令和3年度活動内容

SSH研究成果発表会を開催いたしました

 11月17日(水)13:00~16:20、本校大会議室および多目的ホールにてSSH研究成果発表会を開催いたしました。今年は対面参加及びオンライン参加のハイブリッド実施し、徳島県教育委員会や徳島県立総合教育センターの方々、県内中学高校教育関係者14名にご参加いただきました。主な実施内容は以下のとおりです。
(1)実践及び成果報告(SSH事務局)
(2)課題研究ポスター発表(応用数理科3年生:12件)
   課題研究中間ポスター発表(応用数理科2年生:11件)

「探究」中間ポスター発表(普通科2年生:24件)
(3)課題研究口頭発表(応用数理科3年生:3件)
(4)情報交換会(参加者による協議・意見交換など)

 SSH研究成果発表会は、従来は応用数理科の成果発表の場でしたが、今年初めて応用数理科課題研究と普通科「探究」との合同発表会の形式で実施しました。応用数理科3年生が課題研究の最終発表、応用数理科・普通科2年生が課題研究中間発表をおこない、1年生は今後の探究活動に生かすため参加しました。コロナ禍で発表会が減る中、初めてのポスター発表形式を体験し、発表者・参加者共に有意義な時間が過ごせたと思います。3年生は高校での口頭・ポスター発表を行うのはこれが最後となります。この経験が今後に活かされることを期待します。
 また、ご指導の先生方や参加された方々からは、生徒の課題研究や本校のSSH事業全般について、様々なご質問、ご意見やご助言を賜りました。いただいたご意見・ご助言は今後の課題研究やSSH事業にぜひ活かしていきたいと思います。お越しいただいた皆様、本当にありがとうございました。

Science Introduction(地学・化学)

10月29日(金)と11月5日(金)にScience Introductionの授業で

107HRの生徒に地学と化学の基礎実験を行いました。

【地学分野】フズリナ化石の転写実験

 今回は、石灰岩からフズリナを浮き上がらせ、シリコン樹脂を使って型取り転写を行いました。生徒一人1つフズリナ石灰岩を配布し、表面を水ペーパーで磨き、塩酸で腐食させました。さらにシリコンクロスで磨いて表面をピカピカにし、酢酸でさらに腐食させました。また、フズリナの断面をスケッチし、内部構造や当時の環境についても考察しました。塩酸で石灰岩が泡を出している様子やフズリナが大量に含まれる様子を観察することにより、フズリナの特徴について深く知ることができたと思います。今回使用したフズリナ石灰岩は全員にプレゼントしました。

 

 

【化学分野】“謎の物体 X”の正体を探れ!

 コンブを焼いて灰化したものを“謎の物体 X”と称して、コンブに含まれるヨウ素の検出実験を行いました。始めは練習として、ヨウ化カリウムを市販の酸素系漂白剤と反応させ、得られるヨウ素をデンプンで検出しました。この実験では、反応後の溶液が褐色を呈するため、その時点でデンプンを用いなくてもヨウ素が存在するであろうという見当がつきます。そして、ヨウ化カリウムの代わりにコンブの灰を用いても、反応溶液に目立った色調の変化は見られません。しかし、この溶液をデンプンと混ぜると、ヨウ素デンプン反応によって青色に呈することが確認できます。

 今回の実験を通して、試料中に含まれるヨウ素の検出、コンブなどの海藻類にヨウ素が多く含まれること、ヨウ素が微量でも、デンプンとの呈色反応で確認ができることを勉強しました。

 

 

科学への誘い-advanced-(地学分野)

11月5日(金)に徳島県立総合教育センターにて開催された

科学技術アカデミー中高生向け講座「科学への誘い-advanced-」に参加してきました。

本校からは6名の生徒が参加しました。

テーマは「屈折赤道儀で天体を観測してみよう!」でした。

まず、実験室で本日観測できる惑星や星座についての講義を聞き、望遠鏡の使い方などを学びました。

その後、テラスに出て望遠鏡を設置し、天体を観測しました。

今回は木星を観測することができ、木星の衛星であるガリレオ衛星も発見することができました。

生徒たちは、自分のスマートフォンで木星とその横に並ぶ4つの衛星の写真を撮影していました。

後半は少し雲がかかってしまったのですが、とても良い経験になったと思います。

これを機に、将来、地球科学を研究する学生が出てきたら嬉しいです。

 

応用数理科2年サイエンスダイアログ

 10月27日(水)14:00~15:50の日程で、本校の大会議室にて行いました。これは毎年2年生を対象とする活動で、外部の研究者の方を招いてその最先端の研究についてレクチャーして頂くものです。今回は岡山大学資源植物科学研究所のDr.David WARI先生をお招きして、「Plant-Microbe-Insect(PMI)interactions(for healthy plants)」と題した講義をして頂きました。先生はパプアニューギニアのご出身で、農学・環境学・植物保護科学が専門であり、特に昆虫共生微生物を基盤とした植物抵抗性誘導因子の新機軸スクリーニングを研究されています。少し緊張した雰囲気の中で講義が始まりました。

 まずはパプアニューギニアの話から入って、少し打ち解けてきた頃合いで専門的な内容になりました。植物はどのような昆虫によって害されているのか、その過程を明らかにすると共に植物が害虫に打ち勝とうとする対応について詳しく教えて頂きました。できるだけ農薬を使わずに、植物の秘めた能力を利用して農作物を害虫から守ることは、これからの農業にとって必要なことだと思います。一方で、ワサビに含まれるカラシ湯配糖体やジョチュウギクのピレストロイドなどの二次代謝物の研究にも関心を持ちました。

 先生はとても気さくに話しかけられて、和やかな雰囲気の中で講義を聴くことができました。また、生徒の質問にも終始にこやかな感じで対応して頂きました。昆虫が苦手な生徒も多いですが、このような研究の観点から学習して関心を持った者もいました。本日は大変お忙しいなか、ありがとうございました。

 

中学生対象理科実験教室(オンライン)開催

 10月3日(日)13:00から、本校主催の中学生対象理科実験教室を開催いたしました。本年度もコロナ禍の影響を受け、オンラインでの実施となりましたが、県内7校から20名の中学生に参加いただきました。実験教室を担当するのは講師役を希望する本校応用数理科1・2年生24名です。参加者には事前に実験キットを送付し、学校長あいさつ・学校紹介の後、3ブースに分かれ3つの実験を体験してもらいました。実験内容は以下の通りです。

 物理・・・簡易分光器を製作し、太陽や蛍光灯・液晶画面に含まれる光を観察する。
 化学・・・電池を製作し、金属のイオン化傾向を調べた。無機物質のゲルを作った。
 生物・・・ギムネマ茶とミラクルフルーツを使い、味の受容の仕組みを理解した。
 地学・・・岩石の密度測定の方法について調べ、地球内部構造について考えた。

 本校生にとっては、実験手順の説明を工夫したり、その仕組みを理解してもらえるスライドを製作するなど、主体的に探究するスキルの向上につながりました。また参加した中学生にとっても高校理科の内容に触れることができ、winwinの有意義な時間が過ごせました。参加された中学生が本校に入学し講師役を務める事例は数年続いており、このことが来年も続いてくれることを期待しています。