連携講座、そして本校と徳島大学が共同開催する、課題研究のテーマ設定を主要な目的とする徳島県SSH高等学校課題研究および科学部研究研修会で学んだことを活用し、自分たちで研究班を形成し課題研究テーマや実験計画などを決めていき、3学期から課題研究を本格的にスタートさせます。
第63回日本学生科学賞徳島県審査の結果について
10月30日(水)徳島県立総合教育センターにて、中高生が科学研究の成果を競う第63回日本学生科学賞徳島県審査(読売新聞社主催)が行われました。本校の「紫外可視分光光度計の改良と可搬性を持った分析機器製作」と「江川湧水の異常水温と気象要素との関係について」の研究が最優秀賞(知事賞)を受賞し、県代表として中央予備審査に出展します。また、その他7つの研究も受賞し、本校の課題研究の広がりと深まりを感じる結果となりました。
全体の結果は以下のとおりです。
◇最優秀賞(知事賞) 2点 →中央予備審査へ
「紫外可視分光光度計の改良と可搬性を持った分析機器製作」
応用数理科3年 新田悠貴 河村さつき 普通科3年 玉野弘人
「江川湧水の異常水温と気象要素との関係について
応用数理科3年 粟田真以 坂尾値佳子
◇優秀賞(教育長賞) 4点
「ケーソン式防波堤による波高減少効果について」
応用数理科3年 岡田明樹 住友嵩征 中村悠亮 和田拓巳
「アルソミトラ種子の表面形状が滑空に及ぼす影響」
応用数理科3年 荒尾空輝 川染翔吾 坪本颯史 多田英資
「グラスハープの振動特性について」
応用数理科3年 河口愛奈 野口ひより 福本琴未
「プラナリアの粘液について」
応用数理科3年 市橋萌可 角田弥優
◇入賞 3点
「塩化コバルトのクロモトロピズムについて」
応用数理科3年 池北聖菜 大野由理 中川あやか
「弓矢発射装置の作製と矢所の安定化を目指して」
応用数理科3年 尾本壮太 永峰直樹 吉田光佑
「文化の森総合公園における地表性甲虫の種類と分布響」
応用数理科3年 伊丹柊汰 渡邊公理 桐本さくら 吉岡みやび