学校長からのメッセージ

令和7年度 第1学期 始業式 式辞

2025年4月8日 11時09分 [校長]

時を守り、場を清め、礼を正す

 新年度が始まりました。今日は、新年度スタートの特別な日です。昨年度の成果や反省を基に、皆さんはこれからどのような学校生活を送ろうと考えていますか。3年生は進路の決定に向けて全力で取り組んでもらいたいと思います。また、2年生は学校の中核となる学年としての活躍を期待しています。

 以前にも話をしましたが、学校は社会に出るための準備の場であり、社会に出てから必要とされる資質や能力を身につける場になります。将来、皆さんも社会に出てからは、社会の一員として働くようになります。それでは、社会に出て働く上で大切なことは何だと思いますか。

 それぞれの職業で必要となる知識や技術はもちろん大切ですが、企業も学校と同じように組織で動いています。社員が自分勝手に行動しているのではなく、規律ある行動をとっています。そして、お互いにコミュニケーションをとりながら分担して取り組んでいます。つまり、人間関係(信頼関係)が大切ということです。

 今日は、新年度の始まりにあたって、「時を守り、場を清め、礼を正す」という言葉について話をします。この言葉は、教育学者の森信三先生が職場再建の3原則として提唱したものです。学校も職場と同じように多くの人が生活をしています。皆さんには、将来に向けて重要となる3つの行動を身につけて欲しいと思います。

 「時を守り」とは、時間や期限を守るということです。時間を守ることは、相手の時間を大切にすることで、結果として相手を尊重することにつながり、そして、それにより自分の信用を積み重ねることにもつながります。予定の開始5分前に姿勢を正し、心を静め、開始を待つことができていますか。普段の行動を考えてみてください。朝の登校、チャイム着席、提出物の期限を守る・・・・等、時間ギリギリに行動することのないようにしてください。

 「場を清め」とは、掃除や整理・整頓をすることです。その意味は「5K」で表されます。気づく人になれる、心を磨く、謙虚になれる、感動の心を育む、感謝の心が芽生える、ということです。足元のゴミに気づいて拾うことができていますか。拾えばきれいになるだけでなく、感動や感謝が生まれます。学校での自分の身の回りを見てください。掃除、ロッカーや机の中の整理・整頓を心掛けてください。

 「礼を正す」とは、挨拶をすること、返事をすることです。挨拶をすることにより、相手に心を開くことができます。人より先に、誰に会っても、挨拶をすることです。そして、呼ばれたら「ハイ」と返事をすることです。人とのコミュニケーションは、挨拶や返事から始まります。気持ちの良い挨拶や返事をすれば人間関係がよくなります。挨拶や返事は、人間関係をつくる上で基本になると思います。                              

 例えば、「時間ギリギリで余裕がない」「机の上が片づいていない」「呼ばれても返事をしない」などの行動は、相手に不信感を与えてしまうでしょう。自分の将来のために、すべての人が気持ちよく学校生活を送るために、より良い城南高校を造るために、今日から「時を守り、場を清め、礼を正す」を実践していきましょう。

                                        徳島県立城南高等学校長 佐山 哲雄

令和6年度 第3学期 終業式 式辞

2025年3月24日 14時30分 [佐山哲雄]

社会人基礎力

 3月も下旬になりました。本年度もあとわずかです。4月からの1年間を振り返る時期であると同時に、新年度に向けて新たな目標を掲げる時期にもなります。したがって、1年間の中で最も大切な時期になるので、皆さんには、年度の区切りとなる春休みの一日一日を大切に過ごしてもらいたいと思います。

 さて、自分が希望している進路の実現に向けた取組は進んでいますか。生徒の皆さんは、将来、何らかの職業に就くことになります。また、職場だけでなく、地域社会の一員としても多様な人々と関わっていくことになります。

 そこで、生徒の皆さんは、「社会人基礎力」という言葉を聞いたことがありますか。「社会人基礎力」とは、職場や地域社会で多様な人々と関わり合いながら、活躍し続けるために必要とされる基礎的な力であるといわれています。職場や地域社会で必要とされる「社会人基礎力」は、3つの能力と12の能力要素から構成されています。今日は、「社会人基礎力」の柱となる3つの能力について紹介します。

 1つめは、「前に踏み出す力(アクション)」です。これは、「一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力」のことです。実社会では、正解が1つに定まっているというケースは少ないです。また、正解がない課題もあります。試行錯誤しながら、自ら行動していくことが必要となります。失敗したとしても、他者と協力しながら、粘り強く取り組む力を身につけることが大切です。

 2つめは、「考え抜く力(シンキング)」です。これは、「疑問を持ち、自ら深く考える力」のことです。批判的思考(クリティカルシンキング)ともいわれています。物事を改善していくためには、常に問題意識を持ち、課題を発見することが必要となります。その上で、課題を解決するための方法やプロセスについて、十分納得いくまで考える自律的な思考力を身につけることが大切です。

 3つめは、「チームで働く力(チームワーク)」です。これは、「多様な人々とともに、目標に向けて協力する力」のことです。職場や地域社会などでは、仕事の専門化や細分化が進んでおり、組織として何かを成し遂げるためには、多様な人々との協働が必要となります。自分の意見を的確に伝え、意見や立場の異なるメンバーも尊重した上で、目標に向けてともに協力する力を身につけることが大切です。

 それでは、3つの能力を身につけるにはどうすればよいでしょうか。まずは、世の中の出来事を「自分事」として捉えてみましょう。次に、「自分事」として捉えた出来事の解決策を一生懸命考えてみましょう。しかし、解決策が思い浮かばないこともあります。また、他にもっとよい解決策があるかもしれません。その時こそ、解決に向けて様々な人の協力を得るのです。

 生徒の皆さんが、学校生活を通して「社会人基礎力」である3つの能力「アクション、シンキング、チームワーク」を身につけ、将来、社会で活躍する人材となることを期待しています。新年度に向けて頑張ってください。

                                        徳島県立城南高等学校長 佐山 哲雄

令和6年度 第3学期 始業式 式辞

2025年1月8日 00時00分 [管理者]

努力しても損はしない

 今日から3学期が始まりました。2学期の終業式で「3学期は1年間の総決算、3年生にとっては高校生活の総決算」という話をしましたが、3学期は総決算であるとともに、新年度に向けての準備期間にもなります。年度の節目となる時期ですので、一日一日を大切に過ごしてください。

 さて、皆さんは、これまで入学試験や定期考査など、様々な試験を受けてきたと思います。また、部活動においても大会やコンクールなど、様々な試合に出てきたと思います。これまでも試験や試合などで結果を出すために努力をしてきたと思いますが、改めて努力することの大切さについて考えてみましょう。

〇努力して結果が出ると、自信になる。
 努力して結果が出ると、それまでの取組が成功体験となり、自分の能力や行動を信じることにつながります。努力するモチベーションにもなります。

〇努力せず結果が出ると、傲り(おごり)になる。
 努力しなかったのに偶然にも結果が出ると、自分は優れていると勘違いして油断することにつながります。課題を軽く見るので努力しなくなります。

〇努力せず結果も出ないと、後悔が残る。
 努力していないので結果が出ないことは、よくあることです。努力しなければ結果は出ません。努力しておけばよかったと後で悔やむことになります。

〇努力して結果が出ないとしても、経験が残る。
 努力した結果が出なかったとしても、次のチャレンジにつながる経験が残ります。失敗した経験が、成功に到達するための重要なヒントになります。

 努力すれば結果が出ることが多くなり、出た結果が次の努力につながります。努力と成功がつながっていく好循環になります。努力しないで運よく結果が出ても、傲り(おごり)になり、努力しなくなるのでやがて結果も出なくなります。怠惰と失敗がつながっていく悪循環になります。

 結果を出すためには、努力が必要です。しかし、仮に結果が出なくても、努力すれば一生懸命に取り組んだ経験が残ります。そして、その経験から知恵や新たな発想が生まれて、次のチャレンジで成功する可能性が高まります。

 皆さんは、これからも試験や試合などを数多く経験することになります。また、社会に出て働き始めても、自分の力が試される機会に多く出会うと思います。その時、立ち向かって努力をするか、避けて努力をしないかの選択をすることになりますが、皆さんはどちらを選択しますか。

 努力しても結果が自分の思いどおりにならないこともあります。しかし、経験は残るので、「努力しても損はしない」と思います。最後まで諦めずに努力を続ける3学期としてください。

徳島県立城南高等学校長 佐山 哲雄

令和6年度 第2学期 終業式 式辞

2024年12月23日 00時00分 [管理者]

取り組む姿勢や心掛け

 1年間の学校生活において、最も長い2学期も今日で終えようとしています。そして、今年も残りわずかです。これまで自分が取り組んできたことを振り返ってみてください。教科等の学習、学校行事、部活動など、精一杯取り組んできましたか。

 学校生活に限らず、日々の生活の中でも、物事に取り組む姿勢や心掛けによって、その後の状況が大きく変わってしまうことがあります。このことに関連した言葉があります。それは、「一生懸命だと知恵が出る。中途半端だと愚痴が出る。いい加減だと言い訳が出る。」という言葉です。

 一生懸命な取組を心掛けると、物事を多面的に見たり、先を見通して行動したりするようになります。その結果、視野や考え方が広がり、知恵や新たな発想が生まれて、成功する可能性が高まるようになります。また、成功することで、主体性や自己肯定感の向上にもつながります。

 一方で、中途半端な取組では上手くいかないことが多くなります。こういう時は得てして、愚痴や不満が出るようになります。その結果、物事がなかなか進まなくなります。また、主体性が失われてしまうので、他人の行動や考えに依存したり、誰かの指示を待ったりするようになります。

 さらに、いい加減な取組となってくると、失敗につながってしまうのは当然ですが、そのいい加減さが故に、その失敗にさえもきちんと向き合わなくなってしまいます。つまり、言い訳をすることで、失敗の原因を他人に転嫁したり、問題そのものから逃避したりするようになります。

 また、「努力する人は夢を語り、怠ける人は不満を語る。」という言葉もあります。これからの学習や部活動にどう向き合っていくか、そして、夢を語るようになるか不満を語るようになるかは、皆さんの決断と努力次第です。自分自身の将来を見据えて「これからどう生きるか」を考えてください。

 努力することの本当の意味は、努力することを通して自分をしっかりと見つめ、自分の持っている能力をたくさん見つけ、見つけた能力を最大限発揮させられるかにあると思います。

 3学期は1年間の総決算になります。そのためにも、この冬休みでこれまでの自分を振り返り、さらに伸ばすことや改善することを見つけて、次の飛躍につなげてください。特に、3年生にとって3学期は高校生活の総決算にもなります。また、大学入学共通テストも控えています。ぜひ気持ちも新たに新年を迎えてください。

徳島県立城南高等学校長 佐山 哲雄

令和6年度 第2学期 始業式 式辞

2024年8月28日 00時00分 [管理者]

                    社会に出て成功する7つの条件
 
 今日から2学期が始まりました。1学期の終業式で「心をマネジメントすること」について話をしましたが、有意義な夏休みとすることができたでしょうか。悔いの残る夏休みだった人も、新たな気持ちで2学期をスタートさせてください。

 さて、社会では、様々な分野で活躍して成功している人が多くいます。以前、企業に長く勤めていた方から、社会に出て成功している人の条件について、話を聞いたことがあります。その方の話では、成功している人の条件は7つあるそうです。

1 ゆるぎない強い志(思い)を持っていること
  自分自身の中に、掲げた夢や目標を実現するという「強い思い」がなければ、夢や目標の実現に近づくことはできません。

2 夢や目標の実現に向かって努力を続けること
  大学に入りたいとか、技術者になりたいとか思うだけでなく、夢や目標の実現に向かって「毎日努力する」ことが必要です。

3 常に反省(振り返り)をすること
  取り組んだことがうまくいかなかったり、周囲の人に迷惑をかけたりしたときは、自分自身を「振り返る」ことが大切です。

4 変化や区切りをチャンスと考えること
  新学期や新年度になったときなどを、「絶好のチャンス」と考えて生活を見直すことが、新たなスタートの第一歩になります。

5 相手の立場に立って行動すること
  自分と異なる考え方や意見を持つ人に対しても、耳を傾けて「一緒に考える」ことで、自分の考え方や視野が広がります。

6 感謝する気持ちを持っていること
  周囲の人が支えてくれていることへの「気づきと感謝の気持ち」が、自信につながり、毎日努力するエネルギーになります。

7 平凡なことをやり続けること
  周囲の人と関わる中で大切なことは、挨拶をする、約束を守る、遅刻をしないなど、当たり前のことを「続ける」ことです。

 社会に出て成功する条件と言いましたが、この条件は学校においても大切なことです。さらに、実際に社会に出て働き始めるといろいろな問題にぶつかることもあります。問題を解決するには工夫を生み出すための知恵が必要になります。
 
 学校は、社会に出るための準備の場になります。今日から7つの条件を心掛けながら、幅広く知識を習得して知恵を出すことができるように学びを深めてください。そして、有意義な2学期となることを期待しています。

徳島県立城南高等学校長 佐山 哲雄