2017年5月の記事一覧

ノート・レポート 高大連携応用数理科1年(徳島文理大学薬学部)

高大連携実験教室(サイエンスイントロダクション)2017年5月19日金曜日
 徳島文理大学薬学部にて、放射線薬品学研究室 教授 張功幸先生、助教 伊藤優太先生・大澤昴志先生、学生 中西愛佑美さん(城南高校応用数理科OG)・人見優香さん・脇田佐和子さんによる指導で、応用数理科1年40名(男子19名女子21名)に対して、蛍光と化学発光に関する高大連携実験教室が行われました。小休止を挟んだ二部構成で3種類の実験を行いその解説を聞きました。
 スタッフ紹介・安全上の注意・試薬の場所などのイントロダクションに続いて、次のような内容で実験を行いました。教授や学生など指導陣の中に徳島県出身や直接の先輩がいる事で、親しみと憧れを持って過度に緊張する事無く講義や実験を楽しんでいました。
 実験1:蛍光フルオレセインを合成しよう。
レゾルシノールと無水フタル酸に濃硫酸を加えシリコンオイルのバスで加熱しながら色の変化も観察する。室温まで放冷し、エタノールを加える。また、水酸化ナトリウム水溶液に一部を加え、酸性条件と塩基性条件での比較ができるようにした上で、遮光下と遮光でUV照射とで比較する。
 実験2:幾つかの蛍光物質の蛍光を見てみよう。
ペリレン,ローダミンB,9.10-ジフェニルアントラセン,9,10-ビス(フェニルエチル)アントラセンをアセトニトリルに溶かし、実験1同様の比較をする。
 実験3:幾つかの蛍光物質の化学発光に挑戦。
実験2で用いた蛍光物質に、シュウ酸ビス(2,4,6ートリクロロフェニル)と30%過酸化水素水,サリチル酸ナトリウム,フタル酸ジメチル,t-ブタノールを加え、UVの代わりに化学変化でエネルギー供給し光る事や、これらを巧く混合する事で様々な色が得られる事、さらに撹拌のしかたで光る時や強さを変えられる事も学びました。
 蛍光物質を合成し、UVからエネルギー供給し光る事を確認し、UVの代わりに化学変化でエネルギーを与え光らせるという3部構成で理解を深めるようになっています。芳香環を持った化合物中心であったので共役二重結合やエネルギー吸収、電磁波の波長とエネルギーや色といった高校の授業で学ぶ多くの内容に関連しています。
 1年生なので、「化学」の授業も受けておらず、サイエンスイントロダクションでも化学分野の授業がまだなので、科学部化学班以外の生徒については化学の内容の予備知識も実験器具の扱いも不十分な状態での受講でした。保護めがねと手袋着用、劇薬はドラフトで大学生が付き、有機溶媒はジクロロエタンを避け毒性や刺激臭の低いアセトニトリルを選ぶ等という安全管理ときめ細かなガイダンスで実験操作は円滑かつ安全に行われました。主たる化合物の構造式を示しながらもわかりやすい解説で、生徒は難しさよりも興味を感じ、鮮やかな色の変化や個別での微妙な差異を楽しんでいました。UVライトの数などの制約で班別の形式を取っていましたが、実験自体は個別で行われたので、生徒一人一人が自分の試験管の色について責任を持って実験し、班で4色揃って比較できました。高価な試薬も含まれていたので高校では実施が厳しいのですが存分に実験させていただきました。また、発光とはいえ明るい所では見にくいため、専用のボックスを用意するなど随所にご配慮をいただきました。ご指導頂いただいた徳島文理大学の関係者のみなさまに心より御礼申し上げます。