応用数理科3年 高大連携講座 (徳島文理大学薬学部)
細胞の抗体を用いた染色 ―インフルエンザ感染細胞を染めて見てみよう―
徳島文理大学薬学部教授 葛原 隆 先生 と 生化学教室のみなさん
6/20(火)午後,応用数理科3年生のうち,受講を希望した10名の生徒が標記の講座に参加しました。講座の概要説明と,お世話くださるスタッフの皆さんに自己紹介をしていただいた後,実験室へ移動して4つの班に分かれ,各班で操作を進めていきました。
生物は,体内に侵入した病原体や毒素などを異物として認識し,これを排除しようとするはたらきが備わっています。これが,「免疫」とよばれる生体防御機構の一つです。この機構がはたらく過程で,異物側の「抗原」と侵入された側の「抗体」とよばれる物質が結合する「抗原抗体反応」がおこり,その結果,病原体などから体が守られるしくみとなっています。
今回の実験では,すでにインフルエンザウイルスに感染させた後,さらに抗体で処理した細胞を用いました。ウイルスに感染している細胞は,その抗原によって抗体が結合しています。そして,この抗体には「蛍光標識」という仕掛けが施されています。この抗体で処理した細胞をDAPIという蛍光色素で染色して,蛍光顕微鏡という特別な機器で観察します。すると,顕微鏡のモニター画面に青色と緑色に光った部分が確認できます。それぞれ,青色の箇所は細胞の核,緑色の箇所は先に処理した抗体の存在を意味しています。すなわち,この観察方法によって,青色と緑色が重なっている領域が,ウイルスに感染した細胞であることが分かるのです。
ウイルスはとても小さく,光学レンズでは観察は不可能です。この方法は,光学機器で細胞に感染したウイルスの存在が確認できるように工夫した実験技術の一つです。マイクロピペットを用いるのに苦戦した生徒もいましたが,自分たちが染色した細胞を無事観察でき,結果をプリントアウトしていただきました。
講座の最後に,徳島文理大学薬学部について案内をしていただきました。薬剤師国家試験の合格状況や特待生制度のことなど,短い時間でわかりやすくまとめていただきました。葛原先生をはじめ,生化学教室のみなさんには,この講座のために,貴重なお時間をいただきまして,誠にありがとうございました。
お礼の言葉とともに,城南高校のSSH事業に対しまして,今後もますますのご支援,ご協力賜りますよう,どうぞよろしくお願いいたします