令和7年度 第3学期 終業式 式辞
2026年3月24日 11時47分 [校長]これからの時代
3月も下旬になりました。本年度もあとわずかです。4月からの1年間を振り返る時期であると同時に、新年度に向けて新たな目標を掲げる時期にもなります。したがって、1年間の中で最も大切な時期になるので、皆さんには、年度の区切りとなる春休みの一日一日を大切に過ごしてもらいたいと思います。
さて、変化が激しい現代は、予測が困難な時代であり、VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代と称されています。このVUCAの時代には、解決が難しい様々な困難が待ち受けています。今日は、VUCAと称される「これからの時代」に求められていることをテーマとして話をします。
イギリスのオックスフォード大学のマイケル・オズボーン教授は、10年以上も前の2013年に『雇用の未来』と題する論文で「AI(人工知能)が雇用や生活に与える影響は大きい。2030年までにアメリカの雇用の47%が自動化する。」と言及しています。現在、AIが生活や産業などに及ぼす影響は日々大きくなっています。このことを受けて、以前に掲載されていた「日本経済新聞」の記事から話をします。
記事では、「変化を嫌って、避けてきた日本の学校教育は世界の潮流から取り残されている。型にはめてしまい、物事に必ず一つの『正解』があると考え、それを効率的に得ることを重視する『正解主義』の教育が影響している。」
「日本を含む受験競争が激しい中国や韓国などの東南アジアの国々は、4分の3以上の若者が『失敗を恐れる』という調査結果がある。この数値は、アメリカやイギリスなどの欧米諸国の若者に比べて多くなっている。」と書かれています。
皆さんは、どうですか。「間違うこと」は恥ずかしいことですか。「失敗すること」が心配で何かをすることに躊躇しますか。また、「新しいこと」に挑戦することは苦手ですか。無意識のうちに「正解主義」に陥っていませんか。
もう一つに「同調圧力」があると言われています。皆さんは、周りから取り残されずに多数派にいること、皆と同じであることに強く意識が働くことがありますか。また、人と違うことに不安を覚えることがありますか。確かに「正解を追い求めること」は追求する力として大切なことです。また、「皆と合わせること」は協調性として間違いではありません。
しかし、変化の激しい今日においては唯一絶対の「正解」はありません。これまでと同じやり方では通用しません。そうした中で「正解主義」や「同調圧力」に囚われていては、新しい価値創造やイノベーション創出が阻害されてしまいます。
多くの仕事がAIに代替されて、仕事内容が変化するこれからの時代においては、皆で知恵を出し合っての「最適解」が求められます。資源の少ない日本が世界に存在感を示すには価値を創造し、イノベーションを起こしていく必要があります。時代や社会の変化に対応するには、発想の転換が必要だと思います。
東京大学の畑村 洋太郎 名誉教授は「価値創造につながる失敗は『良い失敗』だ。その欠如が日本の行き詰まりの根底だ」と述べています。また、サッカーの岡田 武史 元日本代表監督は「高校時代は自ら考えて挑戦することが大切」だと言っています。挑戦しなければ失敗しないかもしれないが、成長もしないと思います。
これからの時代は、AIにできないことが求められます。それは、新しい価値創造やイノベーションの創出になります。間違うことや失敗を恐れずに、人と違うことこそを大事にすることです。自分の殻を破り、新たなことに挑戦して、これからの新しい時代を生きていく力を身につけていってください。
徳島県立城南高等学校長 佐山 哲雄