平成23年度

第13回中国・四国・九州地区理数科高等学校課題研究発表大会 参加報告

 8月9日(火),10日(水)の2日間,鳥取市とりぎん文化会館で行われた,第13回中国・四国・九州地区理数科高等学校課題研究発表大会(中国・四国・九州地区理数科高等学校長協会主催)に参加してきました。参加したのは,応用数理科3年生の上野・佐々木班「反発係数によるゲルの強度」と,河野・森・山中班「愛媛AIによる水質浄化」の2班でした。
 成績は,ステージ発表では優良賞,ポスター発表では奨励賞となりました。


①ステージ発表 16校の発表が行われ,城南高校は8番目に,上野・佐々木班が「反発係数を用いたゲルの衝撃吸収能力の評価」というタイトルで発表しました。
 初めは「反発係数を用いたゲルの強度」というタイトルで予定していたのですが,データ解析を進めた結果,より内容を正確に表しているこのタイトルに変更したものです。発表の前日も,ホテルの会議室を借りて練習を行っただけに,発表はスムーズに進められました。予想される質問にも答える内容を考えるなど,準備はかなり整った状態で臨むことができました。
 結果は優良賞でした。
 反省としては,発表そのものの分かりやすさでは他校と遜色のないものであったのに,最初の研究の動機と最後のまとめとがうまく連携しておらず,聴衆や審査員に研究の流れがうまく伝わらなかったのではないかと思われます。また,予想される質問まで考えて発表内容を練ったので,小さくまとまり過ぎた印象を与えてしまったのかもしれません。

②ポスター発表 全部で47本の発表があり,城南高校は,ステージ発表も行った「反発係数を用いたゲルの衝撃吸収能力の評価」班と,「愛媛AIによる水質の浄化」班が発表しました。
 近くに,手持ちのフリップ集を用意したり模型を持ち込んだりしているブースがあり,聴衆は初めそちらに集まって,なかなか城南高校の発表場所までたどり着いてくれない時間が続きました。やがて,城南高校のブースにも人が集まるようになり,用意しておいた原稿をもとに,研究内容を説明しました。
 ようやく人波がさばけたかと思う頃に,発表終了。帰りの列車の都合で,城南高校はここで撤収,駅へと向かいました。
 反省としては,発表は練習通りにできたものの,内容を暗記するまでにはいたっておらず,原稿を見ながらの発表だったので,研究を進めているときの生き生きした感じがうまく聴衆に伝わらなかったのではないかと思います。
 鳥取駅で特急の発車を待つ間に,前日の生徒交流会で知りあった生徒からメールで連絡があり,両班ともポスター発表奨励賞でした。

 ステージ発表の会場で各校の発表を聴いていると,生徒たちにも,この研究は高い評価になるなという感触が分かったようです。普段の研究や討議は校内で行っているため,他校の研究に触れる機会があまりないのですが,それでも,研究を見る確かな目は養われているのでした。

 

理科・実験 化石採集フィールドワーク

実施日:2011年8月5日(金)
採集地:那賀郡那賀町(臼ヶ谷層・中生代三畳紀中期)

 応用数理科では1年生の夏休み中に、徳島化石研究会会長の鎌田誠一先生を講師にお招きして、化石採集のフィールドワークを実施しています。今年のフィールドは、平成19年夏に行った坂州木頭川沿いの露頭です。前回行ったときは昼過ぎから雷雨に見舞われ、フィールドワーク開始から1時間ほどで撤退を余儀なくされてしまいました。そして今年も目的地のある県南部では曇り時々雨という予報でした。しかし現地では、わずかに弱い雨に見舞われた程度で、概ね天候に恵まれた上、今回のターゲットであった二枚貝のダオネラを比較的豊富に含む泥岩層を発見して多数の化石を採集し、前回の雪辱を果たすことができました。今回採集したダオネラは、約2億3500万年前に浅海で埋没したもので、発掘作業はその壮大な時間を封印したタイムカプセルを開けるというロマンを感じさせてくれました。
 また今回は化石採集に加えて、今年2月に国の天然記念物に指定されたばかりの「坂州不整合」(檜曽根層群:古生代ペルム紀後期の付加体/寒谷層:中生代三畳紀後期)の露頭や、枕状溶岩なども見学でき、大変有意義なフィールドワークとなりました。
 現地でご指導いただいた鎌田先生、そして資料をご提供くださった徳島県立博物館の辻野泰之先生に厚く御礼申し上げます。
鎌田誠一古代ロマン博物館→http://www7b.biglobe.ne.jp/~fossil-kamada/

ハゼ科のヌマチチブ(もちろん化石ではない)

正面木立の下が「坂州不整合」露頭

応用数理科1年生県外研修~新日鐵広畑製鐵所・甲南大学

 応用数理科108HRは8月4日に、午前中は新日本製鐵広畑製鐵所、午後は甲南大学フロンティアサイエンス学部にて県外研修を行いました。
新日本製鐵株式会社広畑製鐵所(姫路市)
 現在の新日鐵広畑製鐵所には鉄鉱石から銑鉄をつくる高炉はありませんが、鉄スクラップなどの冷鉄源から様々な用途の薄板鋼板を生産しています。また日本国内で年間約百万トン発生する古タイヤのうち、6万トンを溶解炉の熱源や鉄源に、同じく6万トンを熱分解してガスや油、鉄ワイヤーなどに分離して再資源化するなど、日本の資源リサイクルの一大拠点となっているそうです。
 見学センターで広畑製鐵所に関する概況説明とビデオ上映のあと、熱中症予防にスポーツドリンクを飲ませていただき、作業服とヘルメットを着用して、バスで製鐵所敷地と熱延ラインの見学に行きました。甲子園球場152個分という広大な敷地には製鉄関係施設や線路、そして植林から約40年という広大な森がありました。見学の目玉である熱延ラインは幸い稼働中で、バスから降りて施設内部に入り、加熱炉で1200℃に熱せられた鋼材(スラブ)が高速で圧延機に送られ、あっという間に薄板を丸めた熱延コイルに仕上げられていく様子を見ることができました。赤熱したスラブの放つ強烈な赤外線を肌で実感しました。
 ご案内いただきました広畑製鐵所OBの中村さん・磯部さん、新入社員の橋爪さん・藤田さんに、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

見学センター以外撮影禁止のため会社パンフより抜粋

 

甲南大学フロンティアサイエンス学部生命化学科(神戸市中央区)
 甲南大学フロンティアサイエンス学部生命化学科では、有機合成化学がご専門の村嶋貴之先生と、6人の学部生の皆さんのご指導の下、「多様な色を示すアゾ色素を合成する」というテーマで、二人一班で班ごとに異なるアゾ色素の合成実験を行いました。そして各班で合成したアゾ色素と、比較用に村嶋先生が事前に合成してくださっていたアゾ色素の2種類を、pH1~12の水溶液に加え、色の変化を比較観察しました。なお実験途中に、合成したアゾ色素を濾取する時間を利用して、キャンパス内の様々な施設設備のご案内もいただきました。
 ご指導くださった村嶋先生を初め、お世話をいただいた学生や事務室の皆さんに、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

地球儀の内部が図書館になっていました 世界最速のスパコン「京」が入る理研ビルが隣接

理科・実験 園瀬川総合科学調査

 7月13日(水)午後、応用数理科1年生31名で、毎年行っている園瀬川の総合科学調査を行いました。前日12日の午前中、徳島市周辺は激しい雨と雷に見舞われ、調査の実施が危ぶまれましたが、下見に行ったところ幸い川の水量増加は小さく、予定通り実施できました。
 参加生徒は上流・中流・下流に分かれ、それぞれの地点で水温・流速の計測、水生昆虫の採集、パックテストによる6種類の化学分析(pH、COD、アンモニア、亜硝酸、硝酸、リン酸)を行いました。

108HR高大連携授業(徳島文理大学薬学部)

 応用数理科1年生は、6月15日(水)午後、徳島文理大学薬学部薬品化学研究室にお邪魔して高大連携授業に参加させていただきました。
 「薄層クロマトグラフィーを使って成分を調べてみよう!」をテーマに、角田先生や加来先生の講義をお聞きした後、油性マジックの色素の分析、唐辛子や胡椒に含まれる辛み成分(カプサイシン・ピペリン)の分析、実験室で合成した解熱鎮痛成分アセトアミノフェンと市販の解熱鎮痛薬の成分比較といった実験に取り組みました。実験に際してはクラスを8班に分け、各班に薬品化学研究室の先生方や学生の皆さんが一人ずつ付いてくださり、少人数で丁寧にご指導いただきました。そして授業の最後には角田先生から、振動反応のデモ実験を題材に化学の魅力についてのお話をお聞きしました。
 3時間近い長時間にわたっての高大連携授業でしたが、みんな時間を忘れて熱心に講義や実験に取り組んでいました。私たちのために、貴重な時間を割いてご指導いただきました徳島文理大学薬学部薬品化学研究室の先生方や学生の皆さんに、この場を借りて厚く御礼申し上げます。