第107回全国高等学校野球選手権徳島大会2回戦
2025年8月4日 13時15分 [教員25]~ 野球の愉しさと怖さを思い知った、涙のラストゲーム ~
7月22日(火)、徳島市のむつみスタジアム(蔵本球場)で第107回全国高等学校野球選手権徳島大会2回戦が行われました。対戦相手は名西高校です。
《バッテリー》(城南)十川 - 宮本 (名西)新見、坂東 - 井上
《長打》▽二塁打 (城南) 久米、挾谷(名西)井上、中川
《試合の概要》1回表、城南は1番十川の内野安打と2番橋本の犠打で一死二塁とし、3番挾谷の左前への安打で1点を先制します。2回裏に名西は9番打者の左前への安打で同点とします。
その後、5回表まで両チームにチャンスがありながら無得点が続き、5回裏に名西は四球から始まったピンチに3本の安打と犠飛によって2点を追加し、城南は勝ち越しを許します。
厳しい戦いではあるが、後半勝負に持ち込みたい。7回表、城南は四球と犠打で得たチャンスに1番十川が遊撃への内野安打を放ち、その送球が逸れる感に久米が生還しリードを1点差とします。なおも8回表、城南は先頭打者の3番挾谷が二塁打で出塁し、続く4番宮本明の安打でついに同点に追いつきます。5番三次の犠打と内野ゴロで二死となりますが、7番久米と8番鈴木の連続安打、9番山本と1番十川の連続四球でさらにリードを2点差に広げます。
最後まで「勝つ気」で。「勝った気」になるな。9回表もチャンスは作ったものの無得点に終わり、2点差で迎えた9回裏。先頭打者に安打を許したものの、次の2打者を打ち取り二死一塁、勝利まであとアウトひとつまで迫ります。
しかし、ここから形勢は急転。2打者連続で四球を与え二死満塁とされ、相手の先発投手でもあった3番打者に安打を打たれ、ついに同点。さらに一打サヨナラの大ピンチを迎えます。このような局面は4月以降、本当に多く練習してきたので恐れることはない。三塁の三次が冷静にゴロをさばき、試合はタイブレークに突入します。
無死一・二塁から始まる10回表、暴投により犠打なしで走者が進み二・三塁となりますが、フライアウト2つと内野ゴロで無得点に終わります。いよいよ後がなくなった10回裏、犠打と内野ゴロで二死まで追い詰め、次の攻撃を迎えたかったところ7番打者に安打を打たれサヨナラ負け。残念ながら、2年連続のベスト8進出を逃しました。
《試合の概要》勝負はゲームセットまで分からない。ただの野球の試合ではなく、人生のあり方まで考えされられる一戦でした。ここまで、公式戦での対戦成績は2戦2勝。しかし、両方とも1点差の逆転勝利。今回も簡単に勝たせてもらえるとは思っていませんでした。城南の「最後まで負けない」という思い以上に、名西の「最後まで負けっぱなしでは終われない」という思いが強かったことが、この試合の勝敗を分けたのではないかと思います。
夏の独特の空気感の中、不調ながら9イニングを投げた十川を筆頭に、野手陣も練習の成果を活かし、ピンチも練習通りという意識で、最後まで諦めずよく戦ったと思います。
この日も硬式野球部員以外の1・2年生は補習があり、3年生も選択している教科の補習がある者は応援に来ることが叶いませんでした。あと1つ勝てば、みんなに観てもらえる。昨年夏の選手権のスタンドの光景を知っている2・3年生に共通する思い、それは同じ城南の仲間のために勝ちたい、というものでした。
3年生はこの試合をもって引退となります。監督からの「勝たせてやれんでごめん」というラストミーティングでの言葉に凝縮されるように、人格者の揃うこのメンバーと、学校創立150周年という特別な夏に、阪神甲子園球場の中でプレーするという夢を現実のものにしたかった。あとアウト1つまで迫っていた勝利を手放し、切り替えには長い時間がかかりそうな悔しい敗戦となりました。
しかし、人生においてこの敗戦は、大きな意味を持つものになるはずです。勝負の厳しさを知った部員全員が勝利のためのあらゆる準備の大切さを知り、二度と負けたくない、次の勝負では絶対に勝ち切るという思いを持ったはずです。1・2年生は翌日から新チームでの活動を始動していますが、この夏の屈辱を秋の躍進という成果で乗り越えるため、全員が厳しい意識を持って取り組んでいます。
今回もそれぞれの場所から応援し、最後の一球まで勝利を信じてくれた皆様の存在があって、チームが勇気を持って戦うことができました。チーム一同、感謝の思いを申し上げます。今後も新チームおよび3年生を全力で応援していただきたいと思います。
~ 本当の大事な勝負はここからだ! 悔しさと感謝、絶対に忘れるな!! ~
《文責》尾形