科学部活動報告

南極の氷を頂きました!

 本校生徒の保護者の方から南極の氷を頂きました。砕氷艦「しらせ」が南極の昭和基地まで行って採集してきた物です。この方ご自身が船に乗り込んで現地にて採集されたそうです。積もった雪の重みでさらに潰れてかなり緻密な氷です。よく見ると細かな気泡が観察できます。水に浮かべるとゆっくり溶け出しながら、プチプチと音を立てて小さくなっていくそうです。生徒たちが興味津々でのぞいていました。貴重な物を頂きましてありがとうございました。

分子模型作りにハマってます!

 分子模型を作りました。黒いのは炭素原子、赤いのは酸素原子、白いのは水素原子です。最初は興味本位だったのですが、いろいろ作っているうちにすっかりのめり込んでしまいました。定番のダイヤモンド結晶格子から始めて、フラーレンやゼオライトなど無機物・有機物を問わず気に入った物質を作ってみました。

 最近の推しはこれ、シクロアワオドリンです。徳島文理大学の西沢麦夫先生らのグループが合成されました。環状オリゴ糖の一種で、ヒドロキシ基を多数含み6個の糖がグルコシド結合しています。まるで、6人の踊り子がぐるっと回って阿波踊りをしているように見えて、そこから「アワオドリン」と命名されました。名前の由来がとても面白いです。

 今度はDNA模型を作る予定です。材料の球や棒がたくさん必要なので、せっかくのアワオドリンを分解しないといけません。今はまだ勿体ないのでもうしばらくそのままにしておきます。4月からやってくる新入生の皆さん、私たちと作りませんか。ぜひやりましょう。

甘くな~レ、糖度の測定

 薬品庫を片付けているとジアスターゼがありました。ダイコンの根に多く含まれるデンプン分解酵素の一種で、今はアミラーゼと呼ばれています。ちょうどカタクリ粉があったのと糖度計も出てきたので、カタクリ粉にジアスターゼを加えたらどれくらい甘くなるのか興味が湧いて実験してみました。

 カタクリ粉を少量ビーカーに入れ、これに適量の水とジアスターゼを加えて40℃で3時間撹拌しました。すると、溶液にとろみが出てきて白く濁りました。さらに撹拌を続けると、今度は溶液の色が薄くなってきました。これを取り出して遠心分離を行いました。用いた器具は電動ではなく、使用時に机の端に取り付ける手動の遠心分離機です。昭和50年製のかなり古いタイプで、生徒どころか中堅の教員ですら見たことがありません。本当に使えるのか不安でしたが、ハンドルを回すと軽快に動き出し溶液と沈殿物とに分離できました。

 糖度計で測定すると糖度23という結果が出ました。試しに恐る恐るなめてみると確かに甘いです。味がほとんどしないカタクリ粉がここまで甘くなるのには驚きました。なお、後日に希硫酸を用いて同様の実験をしてみました。もちろん予想どおりにデンプンが加水分解されて糖度25という結果でした。前者では、デンプンが加水分解されてマルトース(麦芽糖)になったと思われます。後者では、さらにマルトースの分解が進んでグルコースが生成したと考えられます。

 何気ない実験ですが、生徒自らが実行して結果を得ることが重要であり、今後もこのような活動を積極的に行っていきます。

令和5年度第7回SSH科学部野外巡検in関川

 本校ではフィールドワークを重視しており、科学部では年に数回ほど野外巡検を実施し、標本の採集や記録の仕方などを学習しています。今年最後の巡検は、2月18日(日)に愛媛県四国中央市土居町を流れる関川(せきがわ)で行いました。ここは四国では最大の鉱物産地で、約70種類の鉱物が確認されています。特に柘榴(ざくろ)石、角閃(かくせん)石、橄欖(かんらん)石が多く見られます。

 関川と浦山川の合流点で鉱物を採集しました。まず、生徒たちにどのような石を見れば良いのか、どのような物を拾えば良いのかをレクチャーしました。岩石中の赤い粒子はざくろ石です。とても数が多いので誰でも拾うことができます。ただし、白い粒子はざくろ石ではなく曹長(そうちょう)石という別の鉱物であることを伝えます。生徒が拾ってきたざくろ石に小さく赤紫色の金属光沢のある鉱物が含まれていました。錆びた黄銅鉱または銅の多い斑銅鉱と思われます。このような小さい結晶をよく見つけたものです。日頃の観察力の賜です。

 川原にかんらん石が埋まっていました。「橄欖」とはオリーブの実のことで、この石はオリーブのようなくすんだ緑色をしています。風化していくと黄色みがかって黄土色になります。一方で、クロム鉄鉱からなる黒い細かい粒子を含んだり、淡い青紫色の菫泥(きんでい)石になっている物もあります。その菫泥石が見つかったので、シャベルで土を掘り起こして取り出した後に割ってみました。きれいな結晶が採れました。

 川原での採集活動を終えて、旧土居町役場に隣接する暁雨館(ぎょううかん)を訪ねました。地元の資料館であり、地域の歴史や文化、関川の鉱物について詳しい資料があります。職員の方に案内をして頂き、工作をしたり様々な知識を得ることができました。ありがとうございました。

令和5年度第5回SSH科学部野外巡検in鳴門

 1月20日(土)の小雨が降る中で、ずっと順延していた化石ツアーを実施しました。天候が思わしくなく再びの中止も考えられましたが、活動しているうちに雨も上がり寒くもなく過ごせました。この産地は中生代の地層が発達し、砂岩と泥岩が交互に沈殿したタービダイトを形成しています。その中に比較的大型のアンモナイトや、古代アマモと呼ばれていた生痕化石を含んでいます。今日はそれらを探しに来ました。

 画像の黒っぽいのが粘土などからなる泥岩で、アンモナイトがときどき含まれています。白っぽいのが砂岩で、さっきの生痕化石が至る所に見られます。まずは、簡単な生痕化石から採集していきました。切り立った崖の垂直な岩壁を丹念に見ていくと、規則的に並んだ筋のような物が見つかりました。これはどう見てもアンモナイトのようです。はぎ取ろうと頑張って割ってみましたが、ひびが入っていたようでそのまま割れてしまいました。

 次に、砂岩の表面を見渡すと黒い筋が幾重にも重なって伸びています。アマモという植物に似ているのでそう呼ばれてます。これはたくさん見つかりましたが、すでにひびが入っていて断片しか採取できませんでした。それでも初めてこの場所に来たのに十分な成果を得られました。なお、化石の種類は後からでも調べられますが、産地(採った場所)を忘れてしまうと標本としての価値が半減します。生徒たちが早速記録してラベルを書いていました。

 帰りに少しだけビーチコーミング(漂着物の採集)をしました。余り広くない海岸には、材木や発泡スチロール、釣りの仕掛けや養殖で使っていたブイなどが打ち上げられています。お目当ての物を拾うことができて、意気揚々と引き上げました。