科学部活動報告

【科学部】魚の骨格標本を作る

 6月のある日、実験室に海水魚の「かさご」がありました。おもむろに包丁を取り出して、かさごの身を切り落としていきます。これから温かい水酸化ナトリウム水溶液に浸して、数日間放置することにしました。目的はかさごの「骨格」でした。強塩基によりタンパク質が分解され、白くて弾性のある骨だけが残るのです。1週間ほどで何とか形の残る標本が得られました。このようにジャンルを問わず、自分たちが興味関心のある実験をしています。

生徒から生徒へ化学講座

 6月6日(木)の放課後、科学部の化学班が実験室に集まりました。今日は上級生による下級生への講義があります。以前からOB・OGが来校してときどき開講していますが、ときには3年生が自身の受験勉強を少し横に置いて、1年生や2年生の質問に答える形で勉強会をしています。下級生にとってまだわかないことを経験者から直接教えてもらえるし、上級生にとって自分の知識を振り返ると共に他者への伝え方を知ることができます。

 内容は化学分野の多岐にわたり、中和や電池などの化学基礎から始まって、まだ教わってもいない金属イオンの性質やエステルなど有機化合物なども習います。今日のテーマは炭素の同素体と化合物で、参加した下級生はグラファイトやフラーレンの構造などを熱心に教わっていました。このように先輩が自発的に後輩を教えることはとても良いことだと思います。

 今後も私たち教員が何も言わずとも彼らは続けていくでしょう。互いに教え合うという雰囲気作りも大切です。

第1回科学部野外巡検in若杉山遺跡・水井鉱山

 4月20日(土)に、阿南市水井町にある若杉山遺跡と水井鉱山跡を訪ねました。

 若杉山遺跡を示す垂れ幕を見ながら遍路道を進みます。20分くらい歩くと、屋根のある休憩所が見えてきました。すぐ近くを谷川が流れている気持ちの良い場所です。山の斜面には石灰岩を掘削した跡が残っていました。それらを観察したり、周辺の植生を調べたりしました。帰りは22番札所「太龍寺」へ向かうお遍路さんと何度もすれ違いました。道が細いのでお互いに譲り合いながら戻りました。

 車で少し移動して水井鉱山跡の佐々木坑に向かいました。ここはかつて水銀の鉱物である赤い「辰砂(しんしゃ)」を採掘していた場所です。道の上から見ると岩肌が真っ赤になっていました。辰砂かと思いましたが、これは紅藻類の一種「タンスイベニマダラ」でした。県内だけでなく全国的に珍しい藻です。そこから沢沿いに登ると古い坑道跡が残っていました。

 全員で辰砂を探してみました。なかなか見つかりません。水銀朱とも呼ばれる赤い鉱物は、かつて壁画の顔料や古代人の祈祷・埋葬に用いられた大変貴重な物です。得られた水銀は戦時中に潜水艦の水圧計などに使われたそうで、ほとんど採掘されてしまいました。しかし、1時間くらい粘ってみるとついに石灰岩の割れ目から辰砂が見つかりました。その後、いくつか見つかり全員が成果を上げることができました。

 この自然豊かで歴史のある地域をずっと守っていきたいと思いました。

南極の氷を頂きました!

 本校生徒の保護者の方から南極の氷を頂きました。砕氷艦「しらせ」が南極の昭和基地まで行って採集してきた物です。この方ご自身が船に乗り込んで現地にて採集されたそうです。積もった雪の重みでさらに潰れてかなり緻密な氷です。よく見ると細かな気泡が観察できます。水に浮かべるとゆっくり溶け出しながら、プチプチと音を立てて小さくなっていくそうです。生徒たちが興味津々でのぞいていました。貴重な物を頂きましてありがとうございました。

分子模型作りにハマってます!

 分子模型を作りました。黒いのは炭素原子、赤いのは酸素原子、白いのは水素原子です。最初は興味本位だったのですが、いろいろ作っているうちにすっかりのめり込んでしまいました。定番のダイヤモンド結晶格子から始めて、フラーレンやゼオライトなど無機物・有機物を問わず気に入った物質を作ってみました。

 最近の推しはこれ、シクロアワオドリンです。徳島文理大学の西沢麦夫先生らのグループが合成されました。環状オリゴ糖の一種で、ヒドロキシ基を多数含み6個の糖がグルコシド結合しています。まるで、6人の踊り子がぐるっと回って阿波踊りをしているように見えて、そこから「アワオドリン」と命名されました。名前の由来がとても面白いです。

 今度はDNA模型を作る予定です。材料の球や棒がたくさん必要なので、せっかくのアワオドリンを分解しないといけません。今はまだ勿体ないのでもうしばらくそのままにしておきます。4月からやってくる新入生の皆さん、私たちと作りませんか。ぜひやりましょう。