地学室の標本と野外活動のススメ
理科の準備室には多くの機械や器具、書籍やDVDなどの資料、薬品や標本などが保管されています。
計画的に購入したり片付けたりしていますが、古くなって使用に耐えられない物は適正に処分しています。
また、自分たちで個々に収集することもあります。
地学準備室及び地学実習室には、岩石・鉱物・化石などの標本が数多く展示されています。旧校舎から引き継がれた物
が多く、大部分は購入品ですが歴代の地学の教員や生徒たちが集めてきた物もあります。産地を見てみると、北海道の
夕張や新潟の間瀬(まぜ)、関東の箱根や三宅島、富士山、九州の霧島や桜島まで行ってきたことがわかります。
変成岩や火山岩が多く、石の隙間に沸石(ふっせき)という鉱物が含まれていたり、水晶や柘榴(ざくろ)石も
見られます。
また、地元産の鉱物や化石も多数保存されています。徳島県内には有名な化石産地があります。勝浦町立川のシダ植物
や上勝町正木のトリゴニア、鳴門から上板にかけて走る和泉層群のアンモナイトなどです。特に、阿南や木沢の石灰岩層
から産出したフズリナやウミユリの化石が多かったです。鉱物については四国内がほとんどで、愛媛県の関川や銅山川、
高知県の室戸岬や大川村、香川県の津田や金山、そして徳島県の眉山や高越山などが見られました。柘榴石やかんらん石、
アクチノライトやルチル、紅レン石など地元を代表する鉱物が多く、個人で採集した物を興味関心のある生徒に配布する
こともあります。
最近の生徒は野外活動の経験が乏しく、フィールドワークのノウハウを知らない人が増えました。生物の生態や地域の
地質調査などの学術調査は、学問の進展にとり必要な活動であり、文献やネットだけでは決して理解できません。例えば、
命を守る防災活動については、崩れやすい地形や地質、噴火や津波による被害の予測などは現地を直接見てみないと
わからないことが多いです。もちろん地学の知識も必要です。
今回の整理により標本箱がいくつか空きました。今後は県内を中心にまだ所蔵していない石の産地を巡りたいと
思います。また、野外活動であれば3密状態をある程度防ぐことができます。自然の事物の観察や採集をしながら、
皆さんもフィールドワークの経験を積んでみませんか。