第3回科学部野外巡検
2025年9月2日 14時11分本校では夏休みが明けて早々に実力テストがあります。少し休みぼけしている状態で受けるテストですから、生徒たちにとって今ひとつ気合いが入らないようです。しかし、テストペーパーが配られると目の色が変わり、時間いっぱい真摯に問題に取り組む姿はさすがだと思います。
さて、テストが終わったばかりの8月最後の土曜日、海部刀の研究もかねて牟岐から海部にかけて現地調査に出かけました。まず、牟岐町の海岸を目指しました。ここはかなりの量の砂鉄が採れた砂浜であり、海部刀の原料に用いられたのではないかという疑問が湧き起こり、研究を始める発端となった記念すべき場所です。スコップで砂を掘って磁石を近づけると、丸みを帯びた黒い粒子がたくさん付着しました。
次に、海陽町の阿波海南文化村へ移動しました。この博物館では古い時代から現代までの「海部刀」を展示しています。それだけでなく数多くの資料を取りそろえ、啓発のための体験コーナーもあります。特別に学芸員さんから展示品や海部刀について説明していただきました。ありがとうございました。
最後に、海部刀の始祖「海部氏𠮷(かいふうじよし)」が居を構えていた笹無谷(ささむだに)を訪れました。道端に石碑が立てられ、解説板も設置されていました。文献調査によると、笹(ささ)とは砂鉄のことです。ゆえに、笹無谷とは「砂鉄がない谷」という意味になります。わざわざ砂鉄が採れない谷口に住み付き、ここで刀鍛冶をしていたということにどのような理由があったのでしょうか。
このように私たちの研究を進めるには科学的な手法ばかりでなく、歴史をひもといて当時の様子を調べるなど様々な方向からアプローチしています。今回の巡検においても、いくつかわかったことがありました。海部刀の原料の砂鉄はどこから来たか。どこまで突き止められるかわかりませんが、少しずつ前に進んでいるのは確かです。