令和6年度活動内容

科学へのいざないAdvance(生物分野)

9月28日(土)徳島県教育委員会主催 科学へのいざないAdvance(生物分野)が徳島大学で行われ、本校生徒2名が参加しました。テーマは「制限酵素地図を作ろう」です。ご指導は 徳島大学教養教育院 渡部先生です。渡部先生にはいつも高大連携授業や課題研究の指導で大変お世話になっております。

制限酵素とは、DNAを特定の場所で切断する酵素です。この制限酵素は「遺伝子組換え生物」をつくる遺伝子工学において遺伝子を切り取る「はさみ」の役割をする非常に重要な酵素です。今回は2種類の制限酵素(EcoRⅤとEcoRⅠ)を用い、DNAのどの部分で、2種類の制限酵素がDNAを切り取るのか考察し、制限酵素地図を作成します。

まず、マイクロピペットの使い方の練習を行いました。10μLを1μLごと10回で取れるかどうかの練習です。

マイクロピペットの使い方を身に付け、いよいよ、実験です。4つのマイクロチューブにDNA溶液を20μL入れ、それぞれのマイクロチューブに①制限酵素入れない ②EcoRⅠを1μL入れる  ③EcoRⅤを1μL入れる  ④EcoRⅠ を1μL+ EcoRⅤを1μL 入れ、酵素がよく働く温度で処理をします。

制限酵素を働かせた後、電気泳動法でDNAの長さを確認します。電気泳動法とは、DNAは負の電荷を持つので、電流を流せば、+極に泳動するのですが、アガロース(寒天)の中を泳動する関係で、DNAの長さが長いと泳動しにくく(寒天の成分に引っかかる)、短いと泳動しやすい(寒天の成分に引っかかりにくい)特徴から、DNAの長さを分析する方法です。

電気泳動層のくぼみ(ウェル)に、それぞれの溶液を流し込んでいます。(上手です)

流し込んだ後、電流を流し、泳動します。

 

結果は以下の通りです。

 

 ①制限酵素入れない 場合はDNAが切断されておらず、1600塩基対のままです。

 ②EcoRⅠを1μL入れた場合はDNAが切断され 1000塩基対と600塩基対の断片となっています。

 ③EcoRⅤを1μL入れた場合はDNAが切断され 700塩基対と900塩基対の断片となっています。  

 ④EcoRⅠ を1μL+ EcoRⅤを1μL入れた場合は、300塩基対、600塩基対、700塩基対の3つの断片となっています。

この結果から、     

1600塩基対のDNAはどのような場所で切断されたのかをグループで考察しました

                       

                                      EcoR1                                     

           1000塩基対                           600塩基対

上の様にEcoR1が切断すると、EcoRⅤはどの場所になるか分かるでしょうか。

最後は、考察した内容を発表しました。

講義では、白のアフリカツメガエルと黒のアフリカツメガエルを交配したら、どのようなオタマジャクシが生まれるか実験したお話しや、黒色の胚(個体ができるまでの細胞群)と白いとの胚を切って、合わせて個体を作ると半分は黒、半分は白の個体を作ったお話、さらにはゲノム編集を行ったお話しなど、実際に実験した内容を話してくれ、非常に興味深くお話しを聞いていました。    

また、イベリアトゲイモリやアフリカツメガエルなどを見せていただき、生徒達は大学での学びに胸を膨らませていました。

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応用数理科 課題研究 細菌班 徳島文理大学薬学部研修

本校、207HRの3名が課題研究で細菌について興味を持ち、研究をしています。特に、枯草菌(納豆菌)が熱や紫外線、化学物質等に強くなる芽胞を形成することに興味を持ち、どのような条件で芽胞が形成されるのか調べています。30℃のインキュベーターで24時間培養すると、芽胞が形成されるとの論文を発見し、培養をした後、染色液で芽胞を染色し観察しましたが、十分に確認できません。

そこで9月24日(火)の放課後、細菌学がご専門である徳島文理大学 薬学部 微生物学研究室 阪口義彦 先生に芽胞の染色法や芽胞形成について、お話を聞きに行きました。

実験技術である火炎固定や油浸オイルによる対物レンズ100倍での光学顕微鏡の使用法などの学び、ビクトリアブルーで染色し、芽胞を観察しました。菌体の中に芽胞ができるのですが、菌は青く染まり、芽胞が染まらないので青の中に透明に抜けることで観察できます。手法について学び、本校でも実験できる技術を身に着けました。これで、芽胞の形成を調べることができます。また、ご専門である腸内細菌や芽胞の活用法など知り、研究の背景について、非常に知識が深まりました。

さらに、この研究班は最初、音と微生物培養の関係について調べようとしていた話をしていると、芽胞形成と音の関係を調べると面白いとのご意見を伺いました。

培地のpHや温度などと芽胞形成の関係についての論文はあっても、音などの物理的刺激と芽胞形成について調べている例はなく、高校生ならではの面白い着眼になるとおっしゃっていました。

生徒たちも、枯草菌の芽胞形成と音などの物理的刺激との関係について興味を持ち、ぜひやってみたいとのことでした。これからの研究計画についての展望が広がり、生徒たちは非常にワクワクした様子でした。今後も連絡を取りながら研究を進めていきたいと思います。高大連携の仕組みを強化してくことで、課題研究の質を高めていき、生徒たちの主体的で教科横断的な学びを深めていきたいと思います。

火炎固定、プレパラート作成をしています  阪口先生が培養した納豆から培養した枯草菌です

                     すべての菌体で芽胞が形成されています。

  

本校研究班が30℃24時間培養したものです。     対照実験(コントロール)として、自然状態で培養したもの

7割くらいの菌体内で芽胞が形成されています。   です。芽胞が形成されている菌体はありませんでした。

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R6 科学部卒業生による 課題研究等のレクチャー

 

9月14日(土) 13:00~ 化学室にて 

卒業生による課題研究等の進め方講座がありました。

内定を貰っている大学4年生と大学2・1年生より

以下について説明がありました。

①研究の進め方のアドバイス

②大学での授業や研究・生活面での参考例

③高校生のうちにしておいた方がよかったと思った事など。

④その他

 

 

 

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課題研究アオサ班 徳島文理大学研修

207HR 課題研究 アオサ班は9月12日(木)に徳島文理大学 山本博文先生の研究室を訪問し、依頼していた4つの河川の成分分析データを受け取り、今後研究方針について話し合いをしてきました。

1学期にアオサ班はどの川の水が完全陸上養殖に適した水なのか調査しました。その結果、吉野川の水だけ大きく成長するとともに、吉野川以外の川では(特に神田瀬川では)仮根の形成が起きました。その原因を分析するために、徳島文理大学のICPマスという分析機械をお借りし、吉野川、今切川、勝浦川、神田瀬川の水の成分分析を行いました。そして今回その結果データをいただきました。

データから、吉野川が大きく成長したのは硝酸態窒素が多かったからだと考えれます。大きな川である勝浦川が成長しなかったのは、アンモニウム態窒素が多いのですが、おそらく硝化菌が少なく、硝酸態窒に変化してなく、アオサの成長にプラスの要因とならなかったと考えれます。

また、生徒たちは神田瀬川で育てたアオサが縮れているのを発見し、その形態変化は神田瀬川の成分によるものと仮説を立て、次の検証実験は

「アオサの仮根形成および形態変化が起こる原因はどのような金属イオンによるものか」

というテーマで実験をしてくこととなりました。他の河川より多く存在する5つの金属イオンに注目し、それぞれの金属イオンの濃度差を作った河川水で養殖を行い、どのような形態変化が起こるか見ていきます。

これらのことは研究者があまり注目していない分野で、結果がでれば非常に面白いものになると山本先生はおっしゃっていました。

いよいよ研究という感じになってきました。初めに疑問を持ち、問いを立て、仮説を考え、検証実験を行い、その結果を分析し、そこから新たな仮説を立て、検証実験に向かう。どんどん深い内容になってきています。ここからは結果がどのようになるか分からない世界。結果が出ないことがあるかと思いますが、試行錯誤し、新たな発見をする喜びを味わってもらったらと感じます。私自身試行錯誤しながら新たな発見に向かうプロセスにワクワクしております。生徒と共に、研究を楽しみたいと思います。

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第48回全国総合文化祭「清流の国ぎふ総文2024」自然科学部門への参加について

83日(土)~5日(月)岐阜協立大学で行われました第48回全国総合文化祭「清流の国ぎふ総文2024」自然科学部門に応用数理科3年生3名が参加しました。83日(土)には、口頭発表が行われ、「単弾性振り子」の発表を行いました。堂々とした発表で、審査員の方から非常に興味深い研究内容であるとの評価をいただきました。84日(日)も引き続き口頭発表が行われ、見学しました。2日間にわたり行われた発表は、さすが全国発表、どの発表も的を得た検証実験と鋭い考察が行われていました。午後からは巡検研修が実施され、私たちは岐阜かかみがはら航空宇宙博物館の見学を行いました。人類初の動力飛行に成功したライト兄弟のライトフライヤーをはじめとする、航空機産業の歴史について学び、ISS日本実験棟「きぼう」の実物大模型に触れながら、航空宇宙産業について実学を通して学びを深めることができました。総文祭自然科学部門に参加して、岐阜県の方々、特に岐南工業高校の方々のおもてなしに感動しました。そして、全国の方々と一緒になって課題研究を頑張っていこうと思いました。

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「ようこそ先輩 研究室からこんにちは」

8月10日(土)14:00から化学室にて、1年生から3年生の希望者を対象に、城南高校卒業生で研究者になられた方をお迎えし、研究者や研究について話をしてもらう「ようこそ先輩 研究室からこんにちは」を行いました。講師として、森俊夫先生をお迎えしました。森先生は城南高校を1997年(平成9年)に卒業され、現在、大阪大学 量子情報・量子研究センターで、量子コンピューターの研究開発を行っておられます。量子コンピューターは、昨年、理化学研究所が国産初号機を公開し、大阪大学も国産3号機を公開しました。先生はその両方の開発チームで、現在運用も行っておられます。また、理化学研究所の『スーパーコンピュータ「富岳」と量子コンピュータ「叡」の連携利用を実証』についても行っておられます。
テーマは「量子コンピュータについて」「研究職になるためには」です。初めに、「量子コンピューターについて」お話しいただきました。量子コンピューターとは、量子の振る舞いを用いたコンピューターで、これから開発が加速し、より量子ビット数が多くノイズ補正ができる量子コンピューターが開発されてくるとのことでした。量子の世界で見られる重ね合わせや量子もつれなど基本的内容を説明してただき、実際シュミレーションを用いて量子コンピューターの仕組みについて教えていただきました。難しい内容でしたが、物理分野である「量子の振る舞い」が情報分野である「情報処理」に利用される最先端科学に触れ、生徒達は不思議な世界観に引き込まれると共に新たな発見をしているようでした。

その後「研究職になるためには」では、自分の道を行くために、「とりあえずやってみる」ことや、人が遊びでやるようなことでも「ガチる」ことの大切さを説明していただきました。30代で、懸命に取り組んできたことが実を結んだという森先生の言葉は実感があり、一生懸命取り組むことの大切さを実感したようでした。

これからも、研究職に就かれている先輩から研究についてお話しいただける会ができればと考えております。メンターとして今の生徒達にお話しいただける先輩がおいでましたら、ぜひご連絡ください。

これからも生徒達に、研究や最先端科学に触れる良い機会が与えられるような機会を提供していきたいと思います。

量子コンピューターについて説明していただいてます   多くの生徒が残って質問していました

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J-LINKツアーin関西(SPring-8 SACLA・理化学研究所計算科学研究センター)

 8月6日(火)夏休みを利用して、応用数理科・普通科の希望者がJ-LINKツアーin関西として、SPring-8・SACLA及び理化学研究所計算科学研究センター:スーパーコンピューター「富岳」の見学研修に行きました。

 最初の研修先はSPring-8・SACLAの見学研修です。初めに、SPring-8・SACLAの概要説明をしていただきました。生徒達は、X線については、なんとなく分かっていますが、X線がどうすれば発生し、どのように利用するのか十分に分かっていません。分かりやすい説明をしていただき、X線の発生方法やX線を利用することで物質の分子構造や原子の種類が分かることに驚いていました。次は、SPring-8・SACLAの見学です。すごい磁力を生み出しているアンジュレーターや電子を放出する電子銃、電子を加速させる加速装置など、それぞれ説明を受けながら見学することで、理解を深めていました。最後は、SPring-8・SACLAで研究員をしている犬伏先生から、研究者についてやご自身の研究について説明していただきました。犬伏先生は、X線を測る装置の開発などを行われており、生徒達は見学してきた総まとめとして、お話しを聞かせていただき、非常に興味を惹かれているようでした。最後の質疑応答では、多くの質問が出て、研究者についてやX線の利用についての理解が深まったと思います。犬伏先生は徳島県のご出身ということで、生徒達は犬伏先生を非常に身近に感じ、最後までお話しをしておりました。

X線の発生と利用、施設の概要説明をしていただきました SPring-8の説明を受けながら見学しています

SACLAの見学です               磁場を作り出す装置は非常に強力な磁力を持つので、

(加速器で電子を高速まで加速します)      アルミがゆっくりと落ちます

      犬伏先生の講演です                最後に記念写真

 次に、神戸市に移動し、理化学研究所計算科学研究センターのスーパーコンピューター「富岳」の見学研修に行きました。初めに「富岳」の概要説明を受け、その後「富岳」の見学、質疑応答がなされました。実際に「富岳」を目の前にしての質疑応答で、生徒達も気持ちが上がり、時間いっぱい積極的に質問がなされました。利用法についての質問が多く、様々な自然現象についてシミュレーションを行い、現象の分析に活用されていることが理解できたと思います。最後は展示スペースで教員と一緒にディスカッションをしながら見学しました。自然科学現象の分析は、その仕組みを把握した後、シミュレーション等が必要になります。天気予報など、そのシミュレーションを「富岳」で行っていることを知り、科学技術に対し、理解が深まったと感じました。

 実際に見ることに勝る学習はありません。経験や感動による学びを増やし、科学技術人材としての種を増やしていきたいと思います。

   「富岳」を目の前に解説を聞きます       たくさんの質問に答えていただきました

展示スペースで教員と一緒にディスカッション        最後に記念撮影

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第2回電子顕微鏡操作実技研修に参加して

 前回に引き続き、7月28日(日)に再び電子顕微鏡操作実技研修を行いました。今回は男子4名が参加しました。

 分析する対象物は「隕石」です。コンドライトという石質隕石のうち、熱変性をほとんど受けていない未分化の隕石を分析しました。ケイ酸分が多く、マグネシウムやアルミニウムも検出されました。また、鉄分が多くて隕鉄に近い隕石ではやはり鉄が多く含まれ、他にもナトリウムや硫黄、マンガンなども検出されました。想像していなかった元素も含まれているとわかり、大変貴重な体験ができました。ありがとうございました。

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応用数理科2年生課題研究アオサ班 徳島文理大学研修

7月30日(火)応用数理科2年生課題研究アオサ班が、中間発表までの研究内容の報告と水の成分分析をするため、文理大学薬学部山本 博文先生のところを訪問しました。現在、アオサノリは地球温暖化の影響もあり、河川での養殖が難しくなってきています。そこで、山本博文先生は陸上養殖に必要な葉状体形成因子を発見し、完全陸上養殖を可能にしています。アオサ班は山本先生の研究に興味を持ち、指導を受けながら、課題研究を進めています。

アオサ班は、現在までに、吉野川、今切川、勝浦川、神田瀬川の4つの川の水でアオサの葉状体を1ヶ月間養殖し、成長の様子を記録しました。1ヶ月間の養殖後、4つの川の中で最も吉野川が成長し、今切川、勝浦川、神田瀬川の3つの川の水ではそれぞれ成長に変化がないという結果を得ました。

これから、徳島文理大学でそれぞれの川の水の成分分析をしていただき、どのような成分の違いで成長の違いが出たのか考察すると共に、それぞれの川の水で仮根のでき方が異なっていることに注目し、どのような塩類が仮根の成長に関与するのか調べていくことになりました。

最初はどのような目標を目指すべきなのか分かりませんでしたが、実際に研究を進めてみると、調べることがどんどん出てきます。研究機関である大学のお力をお借りしながら、より発展的な課題研究に取り組めるようにしていきたいです。

 課題研究について指導していただいています    水の塩類成分等を分析する機器を説明してくれています

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徳島大学 遺伝子組換え実験講習会への参加について

7月25日と26日の2日間、徳島大学蔵本キャンパス先端酵素学研究所で行われた高校生向けの遺伝子組換え実験講習会に応用理科2年生1名が参加しました。2日間で行う実験は、「①大腸菌の形質転換実験」「②DNAからお酒に強い遺伝子を持つか調べよう」です。

「①大腸菌の形質転換実験」は、抗生物質耐性遺伝子とGFPタンパク質遺伝子を持つプラスミドをヒートショックにより大腸菌内に入れ、大腸菌を形質転換させる実験です。GFPタンパク質は紫外線照射で光り、araCタンパク質により、転写が調節され、アラビノースが培地にあるときにのみ発現するように調節してあります。

「②DNAからお酒に強い遺伝子を持つか調べよう」では、髪の毛から自分のDNAを取得し、PCRで増幅、その後制限酵素で処理すると、お酒に強い遺伝子を持つ場合は切断され、そうでない遺伝子の場合は切断されないことを利用し、その後電気泳動することで、どの遺伝子を持つか分かります。

最後は、実験の結果分かったことを発表しました。堂々と発表している姿を見て、多くの活動を通して、思考力や表現力が育っていると感じました。

また、これらの実験はどちらも、現在の生物学で非常に大切な分子生物学の分野の実験です。どのようなことがマイクロピペットの中で起こっているのか、しっかりイメージしながら、分子生物学の理解を深めて欲しいと思います。さらに現在城南高校が全県の生徒に向けて行っている行っている、かずさDNA研究所と連携し実施しているJonan Science Labでの「お酒に強い遺伝子を持つか調べよう」と方法が少し違っているのが面白いと思いました。高大連携で主体的学びを促進すると共に、体験的学びを全県的に広げていきたいです。

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