令和4年度 活動内容

とうきょう総文2022自然科学部門参加

 8月2日(火)から4日(木)まで3日間開催されました、第46回全国高等学校総合文化祭東京大会自然科学部門に科学部の生徒3名が参加しました。第1日目と2日目は「鉄腕ダッシュ」で有名になった東京富士大学におきまして、口頭発表とポスター発表がありました。本校生は2日目に「糸電話の糸の状態による音の伝わり方の違い」について口頭発表をし、会場からの質疑にもよく対応することができました。3日目は東京文教大学本郷キャンパスにおきまして、生徒交流会・記念講演会・閉会行事が実施されました。生徒交流会では無作為に作られたグループで、会場で用意されたゲーム等をとおして他県の生徒と交流を深めることができました。2日目午後に予定されていました巡検研修はコロナ禍で中止となりましたが、3日間を通して参加生徒は多くの経験を積むことができました。今後の進路において活かしてくれることを期待します。

 

 

 

徳島大学主催 海外の卓越した研究者による「海外特別講演会」を教材とした高校生向け出張講義「The Revolution of Personalized Medicine(個別化医療)」

 令和4年8月22日(月)徳島大学 先端酵素学研究所所長教授・副学長福井清先生をお招きし、本校1~3年生の受講希望者10名に対して、出張講義を実施していただきました。

 講義内容は、徳島大学にて昨年10月に開催されたテクニオンーイスラエル工科大学Aaron Ciechanover教授の「The Revolution of Personalized Medicine(個別化医療)」を教材としたものです。

 Ciechanover教授は、「ユビキチン依存性たんぱく質分解機構の発見」により、ノーベル化学賞を共同受賞しているほか、「ATP依存性タンパク質分解ファクター-1(APF-1)」の発見でも知られています。

 現在は、同じ病名であれば、同じ医療(pajamas medical)が実施されているのですが、現在の治療法とは異なる個々の患者に適合した(tailored)治療を行うPersonalized Medicine(個別化医療)について、解説していただきました。これからの病(disease)、患者(patient)、治療(treatment)の定義が変わっていくという内容が非常に印象的でした。 

 講義終了後の質疑応答では、遺伝子レベルでの個人情報についてや、医療倫理の観点からの問題について、熱意ある意見交換が行われました。生徒たちは積極的に質問し、予定時間を超えて、質疑応答が実施されました。これからも、国際的に活躍できる科学技術人材となれるよう、科学界でのトップランナーやトップレベルの科学技術に触れ、未来を切り開く革新者(innovator)としての資質を身につけていってほしいと思います。

化石ツアーin唐浜

 7月29日(金)、ついに化石ツアーの本番です。従来は県南の那賀町や香川県高松市などを訪れていましたが、今回は初の高知県です。徳島市から110km先の室戸岬、そしてそこから30km先の安田町唐浜(とうのはま)が目的地です。バスをチャーターして、朝7時に学校を出発しました。

 宍喰で休憩した後、山と海に挟まれた海岸線をずっと走ります。天気が回復して海に日が差し込んできました。すると、海の色が徳島とは違います。岸辺は薄い青色ですが、沖に行くに従ってグラデーションのように少しずつ色が濃くなります。そして、ほとんど黒に近い青色になりました。これが黒潮なのですね。皆が何となく感動していました。

 10時半頃に室戸岬に到着しました。ここではタービダイトという砂岩と泥岩の互層が見られます。教科書でも取り上げられているほど有名な場所です。思ったほど暑くないので、バスから降りて野外で昼食をとりました。その後は定時まで自由散策して、遊歩道を歩いたり展望台に登ったり地層や植物を観察したりしました。

 

 12時に室戸岬を出発し、唐浜に向かいました。全国的にも有名な場所で、260万年前の新生代化石を産出します。化石が出る土手を保存しており、事前に町役場に許可を申請しておくとそこで採集できます。今回は化石を産出する現地とバス駐車用に多目的広場をお借りしました。

 13時頃から14時半まで活動しました。土手の西側に沿って、何十人もがハンマーを振るっている様子は壮観です。最初はどうやればよいかわからない人が多かったですが、慣れてくると土中から様々な化石を掘り出していました。ほとんどが白くなっている化石でしたが、中には色付きの物がありました。また、やや大型のキヌガサガイが複数見つかりました。きれいに形が残った二枚貝はまるで生きているようで、中身が詰まっているのではないかと錯覚しそうです。しかし、弘法大師さんの食わず貝伝説にあるように、そういうことはありません。

 水分補給を怠りなくしていましたが、そろそろ体力的にも限界のようです。名残惜しそうにしている人もいましたが、今日はこれで打ち止めとしました。帰りは2箇所の道の駅に立ち寄り休憩や買い物をしました。次はどこへ行きましょうか。

 後日、参加者にアンケートを実施しましたが、9割以上の人が内容的にちょうど良かったそうで、全員が普通以上に満足したと回答しました。また来年も楽しみにしておいて下さい。これをご覧の皆さんもぜひ城南に来られて、私たちと一緒に野外に繰り出しましょう。

 末筆ながら、徳島化石の会と安田町役場・教育委員会の方々には大変お世話になりました。

 

プレ化石ツアーin藤川層

 7月10日(日)、月末の化石ツアーを前に希望者だけで近くの化石産地を訪れました。城南から車で40分の勝浦郡上勝町は、恐竜発見地の勝浦町と並んで化石の有名な産地です。白亜紀の地層が広く分布し、シダ植物や三角貝(トリゴニア)などを産出します。また、変わったところでは強粘結性瀝青炭という石炭も出ます。しかし、今日の狙いはアンモナイトです。

 正木ダムの湖面より少し標高が高い位置に藤川層が走っています。黒い泥岩からなり、乾燥するとタマネギ状に割れていきます。その岩を少しずつ削りながら丹念に見ていくと、平たい巻き貝のような物体がはさまっているのが見つかります。それこそが目的のアンモナイトなのです。デスモセラス・シコクエンスと称されます。大きさは5cm前後とかなり小型で、突起物もなくすべすべして丸まった貝のようです。いつもはなかなか見つからないのですが、今日は1時間くらいで4つも見つけました。

 時間が余ったので、ついでにトリゴニアの産地も見に行きました。藤川層と違ってこちらは砂岩からなる地層です。ところが、化石を含む母岩が余り見つからないため採集できませんでした。ちょっと残念でした。

 さあ次はツアーの本番です。このリベンジをしっかり果たしたいと思います。城南では、SSHや科学部を問わず野外活動を精力的に行っています。これを見ている皆さんも一緒に野外へ飛び出しませんか!

 

徳島大学主催 海外の卓越した研究者による「海外特別講演会」を教材とした高校生向け出張講義

令和4年7月14日(木)に、応用数理科2年 207HRを対象に、徳島大学 先端酵素学研究所客員教授 福井清 先生をお招きして、海外の卓越した研究者による「海外特別講演会」を教材とした出張講義を行っていただきました。

 

スタンフォード大学Thomas Byers教授『Technology Ventures』の授業を教材に、アントレプレナーシップの基礎を紹介していただきました。講演では、Byers教授が強調された、深い専門性だけでなく広い教養を持つ「T型人材」についての内容が印象に残っており、「起業」という視点だけではなく、大学生・社会人として今後学ぶべきこと、取り組むべきことに対する興味・関心を広げることができたと感じました。質疑応答では、自身の体験と合わせて、幅広い教養を持つことの意義について意見が出ていました。このような機会を通じて、広い視野を確保し、世界で活躍できる科学技術人材となっていってほしい思います。

令和4年度SSH生徒研究発表会参加

 令和4年8月3日(水)・4日(木)に神戸国際展示場で令和4年度SSH生徒研究発表会が開催されました。本校からは「水を媒体とした酢酸インドキシルからのインジルビンの選択的合成」についての研究発表を行いました。

 1日目となる8月3日には,SSH指定校及び過去に指定経験のある学校のうち参加を希望する学校(220校)の生徒が,ポスター発表を実施し,審査委員による審査を経て,代表校が選出されました。9時30分からの開会行事の後,9時45分よりポスター発表をしました。発表を行っていない時間には他の研究班の発表を見学し,様々な分野の研究に触れることができました。また,研究内容や研究の進め方について交流が行われました。大学などの研究機関の方からも質疑をいただき,新たな発見につながるような指摘を受けました。今後の研究のヒントとなる見識もいただきました。16時15分からの全体会では,8月4日に行われる全体発表校6校が選出され,各分野の講評をいただきました。

2日目となる8月4日には,午前中に6校による全体発表,午後からはポスター発表と全大会が行われました。全大会では表彰と全体公表が行われました。本校の発表はポスター発表賞を受賞することができました。

SSH最高峰の発表会であり,参加生徒にとっては大変貴重で成長につながる経験ができました。また,運営のスタッフや審査の方々など多くの人々に支えられた大会であることを強く感じ,発表会は終了しました。

 

   

徳島大学ポストLEDフォトニクス研究所出前授業

6月30日(木)午後、徳島大学ポストLEDフォトニクス研究所から先生方をお迎えし、応用数理科1年生の出前授業が開催されました。徳島大学大学院産業理工学研究部助手の高島祐介先生は阿南市のご出身で、生徒の年齢とも近く、研究者を身近に感じることができました。講義内容は、研究者になっていく経緯、ご専門とする研究のコンセプトなどを説明いただいた後、先生が造られたGaAs-LEDとGaP-LEDの発光実験や、LEDで別のLEDを発光させる実験を体験しました。最後に「実験から得られる情報を見落とさない」「”高い装置がないと測定できません”は×」とお言葉をいただき、これから課題研究を始める生徒たちにとって大変有意義な時間を過ごすことができました。最後には個別に生徒が先生と話す時間を設けていただき、先生の名刺をいただいてとても喜んでいる生徒もいました。高大連携事業を通して、生徒が研究者をより身近に感じてもらい、将来サイエンスの道を志し、より良い社会を作り出す革新者(イノベーター)となることを期待します。高島先生をはじめ、実験をお手伝いいただいた先生方にこの場を借りて御礼申し上げます。

 

 

Advanced Science(物理科学)高大連携授業

 6月28日(火)の午後、Advanced Scienceで物理科学を選択している生徒5名で徳島大学ポストLEDフォトニクス研究所を訪問させていただきました。約3年ぶりとなる大学での高大連携授業であり、江本顕雄先生を初めとして、関係の先生方や学生の方から電磁波(紫外線からテラヘルツ帯)の講義や説明を受け、実際に物質の吸収スペクトルを測定しスペクトルグラフを作らせてもらいました。少し難しく感じた生徒もいたようでしたが、大学レベルでの研究に触れる貴重な2時間となりました。これらの経験が今後の進路選択につながってくれるとうれしく思います。

 

 

 

 

園瀬川総合科学調査

7月13日(火)の午後に応用数理科1年生・普通科1年生によって園瀬川総合科学調査を実施しました。園瀬川総合科学調査はSSHに指定された平成15年度より実施されており、「上流」「中流」「下流」に分かれて調査が継続されています。主な調査内容は「流速」「透明度調査」「パックテスト」「水生昆虫の採取」です。透明度調査に関しては、非常に透明度が高く、水底まで見通せるほどでした。参加した生徒は、科学調査の基本を学ぶことができました。これらの体験が今後の探究活動につながることを期待します。

【上流】

 

 

【中流】

 

 

【下流】

 

 

Advanced Science 地球・天体科学②

6月28日(火)応用数理科3年生に学校設定科目「Advanced Science(地球・天体科学)」を行いました。

今回は、高大連携事業として、鳴門教育大学の米延仁志先生に来ていただき、「過去を探る科学」というタイトルで古環境学の基礎を学びました。米延先生は、年輪年代測定の研究をされており、実際に樹木のサンプルをお持ちいただき、ノギスを使って年輪幅を測定しました。年輪幅からグラフを作成し、古環境を推定するところまで進めることができました。米延先生、今回はとても貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。