令和4年度 活動内容
地学野外研修(活断層と地層)
11月25日(金)午後に「Science Introduction」で淡路島の北淡町震災記念公園へ行きました。生徒たちは先週、徳島大学名誉教授の村田明広先生の講義を受けており、今回は現地での研修となりました。バスに揺られて50分くらいで記念公園に到着し、野島断層保存館を見学しました。そこからバスで15分ほど走って道の駅「あわじ」に行きました。村田先生の説明を受けながら、明石海峡大橋を支える主塔やアンカレッジなどを遠くから見学しました。当時建設中の橋の真下でも断層が横滑りし、主塔間の距離が1m伸びたおかげで橋の長さは最終的に1m長くなったそうです。生徒たちの地学への興味関心が高まった非常に良い機会であったと思います。
最後に、徳島大学名誉教授の村田先生には大変お世話になりました。厚く御礼申し上げます。
Science Introduction(物理・地学)
10月21日(金)と11月11日(金)に応用数理科1年生のScience Introductionで基礎実験を行いました。
今回は物理分野と地学分野の基礎実験です。実験内容は以下のものになります。
【物理分野】乾電池の電流と電圧の関係を調べてみよう
新しい乾電池と古い乾電池を可変抵抗に接続し、乾電池を流れる電流と電圧の関係を調べてました。回路を組むことに苦戦しつつも、乾電池の電圧が変化することに疑問を感じたようでした。実験データについては、実験ノート形式のプリントにどのように記載するかを各々が工夫し、乾電池の電流-電圧特性について理解と古い乾電池はなぜ使えないのか考察をしました。
【地学分野】単振り子の周期を用いた重力加速度の測定
単振り子の周期を用いて重力加速度を測定しました。平面を振動する振り子の周期は重力の平方根に反比例します。この関係式を使って、重力加速度を求めました。重力は万有引力と遠心力の合力であるため、極付近で最大、赤道付近で最小となります。さらに、地面から離れれば離れるほど自転軸からの距離が大きくなるため、遠心力が大きくなり、重力は小さくなります。今回はこれを検証すべく、1階から4階までの実験室で実験を行い、自分の班が求めた値は妥当な数値なのか考察しました。また、今回の実験の過程において、何が誤差の要因となっているのかを考え、レポートにまとめました。来年度の課題研究では、自らが行った実験の誤差要因を分析し、判断する能力が求められます。今回の実験が来年度の課題研究に役立ってもらえたらと思います。生徒は他にも、周期の測定方法の工夫、ノギスの使い方など実験の基本操作についても学習しました。
課題研究科学部研究研修会開催
日時 11月22日(火)16:30~19:30
場所 城南高校をホストに各校に配信
本校SSHのミッションの一つとして「地域における科学の中核校」を掲げており、その一環として徳島県の課題研究のレベル向上を図るべく、徳島大学理工学部の全面的なご協力と、徳島県立総合教育センターや徳島県教育委員会のご助力を得て、毎年「徳島県SSH高等学校課題研究及び科学部研究研修会」を実施しております。例年は徳島大学で対面での研修会を行っていましたが、今年もコロナ禍の影響があり、本校をホストに各校に配信する形で実施しました。徳島大学から城南高校で3名、オンラインで4名の先生方にご指導いただきました。県内4校から150名の生徒参加があり、各校とも数名の教員が支援に当たりました。各校で6名程度のグループをつくり、「研究テーマの選び方と研究のすすめ方」について、ブレーンストーミングとKJ法によってアイデアをまとめていくという手法を体験的に学びました。研修は3つのパートに分かれ、①興味があること、②分かっていない解明されていないと思われること、③どのようにしたら調べる(明らかにする)ことができるかいう各テーマについて班ごとに活発な話し合いが行われました。この研修をきっかけとして、12月・1月に各校で課題研究のテーマ決めと班編制および研究の進め方について考えていきます。
なお2月下旬予定の第2回研修では、各校各研究班で課題研究テーマ・仮説・研究方法・予想される結果などをまとめ、事前提出レポート1枚とオンラインで5分程度のプレゼンにまとめて発表し、大学の先生方からアドバイスをいただくという内容で行う予定です。第1回に参加できなかった学校も参加可能です。この企画が本校だけでなく、県内高校の課題研究の向上に少しでも役立てば幸いです。
第79回科学経験発表会について
11月3日(木)徳島県教育会館にて第79回科学経験発表会が行われました。城南高校応用数理科からは、1年生1グループ1人、2年生6グループ18人が発表をしました。審査員からは、活発な質疑や提案がなされ、これからの研究の改善点や参考になる点も多く、この経験を通じて、ますます研究が深まると感じました。
結果は
特選:虫のふ節による分類(最優秀)、高知県唐浜で採集した貝化石の研究、糸電話でできた楽器,ストリ
ングラフィーの波の特性 、様々な光環境における豆苗の生育と栄養成分の変化について
入選:新しいコンピューターについての提案①ローマ字打ちでの日本語入力に特化した新しいキーボード案についての研究②視線入力インターフェースとその実用化、脈動変光星の研究、チョークの粉の再利用を目指して
となり、特選5点の内、城南高校が最優秀を含む4点となりました。
今後、必要なデータを集め、ますます深みのある研究を行ってほしいです。
科学部員,徳島中学校に突撃!
去る11月14日(月),「突撃!隣の科学部」と称した出前実験講座を行うために,本校科学部員有志11名が徳島市徳島中学校に突撃!しました。新型コロナウイルス感染拡大の懸念から,ここ数年は,小学生や中学生と対面でふれ合う機会を設けることができませんでした。しかし,県内の感染に関する動向をみながら,かつ十分な感染防止対策を行うことで,今回の企画が実施できる運びとなりました。
今回は「酸化還元反応」をテーマにして,化学反応がおこる度に,反応溶液の色合いが次々と変化する実験を,科学部員で企画しました。中学生と直接お話しするのは,ほぼ初めての生徒ばかりで,中学生のみなさんより,むしろ緊張した雰囲気で講座が始まりました。しかし,時間が進むにつれて,どの実験台も和やかなムードの中,楽しく活動ができているように感じました。
この度の企画を実施するにあたり,賛同し受け入れてくださった徳島中学校の先生方,また,日の入りも早くなったこの時期の放課後にもかかわらず,参加してくれた徳島中学校の生徒のみなさんに厚く感謝申し上げます。初めての試みであり,至らない点も多くあったことと思います。併せて,お詫び申し上げます。
今回の反省点を改善し,第2回,第3回,……と今後もこの企画を続けていきたいと考えています。次は,あなたの通う中学校に突撃!…するかもしれません。
サイエンスダイアログの実施
11月2日(水)6、7限目に207HR生徒を対象に、大会議室にてサイエンスダイアログが行われました。岡山大学資源植物科学研究所からDr. Peitong WANG(ペイトン・ワン)さんをお招きして、大学で研究されている「イネのヒ素集積に関与する遺伝子の同定について」英語で発表していただきました。
生徒たちは事前学習していたとはいえ、英語の研究発表を聞くのは初めてだったので、戸惑いもありましたが、最初は、自己紹介で出身である中国の説明を行っていただきました。その後、場が和んでから、研究について、わかりやすいスライドを使い丁寧に説明していただき、生徒たちは興味を持って、発表を聞いていました。私自身は、輸送体の遺伝子を同定し、コントロールすることにより、ヒ素を米に蓄積させない方法について、非常に興味をひかれました。
発表後は積極的な質疑応答が行われ、交配に使われているイネの品種であるmuhaに対する質問や根から吸収したヒ素を葉と種子に振り分けるトランスポーターについての質問など発表内容について活発な意見交換がなされました。
放課後は、Peitong WANGさんを囲んで、座談会が行われ、自分の名前を中国語で書くとどのような読み方になるのかについて、説明してもらい、盛り上がっていました。
英語論文や英語での研究発表は世界へつながる、大切なツールであることが理解でき、今後の英語学習のモチベーションアップにつながったと感じました。様々な経験を経て、世界で活躍する科学技術人材になっていって思います。
課題研究中間発表Ⅱ
10月19日(水)5,6、7限目に、大会議室にて課題研究中間発表Ⅱが行われました。207HR生徒が発表を行い、理科教員、サイエンスイングリッシュ担当者が発表を聞きルーブリックにて評価を行いました。中間発表Ⅰに比べ、研究が進んだ班が多く、興味深い内容が多かったです。今回、新たに出てきた疑問に対し、どのような方法で調べ、考察につなげていくのか、探究活動を通して、大切なことを学んでほしいと思います。最終発表に向け、ますます取り組みを深めてくれると期待しています。
課題研究のテーマとグループ生徒は以下の通りです。
昆虫の跗節による分類
立石桃 藤原由望 林 心羽 堀北 明李
脈動変光星~みずがめ座CY星 測光観測~
江淵仁尊 中岸奏登 村上裕紀
複合災害から命を守るために
安原 愛登 山引 晴菜
チョークの粉の再利用を目指して
笹川 善正 岡本 陸 樫原 寛人
さまざまな光環境における豆苗の生育と栄養成分の変化について
阪東 歩華 武富 心雪 宮本 和果
クモの巣を張らせない枠の作成
大野 閃斗 富原 瑞葵 藤原 凪希 柳本 隼門
プラナリアの摂食行動
池田 あやみ 上野 佳那子
ゼブラフィッシュの性格の判断の仕方
井上 陽央里 黒川 杏莉
ローマ字打ちでの日本語入力に特化した新しいキーボード案についての研究
住友 七海
糸電話でできた楽器ストリングラフィーの波の特性
相原 悠汰 奥田 陽介 新居 千鈴
視線入力インターフェースと実用化
小池 麻悠子
Science Introduction(化学・生物)
9月30日(金)と10月7日(金)に応用数理科1年生のScience Introductionで基礎実験を行いました。
今回は化学分野と生物分野の基礎実験です。実験内容は以下のものになります。
【化学分野】バーナーによる加熱法
今回はガスバーナーの正しい使用方法と薬品の調整方法、化学実験におけるにおいの確認方法など、基本的な実験の操作方法について学びました。まずは中学生の時にも学習したガスバーナーの点火がきちんとできるかを確認しました。火や薬品を使う化学実験は、危険な場面が多くあります。これをしっかり理解した上で、来年度の課題研究に取り組んでほしいです。他にもメタノールを赤熱した銅線で参加して、ホルムアルデヒドをつくる操作や水酸化鉄(Ⅲ)のコロイド溶液をつくる操作について学習しました。それもとても面白い実験で楽しく操作方法を学習することができました。
【生物分野】細胞周期の理解 ~永久組織と分裂組織の観察を通して~
ニンニクを発根させ、固定・解離した根端を使い、分裂組織を観察しました。発根して3日くらいの根端では、非常に多くの分裂像が観察できるので、観察しやすく、全ての生徒で分裂像が観察出来ました。その後、根の上側の細胞を観察し、細胞周期にある細胞との比較を行い、分裂組織と永久組織の違いを確認しました。永久組織では、道管のらせん構造も観察でき、生徒たちは分裂組織と永久組織の細胞の形の違いに驚いた様子でした。実際に違いを見ることで、細胞周期や分裂組織、分化など理解を進めることができたと感じました。事後レポートでは、分裂組織の写真を見て、個数が時間に比例する関係から、細胞周期における、分裂期にかかる時間を計算することが出来ました。
中学生対象理科実験教室(オンライン)実施
10月2日(日)13:00から、本校主催の中学生対象理科実験教室を開催いたしました。本年度もコロナ禍の影響を受け、オンラインでの実施となりました。科学イベントや学校行事等と重なった影響のためか、例年より少なめの県内7校から7名の中学生に参加となりました。実験教室を担当するのは講師役は科学部員や普通科で教員志望のボランティア等17名です。参加者には事前に実験キットを送付し、学校長あいさつ・学校紹介の後、3ブースに分かれ3つの実験を体験してもらいました。実験内容は以下の通りです。
物理・・・発音体の振動を学び、ストロー笛の振動数を実験で検証した。
生物・・・ギムネマ茶とミラクルフルーツを使い、味の受容の仕組みを理解した。
地学・・・偏光の仕組みを学び、鉱物を通過する光の特性を学んだ。
本校生にとっては、実験手順の説明を工夫したり、その仕組みを理解してもらえるスライドを製作するなど、主体的に探究するスキルの向上につながりました。また参加した中学生にとっても高校理科の内容に触れることができ、winwinの有意義な時間が過ごせました。参加された中学生が本校に入学し講師役を務める事例は数年続いており、このことが来年も続いてくれることを期待しています。
Science Introduction(自由研究発表会)
9月16日(金)のScience Introductionの時間に夏期休業中の課題であった自由研究の発表会が開催されました。物理教室と地学教室で2つの教室に分けて行いました。複数人の理科教員が自由研究の発表を聞いてジャッジを行うという生徒にとっては初めての経験だったと思います。すごく緊張しながらも自分の行った研究に対してしっかりと発表ができていました。高校生のピュアな視点からの自由研究は聞いていてとても面白かったです。科学用語の使い方やスライドの見せ方など課題はありましたが、来年度から行う課題研究の発表のために良い経験となったと思います。