令和6年度活動内容
第1回電子顕微鏡操作実技研修に参加して
7月15日(月・祝)に、神戸市立工業高等専門学校のご厚意で実施しました。生徒4名と教員2名が参加しました。
走査型電子顕微鏡(SEM)は大変高価な機器であり、高校生が手軽に扱える機会はまずありません。しかし、今日はそれに触れて実際に元素分析できるので、軽い緊張感の中で実習を行いました。まず、電子顕微鏡を起動して真空ポンプを稼働させ試料室内を真空にします。そして、上部のフィラメントから電子線を試料に照射して、表面から飛び出した二次電子を検出器で読み取ります。このデータをPC上で加工して使える状態にするのです。
今回は、地元の眉山で採取した金属のような黒色物質と、岐阜県根尾谷の菊花石をライン分析しました。画面上のラインに沿って電子線が当たると、そこに含まれていた元素が判明します。定量分析を行えば組成式を求めることもできます。最初は四苦八苦していましたがすぐに慣れてきて、分析も半ばを過ぎる頃には手回し良く準備・分析・保存ができるようになりました。
貴重な体験をさせていただきましてありがとうございました。
Science Introduction(SI)【実験の設定(温泉卵をつくろう)】
7月12日(金)5限目のScience Introduction(SI)では「実験の設定(温泉卵をつくろう)」を実施しました。本校応用数理科1年生では自由研究を宿題としてます。自由研究において実験を計画する際、変数(独立変数)を決めその値の設定し、結果(従属変数)がでるという考え方を知っておくことが大切です。実験おける大切な考え方を育成し、論理的に実験の計画が立てられるように、この授業を計画しました。
授業ではまず温泉卵の定義と、変数(独立変数)とその値並びに結果(従属変数)について説明しました。その後、変数(独立変数)を温度と加熱時間とし、班内で話し合い、温泉卵を作るための値を決めました。クラス内のすべてのデータを集め、温泉卵ができる条件を考察することとしました。その場合、複数種存在する卵の種類はどうすればいいかや加熱する際の水の量、またどれくらい水につけるかなど、制限変数についても考える機会としました。
結果は、短い時間で80℃以上に設定した班は白身だけ固まり、60℃~80℃に10分程度設定した場合、白身と黄身がやや固まる状態になっていました。50℃以下に設定した場合は時間に関わらず、白身も黄身も固まっていません。このデータを受けて、温泉卵を作るにはどのようにすればいいか実験の計画を立てることを宿題としました。実験データを分析し、創造力を持って新たな実験の計画を立ててほしいと思います。
応用数理科308HR ScienceEnglishⅢ(making ice cream)
7月10日(水)応用数理科308HR ScienceEnglishⅢの授業で全員が英語論文を提出できたお祝いとして、Science experiment【Making ice cream】を行いました。まず今回のテーマである【Heat of solution:溶解熱(吸熱反応)】と【Freezing point:凝固点】について説明した後、【Recipe:レシピ】について説明、【Milk:牛乳】と 【Fresh cream:生クリーム】の量の調整は、調整できるようにしました。さて、食べてみると、とっても美味しい。作り立てのアイスクリームは優しい味でした。アメリカではアイスクリームマシンがあり、お家で作るそうです。少し量が多かったかなと思いましたが、全員完食しました。
また、本日は、ALTであるParker先生最後の授業でした。3年間の城南高校の勤務を終え、アメリカに帰られます。308HRは入学時からお世話になりました。308HRの生徒たちから感謝の気持ちをこめ、花と色紙のプレゼントをしました。Parker先生から「失敗を恐れず世界へチャレンジしてほしいと」のメッセージをいただきました。卒業後留学希望の生徒もいて、ぜひパーカー先生のメッセージを受けて、国際的に活躍できるグローバル人材へと成長してほしいと思います。
Recipe:レシピを説明し、アイスを作ります Parker先生お世話になりました
Travis先生も加わってくれ、Experimentの実施です
応用数理科107HR 高大連携授業【徳島大学pLEDフォトニクス研究所】
6月28日(水)6、7限目に応用数理科107HRにおいて、徳島大学pLEDフォトニクス研究所から、片山哲郎先生をお招きして高大連携授業を実施しました。
最初は研究者になった経緯と現在の研究、そのやりがいについて自己紹介と合わせて、説明していただきました。大学4年生での卒研では分光装置を作る研究を行ったそうですが、あまり教えてくれず、自分で論文を読み推論し、作成したそうです。その経験から「勉強は暗記だけではなく、経験や考察も勉強である」とおっしゃっていました。また、ずっと信号が見えなかった分光装置で初めて信号が見えたとき、「推論が正しいことを知り鳥肌が立つくらいの喜び」を得たそうです。今でも年に数回あるこの体験が研究者の喜びであるとおっしゃっていました。
ご自身が行っている研究は「新しい発想からの分子のふるまいを見る装置の開発」だそうです。現在は分子のふるまいを見るために、過渡吸収スペクトル測定法が用いられており、最初に光を当て分子を励起状態にし、次の光の反射率を時間経過ごとに見ることで、光が当たった後、どのように分子が変化していくかを見る方法が一般的です。片山先生は「ファーストペンギンになれ」との言葉に感銘を受け、現在の「光や電子パルスを用いた反応トリガーが超高速化学反応計測には必要という常識」を破壊し、新規高速反応計測装置の開発を目指す研究をしておられます。こちらの装置開発が成功すると、ノーベル賞は間違いないとのことを聞き、生徒たちはすごい研究であることに驚いていました。研究については、難しい内容ですが、研究内容について休憩時間に積極的に質問に行く生徒たちが多くみられました。生徒たちの主体的に学ぶ姿勢に感動しました。
研究の面白さやご自身の研究についての説明 休憩時間に積極的に質問を行っていました
休憩をはさんで、実験を行いました。ケミルミネッセンスを用いた光の実験です。造花に溶液をかけ、その後反応液を掛けることで化学反応が起き、そのエネルギーが蛍光色素に移動して光る現象です。様々な色に光る造花を見て、生徒たちは「励起状態」や「化学反応」と「光」の関係について、興味を惹かれているようでした。
現在、活躍されている研究者の考え方や研究の面白さを知ることで、研究に対する理解を深めると共に、実際に体験する実験等で科学に対する興味関心を伸ばしてほしいです。高大連携授業で感じることは、最前線で活躍されている方のお話は面白く、迫力があります。生徒たちが本物と出会う機会をより提供し、多くのことを学ぶ機会を提供していきたいです。
造花に溶液をかけておきます 反応液を掛けると、鮮やかに光ります
こちらの班では青色に光っています 興味を持って話を聞いていました
海外研修説明会について
7月5日(金)18:00~海外研修説明会を実施しました。40名弱の生徒及びその保護者が参加しました。現在、JSTに海外研修計画を提出しており、認められると実施することとなります。昨年度より、海外研修の研修先を改め、日本から近く移動時間と費用が抑えられ、豊かな自然や固有の歴史・文化があり、半導体やICT分野などで優れた技術力を持つ台湾を研修先と選定しています。現在、継続した国立竹南高級中学との交流を行っており、今年度も国立竹南高級中学を訪問し、課題研究や探究活動の英語発表や英語での理科実験教室を行う予定です。
説明会では、海外研修で得られる効果や目的を説明し、昨年度研修の内容やアンケート結果を説明しました。今年度は、昨年度の取り組みを継続しつつ、よりよい研修になるよう計画したいと思います。
応用数理科207HR ScienceEnglishⅡ「Water balloon drop」の実施
7月10日(水)5限目 207HR ScienceEnglishⅡの授業で「water balloon drop」を実施しました。ALTであるパーカ―先生とトラビス先生、それと理科教員が中心に授業を計画しました。授業では、グループで持っている25$で7種類のmaterial(材料)を購入し、water balloon(水風船)を2階から落とした際、割れない構造物を作ることが目的です。
まずは、key word:Air resistance、Shock absorption、Action and reaction force 、Ground contact area について説明し、どのFactorを増やす(もしくは減らす)ことを目的にするのか明確にしてから、構造物のデザインをしました。構造物のデザインは、25$で買うものを考えながら進めていきます。
実際に落とす前に、どのFactorを増やす(減らす)ために、どのようなデザインにしたのか発表しました。英語で発表した後、体育館への通路から落としました。昨年度は、water balloonに水を多く入れ、ほとんどの班が失敗でしたため、今年度は水を少なくした結果、ほとんどの班で成功しました。最後は、ALTが投げたwater balloonを割らずにキャッチできるか挑戦しましたが、すべての生徒で失敗しました。非常に楽しい実験授業で、大盛り上がりの一時間でした。授業でのワークシートを載せておきます。
$25で買う7種類のmaterial(材料)の説明です 実際に作ります Let's Drop
応用数理科2年生(207HR)課題研究中間発表Ⅰ
6月26日(水)13:00~化学室にて、応用数理科2年生が「理数探究」で実施している課題研究の中間発表Ⅰがありました。第一回目の発表であり、かつ修学旅行から帰ってきてからすぐの発表ということで、発表準備に苦労していました。代休日である前日に学校に来てまとめをしている班が多くあり、結果のまとめや考察について、担当教員と一緒に考え、発表スライド・発表原稿を作成していました。
当日の発表では、まだ研究計画の段階の班もあり、検証実験はまだまだですが、それぞれテーマ決定への着眼点は面白く、動機や目的には興味を惹かれるものが非常に多かったです。また当日は運営指導委員会も合わせて行われ、大学の先生や企業の方々に参観していただきました。本校教員や大学の先生、企業の方々からの鋭い質問に対し、自分たちの考えをまとめ一生懸命に答えていました。まだまだ、発表に自信がなく、まとめや考察に関しても十分ではないですが、発表会を経験してくことで、自信を持って発表や質疑応答が行えるようになります。課題研究における一連の経験で論理的思考力が育成され、問題解決能力、プレゼンテーション能力、実験計画能力やコミュニケーション能力が向上されると考えます。我々教員も一生懸命サポートします。ぜひ、応用数理科での経験から科学技術人材としての資質能力を身に付けてください。
今年度の研究班は11班で、発表テーマは以下の通りです。
物理分野:長距離での糸電話、摩擦によるドミノの転倒速度の違い、グラスハープの規則性
化学分野:廃棄される柚香の再利用、クロスカップリング反応を用いた化合物の合成
生物分野:オオカナダモの紅葉条件、柚香非可食部での和紙作りとその効果の検証、アオサノリの陸上養殖に適した条件の検証、枯草菌における芽胞形成と温度条件について
地学:徳島市における夜空マップの作成、耐震構造による家屋の揺れの違い
応用数理科Advanced Science 生命科学
6月25日(火)Advanced Science 生命科学分野を実施しました。今回のテーマは、「金属イオンがゾウリムシの繊毛運動に与える影響」です。慶応義塾大学の実験を参考にさせていただきました。
すべての真核生物の繊毛は、中心に2本の微小管とその周囲に9本の二連微小管から形成されています。この二連微小管に結合するダイニンがATPを分解し、隣り合う二連微小管上を滑ることで繊毛が動きます。繊毛の動きは、ダイニンのATP解酵素活性と深く関係しており、この酵素は、Mg2+(マグネシウムイオン)やCa2+(カルシウムイオン)で活性化され、Ni2+(ニッケルイオン)で阻害されます。Ni2+により停止した繊毛運動が、他の金属イオンを用いることで回復するかどうか遊泳行動を観察して調べることで、各種金属イオンの繊毛運動に与える効果を考察することを目的としました。
実験では、まず100 mMのNiSO4水溶液を作成し、それを希釈することで0.5 mM、0.3 mM、0.1 mM、0.02 mMのNiSO4水溶液を作成しました。次にマイクロピペッターでゾウリムシ懸濁液を75μLを時計皿に取り、実体顕微鏡で観察し動きを確認しました。その後、0.02mMのNiSO4水溶液を75μLを加え、3分間は連続で観察をおこない、その後は、3分おきに12分まで観察しました。遊泳速度や泳ぎ方の変化に注意して観察すると共にゾウリムシの半数が遊泳を停止した時間を記録できるようにしました。また、0.1 mM、0.3 mM、0.5 mMの濃度のNiSO4水溶液で同じ操作を行い、観察を行いました。
結果は、0.02 mMでは、動きがゆっくりになり、0.1 mMではくるくる回る本来の動きがなくなり、同じところを行ったり来たりする動きになり、0.3 mMや0.5 mMでは、3分でほとんどの個体が動かなくなりました。
Ni2+(ニッケルイオン)の濃度により、動きの変化や時間により動かなくなっていくゾウリムシを観察し、顕微鏡を見ながら「動かなくなった」「動きが変わった」と声を発するほど、生徒たちは興味を惹かれていました。
次に、ゾウリムシ懸濁液75μLを時計皿に取り、0.2mM NiSO4を75μLを加え、すべてのゾウリムシの動きを止め、100mMのCaCl2、MgCl2、BaCl2、並びに蒸留水を75μL加え、3分までは連続観察し、その後は、6分後、10分後の様子を観察・記録し、動いていたゾウリムシの割合を記入しました。
結果は、Ca2+(カルシウムイオン)では、6分後には動きが活発になり、10分後には本来の動きに戻る場合が多く、 Mg2+(マグネシウムイオン)では動きは回復するんものの、10分後に本来の動きになる個体は半分程度でした。Ba2+(バリウムイオン)では、やや回復するものの動きが戻った個体は20%~30%でした。
金属イオンにより動きの回復がみられるものの、金属イオンの種類により回復の様子が異なっており、生徒たちは金属イオンの影響を非常に面白く感じていました。
この実験は動きの違いや時間による変化が見られ、生徒の興味関心を惹くことができ、金属イオンが代謝に与える影響についての導入実験になると感じました。今後、他の原生生物で実験を行うなど新たな教材開発に挑戦してみたいです。
ゾウリムシについて説明しています マイクロピペットを扱います ゾウリムシの動きがよく分かります
応用数理科Advanced Science 高大連携授業 生命科学
6月18日(火)Advanced Science 高大連携授業 生命科学分野として、先週に引き続き徳島大学教養教育院 教授 渡部 稔 先生の所へ訪問させていただきました。本日のテーマは「電気泳動にてお米のDNA断片を分析しよう」です。先週PCR法にて増幅したDNA断片を本日は電気泳動にてDNA断片の長さに応じて分離し、分析します。初めに、先週増幅したDNA断片をDNA分子マーカーと共に電気泳動にかけました。すべての生徒がアガロースゲルのウェルに流し込むことに成功し、電気を流しました。通電してるかどうかは、電極を見れば分かります。+極には酸素、-極には水素が泡となって発生していると電気が流れている証拠です。通電している間に、電気泳動の仕組みを説明していただくと共に、2つ目の実験を用意していただいていました。
2つ目の実験は「プラナリアの再生実験」です。プラナリアは驚異の再生力を持ち、小さく切り刻んでもそれぞれから再生し、新たな個体が生まれてきます。プラナリアが再生する仕組みは、磁石のN極S極の仕組みと同じで、小さく切断されれば、新たな位置情報が発生し、位置情報から体の部分が作り直されるとのことです。生徒達は不思議な再生能力を持つプラナリアに興味を惹かれ、プラナリアをどのように切断するか思考をめぐらせていました。実際の切断では、手慣れた手さばきで上手に切断できていました。再生の結果は、後日写真を送ってくれるとのこと。生徒の興味関心を惹き、じっくり考えることができる非常に面白い教材であると感じました。また、学校でも実施してみたいと思いました。
さて、電気泳動はすべての生徒で成功。お米の品種分析は完璧でした。高大連携授業を通じて、大学での学びについて理解でき、さらに生命現象について、じっくりと考え、検証していく面白さを分かってもらったのではないでしょうか。引き続き、生命現象を教材として科学的な物の見方や考え方を育んでいきたいです。
PCRで増幅したDNA断片をアガロースゲル 通電させ、泳動させます プラナリアを実体顕微鏡で見ながら切断します
のウェルに入れています。
氷の上にろ紙を置き、動きを止めます 上手く切断できました
プラナリアは大きくなると自然に切断され、2匹になるそうです
このように切り刻むと 10日後 合計10匹のプラナリアができました(全部目があります)
紫外線を照射し、アガロースゲル上のDNAのバンドを見る A:2つのDNA断片のバンドがあるもの(ひとめぼれ)
装置です B:長いDNA断片のバンドがあるもの(あきたこまち)
C:短いDNA断片のバンドがあるもの(コシヒカリ)
台湾 国立竹南高級中学203HRとのオンライン交流(2回目)について
6月17日(月)日本時間13:30~15:00、本校応用数理科207HRと台湾国立竹南高級中学の203HR(BiomedicalClass)生徒と第2回目オンライン交流を行いました。
今回はEndemic Species(固有種)についての発表です。Microsoftチームズでそれぞれのブレイクアウトルームに分かれ、グループごとに発表を行いました。前回の反省を生かし、事前準備としてEndemic Species(固有種)について、それぞれのグループで調べ、スライドの作成を行い、発表練習を行ってきました。また、Microsoftチームズを使った発表練習を行い、準備をしてきました。通信やグループ分けのトラブルもありましたが、何とか発表できました。次は、海外研修に参加する人の紹介と現地で発表する課題研究の内容を説明を行う予定です。オンラインでの交流を継続して、より効果の高い12月の海外研修が実施できるよう取り組みを進めていきます。さらに今後は共同研究の実施や合同発表、また課題研究の手法の伝達など、サイエンスや探究活動を通じた国際交流を実施できればと考えています。
応用数理科308HR 高大連携事業(物質科学分野3回目)
6月18日(火)14時から17時にかけて、徳島文理大学薬学部にて北村圭先生並びに学生スタッフの方から、薬品合成実験としてアスピリンの合成を指導していただきました。高校の5限目が終了した後、生徒7名・教員1名が大学に移動しました。男女2つの班に分かれると簡単な自己紹介の後に実験の説明があり、サリチル酸からアセチルサリチル酸(アスピリン)を合成しました。
サリチル酸を無水酢酸とじっくり反応させ、氷浴により冷却すると白色の結晶が得られました これを吸引ろ過して結晶を生成した後、再びエタノールに溶かして不純物を取り除くと真っ白な結晶になりました。収率は男子42%、女子が何と91%もありました。その後、塩化鉄(Ⅲ)により未反応のフェノールを確認したり、各磁気共鳴装置NMRを用いて物質の構造を確認しました。
生徒たちにとってとても有意義な時間を過ごせました。ありがとうございました。
応用数理科Advanced Science 高大連携授業 生命科学
6月11日(火)徳島大学教養教育院 教授 渡部 稔 先生の研究室へ訪問させていただき、Advanced Science 高大連携授業 生命科学を実施しました。今回のテーマは「お米の品種をDNA解析により調べよう」です。PCR法、電気泳動など先日理数生物探究で習った内容が盛りだくさんです。あきたこまち と ひとめぼれ は コシヒカリを親とした掛け合わせで品種が生み出されておりそれぞれの第6番染色体に存在する遺伝子の持ち方が異なっています。その部分をPCR法で増幅し、電気泳動でその存在を調べることで、品種が分かる仕組みです。基本的にウイルスのPCR検査やワカメの品種特定など同じ方法で行われています。
さて、最初はPCRでターゲットとする遺伝子領域を増幅します。まずPCRに必要な溶液をまぜ合わせマスターミックスを作ります。マスターミックス作成の際のタッピングやマイクロピペットの操作については、何回かしているのでしっかりできますね。その後、お米を砕き、それをPCR反応溶液が入ったマイクロチューブに入れ、PCRを行う機械であるサーマルサイクラーにセットし遺伝子増幅を行います。PCRは少し時間がかかるのでここまでです。
さらに、2種類のDNA断片を染色したものを電気泳動にかけ分析しました。2種類のDNA断片が移動していき、分離している様子がよく分かったと思います。来週は、自分たちが作ったDNA断片を電気泳動にかけます。果たして成功するでしょうか。楽しみです。
マスターミックスを作成しています お米を砕いてDNAを取り出しやすくします 砕いたお米をPCR溶液内に入れます
遠心分離にかけ PCRを行うサーマルサイクラー 最後に練習として電気泳動を行い
にセットします ました。青が長い断片、紫が短い断片です
「生物学オリンピック」講習会について
6月9日(日)徳島大学にて生物学オリンピック講習会が行われました。本校から応用数理科2名普通科1名計3名が参加しました。午前中は高校生物学を学んだ後、観察・実験を行いました。受精卵の状態で、遺伝子変化を起こさせ作成したアルビノのイモリやアフリカツメガエルを観察したり、電気泳動を行ったりしました。電気泳動では、DNAの長さの違いによって、泳動距離が変わることを利用して、DNAの長さの分析ができることを理解しました。午後からは、過去問題についての解説講義を受講しました。本番は非常に難しいですが、論理的に深く考えることの面白みを理解し、楽しみながら取り組んで欲しいと思います。
アフリカツメガエルのアルビノ個体です イベリアトゲイモリのアルビノ個体です。イベリアトゲイモリは
(部分的にアルビノになっている個体もいます) 年間通して繁殖し、生命力も高く、これからモデル生物として期待です
長さの違うDNAに色を入れ電気を流すと 長さの違いに応じて泳動距離が変わります
応用数理科308HR Advanced Science 生命科学1回目
火曜日の応用数理科の授業Advanced Science生命科学分野 第一回目は、「花粉管の伸張とスクロース濃度」について、インパチェイス(アフリカホウセンカ)を材料に実験を行いました。スクロース濃度が0%、5%、10%、15%、20%、25%、30%の寒天培地を作成し、花粉を線上にまき、発芽率と花粉管が伸びた長さをミクロメーターで測定しました。結果はスクロース濃度は0%、5%、10%でよく伸び、15%以上で伸びにくくなり、30%では全く伸びていないことが分かりました。スクロース濃度が0%でも、吸水が起こりアフリカホウセンカの花粉管は伸張することが分かりました。発芽率は20%で14%(66/466)、25%で1.3%(3/232)で、0%~15%の平均52%より大きく低下しました。
インパチェンスの花粉管伸長は、寒天培地でなくても起こることが知られています。スクロース濃度0%の条件で、寒天の濃度を変数として下げていき、寒天と花粉管の伸長について調べてみたいと思いました。
また、2つ目の実験として、めしべをすり潰した抽出液をつくり、抽出液を塗った側と塗らなかった側についてどちらに伸張する割合が高いか実験を行う予定でしたが、時間がなくここまでになりました。
観察した結果を分析し、しっかり考察すれば、次の検証内容を考えることができ、より深い内容まで到達できます。
限られた時間の中ですが、放課後等も利用しながら、生徒達が自然現象についてじっくり考える機会を作っていきたいです。
寒天培地に蒔いた直後です。4カ所から花粉管が伸び 寒天培地に蒔いて20分後です
ようとしていて、そのうち1つが長く伸びます 発芽率を求めると共にミクロメーターで長さを測定し、
平均の値を求めます
応用数理科308HR Advanced Science 物質科学1回目
毎週火曜日は応用数理科の授業「Advanced Science」があります。クラスが物理・化学・生物・地学の4分野に分かれて、様々な実験や体験を行います。高大連携実験教室もこのときに実施します。化学分野は物質科学という講座を設けて、6月中に4回の実験等を行います。
最初ということで、モール(Mohr)法を用いて吉野川流域及び海岸線の塩分濃度を測定してみました。この沈殿滴定は、塩化銀AgCl(白色沈殿)とクロム酸銀Ag2CrO4(赤褐色沈殿)の溶解度積の差を利用して、塩化物イオンCl-の濃度を測る方法です。10倍にうすめた海水をコニカルビーカーにとり、少量のクロム酸カリウム水溶液を加えた後、褐色ビュレットを用いて硝酸銀水溶液を滴下します。当初は白色沈殿ばかり生成しますが、塩化物イオンがなくなるとクロム酸イオンが銀と反応して赤褐色沈殿が生成します。そこまでの硝酸銀の滴下量から塩分濃度が求められます。
結果は以下の通りです。
旧吉野川橋直下 0.79%、 しらさぎ大橋直下 0.71%、 小松海岸 2.2%、 大神子海岸 2.4% でした。
この結果より吉野川河口から5kmさかのぼった地点でも塩分が含まれており、汽水域であることが改めてわかりました。吉野川の冬の風物詩であるスジアオノリの養殖は、このような環境で行われています。
応用数理科107HR Science Introduction 徳島文理大学での高大連携授業の実施について
5月24日(金)13:30から徳島文理大学薬学部を訪問させていただき、ScienceIntroductionの授業として、応用数理科1年生107HRを対象に高大連携授業を行いました。入学して初めての高大連携講座であり、生徒たちも楽しみにしていました。
授業は、徳島文理大学薬学部機能形態学研究室 井上 正久教授が担当していただき「食作用と生体防御」をテーマに講義と実習行いました。最初は講義室にて、好中球やその他の食細胞の働きや、好中球の特徴である分葉核は、血管壁等をすり抜けるためのものであることを説明していただきました。
その後、実験室に移動し、マイクロピペット等を使い、血液飛沫標本を作製し、メイグリュンワルド・ギムザ染色により血液細胞を染色し、顕微鏡で観察しました。さらに、細菌感染させたマウスの筋組織の切片を作成し、細菌感染により変形した筋組織や細菌を排除しようとして好中球が集まっているところを観察しました。
実験の後は、研究室を訪問させていただき、X線解析機器の説明などを行っていたただきました。
生徒たちは、実習等充実した表情で取り組んでいました。大学での学びについて、具体的なイメージが持てたのではないでしょうか。高大連携授業により、高校での学びと大学での学びをつなげることで、生徒の主体的な学びを推進し、科学的な見方考え方を育成していきたいです。
生徒のポートフォリオより一部抜粋(高大連携授業により学んだこと)
「血液の成分(赤血球、白血球など)を実際に見て、白血球の核の仕組み(分葉)や血液内の赤血球と白血球の大きさの違い(白血球が赤血球の2倍ほど)を身近に感じることができました。また、初めて名前を聞いた染色液(メイグリュンワルド液、ギムザ染色液など)や器具を使用して、新たな技術や知識を身につけることができました。」
「前までは目先の進路である高校の事しか考えていなかったので全く大学のことが分からなかったが、この高大連携授業に行ってから大学に対するイメージが変わった。大学と言えばどこか堅いイメージがずっとあったが、授業内容は非常に面白く、先生方の説明も分かりやすかった。また授業を受けたいと思った。」
講義室で「食作用と生体防御」の講義をしていただきました マイクロピペットを使い、血液飛沫標本を作製しました
顕微鏡の観察像をスマホで撮影しました
細菌感染したマウスの筋組織です ほとんどが赤血球ですが、赤紫色の白血球が見られます
(青色が好中球です、変形した筋組織も見られます)
研究室訪問を行い、化学合成でできた分子がイメージした形になっているか解析する機器等を見せていただきました。
台湾 国立竹南高級中学203HRとのオンライン交流について
5月20日(月)日本時間15:30~17:00、本校応用数理科207HRと海外研修で訪問している台湾国立竹南高級中学の203HR(BiomedicalClass)生徒とオンライン交流を行いました。国立竹南高級中学はBiomedicalClassがあり、理科教育に力を入れています。
今回のオンライン交流では、初めに竹南高級中学の呂淑美校長と本校の秋山教頭があいさつを行いました。その後、本校生徒と竹南高級中学の生徒がお互いに、自己紹介を行い、事前に作成しておいたSchoolLifeについての発表を行いました。発表や質疑はすべて英語で行いました。本校生徒は竹南高級中学203HRの生徒達の英語力の高さのみならず、物怖じせずに英語を話す姿に驚いていました。
次回はEndemic Species(固有種)についての発表になります。今回のことが非常に良い刺激になっており、次回の交流に向けて頑張る気持ちが芽生えているようでした。
また、事後にはメール等での交流方法について説明し、生徒達は早速個別交流の準備を行っていました。
オンライン交流は3回実施する予定です。柔軟性のある高校時代に海を越えた生徒同士交流することでダイバーシティへの理解はもちろん、理科教育や英語教育にお互い頑張っている姿を知ることで、科学英語の学習意欲の向上につながる機会としたいと思います。
本校の2人のALTも参加してもらい、オンライン交流(SchoolLifeの発表)を行いました。
ALTの2人が発表準備等サポートしていただきました。大変お世話になりました。
竹南高級中学では、カメラを設置し発表を行ったそうです。Smoothに英語を話しており、スライドもきれいに作られていました。本校生徒も負けないように頑張って欲しいです。
Science Introduction(生物)
応用数理科1年生 Science Introduction(生物)の基礎実験を行いました。1クラスを2グループに分け、15人ずつ少人数での基礎実験になります。今回は原核細胞と真核細胞の大きさの違い、並びに真核生物の組織による細胞の大きさの違いの確認です。
材料はグランド横に自生しているイシクラゲ(ネンジュモ)とオオカナダモです。
ミクロメーターの使い方を説明した後、実際にミクロメーターを使い、イシクラゲの細胞の数や大きさ、オオカナダモの表と裏の細胞の大きさの違いやとげの細胞の観察などをしてもらいました。さらに、細胞の大きさや形の違いから細胞分化について考えてもらいました。事後レポートではなぜ大きさや形の違いが生まれているのか考えてもらいました。
よく観察することからいろいろな疑問が湧いてきます。
朝永 振一郎さんの言葉「ふしぎだと思うこと、これが科学の芽です。 よく観察してたしかめ、そして考えること、これが科学の茎です。 そうして最後になぞがとける、これが科学の花です。」
Science Introductionでは、科学の芽や茎を養い、2年生からの理数探究やAdvanced Scienceで、科学の花を咲かして欲しいです。
よく観察することから生まれる疑問を大切にし、これから科学的に探究する芽や茎を育みたいと思います。始まったばかりの応用数理科での学びが、素晴らしいものとなるよう、素晴らしい学びを提供したいと思います。
応用数理科2年生課題研究研修 徳島文理大学訪問並びにフィールドワーク
応用数理科2年生 課題研究のグループが徳島文理大学 薬学部で行われている「あおさのり の陸上養殖」に興味を持ち、課題研究として、あおさのり の陸上養殖に関わる研究がしたいとのことで、4月26日(金)、5月23日(木)の両日、徳島文理大学 薬学部 山本 博文 教授の研究室を訪問させいただき、あおさのりの生態やあおさのりの陸上養殖についてお話しを聞かせていただきました。
徳島文理大学 薬学部の山本博文教授は、「あおさのり」の生育過程で必要な成長促進因子サルーシン(海洋プランクトンが産生する極微量成分)を化学的に人工合成することに成功し、世界初の「あおさのり」陸上養殖を達成しておられます。お話を聞かせていただいている中で、高知県で陸上養殖場の設置を計画していることをお聞きし、今後、徳島で陸上養殖をするならどこの川がいいのかと疑問を持ち、「あおさのり の葉状体を育てるには、徳島県のどの川(汽水域)の水がいいのか」を研究テーマにすることになりました。
山本博文教授からあおさのり の葉状体をいただき、養殖法を教えてもらいました。また、5月17日(金)に、吉野川、勝浦川、神田瀬川、今切川の4カ所の川の水を採取しに行きました。これら4つの川の水をオートクレーブで滅菌し、あおさのりを生育させていきます。
今後、川の水の違いによる生育の差を調べるとともに、徳島文理大学と連携し、川の水の成分分析を行っていき、生育の違いが起こる原因について考察していきたいです。
また、山本博文教授が人工合成に成功されたサル-シンはいろいろな土壌に含まれているとのこと、どの土にサル-シンが多く含まれているのか検証実験にも繋げていければと思います。
今後、研究者の資質能力を養うために、生徒の主体的な学びを進める高大連携による課題研究を推進していきたいです。
4月26日(金)、5月23日(木)の2日間、徳島文理大学 薬学部 山本 博文 教授の研究室を訪問させていただきました。
アオサノリ以外にもアサクサノリなどの陸上養殖について、研究されています。
5月17日(金)に吉野川、勝浦川、神田瀬川、今切川の4カ所の川の水を採取しに行きました
応用数理科2年生課題研究研修 徳島大学にて
5月8日(水)の午後、これから課題研究を行っていく本校応用数理科2年生のグループが「微生物の培養と音の関係について」をテーマに研究を進めていきたいとのことで、徳島大学教養教育院 教授 渡部 稔先生のところに研究テーマの検証可能性について、お話しを聞きに行くとともに微生物の培養法の研修に伺いました。
音によりアルコール発酵が進むとの論文があり、そこからテーマを設定しましたが、渡部先生からの意見として、音により振動が起き、好気性である酵母菌の生育を進めている可能性が大きいとのことでした。課題研究のテーマについて、専門的な意見をいただき、深く考える機会となりました。
その後、大腸菌、枯草菌、乳酸菌、酵母菌の培地の説明と培養法の実習をおこなっていただきました。滅菌し、微生物を培養する方法を理解することができました。微生物の培養法を生かして、課題研究を進めていきたいと思います。
これから私たちも、生徒達と一緒に、どのようなテーマが検証可能で検証意義があるものなのか、考えていきたいと思います。
今後も、高大連携をさらに進め、生徒の主体的学びを進めることができる、より発展的な課題研究を実施できるようにしていきたいです。
微生物についての説明とその培養法について説明していただきました
阻止円形成の大きさにより、抗菌性を示す 実際に酵母菌や枯草菌を培養し、持って帰らせていただきました
指標になることを教わりました 課題研究に活用させていただきたます