3つのCと2つのE
今日から2学期が始まりましたが、有意義な夏休みとすることができたでしょうか。悔いの残る夏休みだった人も、新たな気持ちで2学期をスタートできるようにしてください。学習や学校行事、部活動に積極的に取り組んでもらいたいと思います。そこで、2学期から良いスタートを切るために意識して欲しいことがあります。それは、「3つのCと2つのE」です。
1つ目のCは「challenge(チャレンジ)」、挑戦です。チャレンジとは、自分の目標に向かって行動することです。具体的な一歩を踏み出し、とにかく動き出さなくては、何も起こりません。どのような一歩を踏み出すのか、じっくりと考え、挑戦する勇気を持って、一歩を踏み出していって欲しいと思います。最初の一歩が、目標を実現するための大きな一歩になります。
2つ目のCは「continue(コンティニュー)」、継続です。コンティニューとは、前を向いて歩み続けることです。挑戦すると決めたことが、一度きりで成功したり力になったりすることはありません。また、最初の一歩を次の一歩につなげていくためにも、挑戦すると決めたことへの努力を懸命に続けていくことが大切です。「継続は力なり」という言葉もあります。
3つ目のCは「create(クリエイト)」、創造です。クリエイトとは、新しいものを創り出すことです。自分の目標に向けた挑戦を継続することにより、新しい何かを創っていきましょう。それは、新たな発見かもしれませんし、新たなアイディアによって創り出される具体的なものかもしれません。また、挑戦という経験が自分自身の新たな発見につながるかもしれません。
そして、1つ目のEは「effort(エフォート)」、努力です。エフォートとは、目標を達成するために努力することです。目標に向かって、努力したことはきっと報われる時がきます。すぐに結果として表れなくても、努力を続けることが大切です。たとえ失敗したとしても、その失敗を教訓にして諦めずに努力することで人は成長します。無駄になる努力はありません。
2つ目のEは「enjoy(エンジョイ)」、楽しむです。エンジョイとは、喜びや満足感を得ることです。何事もそうですが、目標もなく何となくやっていることや嫌々やっていることは自分にとってプラスにはなりません。せっかくやるのなら、楽しむことが一番です。学習や部活動にしても学校行事にしても、自分から積極的に楽しんで取り組む姿勢が大切になります。
この「3つのC(挑戦・継続・創造)と2つのE(努力・楽しむ)」の関係が皆さんの生活の中でとても大事になってきます。「3つのCと2つのE」(挑戦・継続・創造する努力を楽しむこと)を意識することが、2学期の充実につながり、さらには、皆さんの目標の実現につながることを期待しています。
徳島県立城南高等学校長 佐山 哲雄
目標の実現
今日で1学期が終了しますが、この機会に4月からの学校生活を振り返ってみてください。1学期の学校生活を振り返ると、これまでの成果と課題が見えてくると思います。そして、成果と課題が見えてくると、目標が見えてくると思います。さらに、目標が見えてくると、現在地からゴールまでの道筋が見えてくると思います。
今日は、目標を実現できる可能性について、改めて考えてみます。自分の目標というのは「なりたい自分」であり、それに対して、現在の自分というのは「できる自分」であるといえます。そして、「なりたい自分」と「できる自分」の重なる部分(共通部分)が実現できる可能性になると思います。
まず、大切なことは「なりたい自分」をしっかりと定めることです。理想とする自分をはっきりと描くことです。目標が定まっていないと、目標の実現に向けて努力すべきことが定まらないので目標に近づくことはできません。
次に、大切なことは「できる自分」を見つめることです。現在の自分にどれだけの力があるのかを知ることです。今の自分にできることが分かっていないと、目標の実現にどれだけの努力が必要となるかも分かりません。
例えば、進路について考えてみた場合「なりたい自分」は進路目標になります。進路目標を定めるためには、世の中にどんな仕事があり、その仕事にどんな知識や技術が必要なのか、その仕事を通してどんな生き方があるのかを知る必要があります。進路を考えることは、どんな人生を送りたいのかを考えることになります。
将来の自分像「ライフデザイン」をイメージして、そのためにどの大学に進学すれば良いか、どの企業に就職すれば良いかなど、情報収集をしなくてはいけません。本校は、大学の先生や学生など、外部の方との出会いの場を教育活動に多く取り入れています。その出会いを通して「なりたい自分」の幅を広げていきましょう。
一方で、目標を実現するためには「なりたい自分」と「できる自分」の重なりを広げる必要があります。定めた目標に向かって自己を高める努力をしなければ、目標に近づくことは絶対にありません。万里一空の精神で打ち込むことが必要です。
日頃の学習を一つ一つ丁寧に重ねていくことで学力を向上させるとともに、学校行事や部活動に積極的に取り組むことで社会力や人間力を高めていきましょう。様々な活動を通して「できる自分」の枠を広げることは、「なりたい自分」との重なりを広げることにつながります。意識の持ちようによって人生は変わります。
明日から夏休みが始まります。2つの自分の重なりを広げる努力の積み重ねが、進路実現の可能性を高めることにつながります。「目標に向かって歩みを止めない」高校生活にするためにも、明日からの夏休みを有意義に過ごしてください。
徳島県立城南高等学校長 佐山 哲雄
時を守り、場を清め、礼を正す
新年度が始まりました。今日は、新年度スタートの特別な日です。昨年度の成果や反省を基に、皆さんはこれからどのような学校生活を送ろうと考えていますか。3年生は進路の決定に向けて全力で取り組んでもらいたいと思います。また、2年生は学校の中核となる学年としての活躍を期待しています。
以前にも話をしましたが、学校は社会に出るための準備の場であり、社会に出てから必要とされる資質や能力を身につける場になります。将来、皆さんも社会に出てからは、社会の一員として働くようになります。それでは、社会に出て働く上で大切なことは何だと思いますか。
それぞれの職業で必要となる知識や技術はもちろん大切ですが、企業も学校と同じように組織で動いています。社員が自分勝手に行動しているのではなく、規律ある行動をとっています。そして、お互いにコミュニケーションをとりながら分担して取り組んでいます。つまり、人間関係(信頼関係)が大切ということです。
今日は、新年度の始まりにあたって、「時を守り、場を清め、礼を正す」という言葉について話をします。この言葉は、教育学者の森信三先生が職場再建の3原則として提唱したものです。学校も職場と同じように多くの人が生活をしています。皆さんには、将来に向けて重要となる3つの行動を身につけて欲しいと思います。
「時を守り」とは、時間や期限を守るということです。時間を守ることは、相手の時間を大切にすることで、結果として相手を尊重することにつながり、そして、それにより自分の信用を積み重ねることにもつながります。予定の開始5分前に姿勢を正し、心を静め、開始を待つことができていますか。普段の行動を考えてみてください。朝の登校、チャイム着席、提出物の期限を守る・・・・等、時間ギリギリに行動することのないようにしてください。
「場を清め」とは、掃除や整理・整頓をすることです。その意味は「5K」で表されます。気づく人になれる、心を磨く、謙虚になれる、感動の心を育む、感謝の心が芽生える、ということです。足元のゴミに気づいて拾うことができていますか。拾えばきれいになるだけでなく、感動や感謝が生まれます。学校での自分の身の回りを見てください。掃除、ロッカーや机の中の整理・整頓を心掛けてください。
「礼を正す」とは、挨拶をすること、返事をすることです。挨拶をすることにより、相手に心を開くことができます。人より先に、誰に会っても、挨拶をすることです。そして、呼ばれたら「ハイ」と返事をすることです。人とのコミュニケーションは、挨拶や返事から始まります。気持ちの良い挨拶や返事をすれば人間関係がよくなります。挨拶や返事は、人間関係をつくる上で基本になると思います。
例えば、「時間ギリギリで余裕がない」「机の上が片づいていない」「呼ばれても返事をしない」などの行動は、相手に不信感を与えてしまうでしょう。自分の将来のために、すべての人が気持ちよく学校生活を送るために、より良い城南高校を造るために、今日から「時を守り、場を清め、礼を正す」を実践していきましょう。
徳島県立城南高等学校長 佐山 哲雄
社会人基礎力
3月も下旬になりました。本年度もあとわずかです。4月からの1年間を振り返る時期であると同時に、新年度に向けて新たな目標を掲げる時期にもなります。したがって、1年間の中で最も大切な時期になるので、皆さんには、年度の区切りとなる春休みの一日一日を大切に過ごしてもらいたいと思います。
さて、自分が希望している進路の実現に向けた取組は進んでいますか。生徒の皆さんは、将来、何らかの職業に就くことになります。また、職場だけでなく、地域社会の一員としても多様な人々と関わっていくことになります。
そこで、生徒の皆さんは、「社会人基礎力」という言葉を聞いたことがありますか。「社会人基礎力」とは、職場や地域社会で多様な人々と関わり合いながら、活躍し続けるために必要とされる基礎的な力であるといわれています。職場や地域社会で必要とされる「社会人基礎力」は、3つの能力と12の能力要素から構成されています。今日は、「社会人基礎力」の柱となる3つの能力について紹介します。
1つめは、「前に踏み出す力(アクション)」です。これは、「一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力」のことです。実社会では、正解が1つに定まっているというケースは少ないです。また、正解がない課題もあります。試行錯誤しながら、自ら行動していくことが必要となります。失敗したとしても、他者と協力しながら、粘り強く取り組む力を身につけることが大切です。
2つめは、「考え抜く力(シンキング)」です。これは、「疑問を持ち、自ら深く考える力」のことです。批判的思考(クリティカルシンキング)ともいわれています。物事を改善していくためには、常に問題意識を持ち、課題を発見することが必要となります。その上で、課題を解決するための方法やプロセスについて、十分納得いくまで考える自律的な思考力を身につけることが大切です。
3つめは、「チームで働く力(チームワーク)」です。これは、「多様な人々とともに、目標に向けて協力する力」のことです。職場や地域社会などでは、仕事の専門化や細分化が進んでおり、組織として何かを成し遂げるためには、多様な人々との協働が必要となります。自分の意見を的確に伝え、意見や立場の異なるメンバーも尊重した上で、目標に向けてともに協力する力を身につけることが大切です。
それでは、3つの能力を身につけるにはどうすればよいでしょうか。まずは、世の中の出来事を「自分事」として捉えてみましょう。次に、「自分事」として捉えた出来事の解決策を一生懸命考えてみましょう。しかし、解決策が思い浮かばないこともあります。また、他にもっとよい解決策があるかもしれません。その時こそ、解決に向けて様々な人の協力を得るのです。
生徒の皆さんが、学校生活を通して「社会人基礎力」である3つの能力「アクション、シンキング、チームワーク」を身につけ、将来、社会で活躍する人材となることを期待しています。新年度に向けて頑張ってください。
徳島県立城南高等学校長 佐山 哲雄
努力しても損はしない
今日から3学期が始まりました。2学期の終業式で「3学期は1年間の総決算、3年生にとっては高校生活の総決算」という話をしましたが、3学期は総決算であるとともに、新年度に向けての準備期間にもなります。年度の節目となる時期ですので、一日一日を大切に過ごしてください。
さて、皆さんは、これまで入学試験や定期考査など、様々な試験を受けてきたと思います。また、部活動においても大会やコンクールなど、様々な試合に出てきたと思います。これまでも試験や試合などで結果を出すために努力をしてきたと思いますが、改めて努力することの大切さについて考えてみましょう。
〇努力して結果が出ると、自信になる。
努力して結果が出ると、それまでの取組が成功体験となり、自分の能力や行動を信じることにつながります。努力するモチベーションにもなります。
〇努力せず結果が出ると、傲り(おごり)になる。
努力しなかったのに偶然にも結果が出ると、自分は優れていると勘違いして油断することにつながります。課題を軽く見るので努力しなくなります。
〇努力せず結果も出ないと、後悔が残る。
努力していないので結果が出ないことは、よくあることです。努力しなければ結果は出ません。努力しておけばよかったと後で悔やむことになります。
〇努力して結果が出ないとしても、経験が残る。
努力した結果が出なかったとしても、次のチャレンジにつながる経験が残ります。失敗した経験が、成功に到達するための重要なヒントになります。
努力すれば結果が出ることが多くなり、出た結果が次の努力につながります。努力と成功がつながっていく好循環になります。努力しないで運よく結果が出ても、傲り(おごり)になり、努力しなくなるのでやがて結果も出なくなります。怠惰と失敗がつながっていく悪循環になります。
結果を出すためには、努力が必要です。しかし、仮に結果が出なくても、努力すれば一生懸命に取り組んだ経験が残ります。そして、その経験から知恵や新たな発想が生まれて、次のチャレンジで成功する可能性が高まります。
皆さんは、これからも試験や試合などを数多く経験することになります。また、社会に出て働き始めても、自分の力が試される機会に多く出会うと思います。その時、立ち向かって努力をするか、避けて努力をしないかの選択をすることになりますが、皆さんはどちらを選択しますか。
努力しても結果が自分の思いどおりにならないこともあります。しかし、経験は残るので、「努力しても損はしない」と思います。最後まで諦めずに努力を続ける3学期としてください。
徳島県立城南高等学校長 佐山 哲雄