平成31・令和元年度

第63回日本学生科学賞徳島県審査の結果について

 10月30日(水)徳島県立総合教育センターにて、中高生が科学研究の成果を競う第63回日本学生科学賞徳島県審査(読売新聞社主催)が行われました。本校の「紫外可視分光光度計の改良と可搬性を持った分析機器製作」と「江川湧水の異常水温と気象要素との関係について」の研究が最優秀賞(知事賞)を受賞し、県代表として中央予備審査に出展します。また、その他7つの研究も受賞し、本校の課題研究の広がりと深まりを感じる結果となりました。
 全体の結果は以下のとおりです。
◇最優秀賞(知事賞) 2点 →中央予備審査へ

  「紫外可視分光光度計の改良と可搬性を持った分析機器製作」

    応用数理科3年 新田悠貴 河村さつき 普通科3年 玉野弘人

  「江川湧水の異常水温と気象要素との関係について

        応用数理科3年 粟田真以 坂尾値佳子

◇優秀賞(教育長賞) 4点

  「ケーソン式防波堤による波高減少効果について」

    応用数理科3年 岡田明樹 住友嵩征 中村悠亮 和田拓巳

  「アルソミトラ種子の表面形状が滑空に及ぼす影響」

    応用数理科3年 荒尾空輝 川染翔吾 坪本颯史 多田英資

  「グラスハープの振動特性について」

    応用数理科3年 河口愛奈 野口ひより 福本琴未

  「プラナリアの粘液について」

    応用数理科3年 市橋萌可 角田弥優

◇入賞 3点

  「塩化コバルトのクロモトロピズムについて」

    応用数理科3年 池北聖菜 大野由理 中川あやか

  「弓矢発射装置の作製と矢所の安定化を目指して」 

    応用数理科3年 尾本壮太 永峰直樹 吉田光佑

  「文化の森総合公園における地表性甲虫の種類と分布響」

    応用数理科3年 伊丹柊汰 渡邊公理 桐本さくら 吉岡みやび

徳島県科学技術大賞を受賞しました

 本校科学部化学班が徳島県科学技術大賞に選ばれ徳島県庁で知事から表彰を受けました。徳島県科学技術大賞は①若手研究者部門②創意工夫部門③こども科学者部門④科学技術理解増進部門⑤科学技術振興部門からなり,今年度は9団体が表彰されました。科学部化学班の3名は,「紫外可視分光光度計の改良と可搬性を持った分析機器製作」の研究で夏のSSH生徒研究発表会でも奨励賞を受賞しており,研究内容を高く評価していただいて③こども科学者部門での受賞となりました。
 飯泉知事からは,今後も徳島県の科学技術発展の原動力となってほしいというエールをいただきました。今後の後輩たちの課題研究や発表につなげていってほしいと思います。

2学期最初のSI

 本校の応用数理科では、1年次にサイエンスイントロダクション(SI)という常設科目があります。様々な行事が入ったりして飛ぶこともありますが、2年次の課題研究に備えて物理化学生物地学すべての分野の基礎研究を体験します。今日はクラスを2つに分けて、化学と地学を実施しました。化学では、スポイトの使い方と3種類の液体を見分ける実験をしました。水に対する溶解性や炭酸水素ナトリウム(重曹)との反応性を調べました。地学では、土壌に含まれる鉱物を洗い出して実体顕微鏡で観察しました。火山ガラスや長石などが見られました。次は物理と生物分野で行います。未来の博士たちに、科学にもっともっと興味を持って欲しいです。

令和元年度 小学生対象理科実験教室

 10月6日の日曜日に小学生対象理科実験教室を開催しました。
天気もよく、すがすがしい秋晴れの中、500名を超える参加者に
理科実験を楽しんでもらいました。
 今年度は応用数理科1年生だけではなく、普通科からも有志で
スタッフとして参加してくれ、昨年を大きく上回る18ブースを
出展し、今までになかった実験にもチャレンジしました。生徒たち
はアイデアを振り絞って予備実験を重ね、休日を返上して準備をし、
やっとの思いで当日を迎えました。
 当日はあちこちから子供たちの歓声が聞こえ(大人からも聞こえて
ました!)賑やかな雰囲気の中で実験が行われました。子供たちの
質問にも頑張って答え、サイエンスの楽しさを伝える努力も
忘れていませんでした。
 長年続けて開催しているおかげで、すっかり地域のイベントと
して定着しつつあるようで、これからも頑張ってやらなければと
思っています。参加していただいた皆様にはこの場を借りてお礼を
申し上げます。

「世界津波の日」2019高校生サミットin北海道

 9月10日(火)~9月11日(水)に北海道立総合体育センター「北海きたえーる」にて「世界津波の日」2019高校生サミットin北海道が開催され,応用数理科の2年生2名が参加しました。今年で4回目の開催であり,本校は3度目の参加となりました。本年は"記憶を未来へ、備えを明日へ"~北の大地からイランカラプテ。自然災害の脅威と対応を学ぶ~のテーマの元,世界各国の「きずな」を一層深めることなどを目的に開催されました。今回は海外43か国,国内71校の参加があり,約500名の高校生が活発に発表・討論を行いました。このサミットは,11月5日の「世界津波の日」に合わせ,日本を含む世界各国の高校生を招き,防災分野における将来のリーダーを育成するとともに,災害から世界中の人々の命を守ることを目的に開催されています。
 ※11月5日の「世界津波の日」は,津波の脅威と対策について理解と関心を深めることを目的に,2015年12月の国連総会において,日本が提唱し,我が国をはじめ142か国が共同提案を行い,全会一致で採択されたものです。この日が「世界津波の日」とされたのは,安政元年(1854年)11月5日,安政南海地震による津波が現在の和歌山県広川町を襲った際,和歌山県の先人である濱口梧陵が稲むらに火をつけ,津波から逃げ遅れた村人を高台へ導いて,多くの命を救った故事にちなんだものです。
 9月10日(火)
  午前:分科会ブリーフィング・分科会
  午後:開会式・分科会・レセプション
  分科会では会員制交流サイト(SNS)を使い,徳島にある津波被害を記した石碑を全国・世界の人々に共有することについて発表しました。
 9月11日(水)
  午前:記念植樹・記念碑除幕式
  午後:総会・閉会式
  午前は知事公館にて記念植樹と記念碑除幕式があり,午後の総会で,分科会で出された意見をグループごとに発表を行い,その意見をまとめた,「大会宣言」が採択され,閉会しました。
 世界各国から集まった高校生と交流ができ,津波防災について考える事が出来たこの2日間は大変貴重な時間となりました。本校においても,防災に関する意識を高めていけるように頑張りたいと思います。最後に,開催をしていただいた関係者の皆様,この場をお借りし御礼申し上げます。

第21回中国・四国・九州地区理数科高等学校課題研究発表大会参加

 8月19日(月)・20日(火)、山口県健康づくりセンターで実施された第21回中国・四国・九州地区理数科高等学校課題研究発表大会に,本校から「グラスハープの振動数の変化」を研究した3年生3名が参加しました。
 初日は,ステージ発表のリハーサルと59グループのポスター発表(物理分野14グループ・化学分野16グループ・生物分野18グループ・地学分野8グループ・数学分野3グループ)がありました。審査については発表4分・質疑4分とかなり短く,研究を要点をまとめ,質疑にも簡潔に答えました。また発表は90分×2の2交代制であったため,発表をおこなっていない後半には,他校の独創性の高い研究や実験・考察を聞いて質疑をおこない,アドバイスシートを提出するなど有意義なひとときを過ごしました。
2日目は各県を代表する16グループのステージ発表があり,それぞれ発表10分・質疑5分で実施されました。会場の高校生から活発な質疑があり,今後の大学生活や探究活動に大きな指針をいただきました。講評では,新しい問題・課題を見つけることができるかは日ごろからの積み重ねによることが大きいとご指示いただきました。
 残念ながら,ポスター発表・ステージ発表で受賞することはできませんでしたが,参加生徒にとっては非常に貴重な経験ができました。現2年生は次期大分大会に向け研究を進めていきます。

J-Linkツアーin関西(応用数理科2年生)

 応用数理科1年生は8月7日(水)に、午前中は姫路市科学館、午後は高輝度光科学研究センターで研修を行いました。
☆姫路市科学館
 姫路市科学館は、自然、科学、宇宙をテーマにした常設展示と、世界最大級のプラネタリウムがある施設です。今年度初めて研修に入れた施設であり、常設展示を中心に見学・体験しました。2階「地球と郷土の自然」では昆虫・鳥・きのこなどの標本を観察したり、「化石タッチング」を体験しました。3階「身のまわりの科学」では、物理・科学に関する現象を実験装置を使って体験したり、「びゅんびゅんふわふわ空気パワー」と題されたサイエンスショーを観覧しました。4階「私たちの宇宙」では、地球に落ちた隕石や宇宙の果ての映像、それらを調べる観測装置などを見学しました。また、世界第5位大型プラネタリウムで星空案内を体験する生徒もおり、それぞれの生徒が興味のある分野への知識理解を深めることができました。

☆高輝度光科学研究センター(SPring-8&SACLA)
 SPring-8&SACLAでは、はじめにX線自由電子レーザー施設であるSACLA(SPring-8 Angstrom Compact free electron LAser)の実験研究棟で、技術者の方から施設の概要をDVDと講義で学び、実験ブースを見学しながらレクチャーを受けました。その後、この日は年2回実施される保守点検のため施設が休止中であり、普段は入れない放射線管理区域内の実験ホールを見学させていただきました。SAKURAの加速器棟に入ることができ、ビームライン(BL)に沿って700m歩くことができました。次にSPring-8(Super Photon ring 8 GeV)に移動し、一周1400m超の実験ホールを約1/4周し、ニュース等でも話題となった小惑星イトカワの微粒子分析を行ったBL、和歌山毒物カレー事件のヒ素解析が行われたBLなどを見学しました。最後に分子の接着接合の研究をしている研究者の方からお話があり、生徒からの熱心な質疑を通して、最先端の研究の一端を体感することができました。

令和元年度SSH生徒研究発表会

 8月6日から8日にかけて神戸国際展示場で開催された令和元年度SSH生徒研究発表会に科学部の生徒3名が参加しました。
 6日は移動と会場でのセッティングで次の日からの本番に備えました。7日は9時から開会行事と基調講演,10時30分よりお昼を挟んで17時までポスター発表でした。SSH校約220校が参加し,さらに海外からも10カ国23校が参加して活発な発表や交流が行われました。17時30分から講評と8日に行われる全体発表校による口頭発表の6校が選出されました。審査員の先生方の反応がよかったので期待していたのですが惜しくも口頭発表には選出されませんでした。
 8日は前日に選出された6校の口頭発表を見学しました。どの分野の生徒も堂々と自分たちの研究を発表していました。発表後の質疑についても自信を持って答えている様子から発表内容だけではない深い考察がうかがえました。午後から1時間ほどポスター発表をしてから表彰式が行われました。講評の中で「初めて見る人でもよくわかるようなポスター作り」について話があったので研究だけでなく見せ方も工夫が必要であると感じました。口頭発表には選出されませんでしたが,次点となる奨励賞(各分野1校ずつ)を受賞しました。生徒たちの研究の成果が評価されて晴れやかな気持ちで会を終えることができました。今年の経験がまた来年の生徒たちに伝えられたらいいなあと思います。
 非常に大きな大会で運営のスタッフや審査に参加された多くの方々,指導された先生方など多くの人々に支えられた大会であることを強く感じた3日間でした。皆様お世話になりました。

J-LINKツアーin関西(応用数理科1年生)

 応用数理科1年生は、8月2日(金)に神戸ポートアイランドでの県外研修を行いました。
☆甲南大学フロンティアサイエンス学部生命化学科
 甲南大学ポートアイランドキャンパスでは、生命科学科の西方敬人教授より「見てみよう・持って帰ろう自分の細胞」をテーマに
150分の演習(実験)をしていただきました。最初に実験に臨む姿勢に指摘を受けたことで、長い時間でしたが生徒は集中して実験に
取り組むことができました。5人の学部生TAの皆さんにも個別指導をしていただき、ほとんどの生徒が、自分の口腔粘膜上皮細胞
をとり、染色し固定することに成功しました。また、染色を待つ時間を用いて、5グループに分かれて、施設等の案内もしていただき
ました。ご指導くださった西方先生を初め、お世話をいただいた学生や事務室の皆さんに、この場をお借りして厚く御礼申し上げま
す。

☆理化学研究所生命機能科学研究センター(BDR)
 生命機能科学センターは、生命システム研究センター・多細胞システム形成研究センター・ライフサイエンス技術基盤研究センタ
ーを前進とする昨年4月に発足した理研の新しいセンターです。生命科学に関する最先端研究を行っており、様々な研究分野の研究
者が国内外から集まっています。事前に「セントラルドグマ」及び「幹細胞」についてのレポートと2つ以上の質問の事前提出が義
務付けられており、事前研修をして研修に臨みました。
 初めに、サイエンス・コミュニケーターの高橋さんから、理研全体の説明があり、続いてBDRの説明がありました。次に、事前学
習してきた「セントラルドグマ」と「幹細胞」についてのお話があり、「ES細胞」「iPS細胞」に関するお話やBDRの最新の研究成
果の紹介、事前にお送りした質問内容への回答をいただきました。その後、展示室と模擬実験室に会場を移し、2つの班に分かれて
見学させていただきました。生命科学や医学に興味関心をかき立てられる研修ができました。

☆理化学研究所 計算科学研究機構(スーパーコンピュータ京)
 有名なスーパーコンピュータ「京」を運用している施設です。研究棟の5,6階の間にある階段状の見学者ホールに移動し、説明
を受けました。「京」が今月末で共用を終了し、後継機の名称がスーパーコンピュータ「富岳(ふがく)」に決定したことから始ま
り、建物の耐震構造、計算科学研究機構の役割、スパコンが何に利用されるのか、「京」でどんな研究が行われているかといったお
話がありました。ご説明の後、正面スクリーンが上がると、864台筐体がずらっと並んだ「京」本体が姿を現しました。有名な施設
を目の当たりにして、みんな興奮気味でした。「京」本体やステータスを示すモニター画面を見ながら質疑応答が行われ、生徒から
活発な質問が続いたことが印象的でした。その後1階の常設展示スペースに移動し、出発まで熱心に展示物を見学しました。

第43回全国高等学校総合文化祭自然科学部門に参加して

 令和元年7月27日(土)~29日(火)、佐賀県で開催された総文祭に生徒2名が参加しました。4月までの校内選抜の結果、本大会には地学部門に「江川湧水の異常水温と水位との関係」を発表することになりました。江川湧水は日本の名水百選にも選ばれており、吉野川の伏流水が湧き出したものです。本流の水温と比較すると、5~6ヶ月遅れて水温が変化します。ところが、近年このズレの期間が短くなっているということが言われ出したので、それを調べてみました。

 初日は5時40分の始発便で現地へ向かい、受付終了間際の11時40分に到着しました。早々と夕立の洗礼を受け、衣服を濡らしながらも会場の佐賀大学に走り込みました。開会式の後、13時から発表が始まりました。私たちの発表はこの日の最後です。それまでは他校の発表を聞いたり、自分たちの発表の練習をしました。想定される質問に対して回答を考えたり、説明をわかりやすくするため文言を変えたりしました。そして5時間が経過しました。18時が過ぎてようやく出番です。当初は少し緊張していましたが、声を出しているうちにだんだん度胸がついてきて、終わったときにはすっかり落ち着いていました。結論から言えば、ズレの期間は従来と変わらず5ヶ月以上でした。審査員の方から、長期にわたって欠かさず記録したことを評価して頂きました。

 次の日は午前中にポスター発表を見学し、午後から各地へ巡検に出向きました。私たちは九州シンクロトロン光研究センターと中富くすり博物館を訪ねました。スプリング8より小型ですが、県の機関であり産業に直結するような研究がなされていました。また、くすり博物館では置き薬の説明や原料などについて説明がありました。ゴキブリみたいな昆虫や動物の頭蓋骨も使われているそうで、実物を見てしまうとちょっと飲めないかもしれないと思いました。

 最終日はニホニウム発見にまつわる講演会と生徒交流会、表彰式と閉会式がありました。ビスマスと亜鉛の原子を衝突させ毎日実験を繰り返すと、90日くらいでニホニウムが2個見つかりました。ところが、審査の基準を満たすには3個が必要で、それを見つけるのに300日もかかったそうです。大変面白い話でした。また、他校生と協力してお題目の問題を解いたり、活動の様子など様々な情報交換を楽しみました。13時に全ての日程が終了し、再び6時間以上かけて徳島に帰りました。残念ながら入賞できませんでしたが、高校生活においてとても貴重な体験ができました。