第75回徳島県高等学校野球春季大会 準決勝

4月2日(土)、むつみスタジアム(蔵本球場)で第75回徳島県高等学校野球春季大会の準決勝が行われました。

32年ぶりの決勝進出を目指し、徳島商業高校と対戦しました。

 

バッテリー (城南)木内-大西  (徳島商業)森 煌,中原-森口 涼
▽三塁打 (城南)西川 壮
▽二塁打 (徳島商業)中原

両校のプライドをかけた激闘!!

令和の「徳島の早慶戦」

 徳島市のランドマークである眉山のふもとに位置し、周囲を美しい満開の桜に囲まれたむつみスタジアム。

徳島インディゴソックスのホームグラウンドとして使用されていますが、この度両翼が91メートルから100メートルに拡張されるなど大規模なリニューアル工事が行われたことにより、今大会の準決勝、決勝の舞台として久しぶりに高校野球の公式戦で使用されることとなりました。

戦前の中等学校野球時代には、本校の前身である旧制徳島中学校と徳島商業学校の試合は「徳島の早慶戦」と呼ばれる人気カードでした。時代は令和になりましたが、かつてメイングラウンドであった西の丸運動場と同じ徳島市にあるむつみスタジアムで、この伝統を組む二校がリニューアルのこけら落としとなるカードを戦うことは、非常に感慨深いものがあります。この日、城南高校側応援席には他の部活動の生徒や先生方、OB、保護者といった関係者や野球ファンなどたくさんの観客が駆け付け、球場はかつて県民の人気を二分した名勝負を彷彿とさせる熱気に包まれました。

試合は1回裏、徳島商業の1番打者に左翼線への二塁打を許し、続く2番打者、3番打者は四球、安打で出塁し無死満塁のピンチを迎えます。ここで4番打者を遊ゴロに打ち取り併殺打とし、その間に三塁走者がホームイン。今大会で初めて、相手に先制点を取られました。下手をすれば大量失点して勝負が決まってしまいそうな場面でしたが後続を断ち切り、最少失点に抑えました。その後は両チームとも投手の好投と攻守により膠着状態が続き、城南も5回に8番上原が中前に安打を放つまで無安打に封じられました。

息詰まる投手戦が展開される中、どうか好投するエース木内を全員で援護したい。7回表、城南は6番炭谷が内野安打で出塁、大村のバントで二塁に進めると、チーム初安打を打った上原の打球はこの回から守備で入った遊撃手の失策を誘い同点に追いつきました。その後、さらに失策が重なり一死一・二塁とし、さらに追加点を奪いたい局面でしたが、ここは併殺打に打ち取られ、同点止まりで攻撃を終えました。

7回裏、徳島商業二死一・三塁の場面。7回表から遊撃手として出場している7番打者にエンドランを決められ、右前安打の間に三塁走者がホームインし再度勝ち越しを許しました。

しかし、やられたらやり返すのが城南の流儀。すぐに反撃を展開しました。

8回表、先頭の2番西川壮が、改修工事で広がった左中間を深々と破る速い打球を放ち、三塁打で出塁しました。ここで徳島商業は先発の森投手が降板し、エース中原投手が登板しました。城南はクリーンナップにつながりますが、3番、4番が凡退した後、5番神戸がカウント3-2から中前へのタイムリー安打を打ち、再度、同点に追いつきました。

その後は両チームとも得点機に恵まれず、走者を出しても粘り強く守り切り、試合は延長戦に突入しました。

城南は9回以降、無安打に抑えられましたが、エース木内の力投でねじ伏せた打球を野手陣はしっかり守り抜き、要所を締め、延長12回を迎えました。

13回は1番坂東からの攻撃という好打順になるため、タイブレークに持ち込めば勝機はある。この3アウトをしっかり取ろう、と守備に就いた12回裏。一死から6番打者に安打を許し、犠打で二死二塁。ここで8番打者を申告敬遠で歩かせ、9番打者との勝負を選択。カウント1-2と追い込み、あと1球という局面で投じた木内の150球目を中前にはじき返され、2対3でサヨナラ負け。優勝した1990(平成2)年以来、32年ぶりの決勝進出を惜しくも逃しました。

「感動を与える試合をしよう」というテーマを持って戦ったこの試合。間違いなく、そのテーマは達成しました。この大会を通じ、部員たちが大きく成長したことは間違いありません。悔しいのは、勝てなかったという結果です。あと一歩というところまで勝ち上がったからこそ体験した悔しさは、必ず夏につながります。ここまで選手10名で戦ってきましたが、春休みから新入生も練習に参加しており、夏に向けてチーム内での競争も激化します。その競争を勝ち抜くことで自信を持ち、より本番での実力発揮につながるものと考えられます。

翌日に行われた決勝では、徳島商業高校が阿南光高校に勝ち、優勝しました。

私たちの照準はもう、夏に向いています。ベスト4まで勝ち上がった自信と、決勝まで勝ち上がれなかった悔しさの両方を原動力に、夏の選手権では決勝進出、そしてその先に夏の甲子園初出場とつながるよう、ここからの取り組みに後悔を残さないことが大切です。

今大会で勝ち上がるごとに、球場や学校周辺でたくさんの方から声をかけられる機会が増えました。その中で、少年から年配の方に至るまで「甲子園で城南が見たいなあ」という言葉に大きなエネルギーを感じました。このように県民の皆様から応援していただけるチームに成長したことを誇りに思い、今後より成長することによってその期待に応える姿が見られることを信じています。

改めて、皆様、応援ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

《文責》尾形