眉山の石の分析結果
2025年8月12日 13時20分昨年度に眉山で生徒たちと野外巡検を行いました。その際に採集した石片を久しぶりに観察すると、石英に黒い結晶のようなものが見つかりました。大きさは2~3ミリと大変小さかったのですが、なぜか気になっていたので生徒の海部刀分析の練習として調べてみました。すると、下記のような結果となりました。
赤色は酸素、橙色は主としてケイ素であり、このことから母岩は二酸化ケイ素すなわち石英からなることがわかります。しかし、量的には少ないですが黄色はチタンを表していて、一方で鉄はまったく検出されませんでした。つまりこの結晶は二酸化チタンである可能性が極めて高いと言えます。眉山で産出する二酸化チタンからなる鉱物と言えば、金紅石つまりルチルかもしれません。徳島鉱石クラブに問い合わせてみるとおそらくそうだろうと言われ、半世紀前に産地が消滅して採れなくなった鉱物だと教えていただきました。
こうして棚からぼた餅のように、思いがけず貴重な銘柄標本を得ることができました。また、それの同定にはSEMが役立ったことがわかり、再びサンプルを入手できたらまた分析させていただこうと思います。地道に活動していると思いもよらない発見や発明があります。そのとき感じた驚きや達成感を忘れずに活動を続けていってもらいたいです。