大人の条件
1月というのは、新しい年を迎え1年間のスタートとなる時期になる一方で、学校生活の中では3学期というまとめの時期にもなります。新年の初めであると同時に年度のまとめにもなるので、ある意味1年間の中で最も大切な時期になると思います。皆さんには、一日一日を大切に過ごしてもらいたいと思います。
さて、来週の月曜日は成人の日になります。成人の日というのは、「大人になったことを自覚し、自ら生き抜こうとする青年を祝い励ます」趣旨の国民の休日です。そして、令和4年4月に民法が改正されて、成年年齢が満18歳に引き下げられました。3年生の多くの人が既に18歳になっていると思います。
そこで、「成人」と「大人」を国語辞典で調べると、「成人」とは「心身が発達して一人前になった人。成年に達した人。子どもが成長して大人になること。」となっており、「大人」とは「成長して一人前になった人。成人の年齢に達した人。思慮分別があり、社会的な責任を負える人。」となっています。
「成人」と「大人」には「一人前」や「成年年齢」という共通する意味もありますが、「大人」には「思慮分別」や「社会的な責任」という意味もあります。従って、「大人」とは「成年に達する」という外面的なことと「分別や責任」という内面的なことの両方が認められてなれるものと思います。
オランダの教育学者、マルティヌス・ヤン・ランゲフェルドは「大人」を次のように規定しています。 ①自分自身の行為や失敗に対して責任ある態度がとれる。 ②社会生活において仲間として責任を分かち合う態度がとれる。 ③子どもや病人など弱者のための代理人として責任を負う態度がとれる。
簡単に言えば、自己責任の態度、社会の一員としての自覚、そして思いやりの態度が必要ということだと思います。だとすれば、内面的なことというのは人として当たり前のことばかりです。裏返せば、「大人」になるということは、当たり前のことが当たり前にできるようになることかもしれません。
18歳の誕生日を迎えれば大人として扱われる一方で、18歳の誕生日を迎えれば大人になれるという単純なものではないと思います。普段から誰かのために何ができるかを考えることも必要だと思います。皆さんが成年に達した時、大人としての態度をとることができることを期待しています。
徳島県立城南高等学校長 佐山 哲雄
失敗の価値
1年間の学校生活において、最も長い2学期も今日で終えようとしています。そして、今年も残りわずかです。これまで自分が取り組んできたことを振り返ってみてください。教科等の学習、学校行事、部活動など、精一杯取り組んできましたか。
自分が目標としていることにチャレンジした時、成功することもあれば失敗することもあります。どちらかというと、成功することよりも失敗することが多いかもしれません。そこで大切になるのが、失敗した時にどう考えるかです。
「七転び八起き」ということわざがあります。このことわざは、何度失敗してもあきらめずに立ち上がって努力すること、失敗や敗北にくじけず何度もチャレンジを繰り返すことを示しています。
私たちは、すべてのことが分かっているわけではありません。日々、新しい発見や出来事もあります。そして、年齢を重ねるごとに、活動範囲が広がるごとに知らないことや経験したことがないことに出会うことが多くなります。初めてのことなので、失敗することが多いと思います。失敗することで悲観もすると思います。
そういう時、このことわざを思い浮かべると思います。「今回は失敗してしまったが、次回頑張れば成功できるかもしれない」と考えることができます。再度チャレンジしようと頑張る意欲につながります。「七転び八起き」ということわざには、物事を前向きに考えるようにさせる効果があると思います。
しかし、「なぜ失敗したのか」「どうしたら成功するのか」を深く考えることもなく、「7回失敗しても8回目には成功する」などと何の根拠もなく考えるのであれば、これは少し愚かなことです。失敗から学ぶことがなければ、再度チャレンジしても成功にはつながらないと思います。学びがあってこそ成功があります。
つまり、1回失敗して気づかなければ、7回失敗しても何も変わりません。同じ失敗を繰り返すだけです。失敗を成功につなげることができる人というのは、どのような人でしょう。それは、「成功するには失敗してしまった原因と失敗しないための方策を考えることが必要である」と気づいた人だと思います。
気がつくためには、「転んでもただでは起きぬ」という気持ちが大切になります。このことわざは、どんな事態になっても自分の利益になるものを見つけ出すという、欲深いたとえとして使われていますが、昔の偉大な人物の中でも、失敗に向き合うことで、失敗からの学びを成功に生かした人は多くいます。
そして、そういった人たちは、常に「なぜ失敗したのか」「どうしたら成功するのか」を深く考えていたと思います。転んでもただでは起きなかったということです。発明王と言われるトーマス・エジソンの言葉に「私は失敗したことがない。ただ、1万通りのうまくいかない方法を見つけただけだ。」というのがあります。
失敗を「単なる失敗」と考えずに、「失敗の価値」に気づくことこそが新たな一歩になります。また、失敗を無駄にしない気持ちが可能性を広げることにつながります。
徳島県立城南高等学校長 佐山 哲雄
3つのCと2つのE
今日から2学期が始まりましたが、有意義な夏休みとすることができたでしょうか。悔いの残る夏休みだった人も、新たな気持ちで2学期をスタートできるようにしてください。学習や学校行事、部活動に積極的に取り組んでもらいたいと思います。そこで、2学期から良いスタートを切るために意識して欲しいことがあります。それは、「3つのCと2つのE」です。
1つ目のCは「challenge(チャレンジ)」、挑戦です。チャレンジとは、自分の目標に向かって行動することです。具体的な一歩を踏み出し、とにかく動き出さなくては、何も起こりません。どのような一歩を踏み出すのか、じっくりと考え、挑戦する勇気を持って、一歩を踏み出していって欲しいと思います。最初の一歩が、目標を実現するための大きな一歩になります。
2つ目のCは「continue(コンティニュー)」、継続です。コンティニューとは、前を向いて歩み続けることです。挑戦すると決めたことが、一度きりで成功したり力になったりすることはありません。また、最初の一歩を次の一歩につなげていくためにも、挑戦すると決めたことへの努力を懸命に続けていくことが大切です。「継続は力なり」という言葉もあります。
3つ目のCは「create(クリエイト)」、創造です。クリエイトとは、新しいものを創り出すことです。自分の目標に向けた挑戦を継続することにより、新しい何かを創っていきましょう。それは、新たな発見かもしれませんし、新たなアイディアによって創り出される具体的なものかもしれません。また、挑戦という経験が自分自身の新たな発見につながるかもしれません。
そして、1つ目のEは「effort(エフォート)」、努力です。エフォートとは、目標を達成するために努力することです。目標に向かって、努力したことはきっと報われる時がきます。すぐに結果として表れなくても、努力を続けることが大切です。たとえ失敗したとしても、その失敗を教訓にして諦めずに努力することで人は成長します。無駄になる努力はありません。
2つ目のEは「enjoy(エンジョイ)」、楽しむです。エンジョイとは、喜びや満足感を得ることです。何事もそうですが、目標もなく何となくやっていることや嫌々やっていることは自分にとってプラスにはなりません。せっかくやるのなら、楽しむことが一番です。学習や部活動にしても学校行事にしても、自分から積極的に楽しんで取り組む姿勢が大切になります。
この「3つのC(挑戦・継続・創造)と2つのE(努力・楽しむ)」の関係が皆さんの生活の中でとても大事になってきます。「3つのCと2つのE」(挑戦・継続・創造する努力を楽しむこと)を意識することが、2学期の充実につながり、さらには、皆さんの目標の実現につながることを期待しています。
徳島県立城南高等学校長 佐山 哲雄
目標の実現
今日で1学期が終了しますが、この機会に4月からの学校生活を振り返ってみてください。1学期の学校生活を振り返ると、これまでの成果と課題が見えてくると思います。そして、成果と課題が見えてくると、目標が見えてくると思います。さらに、目標が見えてくると、現在地からゴールまでの道筋が見えてくると思います。
今日は、目標を実現できる可能性について、改めて考えてみます。自分の目標というのは「なりたい自分」であり、それに対して、現在の自分というのは「できる自分」であるといえます。そして、「なりたい自分」と「できる自分」の重なる部分(共通部分)が実現できる可能性になると思います。
まず、大切なことは「なりたい自分」をしっかりと定めることです。理想とする自分をはっきりと描くことです。目標が定まっていないと、目標の実現に向けて努力すべきことが定まらないので目標に近づくことはできません。
次に、大切なことは「できる自分」を見つめることです。現在の自分にどれだけの力があるのかを知ることです。今の自分にできることが分かっていないと、目標の実現にどれだけの努力が必要となるかも分かりません。
例えば、進路について考えてみた場合「なりたい自分」は進路目標になります。進路目標を定めるためには、世の中にどんな仕事があり、その仕事にどんな知識や技術が必要なのか、その仕事を通してどんな生き方があるのかを知る必要があります。進路を考えることは、どんな人生を送りたいのかを考えることになります。
将来の自分像「ライフデザイン」をイメージして、そのためにどの大学に進学すれば良いか、どの企業に就職すれば良いかなど、情報収集をしなくてはいけません。本校は、大学の先生や学生など、外部の方との出会いの場を教育活動に多く取り入れています。その出会いを通して「なりたい自分」の幅を広げていきましょう。
一方で、目標を実現するためには「なりたい自分」と「できる自分」の重なりを広げる必要があります。定めた目標に向かって自己を高める努力をしなければ、目標に近づくことは絶対にありません。万里一空の精神で打ち込むことが必要です。
日頃の学習を一つ一つ丁寧に重ねていくことで学力を向上させるとともに、学校行事や部活動に積極的に取り組むことで社会力や人間力を高めていきましょう。様々な活動を通して「できる自分」の枠を広げることは、「なりたい自分」との重なりを広げることにつながります。意識の持ちようによって人生は変わります。
明日から夏休みが始まります。2つの自分の重なりを広げる努力の積み重ねが、進路実現の可能性を高めることにつながります。「目標に向かって歩みを止めない」高校生活にするためにも、明日からの夏休みを有意義に過ごしてください。
徳島県立城南高等学校長 佐山 哲雄
時を守り、場を清め、礼を正す
新年度が始まりました。今日は、新年度スタートの特別な日です。昨年度の成果や反省を基に、皆さんはこれからどのような学校生活を送ろうと考えていますか。3年生は進路の決定に向けて全力で取り組んでもらいたいと思います。また、2年生は学校の中核となる学年としての活躍を期待しています。
以前にも話をしましたが、学校は社会に出るための準備の場であり、社会に出てから必要とされる資質や能力を身につける場になります。将来、皆さんも社会に出てからは、社会の一員として働くようになります。それでは、社会に出て働く上で大切なことは何だと思いますか。
それぞれの職業で必要となる知識や技術はもちろん大切ですが、企業も学校と同じように組織で動いています。社員が自分勝手に行動しているのではなく、規律ある行動をとっています。そして、お互いにコミュニケーションをとりながら分担して取り組んでいます。つまり、人間関係(信頼関係)が大切ということです。
今日は、新年度の始まりにあたって、「時を守り、場を清め、礼を正す」という言葉について話をします。この言葉は、教育学者の森信三先生が職場再建の3原則として提唱したものです。学校も職場と同じように多くの人が生活をしています。皆さんには、将来に向けて重要となる3つの行動を身につけて欲しいと思います。
「時を守り」とは、時間や期限を守るということです。時間を守ることは、相手の時間を大切にすることで、結果として相手を尊重することにつながり、そして、それにより自分の信用を積み重ねることにもつながります。予定の開始5分前に姿勢を正し、心を静め、開始を待つことができていますか。普段の行動を考えてみてください。朝の登校、チャイム着席、提出物の期限を守る・・・・等、時間ギリギリに行動することのないようにしてください。
「場を清め」とは、掃除や整理・整頓をすることです。その意味は「5K」で表されます。気づく人になれる、心を磨く、謙虚になれる、感動の心を育む、感謝の心が芽生える、ということです。足元のゴミに気づいて拾うことができていますか。拾えばきれいになるだけでなく、感動や感謝が生まれます。学校での自分の身の回りを見てください。掃除、ロッカーや机の中の整理・整頓を心掛けてください。
「礼を正す」とは、挨拶をすること、返事をすることです。挨拶をすることにより、相手に心を開くことができます。人より先に、誰に会っても、挨拶をすることです。そして、呼ばれたら「ハイ」と返事をすることです。人とのコミュニケーションは、挨拶や返事から始まります。気持ちの良い挨拶や返事をすれば人間関係がよくなります。挨拶や返事は、人間関係をつくる上で基本になると思います。
例えば、「時間ギリギリで余裕がない」「机の上が片づいていない」「呼ばれても返事をしない」などの行動は、相手に不信感を与えてしまうでしょう。自分の将来のために、すべての人が気持ちよく学校生活を送るために、より良い城南高校を造るために、今日から「時を守り、場を清め、礼を正す」を実践していきましょう。
徳島県立城南高等学校長 佐山 哲雄