令和6年度活動内容
徳島大学 遺伝子組換え実験講習会への参加について
7月25日と26日の2日間、徳島大学蔵本キャンパス先端酵素学研究所で行われた高校生向けの遺伝子組換え実験講習会に応用理科2年生1名が参加しました。2日間で行う実験は、「①大腸菌の形質転換実験」「②DNAからお酒に強い遺伝子を持つか調べよう」です。
「①大腸菌の形質転換実験」は、抗生物質耐性遺伝子とGFPタンパク質遺伝子を持つプラスミドをヒートショックにより大腸菌内に入れ、大腸菌を形質転換させる実験です。GFPタンパク質は紫外線照射で光り、araCタンパク質により、転写が調節され、アラビノースが培地にあるときにのみ発現するように調節してあります。
「②DNAからお酒に強い遺伝子を持つか調べよう」では、髪の毛から自分のDNAを取得し、PCRで増幅、その後制限酵素で処理すると、お酒に強い遺伝子を持つ場合は切断され、そうでない遺伝子の場合は切断されないことを利用し、その後電気泳動することで、どの遺伝子を持つか分かります。
最後は、実験の結果分かったことを発表しました。堂々と発表している姿を見て、多くの活動を通して、思考力や表現力が育っていると感じました。
また、これらの実験はどちらも、現在の生物学で非常に大切な分子生物学の分野の実験です。どのようなことがマイクロピペットの中で起こっているのか、しっかりイメージしながら、分子生物学の理解を深めて欲しいと思います。さらに現在城南高校が全県の生徒に向けて行っている行っている、かずさDNA研究所と連携し実施しているJonan Science Labでの「お酒に強い遺伝子を持つか調べよう」と方法が少し違っているのが面白いと思いました。高大連携で主体的学びを促進すると共に、体験的学びを全県的に広げていきたいです。
科学へのいざないへの参加について
7月20日(土)午前 本校応用数理科1年生4名が徳島県立総合教育センターで行われた科学へのいざない(生物分野)に参加しました。テーマは『植物の「緑色」について探究してみよう!』です。3つのセッションからなり、初めのセッションではシロツメグサ・ナズナ・ホウレンソウから光合成色素を抽出し、TLC(薄層クロマトグラフィー)分離しました。綺麗に分離でき、様々な色の光合成色素を確認することができました。2つめのセッションでは、分光器を作り、光の分散を確認した後、入射光に先ほどの光合成抽出液をかざすとどうなるかを確認しました。生徒たちは分光に少し苦労していました、教員がサポートし、しっかり確認できました。最後のセッションは講義で、光合成では緑色の光は表面の細胞を透過しますが、透過した光は葉の内部の細胞で屈折しながら、吸収され、光合成に使われているとのことでした。表面ですべての光を吸収するのではなく、緑色の光を吸収しないことにより、葉の内部での光合成を可能にしているとのことです。3時間の講座でしたが、葉の「緑色」をテーマに話が展開され、生徒たちも興味を持ちながら、最後まで一生懸命に学んでいました。一つのテーマを軸にした科目横断的な授業は、私にとっても勉強になりました。学校でも、科目横断的な教材開発により、生徒の科学的なものの見方や考え方を養いたいと思いました。
TLCで光合成色素を分離します 抽出液を透過した光を分光器で見ると・・・
園瀬川総合科学調査について
7月11日(木)午後、応用数理科107HR生徒たちに対し、園瀬川総合科学調査の事前研修を行いました。事前研修では、まず川幅や流速などの測定方法を説明しました。その後、水生生物の採取法を教えると共に、「カゲロウの幼虫」や「カワゲラ」などの指標生物の説明に加えて、園瀬川に多く生息する「ハグロトンボのヤゴ」や「ヒゲナガトビケラ」の形態と生息場所について説明しました。最後にパックテストの説明を行い4種類の水に対してpHのパックテストを実施しました。準備はバッチリです。当日、梅雨明けを迎え晴れて園瀬川総合科学調査が実施できることを期待しています。
パックテストで調べる項目の説明です パックテストの練習です 水生生物採取の方法を教えました
7月17日(水)午後、応用数理科1年生によって園瀬川総合科学調査を実施しました。無事に梅雨が明け、快晴の中の実施です。「上流」「中流」「下流」3か所の調査場所に分かれて調査を行います。主な調査内容は「流速の計測」「透明度調査」「岩石調査」「水質パックテスト」「水生生物の採取並びに指標生物を用いた水質調査」です。川での調査に生徒たちは童心に帰り、楽しんでいました。特に水生生物の採取では、事前学習の効果もありどんどん川に入っていき、多くの水生生物が採取できました。種の同定は指標生物表を用いると共に、載っていない種についてはグーグルレンズを用い行いました。総合的な水質の判定はきれいな川とやや汚れた川の中間くらいです。実際に見てみてやってみることに勝る学習はありません。フィールドワークや実験等の体験や経験から学ぶ主体的な学びを経験し、科学的なものの見方や考え方を育み、科学技術人材としての資質能力を身に付けてほしいと思います。
玄関に集まり、上流・中流・下流に移動します パックテストを行います
水生生物を採取して 種の同定を行い、水質を判断します ヒゲナガトビケラです
第1回電子顕微鏡操作実技研修に参加して
7月15日(月・祝)に、神戸市立工業高等専門学校のご厚意で実施しました。生徒4名と教員2名が参加しました。
走査型電子顕微鏡(SEM)は大変高価な機器であり、高校生が手軽に扱える機会はまずありません。しかし、今日はそれに触れて実際に元素分析できるので、軽い緊張感の中で実習を行いました。まず、電子顕微鏡を起動して真空ポンプを稼働させ試料室内を真空にします。そして、上部のフィラメントから電子線を試料に照射して、表面から飛び出した二次電子を検出器で読み取ります。このデータをPC上で加工して使える状態にするのです。
今回は、地元の眉山で採取した金属のような黒色物質と、岐阜県根尾谷の菊花石をライン分析しました。画面上のラインに沿って電子線が当たると、そこに含まれていた元素が判明します。定量分析を行えば組成式を求めることもできます。最初は四苦八苦していましたがすぐに慣れてきて、分析も半ばを過ぎる頃には手回し良く準備・分析・保存ができるようになりました。
貴重な体験をさせていただきましてありがとうございました。
Science Introduction(SI)【実験の設定(温泉卵をつくろう)】
7月12日(金)5限目のScience Introduction(SI)では「実験の設定(温泉卵をつくろう)」を実施しました。本校応用数理科1年生では自由研究を宿題としてます。自由研究において実験を計画する際、変数(独立変数)を決めその値の設定し、結果(従属変数)がでるという考え方を知っておくことが大切です。実験おける大切な考え方を育成し、論理的に実験の計画が立てられるように、この授業を計画しました。
授業ではまず温泉卵の定義と、変数(独立変数)とその値並びに結果(従属変数)について説明しました。その後、変数(独立変数)を温度と加熱時間とし、班内で話し合い、温泉卵を作るための値を決めました。クラス内のすべてのデータを集め、温泉卵ができる条件を考察することとしました。その場合、複数種存在する卵の種類はどうすればいいかや加熱する際の水の量、またどれくらい水につけるかなど、制限変数についても考える機会としました。
結果は、短い時間で80℃以上に設定した班は白身だけ固まり、60℃~80℃に10分程度設定した場合、白身と黄身がやや固まる状態になっていました。50℃以下に設定した場合は時間に関わらず、白身も黄身も固まっていません。このデータを受けて、温泉卵を作るにはどのようにすればいいか実験の計画を立てることを宿題としました。実験データを分析し、創造力を持って新たな実験の計画を立ててほしいと思います。