学校長からのメッセージ

令和6年度 第3学期 終業式 式辞

社会人基礎力

 3月も下旬になりました。本年度もあとわずかです。4月からの1年間を振り返る時期であると同時に、新年度に向けて新たな目標を掲げる時期にもなります。したがって、1年間の中で最も大切な時期になるので、皆さんには、年度の区切りとなる春休みの一日一日を大切に過ごしてもらいたいと思います。

 さて、自分が希望している進路の実現に向けた取組は進んでいますか。生徒の皆さんは、将来、何らかの職業に就くことになります。また、職場だけでなく、地域社会の一員としても多様な人々と関わっていくことになります。

 そこで、生徒の皆さんは、「社会人基礎力」という言葉を聞いたことがありますか。「社会人基礎力」とは、職場や地域社会で多様な人々と関わり合いながら、活躍し続けるために必要とされる基礎的な力であるといわれています。職場や地域社会で必要とされる「社会人基礎力」は、3つの能力と12の能力要素から構成されています。今日は、「社会人基礎力」の柱となる3つの能力について紹介します。

 1つめは、「前に踏み出す力(アクション)」です。これは、「一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力」のことです。実社会では、正解が1つに定まっているというケースは少ないです。また、正解がない課題もあります。試行錯誤しながら、自ら行動していくことが必要となります。失敗したとしても、他者と協力しながら、粘り強く取り組む力を身につけることが大切です。

 2つめは、「考え抜く力(シンキング)」です。これは、「疑問を持ち、自ら深く考える力」のことです。批判的思考(クリティカルシンキング)ともいわれています。物事を改善していくためには、常に問題意識を持ち、課題を発見することが必要となります。その上で、課題を解決するための方法やプロセスについて、十分納得いくまで考える自律的な思考力を身につけることが大切です。

 3つめは、「チームで働く力(チームワーク)」です。これは、「多様な人々とともに、目標に向けて協力する力」のことです。職場や地域社会などでは、仕事の専門化や細分化が進んでおり、組織として何かを成し遂げるためには、多様な人々との協働が必要となります。自分の意見を的確に伝え、意見や立場の異なるメンバーも尊重した上で、目標に向けてともに協力する力を身につけることが大切です。

 それでは、3つの能力を身につけるにはどうすればよいでしょうか。まずは、世の中の出来事を「自分事」として捉えてみましょう。次に、「自分事」として捉えた出来事の解決策を一生懸命考えてみましょう。しかし、解決策が思い浮かばないこともあります。また、他にもっとよい解決策があるかもしれません。その時こそ、解決に向けて様々な人の協力を得るのです。

 生徒の皆さんが、学校生活を通して「社会人基礎力」である3つの能力「アクション、シンキング、チームワーク」を身につけ、将来、社会で活躍する人材となることを期待しています。新年度に向けて頑張ってください。

徳島県立城南高等学校長 佐山 哲雄